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公開番号2024058435
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-25
出願番号2022165788
出願日2022-10-14
発明の名称分光法による界面領域の測定方法
出願人DIC株式会社,国立大学法人東京工業大学
代理人個人,個人,個人,個人
主分類G01N 21/35 20140101AFI20240418BHJP(測定;試験)
要約【課題】本発明によれば、汎用分光装置のみで界面領域の情報が得られ、用途に応じた材料設計が可能となる分光法による界面領域の測定方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の分光法による界面領域の測定方法は、プリズムを備える分光装置を用いて、試料の界面領域の赤外スペクトルを測定する方法である。
本発明の分光法による界面領域の測定方法は、前記試料と前記プリズム間の距離を調整しながら赤外スペクトルを測定する測定工程と;前記測定工程で得られた、前記各距離の前記赤外スペクトルを多変量スペクトル分離法でスペクトル分離し、前記界面領域の赤外スペクトルを算出する算出工程と;を含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
プリズムを備える分光装置を用いて、試料の界面領域の分光スペクトルを測定する、分光法による界面領域の測定方法であって、
前記試料と前記プリズム間の距離を調整しながら分光スペクトルを測定する、測定工程と、
前記測定工程で得られた、前記各距離の前記分光スペクトルを多変量スペクトル分離法でスペクトル分離し、前記界面領域の赤外スペクトルを算出する、算出工程と、
を含むことを特徴とする分光法による界面領域の測定方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記測定工程の前に、前記プリズム上に媒体を介して、前記試料を配置する、配置工程を含む、請求項1に記載の分光法による界面領域の測定方法。
【請求項3】
前記媒体が、気体または液体である、請求項2に記載の分光法による界面領域の測定方法。
【請求項4】
前記液体が、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、及びイオン液体からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3に記載の分光法による界面領域の測定方法。
【請求項5】
前記測定工程において、距離制御機構を用いて、前記試料と前記プリズム間の距離を調整し、
前記分光装置の前記プリズム上に、前記距離制御機構を設置する、請求項1又は2に記載の分光法による界面領域の測定方法。
【請求項6】
前記距離制御機構は、マイクロメータ及びピエゾアクチュエータからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の分光法による界面領域の測定方法。
【請求項7】
前記配置工程において、前記プリズム上に媒体を介して前記試料を配置する方法は、前記プリズムに前記媒体を滴下し、前記試料を前記媒体の上に配置する方法である、請求項2に記載の分光法による界面領域の測定方法。
【請求項8】
前記測定工程において、前記試料と前記プリズム間の前記距離を縮めながらスペクトルを測定する、請求項1又は2に記載の分光法による界面領域の測定方法。
【請求項9】
前記測定工程において、前記試料と前記プリズム間の前記距離は、測定した前記赤外スペクトルの水酸基、カルボニル基、アミノ基、アミド基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基、または、炭素-炭素不飽和結合、もしくは芳香環に由来する特定吸収のピーク面積から算出する、請求項1又は2に記載の分光法による界面領域の測定方法。
【請求項10】
プリズムを備える赤外線分光装置を用いて、試料と液体との界面領域の赤外スペクトルを測定する、赤外分光法による界面領域の測定方法であって、
前記プリズム上に前記液体を滴下する工程と、
前記液体の上に試料を配置する工程と、
マイクロメータの先端を前記試料に接触させる工程と、
前記マイクロメータを用いてプリズムと試料間の距離を縮めて、赤外スペクトルを測定する工程と、
得られた各距離の前記赤外スペクトルのデータを多変量スペクトル分離法にてスペクトル分離し、界面領域のスペクトルを得る工程と、
を含み、
前記プリズムと前記試料間の前記距離は、前記赤外スペクトルのOH伸縮振動のピーク面積から計算することを特徴とする、分光法による界面領域の測定方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、分光法による界面領域の測定方法に関する。
続きを表示(約 4,300 文字)【背景技術】
【0002】
界面は摩擦、吸着、接着、化学反応など様々な現象が起こる場であり、固液、気液など様々な界面が存在する。実際の界面現象は幾何学的に定義される2次元の界面で起こるのではなく、1分子から数10分子の有限の厚さを持つ界面領域で起こる。界面現象を理解するためには、界面領域の分子を選択的に解析することが重要である。界面を選択的に分析する方法としては和周波発生(SFG)分光法、全反射型赤外分光法(ATR-IR)等がある(例えば、非特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
高井まどか、長澤大樹、東倫之、野口秀典、魚崎浩平:タンパク質吸着に及ぼす材料界面の水分子構造-和周波発生分光法による解析から-、表面科学、35巻(2014)9号p.492-497。
森田成昭:高分子膜のin situ ATR-IR分光とケモメトリックス、分析化学/67巻(2018)4号p.179-186。
Hidehiko Asanuma, Hidenori Noguchi, Kohei Uosaki, and Hua-Zhong Yu: Water Structure at Superhydrophobic Quartz/Water Interfaces: A Vibrational Sum Frequency Generation Spectroscopy Study, J. Phys. Chem. C 2009, 113, 21155-21161.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、和周波発生(SFG)分光法は2次元的な平面が対象であり、厚さを有する界面領域の測定はできない。例えば、非特許文献1において、界面水分子を測定するため、和周波発生(SFG)分光法を利用し、試料表面(ポリマー)とタンパク質との相互関係について記載している。しかし、ポリマーに吸着している水の観点からの議論であって、界面領域としての作用が論じられていないという問題があった。
また、X線反射率法、原子間力顕微鏡法は構造化したものや無機物が対象となり、高分子などの有機物は対象外となるという問題があった。
全反射型赤外分光法(ATR-IR)は、全反射測定法とフローセルを組合せて液体と接触した高分子膜の状態を測定する方法である。しかし、測定領域が数百nm~μmレベルであるため、バルク領域も含んだデータとなっており、界面領域だけを取り出すことができていないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、試料とプリズム間の距離を制御しながらスペクトルを測定することで、汎用分光装置のみで界面領域の情報が得られ、用途に応じた材料設計が可能となる分光法による界面領域の測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の内容は、以下の実施態様を含む。
[1] プリズムを備える分光装置を用いて、試料の界面領域の分光スペクトルを測定する、分光法による界面領域の測定方法であって、
前記試料と前記プリズム間の距離を調整しながら分光スペクトルを測定する、測定工程と、
前記測定工程で得られた、前記各距離の前記分光スペクトルを多変量スペクトル分離法でスペクトル分離し、前記界面領域の赤外スペクトルを算出する、算出工程と、
を含むことを特徴とする分光法による界面領域の測定方法。
[2] 前記測定工程の前に、前記プリズム上に媒体を介して、前記試料を配置する、配置工程を含む、[1]に記載の赤外分光法による界面領域の測定方法。
[3] 前記媒体が、気体または液体である、[2]に記載の分光法による界面領域の測定方法。
[4] 前記液体が、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、及びイオン液体からなる群から選択される少なくとも1種である、[3]に記載の分光法による界面領域の測定方法。
[5] 前記測定工程において、距離制御機構を用いて、前記試料と前記プリズム間の距離を調整し、
前記分光装置の前記プリズム上に、前記距離制御機構を設置する、[1]~[4]の何れかに記載の分光法による界面領域の測定方法。
[6] 前記距離制御機構は、マイクロメータ及びピエゾアクチュエータからなる群から選択される少なくとも1種である、[4]に記載の分光法による界面領域の測定方法。
[7] 前記配置工程において、前記プリズム上に媒体を介して前記試料を配置する方法は、前記プリズムに前記媒体を滴下し、前記試料を前記媒体の上に配置する方法である、[1]~[6]の何れかに記載の分光法による界面領域の測定方法。
[8] 前記測定工程において、前記試料と前記プリズム間の前記距離を縮めながらスペクトルを測定する、[1]~[7]の何れかに記載の分光法による界面領域の測定方法。
[9] 前記測定工程において、前記試料と前記プリズム間の前記距離は、測定した前記赤外スペクトルの水酸基、カルボニル基、アミノ基、アミド基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基、または、炭素-炭素不飽和結合、もしくは芳香環に由来する特定吸収のピーク面積から算出する、[1]~[8]の何れかに記載の分光法による界面領域の測定方法。
[10] プリズムを備える赤外線分光装置を用いて、試料の界面領域の赤外スペクトルを測定する、赤外分光法による界面領域の測定方法であって、
前記プリズム上に水を滴下する工程と、
前記液体の上に試料を配置する工程と、
マイクロメータの先端を前記試料に接触させる工程と、
前記マイクロメータを用いてプリズムと試料間の距離を縮めて、赤外スペクトルを測定する工程と、
得られた各距離の前記スペクトルデータを多変量スペクトル分離法にてスペクトル分離し、界面領域のスペクトルを得る工程と、
を含み、
前記プリズムと前記試料間の前記距離は、前記赤外スペクトルのOH伸縮振動のピーク面積から計算することを特徴とする、分光法による界面領域の測定方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、汎用分光装置のみで界面領域の情報が得られ、用途に応じた材料設計が可能となる分光法による界面領域の測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は第一実施形態の赤外分光法による界面領域の測定方法を示す図である。
図2は本実施形態の界面領域の測定方法において、各距離で得られるスペクトルの例を示す図である。
図3は本実施形態の界面領域の測定方法において、得られる界面領域のスペクトルの例を示す図である。
図4は第一実施形態の赤外分光法による界面領域の測定方法に用いる装置を示す図である。
図5はSAMの末端をアルキル基(C8)とした試料2表面の水滴画像である。
図6はSAMの末端をエチレングリコール基(EG3-OH)とした試料4表面の水滴画像である。
図7はSAMの末端をヒドロキシ(OH)とした試料3表面の水滴画像である。
図8は実施例1~3、比較例1~3で測定した界面領域のスペクトル。
図9はSAMの末端をアルキル基(C8)とした試料2の表面に培養したヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の蛍光顕微鏡写真である。
図10はSAMの末端をエチレングリコール基(EG3-OH)とした試料3の表面に培養したヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の蛍光顕微鏡写真である。
図11はSAMの末端をヒドロキシ(OH)とした試料4の表面に培養したヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の蛍光顕微鏡写真である。
図12は試料2~4の表面の界面領域の厚さを示す模試図である。
図13は実施例4で測定したPDMS膜の界面領域のスペクトル及び比較例4の和周波発生(SFG)分光法ですペクトルである。
図14は3600cm
-1
において、水素結合が多い水分子のOH伸縮振動を示す模試図である。
図15は3200cm
-1
において、4配位の水素結合(氷の構造に類似)を形成している水分子のOH伸縮振動を示す模試図である。
図16はPDMSの表面上において、厚さ0.8nm界面領域の水分子の模試図である。
図17は実施例5で測定したグラファイト近傍のエタノールの界面領域のスペクトル、及び比較例5のバルクエタノールのスペクトルである。
図18は、プリズム-試料間距離とピーク面積の間の関係を示すグラフである。
図19は第二実施態様で測定した界面領域のスペクトル及び透過スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態のみに限定されるものではない。
【0010】
(分光法による界面領域の測定方法)
本発明の一実施形態の、分光法による界面領域の測定方法(本実施形態の界面領域の測定方法ということがある)はプリズムを備える分光装置を用いて、試料の界面領域の分光スペクトルを測定する、分光法による界面領域の測定方法である。前記試料と前記プリズム間の距離を調整しながら分光スペクトルを測定する、測定工程と、前記測定工程で得られた、前記各距離の前記分光スペクトルを多変量スペクトル分離法でスペクトル分離し、前記界面領域の赤外スペクトルを算出する、算出工程と、を含む。前記分光法は、赤外分光法(後述第一実施形態)でもよく、UV-Vis分光法(後述第二実施形態)でもよい。前記分光装置は、前記赤外分光法、UV-Vis分光法に対応して、赤外線分光装置でもよく、UV-Vis分光装置でもよい。また、前記分光スペクトルは、前記赤外分光法、UV-Vis分光法に対応して、赤外線分光スペクトルでもよく、UV-Vis分光スペクトルでもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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