TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025134960
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-17
出願番号2025107991,2021553596
出願日2025-06-26,2020-10-26
発明の名称核酸送達促進剤
出願人国立大学法人高知大学,学校法人東京理科大学
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類A61K 31/7105 20060101AFI20250909BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】膵癌細胞特異的にsiRNA又はshRNAを送達し、膵癌の腫瘍増大、浸潤及び転移を抑制し得る新規な抗腫瘍剤の提供。
【解決手段】本発明は、葉酸-カチオン性オリゴペプチド複合体からなる、siRNA又はshRNAを細胞内に送達するための核酸送達促進剤を提供する。本発明はまた、膵癌細胞で発現するmRNA又はsnoRNAに結合してその発現を阻害し得るsiRNA又はshRNAと、葉酸-カチオン性オリゴペプチド複合体とを含む、抗腫瘍剤を提供する。siRNAは、例えばSNORA18 snoRNA、NUP85 mRNA、WASF2 mRNA、及びSNORA22 snoRNAからなる群より選択されるRNAに結合し得るものである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
膵癌細胞で発現するmRNA又はsnoRNAに結合してその発現を阻害し得るsiRNA又はshRNAと、葉酸-カチオン性オリゴペプチド複合体からなるsiRNA又はshRNAの送達促進剤とを含む抗腫瘍剤であって、該複合体におけるカチオン性オリゴペプチドが、下記式(I)のアミノ酸残基が少なくとも2個連続する部分を含み、下記式(I)のアミノ酸残基の連続する部分以外は連続しない1個の他のアミノ酸残基である、8~40個のアミノ酸からなるカチオン性オリゴペプチド部位を含む、上記抗腫瘍剤。
JPEG
2025134960000023.jpg
30
84
[式(I)において、R

は、基H



-CH

-、又は、式(II)で示される基であり、R

は、R

が基H



-CH

-の場合は、存在しない、若しくは、炭素原子数1~3のアルキレン基であり、R

が式(II)で示される基の場合は炭素原子数1~4のアルキレン基である。一つのカチオン性オリゴペプチドにおいてR

及びR

は全て同一である。]
JPEG
2025134960000024.jpg
16
84
[式(II)中、R

、R

及びR

は、同一又は異なって、水素原子若しくはメチル基である。]
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
葉酸-カチオン性オリゴペプチド複合体からなる、siRNA又はshRNAの送達促進剤であって、カチオン性オリゴペプチドが、下記式(I)のアミノ酸残基が少なくとも2個連続する部分を含み、下記式(I)のアミノ酸残基の連続する部分以外は連続しない1個の他のアミノ酸残基である、8~40個のアミノ酸からなるカチオン性オリゴペプチド部位を含む、上記送達促進剤。
JPEG
2025134960000025.jpg
30
83
[式(I)において、R

は、基H



-CH

-、又は、式(II)で示される基であり、R

は、R

が基H



-CH

-の場合は、存在しない、若しくは、炭素原子数1~3のアルキレン基であり、R

が式(II)で示される基の場合は炭素原子数1~4のアルキレン基である。一つのカチオン性オリゴペプチドにおいてR

及びR

は全て同一である。]
JPEG
2025134960000026.jpg
16
83
[式(II)中、R

、R

及びR

は、同一又は異なって、水素原子若しくはメチル基である。]
【請求項3】
カチオン性オリゴペプチド部位が、8~12個のアミノ酸からなる、請求項2記載の送達促進剤。
【請求項4】
カチオン性オリゴペプチド部位が、L-2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、L-2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、L-オルニチン(Orn)、L-リジン(Lys)、L-2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸(Agp)、L-2-アミノ-4-グアニジノ酪酸(Agb)、又はL-アルギニン(Arg)のホモ多量体である、請求項2又は3記載の送達促進剤。
【請求項5】
カチオン性オリゴペプチドが、下記の構造を有するジアミノ酪酸の8量体を部分構造として有する、請求項2~4いずれか1項記載の送達促進剤。
JPEG
2025134960000027.jpg
43
98
【請求項6】
葉酸が、カチオン性オリゴペプチドのN末端、C末端若しくは側鎖にリンカーを介して又は介さずに連結されている、請求項2~5のいずれか1項記載の送達促進剤。
【請求項7】
葉酸-カチオン性オリゴペプチド複合体が、リンカーを介して連結されており、リンカーがペプチドリンカーである、請求項6記載の送達促進剤。
【請求項8】
ペプチドリンカーが、1~4個のグリシン残基からなるペプチドである、請求項7記載の送達促進剤。
【請求項9】
葉酸-カチオン性オリゴペプチド複合体が、下記の構造を有するFol-Dab8A及び/又はFol-Dab8Bである、請求項5記載の送達促進剤。
JPEG
2025134960000028.jpg
50
161
JPEG
2025134960000029.jpg
59
151
【請求項10】
膵癌細胞で発現するmRNA又はsnoRNAに結合してその発現を阻害し得るsiRNA又はshRNAと、請求項2~9のいずれか1項記載の送達促進剤とを含む、抗腫瘍剤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、siRNA等の核酸分子を細胞内に送達するための核酸送達促進剤に関する。本発明はまた、RNA干渉(RNAi)を利用して疾患の治療等に用いることができる薬剤に関する。特に、本発明は、膵癌に対して抗腫瘍効果を有し、膵癌の腫瘍増大・浸潤・転移を有効に抑制できる核酸製剤及びこれを含有する医薬組成物に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
膵癌は、癌の中で最も予後が悪いと言われている。その原因としては、膵臓が後腹膜臓器であるために早期発見が困難であることに加え、膵癌細胞の運動性が極めて高いため、腹膜浸潤や血管・消化管・神経等に転移をする傾向が強いことがある。
【0003】
本発明者等はこれまで、膵癌の浸潤及び転移のメカニズムを検討する中で、通常は核小体で見出され、インスリン様成長因子IIのmRNAの5’非翻訳領域に結合してインスリン様成長因子IIの翻訳を阻害することが知られているインスリン様成長因子2mRNA結合タンパク質3(Insulin-like Growth Factor 2 mRNA-Binding Protein 3、IGF2BP3)が、膵癌細胞では細胞膜突起中に存在し、このIGF2BP3に様々なmRNAが結合し、細胞膜突起中に集積していることを見出している。そして、これらのmRNAをRNA干渉(RNAi)により阻害することで、膵癌細胞の浸潤及び転移が有効に抑制されることを報告している(特許文献1)。
【0004】
近年新たな治療薬として注目されているRNA干渉(RNAi)を利用した核酸医薬において代表的なものであるsiRNA(small interfering RNA)は、一般的に21~23塩基対からなる低分子二本鎖RNAである。しかしながら、siRNAはその構造からアニオン性が高く、細胞膜透過性が低いために細胞内への送達という点で課題を有するものであった。この課題に対し、本発明者等は先に、siRNA-葉酸-ポリエチレングリコール(PEG)-キトサンオリゴ糖乳酸(COL)ナノ粒子複合体を作製し、このナノ粒子によるsiRNAの細胞への取り込みの促進効果を確認している。そして、膵癌細胞に取り込まれたIGF2BP3結合能を有するmRNAに対するsiRNAが、膵癌の浸潤及び転移を抑制することも報告している(非特許文献1)。
【0005】
一方、本発明者等は、側鎖にアミノ基又はグアニジノ基を有するカチオン性オリゴペプチドが、二重鎖RNAの細胞内への送達に有用であることを見出している(特許文献2、非特許文献2)。また、RNAi分子の送達のために、ビタミンEとカチオン性の糖とを含む複合体の利用についても検討している(非特許文献3及び4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開WO2016/002844号
国際公開WO2014/148620号
【非特許文献】
【0007】
Oncotarget,2019,Vol.10,No.30, pp.2869-2886
Bioorganic & Medicinal Chemistry 21(2013)1717-1723
Bioorganic & Medicinal Chemistry 22(2014)1394-1403
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 25(2015)815-819
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の通り、核酸医薬としてのsiRNA等のRNAi分子の細胞への送達は、核酸医薬の実用性を高めるうえで非常に重要な課題である。単に送達するのみならず、標的となる細胞に特異的に送達されること、細胞内に取り込まれた後の核酸医薬の効果を阻害しないこと等、達すべき課題は数多く残されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題に鑑み検討を重ねた結果、本発明者等は、葉酸とカチオン性オリゴペプチドとの複合体を用いることで、葉酸受容体を有する細胞内にsiRNA及びshRNAを特異的に送達できることを見出した。また、この手法を用いて、膵癌細胞を標的とし、効果的にsiRNA又はshRNAを標的とする膵癌細胞に取り込ませ、特定のRNAの発現をノックダウンすることによって、膵癌に対して腫瘍の増大、浸潤及び転移を抑制し得る新たな治療戦略を見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
1. 葉酸-カチオン性オリゴペプチド複合体からなる、siRNA又はshRNAの送達促進剤であって、カチオン性オリゴペプチドが、下記式(I)のアミノ酸残基が少なくとも2個連続する部分を含み、下記式(I)のアミノ酸残基の連続する部分以外は連続しない1個の他のアミノ酸残基である、8~40個のアミノ酸からなるカチオン性オリゴペプチド部位を含む、上記送達促進剤。
TIFF
2025134960000001.tif
32
70
[式(I)において、R

は、基H



-CH

-、又は、式(II)で示される基であり、R

は、R

が基H



-CH

-の場合は、存在しない、若しくは、炭素原子数1~3のアルキレン基であり、R

が式(II)で示される基の場合は炭素原子数1~4のアルキレン基である。一つのカチオン性オリゴペプチドにおいてR

及びR

は全て同一である。]
TIFF
2025134960000002.tif
20
70
[式(II)中、R

、R

及びR

は、同一又は異なって、水素原子若しくはメチル基である。]
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

個人
短下肢装具
3か月前
個人
白内障治療法
7か月前
個人
洗井間専家。
7か月前
個人
前腕誘導装置
3か月前
個人
排尿補助器具
11日前
個人
嚥下鍛錬装置
3か月前
個人
腰ベルト
1日前
個人
バッグ式オムツ
4か月前
個人
胸骨圧迫補助具
1か月前
個人
汚れ防止シート
26日前
個人
矯正椅子
4か月前
個人
ホバーアイロン
6か月前
個人
アイマスク装置
1か月前
個人
歯の修復用材料
4か月前
個人
ウォート指圧法
9日前
個人
歯の保護用シール
4か月前
個人
車椅子持ち上げ器
7か月前
個人
哺乳瓶冷まし容器
3か月前
三生医薬株式会社
錠剤
7か月前
個人
陣痛緩和具
3か月前
個人
シャンプー
6か月前
個人
湿布連続貼り機。
2か月前
個人
性行為補助具
2か月前
個人
エア誘導コルセット
1か月前
株式会社八光
剥離吸引管
4か月前
個人
治療用酸化防御装置
1か月前
個人
服薬支援装置
7か月前
株式会社大野
骨壷
3か月前
株式会社コーセー
化粧料
8日前
個人
精力増強キット
1か月前
個人
高気圧環境装置
4か月前
個人
手指運動ツール
2か月前
株式会社ニデック
眼科装置
1か月前
株式会社ニデック
眼科装置
1か月前
株式会社ダリヤ
毛髪化粧料
1か月前
個人
シリンダ式歩行補助具
2か月前
続きを見る