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公開番号2024034277
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-13
出願番号2022138412
出願日2022-08-31
発明の名称質量分析イメージング法
出願人国立大学法人大阪大学
代理人弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類G01N 27/62 20210101AFI20240306BHJP(測定;試験)
要約【課題】生体試料から微量のホウ素剤を検出し、腫瘍部におけるミクロな分布と、腫瘍組織と正常組織とにおけるマクロな分布とを可視化できる、新規な質量分析イメージング法を提供する。
【解決手段】ホウ素剤を含む生体試料にマトリックスの溶液を塗布する工程と、前記マトリックスを塗布した試料の表面にレーザー光を照射することで、前記ホウ素剤に由来するイオンを生成する工程と、前記イオンを分離し、検出してマススペクトルを取得する工程と、前記マススペクトルから前記イオンの分布をイメージングする工程と、を包含している。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
ホウ素剤を含む生体試料にマトリックスの溶液を塗布する工程と、
前記マトリックスを塗布した生体試料の表面にレーザー光を照射することで、前記ホウ素剤に由来するイオンを生成する工程と、
前記イオンを分離し、検出してマススペクトルを取得する工程と、
前記マススペクトルから前記イオンの分布をイメージングする工程と、を包含する、質量分析イメージング法。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
前記マススペクトルを取得する工程では、前記ホウ素剤に由来するイオンのピークと、前記生体試料又はマトリックスに由来するイオンであり、前記ホウ素剤に由来するイオン以外のイオンのピークとを分離する、請求項1に記載の質量分析イメージング法。
【請求項3】
前記マススペクトルを取得する工程では、前記ホウ素剤に由来するイオンのピークと、前記生体試料又はマトリックスに由来するイオンであり、前記ホウ素剤に由来するイオン以外のイオンのピークとをm/z200において質量分解能20000以上で分離する、請求項2に記載の質量分析イメージング法。
【請求項4】
前記ホウ素剤が、4-ボロノ-L-フェニルアラニン、及びメルカプトウンデカヒドロドデカホウ酸(2)ナトリウムから選択される少なくとも1つのホウ素剤を含む、請求項1に記載の質量分析イメージング法。
【請求項5】
前記マトリックスとして、ジヒドロキシ安息香酸を含む、請求項1に記載の質量分析イメージング法。
【請求項6】
前記溶液に含まれる前記マトリックスの濃度が、10~50mg/mLの範囲内である、請求項1に記載の質量分析イメージング法。
【請求項7】
前記マトリックスの溶液が、溶媒として、水、ニトリル類、アルコール類、エステル類、及びケトン類からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含む、請求項6に記載の質量分析イメージング法。
【請求項8】
前記ホウ素剤に由来するイオンが、前記ホウ素剤と前記マトリックスとのクラスターイオンを含む、請求項1に記載の質量分析イメージング法。
【請求項9】
前記イメージングする工程では、正常細胞と腫瘍組織とを含む領域をイメージングする、請求項1に記載の質量分析イメージング法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析イメージング法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
ホウ素中性子捕捉治療法(Boron Neutron Capture Therapy; BNCT)は、中性子と核反応を起こしやすいホウ素をあらかじめ腫瘍細胞のみに蓄積させておくことで、正常細胞をほとんど損傷することなく腫瘍細胞のみを選択的に破壊する放射線治療法である。
【0003】
ホウ素分布を可視化するために、様々なイメージング技術の開発が進められており、例えば、非特許文献1には、二次イオン質量分析法(SIMS法)によるホウ素イメージング法が報告されている。
【0004】
また、例えば、非特許文献2には、レーザー照射-高周波誘導結合プラズマ質量分析法(LA-ICP-MS法)によるホウ素イメージング法が報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Aldossari, S.; Mcmahon, G.; Lockyer, N. P.; Moore, K.L.J.T.A. Microdistribution and quantification of the boron neutron capture therapy drug BPA in primary cell cultures of human glioblastoma tumour by NanoSIMS. Analyst 2019, 144, 6214-6224
Reifschneider, O.; Schutz, C.; Brochhausen, C.; Hampel, G.; Ross, T.; Sperling, M.; Karst, U. J. A. B. Quantitative bioimaging of p-boronophenylalanine in thin liver tissue sections as a tool for treatment planning in boron neutron capture therapy. Anal Bioanal Chem. 2015, 407, 2365- 2371.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ホウ素中性子捕捉治療法において、生体内でのホウ素の取り込み率(正常細胞内に対する腫瘍細胞内ホウ素存在比率;T/N比)はBNCTの治療効果および患者の被曝量に大きく影響する。このため、腫瘍組織とその周辺の正常組織を含む「マクロな領域(cmオーダー)」における「ミクロ(数10μmオーダー)のホウ素分布」の評価はホウ素中性子捕捉治療法のキーポイントとなる。例えば、腫瘍内及びその周縁におけるミクロレベルのホウ素剤の分布をイメージングできれば、生体組織へのホウ素剤の取り込みメカニズムの解明にとって非常に重要な情報となり得る。
【0007】
しかしながら、LA-ICP-MS法は元素を測定対象とするため有機物の分布情報は得られない。SIMS法も元素や分子量100以下を主な測定対象とするため有機物の分布情報は限定的であり、空間分解能がサブμmオーダーであることから測定領域もμmサイズにすぎない。従って、これらの手法では、ホウ素取り込みメカニズムの解明に重要な役割を果たす生体化合物と、ホウ素剤両方を同時にイメージングすることは不可能である。このため、生体組織におけるT/N比の評価やホウ素取り込みメカニズムの解明といったBNCTのニーズを共に満たすイメージング技術が確立できていないという問題がある。
【0008】
本発明の一態様に係る発明は、上記の問題を鑑みなされたものであり、その目的は、高い質量分解能を達成する試料作製と質量分析法とによって生体試料から微量のホウ素剤を検出し、腫瘍部のミクロな分布と、腫瘍組織と正常組織とにおけるマクロな分布を可視化できる、新規な質量分析イメージング法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る質量分析イメージング法は、ホウ素剤を含む生体試料にマトリックスの溶液を塗布する工程と、前記マトリックスを塗布した生体試料の表面にレーザー光を照射することで、ホウ素剤に由来するイオンを生成する工程と、前記イオンのマススペクトルを取得する工程と、前記マススペクトルから前記イオンの分布をイメージングする工程と、を包含している。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、ホウ素剤だけでなく生体化合物の脳内における動態も評価できると考えられる。ホウ素剤と生体化合物との相互作用を解明し、さらに腫瘍蓄積効率の高い新たなホウ素剤や新たなホウ素剤投与法の開発に有効な評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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