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公開番号2024060734
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-07
出願番号2022168200
出願日2022-10-20
発明の名称セラミックス-金属接合体の製造方法
出願人国立大学法人大阪大学,DOWAホールディングス株式会社
代理人個人
主分類C23C 24/10 20060101AFI20240425BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】セラミックス基材の表面に、金属の層を細線形状で直接接合する。
【解決手段】レーザービームをセラミックス基材表面に掃引させながら照射するとともに、前記セラミックス基材の表面上のレーザービームが照射される領域(以下「照射エリア」という。)に向けて固体金属材料を送給して、送給中の前記金属材料にもレーザービームが照射される状態とし、前記照射エリアに位置するセラミックス基材表面を加熱しながら前記金属材料を溶融させ、溶融した金属材料をセラミックス基材表面に被着させたのち凝固させる、セラミックス-金属接合体の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
レーザービームをセラミックス基材表面に掃引させながら照射するとともに、前記セラミックス基材の表面上のレーザービームが照射される領域(以下「照射エリア」という。)に向けて固体金属材料を送給して、送給中の前記金属材料にもレーザービームが照射される状態とし、前記照射エリアに位置するセラミックス基材表面を加熱しながら前記金属材料を溶融させ、溶融した金属材料をセラミックス基材表面に被着させたのち凝固させる、セラミックス-金属接合体の製造方法。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記固体金属材料が粉体である、請求項1に記載のセラミックス-金属接合体の製造方法。
【請求項3】
前記固体金属材料がCu、Ag、Ti、Ni、Al、Fe、Au、Ptのいずれかを主成分とするものである、請求項1に記載のセラミックス-金属接合体の製造方法。
【請求項4】
前記固体金属材料がCuまたはAgを主成分とするものである、請求項1に記載のセラミックス-金属接合体の製造方法。
【請求項5】
単数または複数のレーザービームを使用し、送給中の前記金属材料に照射されるレーザービームのうち少なくとも1つを波長600nm以下のものとする、請求項1に記載のセラミックス-金属接合体の製造方法。
【請求項6】
単数または複数のレーザービームを使用し、送給中の前記金属材料に照射されるレーザービームのうち少なくとも1つが、Ybドープ固体レーザー、Ndドープ固体レーザー、GaN半導体レーザー、銅蒸気レーザー、Arガスレーザー、N

ガスレーザー、エキシマレーザーのいずれかを光源とするものである、請求項1に記載のセラミックス-金属接合体の製造方法。
【請求項7】
前記固体金属材料がCuを主成分とするものであり、前記セラミックス基材がAlNを主成分とするものである、請求項1に記載のセラミックス-金属接合体の製造方法。
【請求項8】
単数または複数のレーザービームを使用し、下記(1)式で表される平均照射エネルギー密度Eが80~160J/mm

となるようにレーザービームをセラミックス基材表面に照射する、請求項7に記載のセラミックス-金属接合体の製造方法。
E=(P
L1
/D
L1
+P
L2
/D
L2
+・・・+P
Ln
/D
Ln
)/v …(1)
ここで、
E:平均照射エネルギー密度E(J/mm


符号Li(i=1以上n以下の整数、nは使用するレーザービームの総数):使用する個々のレーザービームの識別符号

Li
:レーザービームLiのレーザー出力(W)

Li
:レーザービームLiの掃引方向に対して直角方向の照射スポット径(mm)
v:レーザービームの掃引速度(mm/s)
【請求項9】
前記固体金属材料がAgを主成分とするものであり、前記セラミックス基材がAlNまたはSi



を主成分とするものである、請求項1に記載のセラミックス-金属接合体の製造方法。
【請求項10】
単数または複数のレーザービームを使用し、下記(1)式で表される平均照射エネルギー密度Eが25~160J/mm

となるようにレーザービームをセラミックス基材表面に照射する、請求項9に記載のセラミックス-金属接合体の製造方法。
E=(P
L1
/D
L1
+P
L2
/D
L2
+・・・+P
Ln
/D
Ln
)/v …(1)
ここで、
E:平均照射エネルギー密度E(J/mm


符号Li(i=1以上n以下の整数、nは使用するレーザービームの総数):使用する個々のレーザービームの識別符号

Li
:レーザービームLiのレーザー出力(W)

Li
:レーザービームLiの掃引方向に対して直角方向の照射スポット径(mm)
v:レーザービームの掃引速度(mm/s)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザービームにより溶融させた金属材料をセラミックス基材の表面に直接接合するセラミックス-金属接合体の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
セラミックス-金属接合体、すなわちセラミックスと金属とが両者の接合部を介して一体化した複合材料は、例えば半導体素子を搭載するための絶縁回路基板などの用途に有用である。一般に絶縁回路基板の製造では、銅系あるいはアルミニウム系の金属シート部材をセラミックス基板の表面に接合した後、その金属シート部材の不要箇所をエッチングにより除去して回路パターンを形成する手法が採用される。この場合、回路パターンを形成する工程ではレジスト膜の形成、エッチング加工およびレジスト膜の除去を伴う手順が必要となり、製造負荷およびコストの上昇が生じている。
【0003】
セラミックス板の表面に、所定の回路パターンに応じたレイアウトの金属層を直接形成させる手法として「溶湯接合法」が知られている。溶湯接合法は、鋳型内に設置されたセラミックス板の表面で溶融金属を凝固させるものであり、鋳型内の空隙パターンによって、セラミックス板の表面に接合される金属層のレイアウトを設定することができる。しかし、溶湯接合法により細線形状の金属層を形成させることは困難である。また、溶湯接合法はアルミニウム系金属には適用できるが、融点の高い銅系金属に適用することは工業的に容易でない。
【0004】
銅系の金属をセラミックスの表面に直接接合させる手法として、溶射の技術が知られている。例えば特許文献1には、プラズマバーナーによる熱ガス流中に銅粉末を供給するプラズマ溶射法により、粗面化された酸化アルミニウム板の表面に厚さ75μm(実施例1)あるいは30μm(実施例2)の銅層を形成した例が示されている。特許文献2には、アーク溶射、プラズマ溶射、フレーム溶射などの溶射法により、窒化アルミニウムなどのセラミックス基板の表面にアルミニウム、ニッケル、銅、ステンレスなどの金属を溶射して、厚さ50μm~1.5mmの導電膜を形成した例(実施例1、6、7)が示されている。しかし、溶射法により細線形状の金属層を形成させることは困難である。
【0005】
セラミックス板と金属材料とを面接合させる手法として「ろう付け」がある。ろう付けでは、被接合材同士の接合界面にろう材を適用する。代表的なろう材として、銀ペーストやAg-Cu系合金のシートが挙げられる。このようなろう材を使用するためには、ろう付けに先がけ、ろう材のペーストを被接合材の接合面に塗布したり、所定形状のろう材シートを用意して被接合材間の所定位置に配置したりする工程が必要となる。もし、所定量のろう材を、セラミックス板の接合面となる部位に選択的に接合させた、「ろう材一体型セラミックス板」を予め用意しておくことができると、ろう付け工程の負荷軽減に寄与できる。溶射法により、少量の銀系金属からなる薄いろう材層をセラミックス板の所定位置に形成することは容易でない。
【0006】
一方、金属基材の表面を異種金属で被覆する手法として「レーザー・メタル・デポジション」が知られている。これは、レーザービームにより被覆材である金属の粉体を金属基材表面の近傍で溶融させ、その溶融金属を金属基材に被着させる技術である。例えば特許文献3には、複数のレーザービームを同時に用いる粉体肉盛装置が開示されている。
【0007】
特許文献4には、被覆材である銅粉をレーザービーム中に供給することによって基材であるステンレス鋼の表面に銅の肉盛層を形成させるコーティング方法が開示されている。具体的には、粒径の異なる2種類の純銅からなる混合粉を使用し、青色レーザーの集光径を約0.5mmとして、4mm/sの走査速度で、レーザー出力を20~80Wの範囲で変化させて、対象物(基材)であるSUS304の表面に直線状の肉盛層を形成させた例が示されている(段落0054~0057)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特表平7-501855号公報
特開2006-89290号公報
WO2017/170890号公報
特開2022-13563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
レーザー・メタル・デポジションの技術によれば、特許文献4の例に見られるように、金属基材の表面に線幅が例えば0.5mm程度といった細線形状の純銅の肉盛層を形成させることが可能である。しかしながら、セラミックス基材の表面に銅系、銀系をはじめとする各種金属の層を細線形状で接合することは、基材が金属である場合と比べ難しく、その技術は確立されていない。
本発明は、セラミックス基材の表面に、金属の層を細線形状で直接接合することが可能な技術によってセラミックス-金属接合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは研究の結果、レーザービームを用いてセラミックス基材の表面を十分に加熱した状態とすることにより、レーザー・メタル・デポジションの手法を利用してセラミックスと金属の接合を実現することができることを見出した。基材が金属であれば、特許文献4に教示されるように、噴射された被覆材金属(溶材)が優先的に溶融され、かつ金属基材(対象物)の溶融が最小限に抑制される条件とすることにより、溶融された被覆材金属(溶材)は金属基材(対象物)の表面に付着した後に自然冷却されて凝固し、溶融プールを伴わずに金属膜からなる肉盛層により金属基材(対象物) の表面をコーティングすることができる(特許文献4の段落0034)。すなわち、溶融金属は固体である異種金属の表面上に比較的容易に付着する。しかし、基材がセラミックスである場合には、被覆材金属がセラミックス基板の直上で単に溶融する程度のレーザー照射条件では、セラミックスと被覆材金属の凝固物とを接合させることは困難である。レーザー・メタル・デポジションの手法でセラミックス-金属接合体を得るためには、基材であるセラミックスの表面を十分に加熱し、順次供給される被覆材金属の溶融物をセラミックスの表面上に被着させることが重要となる。本発明はこのような知見に基づいて成されたものである。具体的には、本明細書では以下の発明を開示する。
(【0011】以降は省略されています)

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