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公開番号2024056617
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-23
出願番号2023138010
出願日2023-08-28
発明の名称触媒パッド及びその製造方法
出願人国立大学法人大阪大学
代理人弁理士法人柳野国際特許事務所
主分類B01J 37/02 20060101AFI20240416BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】触媒表面基準エッチング法に用いる触媒パッドにおいて、被加工物の周囲部での触媒パッドの変形を小さくし、パッド基体と触媒薄膜との密着性を改善することで耐久性の高い触媒パッド及びその製造方法を提供する点にある。
【解決手段】少なくとも水を含む加工液の存在下で、表面に触媒を有する触媒パッド1と被加工物Wとを、0.1~60kPaの範囲の加工圧力Fで接触させながら相対的移動させ、触媒作用を援用して加水分解反応を誘起することによって被加工物を化学エッチングする触媒表面基準エッチング法に用いる触媒パッドであって、加工圧力の範囲で弾性変形するパッド基体の表面に触媒薄膜が密着した構造を有し、加工圧力での変形において、被加工物と接触する触媒パッドの凹み深さDが0.1μm以上、且つ被加工物の周囲部での触媒パッドの盛り上がり高さHが1.1μm以下である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
少なくとも水を含む加工液の存在下で、表面に触媒を有する触媒パッドと被加工物とを、0.1~60kPaの範囲の加工圧力で接触させながら相対的移動させ、触媒作用を援用して加水分解反応を誘起することによって被加工物を化学エッチングする触媒表面基準エッチング法に用いる触媒パッドであって、
前記加工圧力の範囲で弾性変形するパッド基体の表面に触媒薄膜が密着した構造を有し、
前記加工圧力での変形において、被加工物と接触する触媒パッドの凹み深さDが0.1μm以上、且つ被加工物の周囲部での触媒パッドの盛り上がり高さHが1.1μm以下である、
触媒パッド。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記パッド基体は、裏打ち用の硬質基材の表面に、前記加工圧力の範囲で弾性変形する軟質基材を積層した構造である、
請求項1記載の触媒パッド。
【請求項3】
前記軟質基材が、硬度70~80のフッ素系ゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ポリエチレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムの内から選ばれた1種又は2種以上の積層体である、
請求項2記載の触媒パッド。
【請求項4】
前記パッド基体は、前記加工圧力の範囲で弾性変形する軟質基材の表面に、曲げ弾性を備えた厚さ50~300μmの硬質基材フィルムを積層した構造である、
請求項1~3何れか1項に記載の触媒パッド。
【請求項5】
前記硬質基材が、ポリカーボネート、ポリイミド、PEEK、PTFE、FEP、PFA、ナイロン、PVC、PE、PET、PP、PMMAの内から選ばれた1種のフィルム又は2種以上の積層体フィルムである、
請求項4記載の触媒パッド。
【請求項6】
プラズマ処理によって改質された前記パッド基体の表面に、触媒物質が直接堆積して形成された触媒薄膜を有する構造である、
請求項1記載の触媒パッド。
【請求項7】
前記パッド基体を構成する最表層の基材の表面に、該基材を貫通しない深さの複数の溝を有し、該溝を含めてプラズマ処理によって改質された前記パッド基体の表面に、触媒物質が直接堆積して形成された触媒薄膜を有する構造である、
請求項1記載の触媒パッド。
【請求項8】
被加工物と接触する触媒パッドの凹み深さDと、被加工物の周囲部での触媒パッドの盛り上がり高さHの和が4μm以下である、
請求項1記載の触媒パッド。
【請求項9】
前記触媒薄膜の厚さが、80nm以下である、
請求項1記載の触媒パッド。
【請求項10】
少なくとも水を含む加工液の存在下で、表面に触媒を有する触媒パッドと被加工物とを、0.1~60kPaの範囲の加工圧力で接触させながら相対的移動させ、触媒作用を援用して加水分解反応を誘起することによって被加工物を化学エッチングする触媒表面基準エッチング法に用いる触媒パッドの製造方法であって、
前記加工圧力の範囲で弾性変形するパッド基体の表面を、気密チャンバー内でプラズマ処理によって改質する工程と、
改質後に大気開放することなく、前記気密チャンバー内で前記パッド基体の表面に触媒物質を堆積させて触媒薄膜を形成する工程と、
を含み、
前記加工圧力での変形において、被加工物と接触する触媒パッドの凹み深さDが0.1μm以上、且つ被加工物の周囲部での触媒パッドの盛り上がり高さHが1.1μm以下である、
触媒パッドの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒表面基準エッチングに用いる触媒パッド及びその製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
触媒表面基準エッチング(Catalyst-Referred Etching:CARE)法は、研磨粒子を用いることなく、触媒作用を援用することによって、純水を加工液として加水分解反応を誘起し、様々な材料表面を材料学的なダメージの導入なく原子的に平滑化することができる純粋な化学エッチングを原理とする表面研磨法である。研磨粒子や薬液を一切使用しないことから、これらの廃棄処理の課題が解決され、持続可能な技術としても大いに期待できる。
【0003】
CAREには、触媒パッドが用いられ、触媒と被加工物の表面とを接触させながら相対的に変位させてエッチングを進行させる。CAREが開発された当初は、金属製の定盤を触媒パッドとして用いていたが、半導体ウエハやマスクブランクス用ガラス基板のような広い面積の被加工物を触媒パッドに一様に接触させるために、軟質基材の表面に触媒薄膜を設けた構造の触媒パッドが用いられるようになった。ここで、触媒としては、主に遷移金属が用いられ、ゴム等の軟質基材の表面にスパッタリング法等によって成膜して触媒パッドを作製する(特許文献1、2、3、4)。触媒パッドには、触媒と被加工物の表面との界面に加工液を供給するための機能が付与され、典型的には触媒パッドの表面に溝が形成されている(特許文献4参照)。更に、被加工物の表面に紫外線を照射して活性化させるために、触媒パッドの少なくとも一部に紫外線を透過する構造が付与される場合もある(特許文献5参照)
【0004】
しかしながら、従来の触媒パッドは、寿命が短いことが実用化に向けた大きな課題の一つとなっている。寿命が短いことの原因は、触媒表面の加工生成物による被毒とパッド基体からの触媒薄膜の剥離であることが分かっており、これらに対する対策が望まれている。図15(a)に示すように、従来の触媒パッド100は、パッド基体101の表面に触媒薄膜102をスパッタリングにて成膜した構造を有し、パッド基体101は、厚さ3~5mmと比較的厚い軟質基材103(硬度70~80のフッ素系ゴム)の裏面に裏打ち用に硬質基材104を積層した構造である。なお裏打ち用硬質基材104を用いない場合もある。そして、図15(b)に示すように、触媒パッド100の表面に被加工物Wを所定の加工圧力Fで押し付けると、表層に大きな変形が生じて、被加工物Wの端部Eに近い周囲部に盛り上がり部分105が生じ、その部分での曲率が大きくなる。その状態で触媒パッド100と被加工物Wが接触しながら相対的に変位するので、触媒パッド100の盛り上がり部分105も移動し、しかも被加工物Wの端部Eからも剪断力を受け、その結果、触媒薄膜102が軟質基材103から剥がれ易くなるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開2013-084934号公報
特開2014-149351号公報
国際公開2015-159973号公報
特開2021-115692号公報
特開2020-035989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
因みに、前述の被加工物の周囲部での触媒パッドの盛り上がり現象は、本発明の検討において有限要素法を用いた解析によって初めて確認された現象であり、これまで触媒パッドでは全く考慮されて来なかった。本発明者らは、従来タイプの触媒パッドの触媒薄膜の剥離問題を解決するために、触媒パッドの表層部の挙動を詳しく調べた結果、本発明に至ったのである。
【0007】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、被加工物を所定の加工圧力で触媒パッドに押し付けた際に、被加工物の端部近傍の周囲部における触媒パッドの変形を小さくするとともに、パッド基体と触媒薄膜との密着性を改善することで、触媒薄膜の剥離を抑制し、もって耐久性の高い触媒表面基準エッチング法に用いる触媒パッドを提供し、併せてその触媒パッドの製造方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の課題解決のために、以下に構成する触媒パッド及びその製造方法を提供する。
【0009】
(1) 少なくとも水を含む加工液の存在下で、表面に触媒を有する触媒パッドと被加工物とを、0.1~60kPaの範囲の加工圧力で接触させながら相対的移動させ、触媒作用を援用して加水分解反応を誘起することによって被加工物を化学エッチングする触媒表面基準エッチング法に用いる触媒パッドであって、前記加工圧力の範囲で弾性変形するパッド基体の表面に触媒薄膜が密着した構造を有し、前記加工圧力での変形において、被加工物と接触する触媒パッドの凹み深さDが0.1μm以上、且つ被加工物の周囲部での触媒パッドの盛り上がり高さHが1.1μm以下である、触媒パッド。
【0010】
(2) 前記パッド基体は、裏打ち用の硬質基材の表面に、前記加工圧力の範囲で弾性変形する軟質基材を積層した構造である、(1)記載の触媒パッド。
(【0011】以降は省略されています)

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