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公開番号2025107728
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-22
出願番号2024001100
出願日2024-01-09
発明の名称微細繊維状セルロースの製造方法
出願人王子ホールディングス株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類D21H 11/20 20060101AFI20250714BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】脱水・洗浄工程における品質の変化が抑制された微細繊維状セルロースの製造方法を提供すること。
【解決手段】セルロース繊維に化学変性を行い、化学変性セルロースを得る反応工程と、前記化学変性セルロースの分散液の脱水・洗浄を行う脱水・洗浄工程と、前記化学変性セルロースの分散液濃度を調整する調整工程と、前記化学変性セルロースの分散液に機械的せん断力を加えて解繊する解繊工程とをこの順に含む微細繊維状セルロースの製造方法であって、前記脱水・洗浄工程において、ポンプを使用せずに、化学変性セルロースの分散液の移送を行う、微細繊維状セルロースの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
セルロース繊維に化学変性を行い、化学変性セルロースを得る反応工程と、
前記化学変性セルロースの分散液の脱水・洗浄を行う脱水・洗浄工程と、
前記化学変性セルロースの分散液濃度を調整する調整工程と、
前記化学変性セルロースの分散液に機械的せん断力を加えて解繊する解繊工程と
をこの順に含む微細繊維状セルロースの製造方法であって、
前記脱水・洗浄工程において、ポンプを使用せずに、化学変性セルロースの分散液の移送を行う、
微細繊維状セルロースの製造方法。
続きを表示(約 400 文字)【請求項2】
前記脱水・洗浄工程において、ポンプを使用せずに、重力を利用して化学変性セルロースの分散液の移送を行う、請求項1に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
【請求項3】
前記脱水・洗浄工程において移送する化学変性セルロースの保水能が10g/g以上25g/g以下である、請求項1に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
【請求項4】
前記反応工程が、セルロース繊維にイオン性基を導入する工程である、請求項1に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
【請求項5】
前記イオン性基が、アニオン性基である、請求項4に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
【請求項6】
前記アニオン性基が、リンオキソ酸基、硫黄オキソ酸基およびカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項5に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、微細繊維状セルロースの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
セルロース繊維を繊維幅が1000nm以下まで解繊することで得られる微細繊維状セルロースは、強度、弾性、熱安定性等に優れており、樹脂やゴムの配合用充填剤としての工業的な用途に使用されている。また、微細繊維状セルロースの水分散液は、粘度調整剤、安定化剤等に使用されている。
微細繊維状セルロースは、パルプ繊維を機械的な処理によって解繊することにより得ることができる。その際、パルプ繊維にイオン性基を導入後に解繊することで、機械的な処理に必要なエネルギーを効率的に低下させることができるとされている(特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2008-1728号公報
特開2010-235679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および2に記載されている製造方法を含め、従来、微細繊維状セルロースの製造において、化学変性したセルロースや、微細繊維状セルロースの保水性が変化するなど、予期しない品質の変化が生じる場合があった。
そこで、本発明は、脱水・洗浄工程における品質の変化が抑制された微細繊維状セルロースの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、脱水・洗浄工程において、ポンプを使用せずに化学変性セルロースの分散液の移送を行うことにより、脱水・洗浄工程における品質の変化が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以下の[1]~[6]に関する。
[1]セルロース繊維に化学変性を行い、化学変性セルロースを得る反応工程と、前記化学変性セルロースの分散液の脱水・洗浄を行う脱水・洗浄工程と、前記化学変性セルロースの分散液濃度を調整する調整工程と、前記化学変性セルロースの分散液に機械的せん断力を加えて解繊する解繊工程とをこの順に含む微細繊維状セルロースの製造方法であって、前記脱水・洗浄工程において、ポンプを使用せずに、化学変性セルロースの分散液の移送を行う、微細繊維状セルロースの製造方法。
[2] 前記脱水・洗浄工程において、ポンプを使用せずに、重力を利用して化学変性セルロースの分散液の移送を行う、[1]に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[3] 前記脱水・洗浄工程において移送する化学変性セルロースの保水能が10g/g以上25g/g以下である、[1]または[2]に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[4] 前記反応工程が、セルロース繊維にイオン性基を導入する工程である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[5] 前記イオン性基が、アニオン性基である、[4]に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[6] 前記アニオン性基が、リンオキソ酸基、硫黄オキソ酸基およびカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つである、[5]に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、脱水・洗浄工程における品質の変化が抑制された微細繊維状セルロースの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、リンオキソ酸基を有する繊維状セルロース含有スラリーに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。
図2は、カルボキシ基を有する繊維状セルロース含有スラリーに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[微細繊維状セルロースの製造方法]
本実施形態の微細繊維状セルロースの製造方法は、セルロース繊維に化学変性を行い、化学変性セルロースを得る反応工程と、前記化学変性セルロースの分散液の脱水・洗浄を行う脱水・洗浄工程と、前記化学変性セルロースの分散液濃度を調整する調整工程と、前記化学変性セルロースの分散液に機械的せん断力を加えて解繊する解繊工程とをこの順に含み、前記脱水・洗浄工程において、ポンプを使用せずに化学変性セルロースの分散液の移送を行う。
本発明よれば、脱水・洗浄工程における品質の変化が抑制された微細繊維状セルロースの製造方法が提供される。
従来、反応工程により化学変性された化学変性セルロースの脱水・洗浄を行うために、化学変性セルロースの分散液を貯蔵タンクに移送したり、脱水装置等に移送を行う際、ポンプを使用して化学変性セルロースの分散液の移送が行われてきた。その際、化学変性セルロースの分散液にせん断力等の外力が加わることで、化学変性セルロースが毛羽立ち、保水能が増加し、その結果、ろ水性が低下するなど、予期せざる品質の変化が生じることを見出した。また、その結果、脱水・洗浄工程でのろ過効率が悪化する傾向があり、また、脱水・洗浄工程以降の化学変性セルロースの分散液の移送が困難になるといった問題が発生する場合があった。
本発明では、より早期の工程において、すなわち、解繊工程より前であり、化学変性セルロースの分散液の粘度が比較的低い状態において、ポンプを使用せずに移送を行うことにより、化学変性セルロースの品質の変化が抑制され、脱水・洗浄工程におけるろ過効率に優れた微細繊維状セルロースの製造方法が提供される。
以下、各工程について詳述する。
【0009】
〔反応工程〕
反応工程は、セルロース繊維に化学変性を行い、化学変性セルロースを得る工程である。
本発明において、原料であるセルロース繊維とは、セルロースを主体とした様々な形態の材料をいい、原料であるセルロース繊維としては特に限定されないが、例えば木材パルプ、非木材パルプ、および脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、特に限定されないが、例えば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)およびケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)およびサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、特に限定されないが、例えばコットンリンターおよびコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、竹、およびバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、特に限定されないが、例えば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施態様のパルプ原料は上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
上記原料となるセルロース繊維の中でも、入手のしやすさという観点からは、例えば木材パルプおよび脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、セルロース比率が大きく解繊処理時の微細繊維状セルロースの収率が高い観点や、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる観点から、例えば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプがさらに好ましい。なお、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースを用いると粘度が高くなる傾向がある。
【0010】
本発明において、シート状のセルロース原料を用いる場合、0.5~5cm角程度の大きさに粗砕することが好ましい。前記大きさに粗砕することにより、効率的、かつ均一に次の反応工程おいて、セルロース原料を変性することができる。なお、粗砕する方法は特に限定されるものではないが、一軸回転せん断式粉砕機、二軸回転せん断式粉砕機、多軸スクリュー式粉砕機、シュレッダー、ギロチンカッターなどを使用することができる。これらの中でも一軸回転せん断式粉砕機、シュレッダーを使用することが粗砕の観点から好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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