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公開番号2025173646
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-28
出願番号2024079282
出願日2024-05-15
発明の名称量子計算制御プログラム、および量子計算制御方法
出願人富士通株式会社
代理人弁理士法人扶桑国際特許事務所
主分類G06N 10/20 20220101AFI20251120BHJP(計算;計数)
要約【課題】リソース状態の生成効率を向上させる。
【解決手段】コンピュータは、論理量子ビット2の状態を所定の軸周りに回転させるための論理回転角に基づいて、論理量子ビット2を構成する複数の物理量子ビット3のうちのd個の第1の物理量子ビット4に対して実行する所定の軸周りの物理回転角を決定する。そしてコンピュータは、d個の第1の物理量子ビット4それぞれの状態を物理回転角だけ所定の軸周りに回転させる回転ゲート操作の実行を、複数の物理量子ビット3を有する量子コンピュータ1に指示する。この際、コンピュータは、d個の第1の物理量子ビット4のうちのm個をまとめた物理量子ビット群4a,4bに対しては、m個の第1の物理量子ビット4の状態を1回の回転ゲート操作で回転させるm量子ビット回転ゲートの適用を指定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
符号距離d(dは2以上の整数)で符号化された論理量子ビットの状態を所定の軸周りに回転させるための論理回転角に基づいて、前記論理量子ビットを構成する複数の物理量子ビットのうちのd個の第1の物理量子ビットに対して実行する前記所定の軸周りの物理回転角を決定し、
前記d個の前記第1の物理量子ビットのうちのm個(mは2以上かつd以下の整数)をまとめた物理量子ビット群に対しては、前記m個の前記第1の物理量子ビットの状態を1回の回転ゲート操作で回転させるm量子ビット回転ゲートの適用を指定して、前記d個の前記第1の物理量子ビットそれぞれの状態を前記物理回転角だけ前記所定の軸周りに回転させる回転ゲート操作の実行を、前記複数の物理量子ビットを有する量子コンピュータに指示する、
処理をコンピュータに実行させる量子計算制御プログラム。
続きを表示(約 2,900 文字)【請求項2】
前記回転ゲート操作の実行を指示する処理では、複数のCNOTゲートと1つの1量子ビット回転ゲートとによって前記m量子ビット回転ゲートのゲート操作を実現する量子回路を生成し、生成した前記量子回路の実行を前記量子コンピュータに指示する、
請求項1記載の量子計算制御プログラム。
【請求項3】
前記回転ゲート操作の実行を指示する処理では、論理|+>状態の前記論理量子ビットの前記d個の前記第1の物理量子ビットに対する前記回転ゲート操作を前記量子コンピュータに実行させ、
さらに、
前記量子コンピュータから、前記複数の物理量子ビットのエラー検知結果を取得し、
前記複数の物理量子ビットが存在する領域のうちの少なくとも前記d個の前記第1の物理量子ビットを含む事後選択領域内で発生したエラーが検知された場合、前記論理量子ビットを論理|+>状態に戻すゲート操作と、前記回転ゲート操作のやり直しとを前記量子コンピュータに指示し、
前記複数の物理量子ビットが存在する領域のうちの前記事後選択領域以外の誤り訂正領域内で発生したエラーが検知された場合、検知したエラーの訂正を前記量子コンピュータに指示する、
処理をコンピュータに実行させる請求項1記載の量子計算制御プログラム。
【請求項4】
前記複数の物理量子ビットについてエラーが検知されていない場合、前記回転ゲート操作後の前記論理量子ビットの状態を利用したゲートテレポーテーション回路を、前記量子コンピュータに実行させ、
前記誤り訂正領域内で発生したエラーが検知された場合、エラーを訂正後の前記論理量子ビットの状態を利用したゲートテレポーテーション回路を、前記量子コンピュータに実行させる、
請求項3記載の量子計算制御プログラム。
【請求項5】
前記事後選択領域は、前記複数の物理量子ビットのシンドローム測定に用いられる複数の測定量子ビットのうち、前記d個の前記第1の物理量子ビットのエラーを検出可能な第1の測定量子ビットと、前記第1の測定量子ビットへのゲート操作で発生するエラーを検出可能な第2の測定量子ビットとを含む領域であり、
前記誤り訂正領域は、前記複数の測定量子ビットのうちの前記第1の測定量子ビットと前記第2の測定量子ビットとを除いた残りの第3の測定量子ビットを含む領域である、
請求項3記載の量子計算制御プログラム。
【請求項6】
符号化された論理量子ビットの状態を所定の軸周りに回転させるための論理回転角に基づいて、前記論理量子ビットを構成する複数の物理量子ビットのうちの少なくとも一部の第1の物理量子ビットに対して実行する前記所定の軸周りの物理回転角を決定し、
論理|+>状態の前記論理量子ビットの前記第1の物理量子ビットそれぞれの状態を前記物理回転角だけ前記所定の軸周りに回転させる回転ゲート操作の実行を、前記複数の物理量子ビットを有する量子コンピュータに指示し、
前記量子コンピュータから、前記複数の物理量子ビットのエラー検知結果を取得し、
前記複数の物理量子ビットが存在する領域のうちの少なくとも前記第1の物理量子ビットを含む事後選択領域内で発生したエラーが検知された場合、前記論理量子ビットを論理|+>状態に戻すゲート操作と、前記回転ゲート操作のやり直しとを前記量子コンピュータに指示し、
前記複数の物理量子ビットが存在する領域のうちの前記事後選択領域以外の誤り訂正領域内で発生したエラーが検知された場合、検知したエラーの訂正を前記量子コンピュータに指示する、
処理をコンピュータに実行させる量子計算制御プログラム。
【請求項7】
前記複数の物理量子ビットについてエラーが検知されていない場合、前記回転ゲート操作後の前記論理量子ビットの状態を利用したゲートテレポーテーション回路を、前記量子コンピュータに実行させ、
前記誤り訂正領域内で発生したエラーが検知された場合、エラーを訂正後の前記論理量子ビットの状態を利用したゲートテレポーテーション回路を、前記量子コンピュータに実行させる、
請求項6記載の量子計算制御プログラム。
【請求項8】
前記事後選択領域は、前記複数の物理量子ビットのシンドローム測定に用いられる複数の測定量子ビットのうち、前記第1の物理量子ビットのエラーを検出可能な第1の測定量子ビットと、前記第1の測定量子ビットへのゲート操作で発生するエラーを検出可能な第2の測定量子ビットとを含む領域であり、
前記誤り訂正領域は、前記複数の測定量子ビットのうちの前記第1の測定量子ビットと前記第2の測定量子ビットとを除いた残りの第3の測定量子ビットを含む領域である、
請求項6記載の量子計算制御プログラム。
【請求項9】
符号距離d(dは2以上の整数)で符号化された論理量子ビットの状態を所定の軸周りに回転させるための論理回転角に基づいて、前記論理量子ビットを構成する複数の物理量子ビットのうちのd個の第1の物理量子ビットに対して実行する前記所定の軸周りの物理回転角を決定し、
前記d個の前記第1の物理量子ビットのうちのm個(mは2以上かつd以下の整数)をまとめた物理量子ビット群に対しては、前記m個の前記第1の物理量子ビットの状態を1回の回転ゲート操作で回転させるm量子ビット回転ゲートの適用を指定して、前記d個の前記第1の物理量子ビットそれぞれの状態を前記物理回転角だけ前記所定の軸周りに回転させる回転ゲート操作の実行を、前記複数の物理量子ビットを有する量子コンピュータに指示する、
処理をコンピュータが実行する量子計算制御方法。
【請求項10】
符号化された論理量子ビットの状態を所定の軸周りに回転させるための論理回転角に基づいて、前記論理量子ビットを構成する複数の物理量子ビットのうちの少なくとも一部の第1の物理量子ビットに対して実行する前記所定の軸周りの物理回転角を決定し、
論理|+>状態の前記論理量子ビットの前記第1の物理量子ビットそれぞれの状態を前記物理回転角だけ前記所定の軸周りに回転させる回転ゲート操作の実行を、前記複数の物理量子ビットを有する量子コンピュータに指示し、
前記量子コンピュータから、前記複数の物理量子ビットのエラー検知結果を取得し、
前記複数の物理量子ビットが存在する領域のうちの少なくとも前記第1の物理量子ビットを含む事後選択領域内で発生したエラーが検知された場合、前記論理量子ビットを論理|+>状態に戻すゲート操作と、前記回転ゲート操作のやり直しとを前記量子コンピュータに指示し、
前記複数の物理量子ビットが存在する領域のうちの前記事後選択領域以外の誤り訂正領域内で発生したエラーが検知された場合、検知したエラーの訂正を前記量子コンピュータに指示する、
処理をコンピュータが実行する量子計算制御方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、量子計算制御プログラム、および量子計算制御方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
量子コンピュータを用いた計算では、量子ビットに対するゲート操作を行うことで、量子回路に従った量子計算が実行される。量子ビットは、計算に使用する情報の最小単位であり、古典コンピュータのビット(古典ビット)に相当する。ただし、量子ビットは古典ビットと異なり、「0」と「1」との重ね合わせ状態も取り得る。
【0003】
量子ビットの情報は、環境との相互作用やゲート操作の誤差などにより、壊れてしまう(エラーが発生する)ことがある。エラーへの対処としては、量子エラー訂正と量子エラー緩和とがある。
【0004】
量子エラー訂正は、量子ビットを複数組み合わせて符号化(冗長化)することで、エラーの発生の検知および訂正をする処理である。以下、符号化されていない量子ビットを物理量子ビット、符号化された量子ビットの集合を論理量子ビットと呼ぶ。量子エラー緩和は、エラーを含んだまま計算を進め、量子回路の変形や測定結果の外挿などによりエラーの影響を緩和する処理である。
【0005】
論理量子ビットに対して量子エラー訂正を行いながら量子計算を行う量子コンピュータは、誤り耐性付き量子コンピュータ(FTQC:Fault Tolerant Quantum Computer)と呼ばれる。FTQCでは、所定の基本ゲートを組み合わせることであらゆる量子計算が実行できる。所定の基本ゲートとは、Hゲート、CNOTゲート、Sゲート、およびTゲートである。Hゲート、CNOTゲート、SゲートはClifford演算を行う量子ゲートであり、Tゲートはnon-Clifford演算を行う量子ゲートである。これらの基本ゲートの組は、Clifford+Tと呼ばれる。
【0006】
Clifford+Tの基本ゲートのうち、Tゲートは、エラー訂正のために大量の物理量子ビットが用いられる。そのため、有用な計算を実行するためのFTQCには、100万物理量子ビット程度の規模が要求される。
【0007】
エラー訂正に用いる物理量子ビット数を削減する技術として、例えばSTAR(Space-Time efficient Analog Rotation quantum computing)アーキテクチャと呼ばれる高効率位相回転ゲート式量子計算アーキテクチャが提案されている。STARアーキテクチャでは、所定のリソース状態(補助状態とも呼ばれる)とゲートテレポーテーション回路とを用いて、任意回転ゲートが実装される。リソース状態は、冗長化された論理量子ビットで表される。リソース状態を用意する処理は、「state injectionプロトコル」あるいは「state preparationプロトコル」と呼ばれる(以下、「state preparationプロトコル」と呼ぶ)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
Yutaro Akahoshi, Kazunori Maruyama, Hirotaka Oshima, Shintaro Sato, and Keisuke Fujii, "Partially Fault-tolerant Quantum Computing Architecture with Error-corrected Clifford Gates and Space-time Efficient Analog Rotations", arXiv:2303.13181v1, 23 Mar 2023
Hyeongrak Choi, Frederic T. Chong, Dirk Englund, Yongshan Ding, "Fault Tolerant Non-Clifford State Preparation for Arbitrary Rotations", arXiv:2303.17380v1, 30 Mar 2023
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
state preparationプロトコルによるリソース状態の生成では、リソース状態の生成過程で何度かシンドローム測定が行われる。シンドローム測定によってエラーが検知された場合には、リソース状態の生成が最初からやり直しとなる。リソース状態の生成処理のやり直し回数が多くなると、リソース状態の生成効率が悪化する。
【0010】
1つの側面では、本件は、リソース状態の生成効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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