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公開番号2024068591
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-20
出願番号2022179168
出願日2022-11-08
発明の名称複合体及びその製造方法並びに第二級又は第三級アミンの製造方法
出願人国立大学法人大阪大学
代理人個人,個人
主分類B01J 27/18 20060101AFI20240513BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】本発明は、アルコールとアミンとを用いた第二級又は第三級アミンの製造に使用できる触媒活性と、大気中での安定性とを兼ね備えた、非貴金属を含有する複合体及びその製造方法並びに第二級又は第三級アミンの製造方法を提供すること。
【解決手段】ニッケル、コバルト、鉄、及び銅からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属ナノ粒子と、アパタイト化合物とを含み、製造直後から大気条件下に24時間静置保管した後における触媒活性の低下率が、製造直後における触媒活性に比べて15%未満である、複合体。
【選択図】図5A
特許請求の範囲【請求項1】
金属ナノ粒子と、アパタイト化合物とを含み、
前記金属ナノ粒子がニッケルナノ粒子であり、
製造直後から大気条件下に24時間静置保管した後における触媒活性の低下率が、製造直後における触媒活性に比べて15%未満である、複合体。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記アパタイト化合物が、ヒドロキシアパタイトである、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記ニッケルナノ粒子が、X線光電子分光法(XPS)により測定した場合、Ni2p
3/2
スペクトルにおいて、含まれるニッケル原子が852.1~853.5eVの範囲内にピークを有する、請求項1又は2に記載の複合体。
【請求項4】
前記金属ナノ粒子の平均粒子径が、50nm未満である、請求項1又は2に記載の複合体。
【請求項5】
還元アミノ化触媒である、請求項1又は2に記載の複合体。
【請求項6】
ニッケル化合物と、還元剤とを混合して混合液を得る工程、
前記混合液と、アパタイト化合物とを反応させて反応物を得る工程、及び
前記反応物を熱処理する工程を含む、ニッケルナノ粒子とアパタイト化合物とを含む複合体の製造方法。
【請求項7】
前記還元剤が尿素であり、前記アパタイト化合物がヒドロキシアパタイトである、請求項6に記載の複合体の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理の温度が、250~550℃である、請求項6又は7に記載の複合体の製造方法。
【請求項9】
金属ナノ粒子と、担体とを含み、前記金属ナノ粒子がニッケルナノ粒子である複合体からなる触媒の存在下、下記式(1)

1
OH (1)
(式中、R
1
は式中のヒドロキシ基の酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。但し、前記炭素原子が芳香環を構成するものを除く。)
で表される第一級又は第二級アルコールと、下記式(2)

2

3
NH (2)
(式中、R
2
、R
3
は、同一又は異なって、水素原子、又は式中のNH基の窒素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。
但し、R
2
及びR
3
のうち少なくとも一方は式中のNH基の窒素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基である。R
2
、R
3
は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。)
で表される第一級又は第二級アミンとを反応させて、下記式(3)

2

3
NR
1
(3)
(式中、R
2
、R
3
は前記と同一意味を有する。R
1
は式中の窒素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。但し、前記炭素原子が芳香環を構成するものを除く。)
で表される第二級又は第三級アミンを得る工程を含む、第二級又は第三級アミンの製造方法。
【請求項10】
前記複合体において、CO
2
-TPDで測定される塩基性度が、80μmol/g以上である、請求項9に記載の第二級又は第三級アミンの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、複合体及びその製造方法並びに第二級又は第三級アミンの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
含窒素化合物の中でもアミンは、多くのゴム、除草剤、医薬品、染料等の貴重な前駆体として利用される重要な化学物質の一つである。アミンのN-アルキル化反応による第二級及び第三級アミンの合成は、アミンの機能化の手法として有用である。
従来、第二級及び第三級アミンの合成には、アルキル化剤としてハロゲン化アルキルが用いられてきた。
しかしながら、この手法では、使用するハロゲン化アルキル自体に催涙性がある上、有害なハロゲン化廃棄物が副生してしまう点、目的の化合物の選択性が低い点など、環境面、及び生産コストの面に問題があった。
【0003】
近年、この方法に代わる合成法として、アルコールをアルキル化剤としたアミンのN-アルキル化反応が注目されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
当該合成法では、(i)アルコールの脱水素、(ii)アルデヒドとアミンとの脱水縮合、及び(iii)イミンの水素化という3つのステップが系内で連続的に進行する。
当該合成法では、安価で入手容易なアルコールを原料とし、副生成物として水のみを生成するため、環境調和性が高いという点で、より魅力的な方法である。
ここで、当該合成法に用いる触媒金属としては、安価で地球上に豊富に存在する非貴金属が工業的に行われるスケールを考慮した場合に重要になる。
非貴金属固体触媒の開発は多数報告されているものの(例えば、特許文献2)、非貴金属種は通常大気中での安定性に乏しく取り扱いが難しいという重大な欠点がある。例えば、Niスポンジ触媒、いわゆるRaneyNi触媒は、発熱性があり、反応手順の間、空気中で取り扱うことが困難であった。
【0004】
そのため、アルコールをアルキル化剤としたアミンのN-アルキル化反応に使用できる、非貴金属(特に鉄族元素)を触媒活性金属とする触媒としては、触媒活性と、大気中での高い安定性とを兼ね備えることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2011-51935号公報
特開昭58-140049号公報
【非特許文献】
【0006】
Christopher R. Ho, Vincent Defalque, Steven Zheng, Alexis T. Bell. Propanol Amination over Supported Nickel Catalysts: Reaction Mechanism and Role of the Support. ACS Catalysis 2019, 9 (4), 2931-2939.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、アルコールとアミンとを用いた第二級又は第三級アミンの製造に使用できる触媒活性と、大気中での高い安定性とを兼ね備えた、非貴金属を含有する複合体及びその製造方法並びに第二級又は第三級アミンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、非貴金属と、特定の担体との複合体を特定の製造方法によって製造することによって、アルコールとアミンとを用いた第二級又は第三級アミンの製造に使用できる触媒活性と、大気中での高い安定性とを兼ね備えた複合体を提供できることを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
【0009】
[1]金属ナノ粒子と、アパタイト化合物とを含み、
前記金属ナノ粒子がニッケルナノ粒子であり、
製造直後から大気条件下に24時間静置保管した後における触媒活性の低下率が、製造直後における触媒活性に比べて15%未満である、複合体。
[2]前記アパタイト化合物が、ヒドロキシアパタイトである、[1]に記載の複合体。
[3]前記ニッケルナノ粒子が、X線光電子分光法(XPS)により測定した場合、Ni2p
3/2
スペクトルにおいて、含まれるニッケル原子が852.1~853.5eVの範囲内にピークを有する、[1]又は[2]に記載の複合体。
[4]前記金属ナノ粒子の平均粒子径が、50nm未満である、[1]又は[2]に記載の複合体。
[5]還元アミノ化触媒である、[1]又は[2]に記載の複合体。
[6]ニッケル化合物と、還元剤とを混合して混合液を得る工程、
前記混合液と、アパタイト化合物とを反応させて反応物を得る工程、及び
前記反応物を熱処理する工程を含む、ニッケルナノ粒子とアパタイト化合物とを含む複合体の製造方法。
[7]前記還元剤が尿素であり、前記アパタイト化合物がヒドロキシアパタイトである、[6]に記載の複合体の製造方法。
[8]前記熱処理の温度が、250~550℃である、[6]又は[7]に記載の複合体の製造方法。
[9]金属ナノ粒子と、担体とを含み、前記金属ナノ粒子がニッケルナノ粒子である複合体からなる触媒の存在下、下記式(1)


OH (1)
(式中、R

は式中のヒドロキシ基の酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。但し、前記炭素原子が芳香環を構成するものを除く。)
で表される第一級又は第二級アルコールと、下記式(2)




NH (2)
(式中、R

、R

は、同一又は異なって、水素原子、又は式中のNH基の窒素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。
但し、R

及びR

のうち少なくとも一方は式中のNH基の窒素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基である。R

、R

は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。)
で表される第一級又は第二級アミンとを反応させて、下記式(3)




NR

(3)
(式中、R

、R

は前記と同一意味を有する。R

は式中の窒素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。但し、前記炭素原子が芳香環を構成するものを除く。)
で表される第二級又は第三級アミンを得る工程を含む、第二級又は第三級アミンの製造方法。
[10]前記複合体において、CO
2
-TPDで測定される塩基性度が、80μmol/g以上である、[9]に記載の第二級又は第三級アミンの製造方法。
[11]前記担体がヒドロキシアパタイトであり、
製造直後から大気条件下に24時間静置保管した後における前記複合体の触媒活性の低下率が、製造直後における触媒活性に比べて10%未満である、[9]又は[10]に記載の第二級又は第三級アミンの製造方法。
[12]反応温度が、50~300℃である、[9]又は[10]に記載の第二級又は第三級アミンの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アルコールとアミンとを用いた第二級又は第三級アミンの製造に使用できる触媒活性と、大気中での高い安定性とを兼ね備えた、非貴金属を含有する複合体及びその製造方法を提供できる。
また、本発明によれば、原料化合物であるアルコールの種類、アミンの種類について、種々の化合物を用いて、第二級又は第三級アミンを選択的に製造することができる。
さらに、本発明によれば、非貴金属を含有する複合体は、不均一系触媒であり、大気安定性に優れるため、触媒活性を維持したまま、反応終了後、遠心分離、濾過等の簡易な分離手段により触媒を分離回収でき回収可能であり、分離回収した触媒は再利用可能である点で、工業的に有利である。
また、アルコールとアミンとを用いた第二級又は第三級アミンの製造方法は、副生成物として水のみを生成するため、多量の有害廃棄物を生じず、環境調和性に優れる。
さらに、本発明によれば、第二級アミンの製造において、第三級アミンまで反応せずに、目的の第二級アミンで反応を止めることができ、目的の化合物を高い選択性で取得することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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