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公開番号2025133479
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-11
出願番号2024031456
出願日2024-03-01
発明の名称塩ストレス耐性付与用組成物
出願人キリンホールディングス株式会社
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類A01N 37/46 20060101AFI20250904BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】植物に塩ストレス耐性を付与するための組成物、塩ストレス耐性を有する植
物体を生産する方法、および植物体に塩ストレス耐性を付与する方法の提供。
【解決手段】N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくはその溶媒和物を有効成分と
して含む、植物の塩ストレス耐性を付与するための組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくはその溶媒和物を有効成分として含む、植物の塩ストレス耐性を付与するための組成物。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
塩ストレス耐性が、塩ストレスに曝されている条件下で奏されるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくは溶媒和物を有効成分として含む、植物のナトリウムイオンの排出、クロロフィル量の増加、または側根形成もしくは伸長、または地上部の生重量の増加を促進するための組成物。
【請求項4】
ナトリウムイオンの排出、クロロフィル量の増加、または側根形成もしくは伸長、または地上部の生重量の増加の促進が、塩ストレスに曝されている条件下で維持または促進されるものである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくはその溶媒和物を有効成分として含む、SOS1遺伝子、SOS2遺伝子またはSOS3遺伝子の発現を促進するための組成物。
【請求項6】
植物が、N-アセチルグルタミン酸遺伝子および該遺伝子の発現を誘導する遺伝子の遺伝子組換え植物ではない、請求項1~5いずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
植物が、双子葉植物または単子葉植物である、請求項1~5いずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくは溶媒和物を植物に適用することを含む、塩ストレス耐性を有する植物を生産する方法。
【請求項9】
塩ストレス耐性が、塩ストレスに曝されている条件下で奏されるものである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくは溶媒和物を適用する植物が、N-アセチルグルタミン酸遺伝子および該遺伝子の発現を誘導する遺伝子組換え植物ではない、請求項8または9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、植物に塩ストレス耐性を付与する技術に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
気候変動の深刻化は植物に環境ストレスとして作用し、正常な成長や発生を阻害することで収量低下や品質劣化を引き起こす。そのため気候変動が深刻化しても作物を始めとする植物原料を安定的に収穫するためには、環境ストレスを低減できる技術が必要不可欠である。環境ストレスの一種である塩ストレスは植物体の水分損失、細胞の恒常性維持に必要な無機イオンの吸収阻害、葉緑体における電子伝達系の阻害を介した光合成活性の低下など、植物の成長を多面的に阻害する。さらに塩ストレスの原因には海水などの自然要因だけでなく、乾燥や不適切な灌漑が原因による土壌中の塩集積といった人為的要因も存在するため、動くことのできない植物にとって塩ストレスは重篤なストレスとして認識されている。
【0003】
高い塩濃度条件に置かれた植物では体内へのナトリウムイオンの流入が起こり、塩ストレスを緩和するための様々な反応が誘導される(非特許文献1)。細胞内にナトリウムイオンが流入するとカルシウムイオンや活性酸素を介するシグナリング経路が活性化し、ナトリウムイオンを細胞内から細胞外や液胞へ輸送する初期応答が誘導される。その後、ナトリウムイオンの流入が細胞核へ伝達されると、遺伝子発現変化に基づく植物ホルモンの生合成や輸送の変化が起こり、塩ストレスを緩和するための生理応答が起こる。例えば、塩を多量に含む土壌では浸透圧の差により植物体内から水分が流出してしまうが、植物は植物ホルモンの一種であるアブシジン酸の生合成を活性化させて気孔の閉口を促進し、更なる水分流出を防いでいる。
【0004】
植物の塩ストレス耐性を強化する手法としては塩ストレス応答遺伝子を導入した組換え植物を作出する方法が挙げられる。例えば細胞内から細胞外へナトリウムイオンを輸送するトランスポーターSOS1を過剰発現するシロイヌナズナは塩ストレスに対して耐性を示す(非特許文献2)。また、ナトリウムイオンのセンサーキナーゼであるSnRK2を過剰発現するタバコも塩ストレス耐性を獲得することから、組換え植物の作出による塩ストレス耐性の強化は様々な植物種で有効な手法だと考えられる(非特許文献3)。しかし、この手法は植物種ごとに遺伝子組換え体を作出する手間や、そもそもほとんどの植物では遺伝子組み換えが困難なことを考慮すると、汎用性の低さが問題として挙げられてしまう。
【0005】
塩ストレス耐性を強化する化合物としては5-アミノレブリン酸やファルネソール酸メチルが報告されているが(特許文献1および特許文献2)、比較的高価であり、安価な低分子化合物は見出されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第2896963号公報
特許第6917046号公報
【非特許文献】
【0007】
Zelm et al, Annu Rev Plant Biol, Volume 29, Issue 71, Pages 403-433, 2010
Shi et al, Proc Natl Acad Sci U S A, Volume 97, Issue 12, Pages 6896-901, 2000
Feng et al, Front Plant Sci, Volume 9, 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、植物に塩ストレス耐性を付与するための組成物、塩ストレス耐性を有する植物体を生産する方法、および植物体に塩ストレス耐性を付与する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、植物に塩ストレス耐性を付与する方法について鋭意検討を行った。その結果、植物にN-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくは溶媒和物を適用することで植物に塩ストレス耐性を付与し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくはその溶媒和物を有効成分として含む、植物の塩ストレス耐性を付与するための組成物。
[2] 塩ストレス耐性が、塩ストレスに曝されている条件下で奏されるものである、[1]の組成物。
[3] N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくは溶媒和物を有効成分として含む、植物のナトリウムイオンの排出、クロロフィル量の増加、側根形成もしくは伸長、または地上部の生重量の増加を促進するための組成物。
[4] ナトリウムイオンの排出、クロロフィル量の増加、側根形成もしくは伸長、または地上部の生重量の増加の促進が、塩ストレスに曝されている条件下で維持または促進されるものである、[3]の組成物。
[5] N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくはその溶媒和物を有効成分として含む、SOS1遺伝子、SOS2遺伝子またはSOS3遺伝子の発現を促進するための組成物。
[6] 植物が、N-アセチルグルタミン酸遺伝子および該遺伝子の発現を誘導する遺伝子の遺伝子組換え植物ではない、[1]~[5]のいずれかの組成物。
[7] 植物が、双子葉植物または単子葉植物である、[1]~[6]のいずれかの組成物。
[8] N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくは溶媒和物を植物に適用することを含む、塩ストレス耐性を有する植物を生産する方法。
[9] 塩ストレス耐性が、塩ストレスに曝されている条件下で奏されるものである、[8]の方法。
[10] N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくは溶媒和物を植物に適用することを含む、ナトリウムイオンの排出、クロロフィル量の増加、側根形成もしくは伸長、または地上部の生重量の増加が促進された植物を生産する方法。
[11] ナトリウムイオンの排出、クロロフィル量の増加、側根形成もしくは伸長、または地上部の生重量の増加の促進が、塩ストレスに曝されている条件下で維持または亢進したものである、[10]の方法。
[12] N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくは溶媒和物を植物に適用することを含む、SOS1遺伝子、SOS2遺伝子またはSOS3遺伝子の発現が亢進した植物を生産する方法。
[13] N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくは溶媒和物を適用する植物が、N-アセチルグルタミン酸遺伝子および該遺伝子の発現を誘導する遺伝子組換え植物ではない、[8]~[12]のいずれかの方法。
[14] 植物が、双子葉植物または単子葉植物である、[8]~[13]のいずれかの方法。
[15] N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくは溶媒和物を植物に適用することを含む、植物に塩ストレス耐性を付与する方法。
[16] 塩ストレス耐性が、塩ストレスに曝されている条件下で奏されるものである、[15]の方法。
[17] N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくは溶媒和物を植物に適用することを含む、ナトリウムイオンの排出、クロロフィル量の増加、側根形成もしくは伸長、または地上部の生重量の増加を促進する方法。
[18] ナトリウムイオンの排出、クロロフィル量の増加、側根形成もしくは伸長、または地上部の生重量の増加の促進が、塩ストレスに曝されている条件下で維持または亢進したものである、[17]の方法。
[19] N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくは溶媒和物を植物に適用することを含む、植物のSOS1遺伝子、SOS2遺伝子またはSOS3遺伝子の発現を促進する方法。
[20] N-アセチルグルタミン酸またはその塩もしくは溶媒和物を適用する植物が、N-アセチルグルタミン酸遺伝子および該遺伝子の発現を誘導する遺伝子の遺伝子組換え植物ではない、[15]~[19]のいずれかの方法。
[21] 植物が、双子葉植物または単子葉植物である、[15]~[20]のいずれかの方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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