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公開番号2023095198
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-07-06
出願番号2021210943
出願日2021-12-24
発明の名称歯ブラシ
出願人ライオン株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類A46D 1/00 20060101AFI20230629BHJP(ブラシ製品)
要約【課題】毛開き耐久性を有しながら、毛折れリスクが低く、歯頚部の清掃実感が良好であるテーパー毛を用いた歯ブラシを提供する。
【解決手段】ヘッド部18の植毛面18aに複数のテーパー毛20が束ねられた毛束12が複数植設されて形成される刷毛部22を備えた歯ブラシ1であって、テーパー毛20は、ポリトリメチレンテレフタレートと熱可塑性エラストマーとを配合した樹脂組成物で形成されており、樹脂組成物に占めるポリトリメチレンテレフタレートの割合が30質量%以上80質量%以下であり、前記刷毛部22の先端を、植毛面18aに向けて5mm/minの速度で最大変位量5mmの押し込みを行い、次いで5mm/minの速度で引き上げを行った際の変位量と荷重のヒステリシス曲線において、ヒステリシス損失割合が30%以下であることを特徴とする、歯ブラシ1。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
ヘッド部の植毛面に複数のテーパー毛が束ねられた毛束が複数植設されて形成される刷毛部を備えた歯ブラシであって、
前記テーパー毛の少なくとも一部は、ポリトリメチレンテレフタレートと熱可塑性エラストマーとを配合した樹脂組成物で形成されており、前記樹脂組成物に占めるポリトリメチレンテレフタレートの割合が３０質量％以上８０質量％以下であり、
前記刷毛部の先端を、前記植毛面に向けて５ｍｍ／ｍｉｎの速度で最大変位量５ｍｍの押し込みを行い、次いで５ｍｍ／ｍｉｎの速度で引き上げを行った際の変位量と荷重のヒステリシス曲線において、ヒステリシス損失割合が３０％以下であることを特徴とする、歯ブラシ。
続きを表示（約 600 文字）【請求項２】
前記ヒステリシス曲線において、押し込み時と引き上げ時の荷重の差が最大値ＦΔｍａｘとなる変位量における引き上げ時の荷重が、１２Ｎ以上１７Ｎ以下である、請求項１に記載の歯ブラシ。
【請求項３】
前記ヒステリシス曲線において、押し込み時と引き上げ時の荷重の差が最大値ＦΔｍａｘとなる変位量における押し込み時の荷重が、１８Ｎ以上２５Ｎ以下である、請求項１又は２に記載の歯ブラシ。
【請求項４】
前記樹脂組成物におけるポリトリメチレンテレフタレートと熱可塑性エラストマーの合計質量に対するポリトリメチレンテレフタレートの質量の割合が３０質量％以上８０質量％以下である、請求項１～３のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【請求項５】
前記樹脂組成物に占めるポリトリメチレンテレフタレートの割合が４０質量％以上６０質量％以下である、請求項１～４のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【請求項６】
前記樹脂組成物に配合される熱可塑性エラストマーが、ポリエステル系エラストマーである、請求項１～５のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【請求項７】
前記樹脂組成物に配合される熱可塑性エラストマーのＪＩＳＫ６２５３に規定されるデュローメータタイプＤの硬度が３０゜以上１００゜以下である、請求項１～６のいずれか一項に記載の歯ブラシ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、歯ブラシに関する。
続きを表示（約 2,300 文字）【背景技術】
【０００２】
歯ブラシの刷毛としては、一般的にナイロン（６－１２ナイロン、６－１０ナイロン）やポリブチレンテレフタレート（以下「ＰＢＴ」と称する場合がある。）などの合成樹脂が用いられているが、使用により毛開きがしやすく、歯ブラシの交換頻度が高くなりやすい。
【０００３】
これに対し、ポリトリメチレンテレフタレート（以下「ＰＴＴ」と称する場合がある。）を主成分とするフィラメントを用いた刷毛は、屈曲回復性や柔軟性に優れ、長期間使用してもブラシ毛が拡がりにくいという特長を有する。その一方で、長期間使用するとブラシ毛が破断して折れることがあり、毛折れ耐久性に問題を有している。
【０００４】
さらに、ＰＴＴは、ナイロン等と比較すると表面の摩擦抵抗が少ないことも清掃実感の点で不利である。
また、本発明者等が確認したところ、ＰＴＴは高い屈曲回復特性により、歯間や歯周ポケットなどの狭い部分にまで毛先部を届かせるためにテーパー形状にした際でも、隣接毛束が突っ張りやすく、隙間清掃に優れるＰＢＴのテーパー毛と比べると、歯肉縁下部への毛先の侵入性に劣り、歯頚部の清掃実感が低くなる問題を有することがわかった。
【０００５】
このＰＴＴの長所を活かしながら、毛折れ耐久性や清掃実感の問題にも対処するため、特許文献１では。ＰＴＴに他のポリエステル系樹脂を配合した合成樹脂製のモノフィラメントを用いることが提案されている。
また、特許文献２では、芯成分が主としてＰＴＴであり、鞘成分が主としてポリエーテルエステル系エラストマーの２重芯のフィラメントを用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
特開２００５―２７０３６６号公報
特開２００４－２４５２０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかし、特許文献１の歯ブラシは、ＰＴＴと他のポリエステル樹脂との相溶性は高いため、溶融時に一部でエステル交換が起こり、各樹脂が本来有する機能発現の調整が難しい。
また、その高い相溶性が故に、ＰＴＴと他のポリエステル系樹脂が相互に絡まりあう。そのため、ＰＴＴの特長を発現する結晶構造であるメチレン基の屈曲性が得られにくくなっており、ＰＴＴの機能特長が発現しづらい。そればかりか、他方の樹脂の特徴も引き出しにくい。
【０００８】
また、特許文献２の歯ブラシは、フィラメントの芯部と鞘部で各成分の特徴が如実に出てしまうため、使用時の違和感が避けられない。また、毛先部分は芯部の材質であるＰＴＴとなることから、歯頚部の清掃実感が低い課題は解決されていない。
本発明は、上記事情に鑑みて、毛開き耐久性を有しながら、毛折れリスクが低く、歯頚部の清掃実感が良好であるテーパー毛を用いた歯ブラシを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
［１］ヘッド部の植毛面に複数のテーパー毛が束ねられた毛束が複数植設されて形成される刷毛部を備えた歯ブラシであって、
前記テーパー毛の少なくとも一部は、ポリトリメチレンテレフタレートと熱可塑性エラストマーとを配合した樹脂組成物で形成されており、前記樹脂組成物に占めるポリトリメチレンテレフタレートの割合が３０質量％以上８０質量％以下であり、
前記刷毛部の先端を、前記植毛面に向けて５ｍｍ／ｍｉｎの速度で最大変位量５ｍｍの押し込みを行い、次いで５ｍｍ／ｍｉｎの速度で引き上げを行った際の変位量と荷重のヒステリシス曲線において、ヒステリシス損失割合が３０％以下であることを特徴とする、歯ブラシ。
［２］前記ヒステリシス曲線において、押し込み時と引き上げ時の荷重の差が最大値ＦΔｍａｘとなる変位量における引き上げ時の荷重が、１２Ｎ以上１７Ｎ以下である、［１］に記載の歯ブラシ。
［３］前記ヒステリシス曲線において、押し込み時と引き上げ時の荷重の差が最大値ＦΔｍａｘとなる変位量における押し込み時の荷重が、１８Ｎ以上２５Ｎ以下である、［１］又は［２］に記載の歯ブラシ。
［４］前記樹脂組成物におけるポリトリメチレンテレフタレートと熱可塑性エラストマーの合計質量に対するポリトリメチレンテレフタレートの質量の割合が３０質量％以上８０質量％以下である、［１］～［３］のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
［５］前記樹脂組成物に占めるポリトリメチレンテレフタレートの割合が４０～６０質量％である、［１］～［４］のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
［６］前記樹脂組成物に配合される熱可塑性エラストマーが、ポリエステル系エラストマーである、［１］～［５］のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
［７］前記樹脂組成物に配合される熱可塑性エラストマーのＪＩＳＫ６２５３に規定されるデュローメータタイプＤの硬度が３０゜以上１００゜以下である、［１］～［６］のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の歯ブラシは、テーパー毛を用いた歯ブラシであって、毛開き耐久性を有しながら、毛折れリスクが低く、歯頚部の清掃実感が良好である。
【図面の簡単な説明】
（【００１１】以降は省略されています）

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