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公開番号2024043557
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-01
出願番号2022148660
出願日2022-09-19
発明の名称CO2ガス選択透過ユニットおよびCO2回収装置
出願人個人
代理人
主分類B01D 71/70 20060101AFI20240325BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】大気中および排気ガス中のCO2を削減するための低コストで低消費電力である装置を提供する。
【解決手段】新たに発見したCO2とPDMSの相互作用によりCO2ガス透過度が増大する現象を利用することにより、取り扱いが容易な50~100ミクロンの厚さのPDMSシートの使用が可能となった。本発明はCO2ガス分離膜として厚いPDMSシートを使ったCO2ガス選択透過ユニットの構造とその応用装置に関するものである。CO2排出削減を低コストで実現し地球温暖化対策に貢献するのが目的である。
【選択図】図5-1
特許請求の範囲【請求項1】
50ミクロン~100ミクロンの厚さのポリジメチルシロキサン(PDMS)系高分子シートを炭酸ガス(CO2)選択分離透過膜として使用したCO2ガス選択透過ユニット。
続きを表示(約 710 文字)【請求項2】
CO2透過量増大のために、50ミクロン~100ミクロンの厚さのポリジメチルシロキサン(PDMS)系高分子シートを1軸または2軸方向に引張り延伸することにより薄層化および大面積化した後、元の形状に戻るのを防止するためにシートの周辺部を枠で固定したCO2ガス選択透過ユニット。
【請求項3】
1、2の高分子シートの支持板として開口率40%以上のパンチングメタルまたはメッシュメタルを使用したCO2ガス選択透過ユニット。
【請求項4】
請求項1,2、3のCO2選択透過ユニットの表面に接する気体がCO2濃度500ppm以上の汚染された空気であり、裏面へ選択的に透過してくるCO2ガスを室外に排出する室内CO2清浄機。
【請求項5】
請求項1,2、3のCO2ガス選択透過ユニットの表面に接する気体がCO2濃度500ppm以上、1気圧以上の汚染された空気であり、裏面へ選択的に透過してくるCO2を1気圧以下の交換可能な容器に導入することを特長とするCO2ガス回収装置。
【請求項6】
請求項1,2、3のCO2ガス選択透過ユニットを円筒状にして連結することにより排気管内に設置できるようにしたCO2ガス回収管。
【請求項7】
請求項1,2、3のCO2ガス選択透過ユニットを透過してくるCO2をPH7以上のアルカリ溶液の容器内に吸収蓄積するCO2ガス回収装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかを採用することによりCO2ガス排出量を減少させることができる火力発電所、鉄鋼所などの施設、および輸送用の車両。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、地球温暖化の原因となっている温室効果ガスであるCO2ガス排出量を低減する様々な対策の中の分離膜法において、CO2選択分離シートを利用したCO2選択透過ユニットおよびCO2回収装置に関するものである。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
大気中のCO2ガス回収装置の低コスト化のために、選択分離膜としての各種高分子シートが各所で開発が進行中である。中でもポリジメチルシロキサン(以後PDMSと記す)系高分子は有望な材料である。一般的にはダウ・コーニング社のシリコンゴム封止材(商標名SYLGARD 184)を原料としてスピンコート法によって薄膜が製造されている。PDMS膜へのCO2ガスの透過の原理として、CO2分子の拡散が考えられている。従って、厚さを出来る限り薄くする必要があると考えられおり、50ミクロン以上の厚いPDMS膜はCO2選択分離膜としての候補から除外されている。CO2選択分離膜の指標はCO2の透過度、およびCO2とN2の透過度の比すなわち選択比である。現状では膜厚1ミクロンの時、透過度は4000GPU程度、選択比は膜厚に依存せず10~12程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
2013-010697公開
【非特許文献】
【0004】
仲川勤, Vol.14, No.155, 107-114 高分子学会, 高分子シートの気体透過性
Shigenori Fujikawa, et al. Chem. Lett. 2019, 48, 1351-1354
津山高専紀要 第40号(1998)47-53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献2によれば、PDMS膜の厚さ1ミクロンおよび10ミクロンの時、CO2の透過度はそれぞれ4000GPU、400GPU程度である。すなわち厚さが10倍になると、透過度は1/10になる。従って、厚みを1ミクロンの50倍の50ミクロンにするとCO2の透過度は1/50の80GPU程度が予想されるため実用的でなく、CO2の透過膜の候補として厚さ50ミクロン以上のPDMS膜は対象外とされてきた。これは、高分子膜中のガスの透過原理がガス分子の拡散とされているからである。ここで1GPUとは透過してくる標準状態における単位面積、単位時間、単位差圧でのガスの体積のことであり、換算係数7.5×10
-12
を掛けたものである。非特許文献2ではCO2ガスの透過度を大きくするために、0.1ミクロン以下の極薄膜にすればCO2の透過度が10000GPU以上となることが記載されている。しかしながら、0.1ミクロン以下の面積が大きい極薄膜を多孔質支持体の上に貼り付ける複雑な工程が必要であり、ほこりや不純物の混入による欠陥によりガスが局部的に漏れる問題が発生する。従って、1ミクロン以下の欠陥のない大面積PDMS極薄膜を利用することは、歩留まり、コスト上困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明ではPDMSシートの厚さ50~100ミクロンにおいて、差圧20kPa以上でCO2ガスの透過度1000~500GPUが得られた。この値は非特許文献2に記載されているPDMS膜0.8~4ミクロンの場合に相当する。50~100ミクロン の厚さのPDMSシートはスピンコート法で製造が容易であり、欠陥のない大面積のPDMSシート製品が化学・生化学分野、マイクロ流体デバイスなどの用途として販売されており安価である。1例としてCSTEC社のPDMSシートがある。本発明ではこのPDMSシートを使用した。
【0007】
PDMSシートのガス透過度(単位GPU)は2室構造チャンバーを用いた密閉ガス圧力センサ法により測定した。単位GPUとは標準状態(STP)で単位面積(1m

)、単位時間(1秒)、単位差圧(1Pa)に換算した透過ガスの体積(m

)に換算係数7.5×10
-12
を掛けたものである。差圧とはガス供給室とガス透過室の圧力センサの圧力差のことである。ガスの透過部の形状は直径1cmの円とした。またPDMSシートは差圧によって湾曲するので、ステンレス支持体として直径300ミクロンの孔が400ミクロンピッチで開いた商品名Support Screen KS-25を使用して湾曲を防いだ。50ミクロン厚PDMSシートのガス透過度を測定したところ、供給室と透過室の圧力センサ差圧が20kPa以上の時500~1000GPUであったが、20kPa以下で急激に増加し差圧0.5kPaの時50000GPU以上となった。透過室がCO2分圧の小さい気体の場合、例えば空気、N2ガスの場合に、圧力センサ差圧が小さくてもCO2分圧差が大きいことから起こる現象である。膜厚150ミクロンと200ミクロンのPDMSシートのCO2透過度を測定したところ、差圧20kPa以上の時200GPU以下と小さかったので本発明からは除外した。
【0008】
PDMS膜厚を50~100ミクロンとしてもCO2透過度が予測値よりも5~10倍大きい理由を説明するために、本発明者が製作したCO2ガス透過中のリアルタイム測定できるラマン分光装置を使用して実験を行った。その結果、PDMSフィルム直上ではCO2ガスのラマンバンド(ピーク波数1288cm
-1
、1392cm
-1
が観測されるが、CO2透過中のPDMS内部では新しいラマンバンドのピーク波数1280cm
-1
、1384cm
-1
が厚さ方向に均一に発生することを発見した。
【0009】
これらの新しいバンドピークはCO2分子のラマン散乱波数よりも8cm
―1
だけ低波数(高エネルギー、短波長)側である。この新しいラマンバンドについては文献等に報告例がない。本発明者はこの新しいラマンバンドはPDMSとCO2との相互作用によって発生すると考えている。この新しいラマンピークはCO2のエネルギー準位よりも高い新しいエネルギー準位が発生したことを示しており、この準位を介してCO2がトンネル効果に似た現象により透過するという仮定が考えられる。この相互作用が発生する高分子膜として、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のほかに、ポリカーボネート系、アクリル系があることを実験により分かったが、CO2ガスの透過度はポリジメチルシロキサン(PDMS)が最も大きかった。このようにして、高分子との相互作用を引き起こすガスは厚い高分子膜においても透過しやすく、高分子との相互作用を引き起こさないガス(N2ガス、O2ガス等)は透過しにくいという現象を利用することによって、CO2ガスと他の空気中成分ガスとを分離することができる。
【0010】
また、薄いPDMSシートは引っ張って伸ばしても破断しないという特徴がある。本発明のCO2選択透過ユニットに用いるPDMSシートを1軸または2軸方向に引っ張った後、元の形状に戻らないように周辺部を固定することにより元の厚さよりも薄く、元の面積よりも広くして大型のCO2選択透過ユニットとして使用することができる。厚さが薄いほどCO2の透過度は増加し、汚染空気と接する面積が大きいほどCO2透過量は大きくなる。
(【0011】以降は省略されています)

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