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公開番号2025102831
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-08
出願番号2025046059,2021536413
出願日2025-03-19,2019-12-09
発明の名称エピトープ結合タンパク質にコンジュゲート化されたサポニン
出願人サプリーム テクノロジーズ,ベー.フェー.,SAPREME TECHNOLOGIES B.V.
代理人弁理士法人栄光事務所
主分類C07K 16/28 20060101AFI20250701BHJP(有機化学)
要約【課題】共有結合的にカップリングされたサポニンを有する第1のタンパク質性分子を提供する。
【解決手段】第1の細胞表面分子の第1のエピトープに結合するための第1の結合部位を含む第1のタンパク質性分子であって、前記第1のタンパク質性分子が、少なくとも1つのリンカーを介して及び/又はオリゴマー若しくはポリマー骨格を介して前記第1のタンパク質性分子のアミノ酸残基に共有結合された或いは直接的に前記第1のタンパク質性分子のアミノ酸残基に共有結合された少なくとも1つのサポニンを提供され、前記第1の結合部位が結合する前記第1の細胞表面分子の前記第1のエピトープがCD71である、第1のタンパク質性分子、を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
第1の細胞表面分子の第1のエピトープに結合するための第1の結合部位を含む第1のタンパク質性分子であって、前記第1のタンパク質性分子が、少なくとも1つのリンカーを介して及び/又はオリゴマー若しくはポリマー骨格を介して前記第1のタンパク質性分子のアミノ酸残基に共有結合された或いは直接的に前記第1のタンパク質性分子のアミノ酸残基に共有結合された少なくとも1つのサポニンを提供され、前記第1の結合部位が結合する前記第1の細胞表面分子の前記第1のエピトープがCD71である、第1のタンパク質性分子。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記第1の結合部位が、免疫グロブリン、又は免疫グロブリンの少なくとも1つの結合ドメイン及び/若しくは免疫グロブリンの少なくとも1つの結合フラグメント、例えば抗体、IgG、Vhhドメイン若しくはVhドメインを含むか若しくはそれからなる分子、Fab、scFv、Fv、dAb、F(ab)

、Fcabフラグメントを含むか又はそれからなり、並びに/或いは、細胞表面分子に結合するための少なくとも1つのリガンドを含むか又はそれからなる、請求項1に記載の第1のタンパク質性分子。
【請求項3】
前記少なくとも1つのサポニンがSO1861である、請求項1又は2に記載の第1のタンパク質性分子。
【請求項4】
前記少なくとも1つのサポニンが、位置C-23にアルデヒド官能基を有する12,13-デヒドロオレアナンの型に属するビスデスモシド型トリテルペンサポニンであり、
前記少なくとも1つのサポニンは、前記第1のタンパク質性分子の前記アミノ酸残基に、前記サポニン上のアルデヒド官能基を介して共有結合的にカップリングされる、請求項1~3のいずれか1項に記載の第1のタンパク質性分子。
【請求項5】
前記少なくとも1つのサポニンの前記位置C-23のアルデヒド官能基が、リンカーN-ε-マレイミドカプロ酸ヒドラジドに共有結合的にカップリングされ、このリンカーが、チオ-エーテル結合を介して、前記第1のタンパク質性分子上のスルフヒドリル基に共有結合的にカップリングされる、請求項4に記載の第1のタンパク質性分子。
【請求項6】
前記少なくとも1つのサポニンが、位置C-23にアルデヒド官能基を有しかつ前記サポニンのC-3ベータ-OH基の炭水化物置換基としてグルクロン酸官能基を含む12,13-デヒドロオレアナンの型に属するビスデスモシド型トリテルペンサポニンであり、
前記少なくとも1つのサポニンは、前記第1のタンパク質性分子の前記アミノ酸残基に、前記サポニンの前記C-3ベータ-OH基の前記炭水化物置換基としての前記グルクロン酸官能基を介して共有結合的にカップリングされる、請求項3又は4に記載の第1のタンパク質性分子。
【請求項7】
前記少なくとも1つのサポニンの前記C-3ベータ-OH基の前記炭水化物置換基としての前記グルクロン酸官能基が、リンカーの1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェートに共有結合的にカップリングされ、このリンカーは、アミド結合を介して、前記第1のタンパク質性分子上のアミン基に共有結合的にカップリングされる、請求項6に記載の第1のタンパク質性分子。
【請求項8】
前記第1のタンパク質性分子が、1つよりも多くのサポニンを含み、前記サポニンは、
直接的に前記第1のタンパク質性分子のアミノ酸残基に共有結合され、並びに/或いは、
少なくとも1つのリンカーを介して及び/又は少なくとも1つの切断可能なリンカーを介して及び/又は少なくとも1つのポリマー若しくはオリゴマー骨格を介して共有結合される、請求項1~7のいずれか1項に記載の第1のタンパク質性分子。
【請求項9】
前記少なくとも1つのリンカーが、非切断可能なリンカー又は切断可能なリンカーである、請求項1~8のいずれか1項に記載の第1のタンパク質性分子。
【請求項10】
前記切断可能なリンカーが、哺乳類細胞のエンドソーム及び/又はリソソームに存在する酸性条件下において、インビボでの切断を受ける、請求項8又は9に記載の第1のタンパク質性分子。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の細胞表面分子の第1のエピトープに結合するための第1の結合部位を含む第1のタンパク質性分子に関し、第1のタンパク質性分子は、少なくとも1つのリンカーを介して及び/又はオリゴマー若しくはポリマー骨格を介して前記第1のタンパク質性分子のアミノ酸残基に共有結合された或いは直接的に前記第1のタンパク質性分子のアミノ酸残基に共有結合された少なくとも1つのサポニンを提供される。本発明は治療薬の組み合わせにもまた関する。治療薬の組み合わせは、本発明の第1のタンパク質性分子を含む第1の医薬組成物、及び第1のタンパク質性分子とは異なる第2のタンパク質性分子を含む第2の医薬組成物を含み、第2のタンパク質性分子は第1の細胞表面分子とは異なる第2の細胞表面分子の第2のエピトープに結合するための第2の結合部位を含み、かつエフェクター部分を含み、第2のエピトープは第1のエピトープとは異なる。さらにその上、本発明は治療薬の組み合わせに関し、治療薬の組み合わせは、(a)本発明に従う第1のタンパク質性分子を含み、かつ第1の細胞表面分子上の第1のエピトープに結合するための第1の結合部位を含む、本発明の第1の医薬組成物;及び(b)第3のタンパク質性分子を含む第3の医薬組成物;を含み、第3のタンパク質性分子は、(a)の細胞表面分子上の第1のエピトープに結合するための第1の結合部位、及びエフェクター部分を含む。第1のタンパク質性分子の第1の結合部位及び第3のタンパク質性分子の第1の結合部位は同じである。かつ、第1のタンパク質性分子が結合し得る第1の細胞表面分子上の第1のエピトープ及び第1の細胞表面分子、並びに第3のタンパク質性分子が結合し得る第1の細胞表面分子上の第1のエピトープ及び第1の細胞表面分子は同じである。本発明のある態様は、本発明の第1のタンパク質性分子及び本発明の第2のタンパク質性分子を含む組成物である。本発明のある態様は、本発明の第1のタンパク質性分子及び本発明の第3のタンパク質性分子を含む組成物に関する。本発明は、好ましくは、ベクター、遺伝子、細胞自殺を誘導するトランスジーン、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO、AON)、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、DNAアプタマー、RNAアプタマー、mRNA、ミニサークルDNA、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロアミダートモルフォリーノオリゴマー(PMO)、ロックド核酸(LNA)、ブリッジ型核酸(BNA)、2’-デオキシ-2’-フルオロアラビノ核酸(FANA)、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-O,4’-アミノエチレンブリッジ型核酸、3’-フルオロヘキシトール核酸(FHNA)、プラスミド、グリコール核酸(GNA)、及びトレオース核酸(TNA)、又はその誘導体の少なくとも1つから選択される、オリゴヌクレオチド、核酸、及びゼノ核酸のいずれか1つ以上と、本発明の第1のタンパク質性分子とを含む組成物にもまた関する。本発明は、本発明の第1のタンパク質性分子及びエフェクター部分を含む抗体-薬物コンジュゲート又はリガンド-薬物コンジュゲートにもまた関する。本発明のある態様は、本発明の組成物又は本発明の抗体-薬物コンジュゲート若しくは本発明のリガンド-薬物コンジュゲートを含み、かつ任意にさらに薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。本発明は、医薬としての使用のための、本発明の治療薬の組み合わせ又は本発明の組成物又は本発明の抗体-薬物コンジュゲート若しくはリガンド-薬物コンジュゲート又は本発明の医薬組成物にもまた関する。
続きを表示(約 5,600 文字)【背景技術】
【0002】
治療的な生物活性を有する分子は、多くの場合に、その必要があるヒト患者の癌などの疾患の処置のための有効な治療薬物としての適用にとって理論上好適である。典型的な例は低分子の生物活性部分である。しかしながら、現行で臨床に用いられている全てではないにしても多くの可能性としての薬物様分子及び治療薬は、過多な短所及び欠点の少なくとも1つを患っている。人体に投与されるときに、治療的に活性な分子は、処置されるべき疾患又は健康問題の基礎となる側面を指向する生物活性に加えて、オフターゲット効果を発揮し得る。かかるオフターゲット効果は望ましくなく、投与された分子の健康又はさらには生命を脅かす副作用の誘導のリスクを持つ。多くの薬物様化合物及び治療薬部分が第III相治験又はさらには第IV相治験(上市後フォローアップ)に失敗することを引き起こすのは、かかる有害事象の生起である。よって、低分子治療薬などの薬物分子を提供する強い要望があり、薬物分子の治療効果は、例えば、特に(1)疾患を駆動する生物学的因子若しくは生物学的プロセスに対して高度に特異的であり、(2)十分に安全であり、(3)十分に有効であり、(4)非有疾患細胞に対するオフターゲット活性なし若しくはほとんどなしに、有疾患細胞を十分に指向し、(5)十分に適時的な作用機序を有し(例えば、投与された薬物分子は、ある種の時間枠内にヒト患者の標的部位に達するべきであり、ある種の時間枠に渡って標的部位に留まるべきである)、及び/又は(6)患者の体内において十分に長く続く治療活性を有するべきである。既に長く続くかつ鋭意の研究にもかかわらず、並びに個々に対処された直面した困難及び欠点のいくつかのエリアにおいてなされた印象的な進歩にもかかわらず、残念ながら、今日まで、ここで上に概説された有益な特徴の多く又はさらに全てを有する「理想的な」治療薬は患者にとって利用可能ではない。
【0003】
化学療法は、癌処置のための最も重要な治療オプションの1つである。しかしながら、それは健康な組織の分裂細胞と比べて癌細胞に対する特異性を有さないので、それはしばしば低い治療ウィンドウと関連する。モノクローナル抗体の本発明は、正常細胞は見逃しながら、癌細胞への細胞毒性薬剤の標的化された送達のためのメカニズムとして、それらの特異的結合特性を活用する可能性を提供した。これは、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を作り出すための、抗体への細胞毒性エフェクター(ペイロード又は弾頭としてもまた公知)の化学的コンジュゲート化によって達成され得る。典型的には、それらの非コンジュゲート化形態において限定された治療指数(毒性なドーズを有効なドーズと比較する比)を有するエムタンシン(DM1)などの非常に強力なペイロードが用いられる。Kadcyclaとしてもまた公知のトラスツズマブへのDM1のコンジュゲート化(アドトラスツズマブエムタンシン)は、サルにおいて、DM1の忍容ドーズを少なくとも2倍向上させる。過去数十年に、治療薬ADCを開発するために膨大な努力及び投資がなされてきた。しかしながら、有望な前臨床データにもかかわらず、ADCを臨床に持ち込むことは難しいままである。臨床使用を認可された最初のADCは、2000年の再発急性骨髄性白血病(AML)のためのゲムツズマブオゾガマイシン(CD33標的化マイロターグ、Pfizer/Wyeth)であった。しかしながら、マイロターグは、その安全性プロファイルを包含するいくつもの懸念を原因として、連邦医薬品局(FDA)の要請で市場から取り下げられた。マイロターグによって処置された患者は、従来の化学療法によって処置された患者よりもしばしば死亡することが見出された。マイロターグは、より低い推奨ドーズ、化学療法との組み合わせで又はそれ自体での異なるスケジュール、及び新たな患者集団でもって2017年に再び上市承認された。今日まで、5つのADCのみが臨床使用を認可されており、一方で、およそ55個のADCの臨床開発が取りやめられている。しかしながら、関心は高いままであり、現在、およそ80個のADCが600近くの治験によって依然として臨床開発中である。
【0004】
通常は患者によって忍容されない毒性のペイロードを用いるポテンシャルにもかかわらず、低い治療指数(毒性のドーズを有効なドーズと比較する比)は、臨床開発における多くのADCの中止を説明する主要な問題である。これは、いくつかのメカニズム、例えば正常細胞に対するオフターゲット毒性、細胞毒性薬剤に対する抵抗性の発生、及び循環中の薬物の尚早な放出によって引き起こされ得る。ADCのFDAによる系統的なレビューは、ほとんどのADCの毒性プロファイルが、用いられる抗体ではなく用いられるペイロードに従ってカテゴリー分けされ得るということを見出しており、毒性がペイロードの尚早な放出によってほとんど決定されるということを示唆する。中止されたおよそ55個のADCのうち、少なくとも23個が不良な治療指数を原因としたということが見積もられる。例えば、かなりのレベルのHER2を発現する肺組織におけるオンターゲット正常組織効果をおそらく原因とする狭い治療指数を原因として、トラスツズマブ・テシリンコンジュゲート(HER-2標的化ADCT-502、ADC therapeutics)の開発は最近中止された。加えて、第3相試験中のいくつかのADCは、欠けているプライマリーエンドポイントを原因として中止された。例えば、新たに診断された神経膠芽細胞腫の患者において試験されたデパツキシズマブマホドチンコンジュゲート(EGFR標的化ABT-414、AbbVie)及び白金抵抗性卵巣癌の患者において試験されたミルベツキシマブソラブタンシンコンジュゲート(葉酸受容体アルファ(FRα)標的化IMGN853、ImmunoGen)の第3相試験は、最近停止され、生残の利益を示さなかった。いくつかのADCの臨床的に用いられるドーズは、その完全な抗癌活性にとって十分ではなくあり得るということに留意することが重要である。例えば、アドトラスツズマブエムタンシンはヒトでは3.6mg/kgのMTDを有する。乳癌の前臨床モデルにおいて、アドトラスツズマブエムタンシンは、3mg/kgの又はそれよりも上のドーズレベルで腫瘍退縮を誘導したが、より強力な有効性が15mg/kgにおいて観察された。これは、臨床投与されるドーズでは、アドトラスツズマブエムタンシンが、その最大の可能性としての抗腫瘍効果を発揮せずにあり得るということを示唆する。
【0005】
ADCは、主に、抗体、ペイロードなどの細胞毒性部分、及びリンカーからなる。既存の問題を克服するための新たなADCの設計及び開発において、いくつかの新規の戦略が提案及び実施されており、ADCのコンポーネントのそれぞれを標的化している。例えば、抗体コンポーネントの満足な抗原性標的の同定及びバリデーションにより、腫瘍においては高い発現レベルを有しかつ正常な組織においては発現を有さないか又はほとんど有さない抗原、循環するADCにとってアクセス可能であるように細胞表面上に存在する抗原、及び結合後の細胞内へのADCの内在化を許す抗原を選択することによる;並びに活性の代替的なメカニズム;ADCの可溶性及び薬物対抗体比(DAR)を向上させ、並びに化学療法薬剤を細胞外に輸送し得るタンパク質により誘導される抵抗性を克服するリンカーを設計並びに最適化する;より多くのペイロードの包含によってDAR比を向上させ、抗体の均質性及び開発可能性を改善するように抗体を選択及び最適化する。ADCのテクノロジー開発に加えて、治療指数を最大化、例えば分割投薬による投薬スケジュールを変化させ;生体内分布研究を行い;バイオマーカーを包含して患者の選択を最適化、応答シグナルを早く捕捉、応答の持続時間及び深さをモニタリング、並びに併用研究に情報提供するための、新たな臨床的及び橋渡し的戦略もまた展開されつつある。
【0006】
臨床的なポテンシャルを有するADCの例は、リンパ系悪性物及び多発性骨髄腫の処置オプションとして評価されているADC、例えばブレンツキシマブベドチン、イノツズマブオゾガマイシン、モキセツモマブパスドトクス、及びポラツズマブベドチンである。(悪性)B細胞上のCD79bに結合するポラツズマブベドチン及びCD22に結合するピナツズマブベドチンが、治験によって試験されている。ADCは、それぞれ、CD20に結合するモノクローナル抗体の同時投与のリツキシマブと組み合わせられ、ペイロードは提供されなかった(非特許文献1)。これらの例などのモノクローナル抗体の組み合わせは、なおさらなるアプローチであり、ADCの前に言及された所望の特徴の多く又はさらには全てを組み合わせる「魔法の弾丸」に到達することを試みる。
【0007】
一方で、過去数十年に、核酸に基づく治療薬が開発中である。治療薬核酸は、遺伝子治療、RNA干渉(RNAi)などのアプローチのための、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO、AON)、及び短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA、並びにDNA及びRNAアプタマーに基づき得る。それらの多くは、DNA又はRNA発現どちらかの阻害による作用の同じ根源的な基礎を共有し、これによって、疾患に関係する異常なタンパク質の発現を防止する。最も多数の治験は遺伝子治療の分野で行われており、世界的にはほぼ2600の進行中又は完了した治験であるが、約4%のみが第3相に入る。これの次に、ASOによる治験である。ADCと類似に、多数の技術が探求されているにもかかわらず、治療薬核酸は、臨床開発中に2つの主要なイシューを共有する;細胞内への送達及びオフターゲット効果である。例えば、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロアミダートモルフォリーノオリゴマー(PMO)、ロックド核酸(LNA)、及びブリッジ型核酸(BNA)などのASOが、標的遺伝子、特に低分子阻害剤又は中和抗体によって標的化することが困難である遺伝子を特異的に阻害するための魅力的な戦略として検討されつつある。現行では、異なるASOの有効性が、多くの神経変性疾患、例えばハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び筋萎縮性側索硬化症において、並びにいくつかの癌ステージにおいてもまた研究されつつある。可能性としての治療薬剤としてのASOの適用は、標的細胞及び組織の細胞質及び/又は核へのそれらの送達のための安全かつ有効な方法を要求する。ASOの臨床的妥当性は実証されているが、インビトロ及びインビボ両方の非効率的な細胞取り込みはASOの有効性を限定し、治療薬開発のバリアであった。細胞取り込みはドーズの<2%であり得、有効かつ持続的な結果にとっては低すぎるASO濃度を活性部位においてもたらす。これは帰結的に投与ドーズの増大を要求し、これはオフターゲット効果を誘導する。最も普通の副作用は、補体カスケードの活性化、凝血カスケードの阻害、及び免疫系のtoll様受容体によって媒介される刺激である。
【0008】
化学療法薬は最も普通には低分子である。しかしながら、それらの有効性は、重度の副次的オフターゲット毒性、並びにそれらの不良な溶解性、急速なクリアランス、及び限定された腫瘍暴露によって妨害される。骨格-低分子薬物コンジュゲート、例えばポリマー-薬物コンジュゲート(PDC)は薬理学的活性を有する高分子構築物であり、これは、担体骨格(例えばポリエチレングリコール(PEG))に結合された低分子薬物の1つ以上の分子を含む。
【0009】
かかるコンジュゲート原理は大いなる注目を引きつけており、数十年に渡って検討中である。前臨床又は臨床開発中の低分子薬物のコンジュゲートの大多数は、腫瘍学的適応症のためである。しかしながら、最新では、癌に関係しない1つの薬物(オピオイドアンタゴニストナロキソンのPEGオリゴマーコンジュゲートMovantik、アストラゼネカ)のみが、非腫瘍学的適応症である慢性疼痛患者におけるオピオイド誘導性の便秘について2014年に認可されている。ヒト対象の処置への薬物-骨格コンジュゲートの橋渡し適用は、これまでほとんど臨床的成功を提供していない。例えば、PK1(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)コポリマードキソルビシン;Pharmaciaによる開発、Pfizer)は、マウスモデルにおいて固形腫瘍及び白血病両方に多大な抗癌活性を示しており、腫瘍学的適応症について臨床的検討中であった。それは人間において非特異的毒性の有意な縮減及び改善された薬物動態を実証したにもかかわらず、抗癌有効性の改善は患者において些細であることが判明し、帰結として、PK1のさらなる開発は中止された。
【0010】
骨格-低分子薬物コンジュゲートの失敗は、少なくとも部分的には、腫瘍部位におけるその不良な蓄積に帰せられる。例えば、ネズミモデルにおいて、PK1は、健康な組織(肝臓、腎臓、肺、脾臓、及び心臓)よりも腫瘍において45~250倍高い蓄積を示したが、腫瘍における蓄積は、治験において患者の小さいサブセットにおいてのみ観察された。
(【0011】以降は省略されています)

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