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公開番号2024074604
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-31
出願番号2022185880
出願日2022-11-21
発明の名称硫化水素ガスの除害設備
出願人住友金属鉱山株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C22B 23/00 20060101AFI20240524BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】計装機器等の異常により圧力調整弁が正常に作動しない場合であっても、設備の破損を防止することができる硫化水素ガスの除害設備を提供する。
【解決手段】硫化水素ガスを除害する設備であって、除害塔、硫化水素ガス導入配管12、窒素ガス導入配管13、無害化されたガス排気用配管14、圧力伝送器15、窒素ガス導入配管13に設けられた加圧弁16及び/又は排気用配管14に設けられた圧力調整弁の開閉度を制御する制御部とを備え、さらにシールポット式の圧力調整装置20、第2の除害塔が接続され、通常稼働時には、圧力計が測定する圧力に基づいて、制御部が窒素ガス導入配管13の加圧弁及び/又は排気用配管14の圧力調整弁の開閉度を制御することで、除害塔の内部圧力を所定の範囲に維持し、制御部に異常が生じた場合、圧力調整装置20により、除害塔の内部圧力を所定の範囲に維持することを特徴とする。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
硫化反応を生じさせる反応設備から回収した硫化水素ガスを除害する設備であって、
当該設備は、少なくとも、
硫化水素ガスを除害する除害塔と、
前記除害塔に前記硫化水素ガスを導入する硫化水素ガス導入配管と、
前記除害塔に窒素ガスを導入する窒素ガス導入配管と、
前記除害塔により無害化されたガスを排出する排気用配管と、
前記硫化水素ガス導入配管に設けられた圧力伝送器と、
前記圧力伝送器からの信号に基づいて、前記窒素ガス導入配管に設けられた加圧弁及び/又は前記排気用配管に設けられた圧力調整弁の開閉度を制御する制御部と
を備えるとともに、さらに、
前記除害塔にはシールポット式の圧力調整装置が設置され、
前記圧力調整装置には第2の除害塔が接続され、
通常稼働時には、前記圧力伝送器が測定する圧力に基づいて、前記制御部が前記窒素ガス導入配管に設けられた加圧弁及び/又は前記排気用配管に設けられた圧力調整弁の開閉度を制御することで、前記除害塔の内部圧力を所定の範囲に維持し、
前記制御部による制御に異常が生じた場合には、前記シールポット式の圧力調整装置により、前記除害塔の内部圧力を所定の範囲に維持することを特徴とする、
硫化水素ガスの除害設備。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
前記硫化水素ガス導入配管には、3台以上の圧力伝送器が設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載の硫化水素ガスの除害設備。
【請求項3】
前記制御部は、前記3台以上の前記圧力伝送器の圧力計間の差圧を監視し、いずれかの前記差圧が所定の圧力差以上の場合、警報を出すことを特徴とする、
請求項2に記載の硫化水素ガスの除害設備。
【請求項4】
前記3台以上の圧力伝送器において、少なくとも2つの圧力伝送器による計測値が実際に設定した圧力以上に増加した場合は、前記制御部は、前記圧力調整弁を全開とすることで前記除害塔の内圧の上昇を防止するシーケンスを作動させ、前記計測値が設定した圧力以下に減少した場合は前記窒素ガス導入配管に設けられた前記加圧弁を開にすることで前記除害塔の内圧の減少を防止するシーケンスを作動させることを特徴とする、
請求項3に記載の硫化水素ガスの除害設備。
【請求項5】
前記シールポット式の圧力調整装置は、過度に加圧された場合は前記第2の除害塔に硫化水素ガスを送ることで圧力を逃がし、過度に減圧された場合は大気と接続されることで圧力を保つ構造を有することを特徴とする、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の硫化水素ガスの除害設備。
【請求項6】
前記硫化水素ガスは、ニッケル酸化鉱石を高圧硫酸浸出した後のニッケルを含む硫酸水溶液の中和終液を硫化反応始液とし、該硫化反応始液に硫化水素ガスを添加することで金属硫化物を生成させる工程で発生したガスであることを特徴とする、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の硫化水素ガスの除害設備。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬におけるプロセスから排出される排ガスに含まれる硫化水素ガスの除害設備に関し、計装機器等の異常により圧力調整弁が正常に作動しない場合であっても、除害塔内の加圧や減圧を解消して、設備の破損を防止することができる硫化水素ガスの除害設備に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬法として、硫酸を用いた高圧酸浸出(High Pressure Acid Leaching)法がある。この方法は、乾燥及び焙焼工程等の乾式処理工程を含まず、一貫した湿式工程からなるので、エネルギー的及びコスト的に有利であるとともに、ニッケル品位を50質量%程度まで向上させたニッケルコバルト混合硫化物を得ることができるという利点を有している。
【0003】
高圧酸浸出法は、鉱石のスラリーに硫酸を添加し、220~280℃の温度条件で撹拌処理して、浸出スラリーを形成する浸出工程、浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と浸出残渣を得る固液分離工程、浸出液の酸化を抑制しながら炭酸カルシウムを添加し、3価の鉄を含む中和澱物スラリーとニッケル回収用母液を形成する中和工程、母液に硫化水素ガスを添加することにより亜鉛及び銅を含む混合硫化物を形成し、該混合硫化物を分離する脱亜鉛工程、及び、脱亜鉛終液にさらに硫化水素ガスを吹きこみ、ニッケル及びコバルトを含む硫化物と貧液を形成する硫化工程、などを有する。
【0004】
前記脱亜鉛工程、及び、前記硫化工程では、硫化水素ガスを用いるため、発生した排ガスを回収し、除害塔と呼ばせる設備において、排ガス中に含まれる硫化水素(H

S)ガスを苛性ソーダ(NaOH)に吸収させることで排ガスを無害化させる排ガス処理工程が必要となる。
【0005】
前記排ガス処理工程における除害塔では高圧に保持している硫化工程の反応容器からの排ガスを無害化しており、除害塔には高圧のガスが流入する。除害塔に高圧のガスが流入することで除害塔の内部圧力が急激に変動すると、除害塔の除害能力を超えて大気中に有害ガスを放出する可能性や除害塔本体の設備破損に繋がる可能性がある。そこで除害塔内の急激な圧力変動を抑制するために、除害塔内の排ガスを循環させ、その流量を調整することで除害塔内の圧力を保っている。
【0006】
一方で除害塔にはFRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)等に代表される樹脂製品が使用されており、耐圧は数kPa程度と低い。耐圧の低い樹脂製品を材質とする除害塔が圧力によって破損した場合、高濃度の硫化水素ガスが大気中に放出され重大な環境事故に繋がる恐れがある。このような背景から、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬法における前記排ガス処理工程において、安価で建設でき、かつ環境設備として安全に連続運転を可能とする除害塔の圧力変動による破損防止を目的とした設備が求められている。
【0007】
例えば、特許文献1には、硫化反応を生じさせる反応設備から回収した硫化水素ガスを除害する設備であって、前記反応設備は、第1の反応設備と、第2の反応設備と、からなり、硫化水素ガスを除害する除害塔と、第2の反応設備から回収した硫化水素ガスを除害する予備除害塔と、前記予備除害塔と前記除害塔とを接続して、該予備除害塔での処理後のガスを該除害塔に導入する第1の導入配管と、前記除害塔で無害化したガスを排出する排気配管と、を備え、前記第1の導入配管には、圧力伝送器が設けられ、前記排気配管には、排気弁が設けられており、前記圧力伝送器が測定する前記予備除害塔の出口圧力に基づき、前記排気配管に設けられた前記排気弁の制御によって、前記除害塔の内部圧力を所定の範囲に維持する硫化水素ガスの除害設備が記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1の除害設備では、電気的シーケンスが正常に作動したが、例えば計装機器の異常等によって圧力調整弁が正常に作動しなかった場合、除害塔の圧力管理は正常に運用されず結果として除害塔の破損に繋がる可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2021-23912号公報
特開2001-166833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような状況を解決するためになされたものであり、計装機器等の異常により圧力調整弁が正常に作動しない場合であっても、除害塔内の加圧や減圧を解消して、設備の破損を防止することができる硫化水素ガスの除害設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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