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公開番号2025179673
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-10
出願番号2024086579
出願日2024-05-28
発明の名称硫酸ニッケル水溶液の製造方法
出願人住友金属鉱山株式会社
代理人弁理士法人山内特許事務所
主分類C01G 53/10 20060101AFI20251203BHJP(無機化学)
要約【課題】ニッケルロスを低減できる硫酸ニッケル水溶液の製造方法を提供する。
【解決手段】硫酸ニッケル水溶液の製造方法は、バッチ処理により、亜鉛を含む粗硫酸ニッケル水溶液と硫化剤とを反応させて亜鉛を含む硫化澱物を生成し、硫化スラリーを得る硫化工程と、固液分離により硫化スラリーから硫化澱物を除去して硫化終液を得る第1固液分離工程とを有する。硫化工程において、粗硫酸ニッケル水溶液の酸化還元電位が目標値まで低下したときにバッチ処理を終了する。目標値は酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)0~60mVの範囲内で予め定められた値である。粗硫酸ニッケル水溶液の酸化還元電位が目標値まで低下したときに硫化反応を終了するので、ニッケルの沈澱が抑制され、ニッケルロスを低減できる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
バッチ処理により、加圧反応槽内で亜鉛を含む粗硫酸ニッケル水溶液と硫化水素ガスとを接触させて亜鉛を含む硫化澱物を生成し、硫化スラリーを得る硫化工程と、
固液分離により前記硫化スラリーから前記硫化澱物を除去して硫化終液を得る第1固液分離工程と、を備え、
前記硫化工程において、前記加圧反応槽内の圧力が一定となるように前記硫化水素ガスを供給し、前記粗硫酸ニッケル水溶液の酸化還元電位が目標値まで低下したときにバッチ処理を終了し、
前記目標値は酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)0~60mVの範囲内で予め定められた値である
ことを特徴とする硫酸ニッケル水溶液の製造方法。
続きを表示(約 260 文字)【請求項2】
前記硫化工程における前記粗硫酸ニッケル水溶液のpHを1~5とする
ことを特徴とする請求項1記載の硫酸ニッケル水溶液の製造方法。
【請求項3】
亜鉛が残留した前記硫化終液に空気を吹き込むとともにアルカリを添加して、酸化中和反応により亜鉛を含む中和澱物を生成し、中和スラリーを得る中和工程と、
固液分離により前記中和スラリーから前記中和澱物を除去して中和終液を得る第2固液分離工程と、を備える
ことを特徴とする請求項1または2記載の硫酸ニッケル水溶液の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸ニッケル水溶液の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、粗硫酸ニッケル水溶液から亜鉛を除去して硫酸ニッケル水溶液を製造する方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
高純度の硫酸ニッケル水溶液を製造する方法として、以下の方法が知られている(例えば、特許文献1)。まず、粗硫酸ニッケル原料を溶解して粗硫酸ニッケル水溶液を得る(溶解工程)。つぎに、粗硫酸ニッケル水溶液を加圧反応槽内で硫化剤と反応させ、亜鉛を硫化澱物として除去する(硫化工程)。つぎに、中和反応により粗硫酸ニッケル水溶液に含まれる鉄を中和澱物として除去し、中和終液を得る(中和工程)。最後に、溶媒抽出により中和終液中のニッケルを抽出、逆抽出して高純度の硫酸ニッケル水溶液を得る(溶媒抽出工程)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2024-56178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
硫化工程では粗硫酸ニッケル水溶液に含まれる亜鉛とともにニッケルが沈澱することがある。特に、亜鉛の除去率を高めるために硫化反応を促進させると、ニッケルの硫化物も生成されやすくなる。ニッケルが沈澱すると硫化澱物として系外に排出されるためニッケルロスとなる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、ニッケルロスを低減できる硫酸ニッケル水溶液の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様の硫酸ニッケル水溶液の製造方法は、バッチ処理により、加圧反応槽内で亜鉛を含む粗硫酸ニッケル水溶液と硫化水素ガスとを接触させて亜鉛を含む硫化澱物を生成し、硫化スラリーを得る硫化工程と、固液分離により前記硫化スラリーから前記硫化澱物を除去して硫化終液を得る第1固液分離工程と、を備え、前記硫化工程において、前記加圧反応槽内の圧力が一定となるように前記硫化水素ガスを供給し、前記粗硫酸ニッケル水溶液の酸化還元電位が目標値まで低下したときにバッチ処理を終了し、前記目標値は酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)0~60mVの範囲内で予め定められた値であることを特徴とする。
第2態様の硫酸ニッケル水溶液の製造方法は、第1態様において、前記硫化工程における前記粗硫酸ニッケル水溶液のpHを1~5とすることを特徴とする。
第3態様の硫酸ニッケル水溶液の製造方法は、第1または第2態様において、亜鉛が残留した前記硫化終液に空気を吹き込むとともにアルカリを添加して、酸化中和反応により亜鉛を含む中和澱物を生成し、中和スラリーを得る中和工程と、固液分離により前記中和スラリーから前記中和澱物を除去して中和終液を得る第2固液分離工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、粗硫酸ニッケル水溶液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が0~60mVの範囲内で定められた目標値まで低下したときに硫化反応を終了するので、ニッケルの沈澱が抑制され、ニッケルロスを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
一実施形態に係る硫酸ニッケル水溶液の製造方法を示す全体工程図である。
一実施形態における溶媒抽出工程の詳細工程図である。
硫化終液の亜鉛濃度とニッケルロス率との関係を示すグラフである。
硫化工程における粗硫酸ニッケル水溶液の酸化還元電位と硫化終液の亜鉛濃度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る硫酸ニッケル水溶液の製造方法は、溶解工程S1、硫化工程S2、第1固液分離工程S3、中和工程S4、第2固液分離工程S5、および溶媒抽出工程S6を有する。ただし、少なくとも硫化工程S2および第1固液分離工程S3が実行されればよく、その他の工程S1、S4、S5、S6は必要に応じて実行されればよい。また、別の工程が追加されてもよい。
【0010】
粗硫酸ニッケル原料として、例えば、銅製錬の副産物として得られる粗硫酸ニッケル結晶が用いられる。粗硫酸ニッケル原料は不純物として亜鉛を含む。粗硫酸ニッケル原料は亜鉛のほか鉄、カドミウムなどの不純物を含んでもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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