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公開番号
2025178154
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-12-05
出願番号
2025080131
出願日
2025-05-12
発明の名称
極端現象の頻度誤差の推定と制御方法
出願人
浙江大学
,
ZHEJIANG UNIVERSITY
代理人
個人
主分類
G06N
20/00 20190101AFI20251128BHJP(計算;計数)
要約
【課題】本発明は極端現象の頻度誤差の推定と制御方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、頻度シフト汎関数と確率推定に基づく頻度シフト汎関数推定式を提案し、頻度シフト汎関数に基づいて逆に信頼性頻度シフトε値を求めることで、頻度分布関数を改善する方法を構築する。本発明は、確率統計の意味で、海象観測データを利用して各種の頻度統計モデルにおける極端現象の発生頻度予測の誤差を推定、制御することにより、高潮、豪雨洪水、津波などの海象の極端現象に対する予測の正確性と信頼性を向上させ、極端な自然災害によるリスクを低減し、引き起こす可能性のある生命と財産の損失を減少させることに適する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
極端現象の統計における頻度予測の誤差を推定して制御し、統計モデルの正確性及び極端現象の予測の信頼性を向上させることに用いられる極端現象の頻度誤差の推定と制御方法であって、前記極端現象の頻度誤差の推定と制御方法は、データモデリング及び頻度シフト計算モジュールと、頻度シフト汎関数構成モジュールと、信頼性頻度シフト制御モジュールとを含む極端現象の頻度誤差の推定と制御システムで実行され、前記極端現象の頻度誤差の推定と制御方法は、以下のステップS1~ステップS3を含み、
前記ステップS1では、前記データモデリング及び頻度シフト計算モジュールは、観測データを計算グループと試験グループに分け、計算グループにおける観測データタイプに対して頻度統計モデルを選択して、対応するモデルパラメータαと頻度分布関数h
α
を計算し、所望のデータフィッティング効果を達成し、
頻度分布関数が最大頻度に対応するk個の極端現象の観測データ
TIFF
2025178154000223.tif
8
43
に基づいて得られたフィッティング関数である場合、パラメータαはkに依存し、即ち、h
α
=h
α(k)
であり、
TIFF
2025178154000224.tif
9
154
を、ピーク値頻度シフトs
m,k
を構成する頻度シフトベクトルとし、以下の式1に示され、
TIFF
2025178154000225.tif
9
120
ここで、
TIFF
2025178154000226.tif
7
14
は頻度モデルにおいて設定された経験頻度であり、k+mは計算グループデータ総量n以下であり、
前記ステップS2では、前記頻度シフト汎関数構成モジュールは、選択された頻度分布関数h
α
に基づいて、極大値頻度シフト推定のための頻度シフト汎関数H
+
とH
-
を構成し、信頼性頻度シフトεのレンジ
TIFF
2025178154000227.tif
8
24
において頻度シフトベクトル
TIFF
2025178154000228.tif
8
8
におけるピーク値頻度シフトに関する確率推定式は、以下の式2aに示されるように成立し、
TIFF
2025178154000229.tif
9
134
及び信頼性頻度シフトεのレンジ
TIFF
2025178154000230.tif
7
38
における確率推定式は、以下の式2bに示されるように成立し、
TIFF
2025178154000231.tif
9
138
ここで、P(s
m,k
≧ε)の値は、ピーク値
TIFF
2025178154000232.tif
7
15
に対応する頻度が前記ステップS1で選択されたモデルにより過度に高く推定される可能性を示し、一方、P(-s
m,k
≧ε)の値は、ピーク値
TIFF
2025178154000233.tif
8
15
に対応する頻度が過度に低く推定される可能性を示し、
前記ステップS3では、前記信頼性頻度シフト制御モジュールは、H
+
(h
α
;ε)の設定された確率値p
ε
について、解析又は数値方法により信頼性頻度シフトε値を逆に解き、ここで、確率値p
ε
は許容可能なモデル誤差リスクに基づいて設定される、ことを特徴とする極端現象の頻度誤差の推定と制御方法。
続きを表示(約 6,300 文字)
【請求項2】
前記ステップS1において、前記頻度分布関数h
α
の1種の選択基準は、設定された閾値δ∈(0,1)及び0≦k
0
<k/4に対して、
TIFF
2025178154000234.tif
7
127
とし、頻度分布関数h
α
に対応する
TIFF
2025178154000235.tif
7
8
は以下の式3を満たし、
TIFF
2025178154000236.tif
9
103
ここで、
TIFF
2025178154000237.tif
9
30
は
TIFF
2025178154000238.tif
7
8
において0より大きいt
j,k
の項数を示す、ことを特徴とする請求項1に記載の極端現象の頻度誤差の推定と制御方法。
【請求項3】
前記ステップS2において、極大値頻度シフト推定のための頻度シフト汎関数H
+
とH
-
を設定し、前記極大値頻度シフト推定のための頻度シフト汎関数H
+
とH
-
は、H
+
(h
α
;ε)とH
-
(h
α
;ε)の計算を容易にするとともに、その値がそれぞれP(s
m,k
≧ε)とP(-s
m,k
≧ε)の値を反映可能であり且つそれに近い値であり、確率推定に基づく頻度シフト汎関数の構成は、以下の式4~5に示され、
TIFF
2025178154000239.tif
10
155
TIFF
2025178154000240.tif
10
155
式4~5の各項はそれぞれ以下のように定義され、
観測量の最大可能値q
max
、観測量qが満たす確率分布のフィッティングF、及び確率変数
TIFF
2025178154000241.tif
9
104
及び
TIFF
2025178154000242.tif
9
60
を設定し、さらに設定された推定量スケールr>1及び正整数lに対して、
TIFF
2025178154000243.tif
7
122
をとし、
TIFF
2025178154000244.tif
7
53
はBeta-のxにおける分布する値である場合に、以下の式6a~9に示され、
TIFF
2025178154000245.tif
6
141
TIFF
2025178154000246.tif
6
141
TIFF
2025178154000247.tif
7
117
TIFF
2025178154000248.tif
7
117
TIFF
2025178154000249.tif
20
102
TIFF
2025178154000250.tif
20
102
式(8)において、以下の式10a~10cに示され、
TIFF
2025178154000251.tif
6
141
TIFF
2025178154000252.tif
6
115
TIFF
2025178154000253.tif
6
119
相応的に、式(9)において、以下の式11a~11cに示され、
TIFF
2025178154000254.tif
6
141
TIFF
2025178154000255.tif
6
118
TIFF
2025178154000256.tif
6
123
頻度シフト関数における
TIFF
2025178154000257.tif
6
14
と
TIFF
2025178154000258.tif
8
14
項は、比較的良いフィッティング効果を有する頻度分布関数によって近似的に計算され取得され、一方、
TIFF
2025178154000259.tif
10
10
と
TIFF
2025178154000260.tif
10
10
項は、統計変数
TIFF
2025178154000261.tif
7
30
と
TIFF
2025178154000262.tif
8
30
が[0、1]区間での分布推定をそれぞれ示し、試験グループにおける実測データに対する統計計算によって取得される、ことを特徴とする請求項1に記載の極端現象の頻度誤差の推定と制御方法。
【請求項4】
頻度シフト汎関数の式4~5の推定式である式12a~12bにより、頻度シフト汎関数に対する推定計算量を大幅に削減し、
TIFF
2025178154000263.tif
10
143
TIFF
2025178154000264.tif
8
137
ここで、指数パラメータβ>0と閾値
TIFF
2025178154000265.tif
6
19
は、以下の式13~14bを満たし、
TIFF
2025178154000266.tif
9
108
TIFF
2025178154000267.tif
25
154
TIFF
2025178154000268.tif
17
135
TIFF
2025178154000269.tif
7
22
の場合に、
TIFF
2025178154000270.tif
6
9
と
TIFF
2025178154000271.tif
7
9
は近似計算式により取得され、即ち、以下の式15は計算の簡略化に用いられる、
TIFF
2025178154000272.tif
11
77
ことを特徴とする請求項3に記載の極端現象の頻度誤差の推定と制御方法。
【請求項5】
前記ステップS3において、確率値p
s
を設定することで、信頼性頻度シフトεを逆に解くプロセスは、以下の異なる状況を含み、
以下の式16a又は式16bを満たすように
TIFF
2025178154000273.tif
8
8
又は
TIFF
2025178154000274.tif
7
8
を解析して取得することができる場合に、直接に、
TIFF
2025178154000275.tif
9
14
と
TIFF
2025178154000276.tif
9
14
を計算することで、対応する信頼性頻度シフトεを取得し、
TIFF
2025178154000277.tif
8
81
TIFF
2025178154000278.tif
8
81
頻度シフト汎関数の形式が複雑で
TIFF
2025178154000279.tif
9
8
又は
TIFF
2025178154000280.tif
7
8
を解析して取得することができない場合、
TIFF
2025178154000281.tif
7
25
における異なるε値に対応するH
+
(h
α
;ε)値、又は
TIFF
2025178154000282.tif
8
38
における異なるε値に対応するH
-
(h
α
;ε)値を数値計算し、さらに設定された確率値p
ε
に基づいて、対応するε値を頻度シフトの誤差推定として選択し、
又はμ>0にし、そして、p
ε
とεをベクトルとし、μ→0
+
の場合に以下の式17a~17bが成立するように演算子
TIFF
2025178154000283.tif
9
9
及び
TIFF
2025178154000284.tif
7
9
を構成し、
TIFF
2025178154000285.tif
9
82
TIFF
2025178154000286.tif
8
82
H
+
とH
-
がマトリクス形式として示される場合、その共役転置マトリクスはそれぞれ
TIFF
2025178154000287.tif
7
8
と
TIFF
2025178154000288.tif
6
8
とに構成され、1種の
TIFF
2025178154000289.tif
7
9
の構成方案は以下の式18a~18bに示され、
TIFF
2025178154000290.tif
9
100
TIFF
2025178154000291.tif
9
100
Iは単位マトリクスである、ことを特徴とする請求項1に記載の極端現象の頻度誤差の推定と制御方法。
【請求項6】
頻度シフト汎関数を用いて逆に解くことで取得された信頼性頻度シフトε値を利用して、予め定められた頻度分布関数h
α
を頻度分布関数である以下の式20a~20bに改善し、
TIFF
2025178154000292.tif
8
78
TIFF
2025178154000293.tif
8
78
改善すると、任意の頻度f
*
及び極端現象の観測データq
*
に対して、ピーク値対応頻度が過度に高く推定される場合に、以下の式21aに示され、
TIFF
2025178154000294.tif
9
131
ピーク値対応頻度が過度に低く推定される場合に、以下の式21bに示され、
TIFF
2025178154000295.tif
9
132
即ち、
TIFF
2025178154000296.tif
8
12
と
TIFF
2025178154000297.tif
7
11
はそれぞれ極端現象の推定値と観測データとの誤差を低減し、
TIFF
2025178154000298.tif
5
17
であり、且つ頻度分布関数h
α
が連続な導関数を有する場合に、以下の式22a又は式22bを、過度に高く推定される場合の低頻度データ
TIFF
2025178154000299.tif
7
15
の修正、又は過度に低く推定される場合の低頻度データ
TIFF
2025178154000300.tif
7
15
の修正とし、
TIFF
2025178154000301.tif
8
108
TIFF
2025178154000302.tif
12
147
過度に高く推定される場合の低頻度データ
TIFF
2025178154000303.tif
7
14
の修正は、以下の式23aに示され、
TIFF
2025178154000304.tif
8
108
過度に低く推定される場合の低頻度データ
TIFF
2025178154000305.tif
7
15
の修正は、以下の式23bに示され、
TIFF
2025178154000306.tif
12
147
そして、修正されたデータ
TIFF
2025178154000307.tif
8
14
又は
TIFF
2025178154000308.tif
7
14
を利用して頻度分布曲線を再計算し、より良いフィッティング及び予測効果を達成し、この時、それぞれ以下の近似関係式である式24a又は式24bが低頻度において成立する、
TIFF
2025178154000309.tif
9
161
TIFF
2025178154000310.tif
9
161
ことを特徴とする請求項1に記載の極端現象の頻度誤差の推定と制御方法。
【請求項7】
極端現象の頻度誤差の推定及び制御装置であって、前記極端現象の頻度誤差の推定及び制御装置は、メモリと、前記メモリに結合されるプロセッサとを含み、前記メモリは、プログラムデータを記憶することに用いられ、前記プロセッサは、前記請求項1~6のいずれか一項に記載の極端現象の頻度誤差の推定と制御方法を実行するように、前記プログラムデータを実行することに用いられる
ことを特徴とする極端現象の頻度誤差の推定及び制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、水利工学、大気科学、災害防止・削減、及び応用確率統計の分野に属し、具体的には、極端現象の頻度誤差の推定と制御方法に関する。
続きを表示(約 11,000 文字)
【背景技術】
【0002】
海洋気候の影響を直接受ける沿海地域では、ハリケーンや台風及びそれらによる高潮、豪雨洪水などの極端な海象イベントは多発性の自然イベントである。地球温暖化を背景に、特大海象イベントの発生頻度及び強度は増大していく傾向にある。これらの自然イベントは自然災害をきたすことが多いため、極端な海象イベントに対する正確な予測が特に重要である。例えば、特大豪雨は都市に大量の溜水を発生させ、それによる特大洪水は直接的又は間接的に洪水災害を引き起こす。特に、強力な台風による高潮は、豪雨洪水に伴って甚大な海洋災害を引き起こし、生命安全をひどく脅かし、計り知れない経済的損失をきたしてしまう。現行の特大豪雨、洪水ピークなどの極端現象の頻度を統計するためのモデルには、ピアソン-IIIモデル、対数ピアソンモデル、GEVモデル及びグンベルモデルなどがあり、観測された高頻度データを好適にフィッティングすることができる。しかしながら、これらのモデルは、極端現象の発生頻度や再現期間を正確に予測することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自然環境における様々な要因の影響を受けて、極端現象の発生は高いランダム性を有する。現行の海象の極端現象記述に広く適用される統計モデルは、高頻度観測データを好適にフィッティングすることができるが、極端現象の発生頻度を正確に予測することができず、経験頻度に基づいて得られた極端現象の再現期間が過度に低く推定されるのが一般的である。従来技術方法の欠点に対して、本発明は、極端現象の頻度誤差推定と制御のための技術方法を提案し、該方法は、従来の頻度モデルが特大豪雨、洪水ピーク、潮汐、津波等の自然界における極端現象に対する予測の正確性を向上させるために用いられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、極端現象の統計における頻度予測の誤差を推定して制御し、統計モデルの正確性及び極端現象の予測の信頼性を向上させることに用いられる極端現象の頻度誤差の推定と制御方法を提供する。前記極端現象の頻度誤差の推定と制御方法は、データモデリング及び頻度シフト計算モジュールと、頻度シフト汎関数構成モジュールと、信頼性頻度シフト制御モジュールとを含む極端現象の頻度誤差の推定と制御システムで実行され、前記極端現象の頻度誤差の推定と制御方法は、以下のステップS1~ステップS3を含む。
ステップS1では、前記データモデリング及び頻度シフト計算モジュールは、観測データを計算グループと試験グループに分け、計算グループにおける観測データタイプに対して頻度統計モデルを選択して、対応するモデルパラメータαと頻度分布関数h
α
を計算し、所望のデータフィッティング効果を達成する。頻度分布関数が最大頻度に対応するk個の極端現象の観測データ
TIFF
2025178154000002.tif
8
43
に基づいて得られたフィッティング関数である場合、パラメータαはkに依存し、即ち、h
α
=h
α(k)
である。
TIFF
2025178154000003.tif
9
76
、
TIFF
2025178154000004.tif
9
72
を、ピーク値頻度シフトs
m,k
を構成する頻度シフトベクトルとし、以下の式1に示され、
TIFF
2025178154000005.tif
9
120
ここで、
TIFF
2025178154000006.tif
7
14
は頻度モデルにおいて設定された経験頻度であり、k+mは計算グループデータ総量nを超えない。
ステップS2では、前記頻度シフト汎関数構成モジュールは、選択された頻度分布関数h
α
に基づいて、極大値頻度シフト推定のための頻度シフト汎関数H
+
とH
-
を構成し、信頼性頻度シフトεのレンジ
TIFF
2025178154000007.tif
8
24
において頻度シフトベクトル
TIFF
2025178154000008.tif
8
9
におけるピーク値頻度シフトに関する確率推定式は、以下の式2aに示されるように成立し、
TIFF
2025178154000009.tif
9
134
及び信頼性頻度シフトεのレンジ
TIFF
2025178154000010.tif
8
38
における確率推定式は、以下の式2bに示されるように成立し、
TIFF
2025178154000011.tif
9
138
ここで、P(s
m,k
≧ε)の値は、ピーク値
TIFF
2025178154000012.tif
7
15
に対応する頻度がステップS1で選択されたモデルにより過度に高く推定される可能性を示し、一方、P(-s
m,k
≧ε)の値は、ピーク値
TIFF
2025178154000013.tif
7
15
に対応する頻度が過度に低く推定される可能性を示す。
ステップS3では、前記信頼性頻度シフト制御モジュールは、H
+
(h
α
;ε)の設定された確率値p
ε
について、解析又は数値方法により信頼性頻度シフトε値を逆に解き、ここで、確率値p
ε
は許容可能なモデル誤差リスクに基づいて設定される
【0005】
さらに、ステップS1において、頻度分布関数h
α
の選択基準は、設定された閾値δ∈(0,1)及び0≦k
0
<k/4に対して、
TIFF
2025178154000014.tif
6
126
とし、頻度分布関数h
α
に対応する
TIFF
2025178154000015.tif
7
8
は以下の式3を満たし、
TIFF
2025178154000016.tif
9
103
ここで、
TIFF
2025178154000017.tif
9
30
は
TIFF
2025178154000018.tif
7
8
において0より大きいt
j,k
の項数を示す。δとk
0
の設定により個別のフィッティングが不適切なデータを選択的に無視することができ、δとk
0
の値が小さいほど頻度関数は理想的となる。
特大豪雨、洪水ピーク、潮汐などの極端事象に対応して、ステップS1における観測データは、観測された豪雨強度、洪水ピーク流量、高潮極端水位データなどの水文及び気象業界において一般的に関心のある物理量であってもよい。選択された頻度統計モデルは、海象イベントを記述するピアソン-IIIモデル、対数ピアソンモデル、GEVモデル、Gumbelモデルなどを含むが、これらに限定されない。好ましいパラメータの選択に対して、これらのモデルは高頻度データに対して比較的理想的な全体フィッティング効果を有する。しかし、数十年に一度の極端現象が発生した場合、そのピーク値対応頻度が明らかに過度に高く推定される状況が一般的に存在することが実験で見出される。
【0006】
さらに、ステップS2において、極大値頻度シフト推定のための頻度シフト汎関数H
+
とH
-
を設定し、前記極大値頻度シフト推定のための頻度シフト汎関数H
+
とH
-
は、H
+
(h
α
;ε)とH
-
(h
α
;ε)の計算を容易にするとともに、その値がそれぞれP(s
m,k
≧ε)とP(-s
m,k
≧ε)の値を反映可能であり且つそれに近い値である。確率推定に基づく頻度シフト汎関数H
+
とH
-
の構成は、以下の式4~5に示され、
TIFF
2025178154000019.tif
10
155
TIFF
2025178154000020.tif
10
155
観測量の最大可能値q
max
、観測量qが満たす確率分布のフィッティングF、及び確率変数
TIFF
2025178154000021.tif
9
103
及び
TIFF
2025178154000022.tif
9
61
を設定し、さらに設定された推定量スケールr>1及び正整数lに対して、
TIFF
2025178154000023.tif
7
122
をとし、
TIFF
2025178154000024.tif
7
53
はBeta-のxにおける分布する値である。式4~5における各項は、以下の式6a~9に示され、
TIFF
2025178154000025.tif
6
141
TIFF
2025178154000026.tif
6
141
TIFF
2025178154000027.tif
7
117
TIFF
2025178154000028.tif
7
117
TIFF
2025178154000029.tif
21
102
TIFF
2025178154000030.tif
20
102
式(8)において、以下の式10a~10cに示され、
TIFF
2025178154000031.tif
6
141
TIFF
2025178154000032.tif
6
115
TIFF
2025178154000033.tif
6
119
相応的に、式(9)において、以下の式11a~11cに示され、
TIFF
2025178154000034.tif
6
141
TIFF
2025178154000035.tif
6
119
TIFF
2025178154000036.tif
6
123
確率変数X、Yの確率イベントAとA
1
とA
2
との関係に関するのは図4に示されるように、ハッチングで覆われた全体領域は、イベントAが位置する領域であり、その中では右下のシングルハッチング領域は、イベントA
1
が位置する領域を示し、左上のシングルハッチング領域は、イベントA
2
が位置する領域を示す。確率変数X、Zに対応する確率イベントDとD
1
とD
2
との関係は図5に示されるように、ハッチングで覆われた全体領域は、イベントDが位置する領域であり、その中では右下のシングルハッチング領域は、イベントD
1
が位置する領域を示し、左上のシングルハッチング領域は、イベントD
2
が位置する領域を示す。
頻度シフト関数における
TIFF
2025178154000037.tif
7
14
と
TIFF
2025178154000038.tif
8
14
項は、比較的良いフィッティング効果を有する頻度分布関数によって近似的に計算され取得されることができ、一方、
TIFF
2025178154000039.tif
10
9
と
TIFF
2025178154000040.tif
10
10
項は、統計変数
TIFF
2025178154000041.tif
7
30
と
TIFF
2025178154000042.tif
7
30
が[0、1]区間での分布推定をそれぞれ反映し、試験グループにおける実測データに対する統計計算によって取得されることができる。ここでの統計変数の推定は、モンテカルロ法又はニューラルネットワークの学習機能を組み合わせることで、よりよく実現されることができる。
【0007】
頻度シフト汎関数の式4~5の推定式である式12a~12bにより、頻度シフト汎関数に対する推定計算量を大幅に削減し、
TIFF
2025178154000043.tif
10
143
TIFF
2025178154000044.tif
8
137
ここで、指数パラメータβ>0と閾値
TIFF
2025178154000045.tif
6
19
は、以下の式13~14bを満たし、
TIFF
2025178154000046.tif
9
108
TIFF
2025178154000047.tif
25
154
TIFF
2025178154000048.tif
17
136
TIFF
2025178154000049.tif
7
23
の場合に、
TIFF
2025178154000050.tif
6
9
と
TIFF
2025178154000051.tif
7
9
は近似計算式により取得され、即ち、以下の式15は計算の簡略化に用いられる。
TIFF
2025178154000052.tif
11
77
【0008】
さらに、ステップS3において、確率値p
s
を設定することで、信頼性頻度シフトεを逆に解くプロセスは、以下の式16a又は式16bを満たすように
TIFF
2025178154000053.tif
9
8
又は
TIFF
2025178154000054.tif
7
8
を解析して取得することができる場合に、直接に、
TIFF
2025178154000055.tif
8
14
と
TIFF
2025178154000056.tif
9
14
を計算することで、対応する信頼性頻度シフトεを取得し、
TIFF
2025178154000057.tif
9
81
TIFF
2025178154000058.tif
8
81
設定された確率値p
ε
が大きいほど、頻度シフト誤差が発生する確率が大きく、逆に解くことで取得されたε値が小さいことを示している。頻度シフトが発生する確率は理論上解消不可能だが、極大値頻度シフト推定により取得された確率値p
ε
とε値との対応関係により、頻度シフト誤差を効果的に制御することができる。
頻度シフト汎関数の形式が複雑で
TIFF
2025178154000059.tif
8
8
又は
TIFF
2025178154000060.tif
7
9
を解析して取得することができない場合、
TIFF
2025178154000061.tif
8
25
における異なるε値に対応するH
+
(h
α
;ε)値、又は
TIFF
2025178154000062.tif
7
38
における異なるε値に対応するH
-
(h
α
;ε)値を数値計算し、さらに設定された確率値p
ε
に基づいて、対応するε値を頻度シフトの誤差推定として選択し、
又はμ>0にしてもよく、そして、p
ε
とεをベクトルとし、μ→0
+
の場合に以下の式17a~17bが成立するように演算子
TIFF
2025178154000063.tif
8
9
及び
TIFF
2025178154000064.tif
7
9
を構成し、
TIFF
2025178154000065.tif
9
82
TIFF
2025178154000066.tif
8
82
例えば、H
+
とH
-
がマトリクス形式として示されることができる場合、その共役転置マトリクスはそれぞれ
TIFF
2025178154000067.tif
7
8
と
TIFF
2025178154000068.tif
6
9
とに構成され、
TIFF
2025178154000069.tif
7
9
の構成方案は以下の式18a~18bに示され、
TIFF
2025178154000070.tif
9
100
TIFF
2025178154000071.tif
8
100
ここで、Iは単位マトリクスで、
TIFF
2025178154000072.tif
8
15
と
TIFF
2025178154000073.tif
9
15
はそれぞれ最小化問題である以下の式19a~19bの解に対応し、
TIFF
2025178154000074.tif
10
120
TIFF
2025178154000075.tif
11
120
【0009】
さらに、頻度シフト汎関数を用いて逆に解くことで取得された信頼性頻度シフトε値を利用して、予め定められた頻度分布関数h
α
を頻度分布関数である以下の式20a~20bに改善することができ、
TIFF
2025178154000076.tif
8
78
TIFF
2025178154000077.tif
8
78
そうすると、任意の頻度f
*
及び極端現象の観測データq
*
に対して、ピーク値対応頻度が過度に高く推定される場合に、以下の式21aに示され、
TIFF
2025178154000078.tif
9
132
ピーク値対応頻度が過度に低く推定される場合に、以下の式21bに示され、
TIFF
2025178154000079.tif
9
132
即ち、
TIFF
2025178154000080.tif
8
12
と
TIFF
2025178154000081.tif
7
11
はそれぞれ極端現象の推定値と観測データとの誤差を低減する。
TIFF
2025178154000082.tif
6
17
であり、且つ頻度分布関数h
α
が連続な導関数を有する場合に、以下の式22a又は式22bを、過度に高く推定される場合の低頻度データ
TIFF
2025178154000083.tif
7
15
の修正、又は過度に低く推定される場合の低頻度データ
TIFF
2025178154000084.tif
7
15
の修正としてもよく、
TIFF
2025178154000085.tif
8
108
TIFF
2025178154000086.tif
12
148
過度に高く推定される場合の低頻度データ
TIFF
2025178154000087.tif
8
15
の修正は以下の式23aに示され、
TIFF
2025178154000088.tif
8
109
過度に低く推定される場合の低頻度データ
TIFF
2025178154000089.tif
7
15
の修正は以下の式23bに示され、
TIFF
2025178154000090.tif
12
147
そして、修正されたデータ
TIFF
2025178154000091.tif
8
15
(又は
TIFF
2025178154000092.tif
7
14
)を利用して頻度分布曲線を再計算し、より良いフィッティング及び予測効果を達成し、この時、それぞれ以下の近似関係式である式24a又は式24bが低頻度において成立し、
TIFF
2025178154000093.tif
9
161
TIFF
2025178154000094.tif
9
161
以下、頻度分布関数が良好な滑らかさを有し、3次以上の微分項が無視されてもよい場合を例として説明する。
過度に高く推定される場合に、
TIFF
2025178154000095.tif
8
38
である時に、以下の式25が存在し、
TIFF
2025178154000096.tif
8
151
そして、
TIFF
2025178154000097.tif
8
40
が成立する時に、一般的に、以下の式26aが存在し、
TIFF
2025178154000098.tif
10
161
一方、
TIFF
2025178154000099.tif
8
40
が成立する時に、式22bにより定義された
TIFF
2025178154000100.tif
7
15
に対して、一般的に、以下の式26bが存在し、
TIFF
2025178154000101.tif
9
161
類似的に、過度に低く推定される場合に、
TIFF
2025178154000102.tif
8
38
である時に、式23aにより定義された
TIFF
2025178154000103.tif
7
15
に対して、以下の式27が存在し、
TIFF
2025178154000104.tif
9
151
そして、一般的に、以下の式28aが存在し、
TIFF
2025178154000105.tif
9
161
TIFF
2025178154000106.tif
8
40
が成立する時に、式23bにより定義された
TIFF
2025178154000107.tif
7
15
に対して、一般的に、以下の式28bが存在し、
【発明の効果】
【0010】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
従来の様々な極端現象の統計モデルが一般的に極端現象の再現期間を過度に低く推定するいう問題に対して、本発明は、頻度シフト汎関数に基づいて極端現象の頻度誤差を推定する方法を確立し、特に、確率モデルに基づく頻度シフト汎関数を提案し、一部の海象観測データにより、極端現象の統計モデルにおける頻度予測誤差を推定、制御し、極端現象の予測再現期間を修正し、元の頻度分布関数を改善し、より良い予測機能を有する頻度分布関数を取得することができる。本発明の前記技術方法を利用することにより、特大豪雨、洪水、高潮、津波などの海象の極端現象に対する予報の正確性と信頼性を向上させることで、極端な自然災害によるリスクを低減し、生命と財産損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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