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公開番号2025110649
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-29
出願番号2024004597
出願日2024-01-16
発明の名称制御システムおよび制御方法
出願人アズビル株式会社
代理人個人
主分類G05B 13/02 20060101AFI20250722BHJP(制御;調整)
要約【課題】強非線形特性の制御対象に対して良好な制御特性を得る。
【解決手段】産業用PC1は、記憶部11に記憶されたデータセットのそれぞれについて、不足しているデータセットとの制御量変化の一致度を算出する制御量一致度算出部13と、不足しているデータセットと制御量変化が近い上位のデータセットを選択するデータセット選択部14と、選択されたデータセットの制御量の時刻毎の変化量を伸縮させて暫定制御量の時系列データを生成し、選択されたデータセットの操作量の時刻毎の変化量を伸縮させて暫定操作量の時系列データを生成するデータ伸縮処理部15と、暫定操作量の時系列データの大きさを修正する操作量位置修正部16と、暫定制御量の時系列データと暫定操作量の時系列データとのデータセットを記憶部11に保存するデータセット生成部17を備える。
【選択図】 図3
特許請求の範囲【請求項1】
制御量の時系列データと操作量の時系列データとのデータセットを記憶するように構成された第1の記憶部と、
PIDコントローラで必要とされるデータセットのうち、前記第1の記憶部に記憶されていない不足しているデータセットを特定するための制御量変化の情報を取得するように構成されたデータ生成情報取得部と、
前記第1の記憶部に記憶されたデータセットのそれぞれについて、前記不足しているデータセットとの制御量変化の一致度を、前記データ生成情報取得部が取得した情報に基づいて算出するように構成された制御量一致度算出部と、
前記一致度に基づいて、前記第1の記憶部に記憶されたデータセットのうち、前記不足しているデータセットと制御量変化が近い上位のデータセットを、最上位のものから順に規定の個数だけ選択するように構成されたデータセット選択部と、
前記選択されたデータセットの初期操作量と最終制御量との差に対する、前記不足しているデータセットの初期制御量と最終制御量との差の第1の比率に基づいて、前記選択されたデータセットの制御量の時刻毎の変化量を伸縮させて暫定制御量の時系列データを生成すると共に、前記選択されたデータセットの操作量の時刻毎の変化量を伸縮させて暫定操作量の時系列データを生成するように構成されたデータ伸縮処理部と、
前記選択されたデータセットの初期制御量に対する、前記不足しているデータセットの初期制御量の第2の比率に基づいて、前記暫定操作量の初期操作量の大きさを修正することにより、前記暫定操作量の時系列データの大きさを修正するように構成された操作量位置修正部と、
前記データ伸縮処理部によって生成された暫定制御量の時系列データと前記操作量位置修正部によって修正された暫定操作量の時系列データとのデータセットを、前記不足しているデータセットの補充用として前記第1の記憶部に保存するように構成されたデータセット生成部と、
前記データセット生成部によるデータセットの保存後に、前記第1の記憶部に記憶されたデータセットを前記PIDコントローラに送信するか、または前記第1の記憶部に記憶されたデータセットから生成したデータを前記PIDコントローラに送信するように構成された送信部とを備えることを特徴とする制御システム。
続きを表示(約 4,300 文字)【請求項2】
請求項1記載の制御システムにおいて、
前記データセット生成部は、前記選択されたデータセットの規定の個数が複数個の場合に、前記データ伸縮処理部によって生成された暫定制御量の複数個の時系列データを統合したものと前記操作量位置修正部によって修正された暫定操作量の複数個の時系列データを統合したものとのデータセットを、前記不足しているデータセットの補充用として前記第1の記憶部に保存することを特徴とする制御システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の制御システムにおいて、
前記データ伸縮処理部は、前記選択されたデータセットの制御量の時刻毎の変化量を前記第1の比率倍した値を、前記不足しているデータセットの初期制御量に累積加算することを算出対象の時刻まで行った結果を、算出対象の時刻における伸縮処理後の暫定制御量とすると共に、前記選択されたデータセットの操作量の時刻毎の変化量を前記第1の比率倍した値を、前記選択されたデータセットの初期操作量に累積加算することを算出対象の時刻まで行った結果を、算出対象の時刻における伸縮処理後の暫定操作量とし、
前記操作量位置修正部は、前記データ伸縮処理部によって得られた暫定操作量の時系列データの初期操作量を前記第2の比率倍することにより、前記暫定操作量の時系列データの大きさを修正することを特徴とする制御システム。
【請求項4】
請求項1記載の制御システムにおいて、
理想的な制御応答に相当する前記制御量の時系列データと前記操作量の時系列データとのデータセットを複数組生成するように構成された理想応答生成部をさらに備え、
前記第1の記憶部は、前記理想応答生成部によって生成されたデータセットを記憶することを特徴とする制御システム。
【請求項5】
請求項1記載の制御システムにおいて、
前記送信部は、規定のタイミングになったときに、前記第1の記憶部に記憶された時系列データから制御周期毎の制御量のデータを順次取り出して前記PIDコントローラに順次送信すると同時に、前記第1の記憶部に記憶された時系列データから制御周期毎の操作量のデータを順次取り出して、取り出したデータから算出した操作量変化幅のデータを前記PIDコントローラに順次送信し、
前記PIDコントローラは、
前記送信部から送信された制御量を参照設定値の新たな値として受信すると共に、前記送信部から送信された操作量変化幅をフィードフォワード制御操作量の変化幅の新たな値として受信するように構成された受信部と、
制御量の計測値を取得するように構成された制御量取得部と、
1制御周期前の第1の操作量に、前記受信部が受信した前記フィードフォワード制御操作量の変化幅を加算した値を第2の操作量として算出するように構成されたフィードフォワード加算部と、
前記参照設定値と前記制御量の計測値とを入力として、速度型PID演算を行ってフィードバック制御操作量の変化幅を算出し、前記第2の操作量に前記フィードバック制御操作量の変化幅を加算した値を前記第1の操作量の新たな値として算出するように構成されたフィードバック加算部と、
前記フィードバック加算部によって算出された前記第1の操作量を制御対象に出力するように構成された操作量出力部とを備えることを特徴とする制御システム。
【請求項6】
請求項1記載の制御システムにおいて、
前記送信部は、前記第1の記憶部に記憶された前記制御量の時系列データと前記操作量の時系列データとを前記PIDコントローラに送信し、
前記PIDコントローラは、
前記送信部から送信された前記制御量の時系列データと前記操作量の時系列データとを受信するように構成された受信部と、
前記受信部が受信した前記制御量の時系列データと前記操作量の時系列データとを記憶するように構成された第2の記憶部と、
外部から制御動作の開始を指示する開始信号を受信するように構成された開始信号入力部と、
前記開始信号入力部が前記開始信号を受信し、制御動作が開始されたときに、前記第2の記憶部に記憶された時系列データから制御周期毎の制御量のデータを、参照設定値の新たな値として制御周期毎に順次読み出すと同時に、前記第2の記憶部に記憶された時系列データから制御周期毎の操作量のデータを、フィードフォワード制御操作量の新たな値として制御周期毎に順次読み出すように構成された読出部と、
制御量の計測値を取得するように構成された制御量取得部と、
前記参照設定値と前記制御量の計測値とを入力として、PID演算を行って第1の操作量を算出するように構成されたフィードバック演算部と、
前記フィードフォワード制御操作量を前記第1の操作量に加算して第2の操作量を算出するように構成されたフィードフォワード加算部と、
前記フィードフォワード加算部によって算出された前記第2の操作量を制御対象に出力するように構成された操作量出力部とを備えることを特徴とする制御システム。
【請求項7】
請求項1記載の制御システムにおいて、
前記第1の記憶部に記憶された前記操作量の時系列データを2階微分が連続になる関数によって近似するように構成された関数式近似置換部をさらに備え、
前記送信部は、規定のタイミングになったときに、前記第1の記憶部に記憶された時系列データから制御周期毎の制御量のデータを順次取り出して前記PIDコントローラに順次送信すると共に、前記関数式近似置換部が求めた近似式のパラメータ値を前記PIDコントローラに送信し、
前記PIDコントローラは、
前記送信部から送信された制御量を参照設定値の新たな値として受信すると共に、前記送信部から送信された近似式のパラメータ値を、フィードフォワード制御操作量の近似式のパラメータ値として受信するように構成された受信部と、
制御量の計測値を取得するように構成された制御量取得部と、
前記参照設定値と前記制御量の計測値とを入力として、PID演算を行って第1の操作量を算出するように構成されたフィードバック演算部と、
前記受信部が受信したパラメータ値に基づいてフィードフォワード制御操作量を算出し、このフィードフォワード制御操作量を前記第1の操作量に加算して第2の操作量を算出するように構成されたフィードフォワード加算部と、
前記フィードフォワード加算部によって算出された前記第2の操作量を制御対象に出力するように構成された操作量出力部とを備えることを特徴とする制御システム。
【請求項8】
制御量の時系列データと操作量の時系列データとのデータセットを記憶する記憶部を参照し、PIDコントローラで必要とされるデータセットのうち、前記記憶部に記憶されていない不足しているデータセットを特定するための制御量変化の情報を取得する第1のステップと、
前記記憶部に記憶されたデータセットのそれぞれについて、前記不足しているデータセットとの制御量変化の一致度を、前記第1のステップで取得した情報に基づいて算出する第2のステップと、
前記一致度に基づいて、前記記憶部に記憶されたデータセットのうち、前記不足しているデータセットと制御量変化が近い上位のデータセットを、最上位のものから順に規定の個数だけ選択する第3のステップと、
前記選択されたデータセットの初期操作量と最終制御量との差に対する、前記不足しているデータセットの初期制御量と最終制御量との差の第1の比率に基づいて、前記選択されたデータセットの制御量の時刻毎の変化量を伸縮させて暫定制御量の時系列データを生成すると共に、前記選択されたデータセットの操作量の時刻毎の変化量を伸縮させて暫定操作量の時系列データを生成する第4のステップと、
前記選択されたデータセットの初期制御量に対する、前記不足しているデータセットの初期制御量の第2の比率に基づいて、前記暫定操作量の初期操作量の大きさを修正することにより、前記暫定操作量の時系列データの大きさを修正する第5のステップと、
前記第4のステップで生成した暫定制御量の時系列データと前記第5のステップで修正した暫定操作量の時系列データとのデータセットを、前記不足しているデータセットの補充用として前記記憶部に保存する第6のステップと、
前記第6のステップによるデータセットの保存後に、前記記憶部に記憶されたデータセットを前記PIDコントローラに送信するか、または前記記憶部に記憶されたデータセットから生成したデータを前記PIDコントローラに送信する第7のステップとを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
請求項8記載の制御方法において、
前記第6のステップは、前記選択されたデータセットの規定の個数が複数個の場合に、前記第4のステップで生成した暫定制御量の複数個の時系列データを統合したものと前記第5のステップで修正した暫定操作量の複数個の時系列データを統合したものとのデータセットを、前記不足しているデータセットの補充用として前記記憶部に保存するステップを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
請求項8または9記載の制御方法において、
前記第4のステップは、前記選択されたデータセットの制御量の時刻毎の変化量を前記第1の比率倍した値を、前記不足しているデータセットの初期制御量に累積加算することを算出対象の時刻まで行った結果を、算出対象の時刻における伸縮処理後の暫定制御量とすると共に、前記選択されたデータセットの操作量の時刻毎の変化量を前記第1の比率倍した値を、前記選択されたデータセットの初期操作量に累積加算することを算出対象の時刻まで行った結果を、算出対象の時刻における伸縮処理後の暫定操作量とするステップを含み、
前記第5のステップは、前記第4のステップによって得られた暫定操作量の時系列データの初期操作量を前記第2の比率倍することにより、前記暫定操作量の時系列データの大きさを修正するステップを含むことを特徴とする制御方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、制御量の時系列データと操作量の時系列データのライブラリーを使用して制御を行う制御システムおよび制御方法に関するものである。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
PID制御について、設定値SPを変更した際の制御性能を好適に維持するためのPIDパラメータの自動調整技術が開示されている(特許文献1参照)。このPIDパラメータ調整技術は、温度制御を行なうためのPIDコントローラである温調計に適用可能である。また、制御量PVの目標軌道に追従するように、PIDパラメータを探索する方法であり、理論上は線形特性の制御対象を想定した方法である。
【0003】
線形特性とは、図18に示すようにグラフの横軸に理論上の操作量MVの出力値0%~100%を取り、縦軸に実際の制御対象への出力作用0%~100%を取ったときに、理論上の操作量MVと実際の制御対象への出力作用との関係が直線になるような特性のことを言う。ただし、例えば図19に示すような若干の非線形特性(弱非線形特性)は、PID制御の許容範囲として、特許文献1に開示された技術を適用できる。
【0004】
特許文献1に開示された手法では、理論と実際の関係が例えば図20に示すような強非線形特性の制御対象に対しては、PID制御の良好な性能を維持できない。このような強非線形特性は、特殊な電気ヒータを使用する温度制御系、あるいはバルブで流体を制御する流量制御系や圧力制御系に現れる。
【0005】
そこで図21~図23に、操作量MV(ヒータ出力)が0%で、制御量PV(温度)が50℃で整定している状態から、異なる目標温度(設定値SP)にPID制御で昇温したときのシミュレーション結果を示す。これらのシミュレーションでは、図21に示す50℃から150℃へ昇温する場合において、制御量PVが目標温度に追従するようにPIDパラメータが調整されている。
【0006】
ここで、図22に示すように50℃から250℃へ昇温する場合に、図21の場合と同じPIDパラメータであれば、制御量PVに上下動が発生してしまう。同様に、図23に示すように50℃から350℃へ昇温する場合に、図21の場合と同じPIDパラメータであれば、制御量PVにさらに大きな上下動が発生してしまう。制御量PVに上下動が発生する理由は、図24に示すように、図21~図23の各目標温度に維持するための操作量MV(図21の場合で約70%、図22の場合で約80%,図23の場合で約90%)の理論と実際の傾きが異なることが原因であり、傾きが大きいほど上下動が発生し易くなる。
【0007】
以上のように、例えば強非線形特性の制御対象に対して、PID制御では良好な制御特性を得ることは難しい。一方で、PID制御ループは安定・安全な制御動作の継続を目的として、PID演算専用のPIDコントローラ(温調計など)で実行することが、産業界の、特に製造装置内における標準的な計装コンセプトでもある。すなわち、PIDコントローラが活用されるべき理由を維持しながら、PID制御の限界を超えなければならないということであり、改善が求められている。
【0008】
そこで、発明者は、試行錯誤で得られた理想的な過渡応答結果を再現させる制御を提案した(特願2023-144292、特願2023-149006、特願2023-149007)。この制御では、例えば制御量PVの時系列データを参照設定値SP_rとし、操作量MVの時系列データをフィードフォワード制御の操作量MV_fとする。このような制御を行う場合、制御量PVの時系列データと操作量MVの時系列データのデータセットを多数収集することで、強非線形特性を含む多くのケースに対応可能なライブラリーを形成できる。
【0009】
ただし、ライブラリー方式は、好ましくは過度に多様化した昇温動作を対象とせず、数通りの限られた昇温動作が繰り返される対象に適している。多様化の度合が高い場合には、実行しようとする昇温動作と一致するデータセットがないという事態(データセットの不足)も考えられる。データセットを多数収集してライブラリー化することを前提とする場合、データセットが不足していると、実際に制御を実行する際にデータセットの選択が困難になるので、データセットの不足が生じたときの対処を自動化することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特許第4223894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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