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公開番号
2025096154
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-06-26
出願番号
2024189697
出願日
2024-10-29
発明の名称
ビスフェノールAの製造方法及び装置
出願人
天津大学
,
Tian Jin University
代理人
個人
主分類
C07C
37/20 20060101AFI20250619BHJP(有機化学)
要約
【課題】 ビスフェノールAの製造方法及び装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 各段の反応系は冷却器と4段の4台の反応器を含み、系のスタートアップ運転前にビスフェノールA合成樹脂触媒を反応器内に充填し、触媒の充填比はセクション1の反応器が1/3、セクション2の反応器が2/3、セクション3の反応器及びセクション4の反応器が1であり、バルブにより3台の反応器の直列運転を制御し、系は触媒寿命が残り1/3になると運転するたびに、触媒が失活した反応器を切り離し、待機反応器に切り替えるよう制御し、3台の反応器の直列運転を維持し、この方法はより大きい空間速度を提供し、外部拡散の影響を排除し、より高い生成物収率を得るのに役立ち、系の試運転期間に触媒の無駄を発生させずに触媒活性を定期的に評価や検査でき、生産の経済的利益を向上させることができる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲
【請求項1】
ビスフェノールAの製造方法であって、二段反応系と段間脱水系とを備え、各段の反応系は冷却器と4段の4台の反応器を含み、系のスタートアップ運転前にビスフェノールA合成樹脂触媒を反応器内に充填し、触媒の充填比はセクション1の反応器が1/3、セクション2の反応器が2/3、セクション3の反応器及びセクション4の反応器が1であり、バルブ制御により前記セクション1の反応器、前記セクション2の反応器及び前記セクション3の反応器を直列運転させ、反応原料は前記セクション1の反応器の入口から仕込み、生成物は前記セクション3の反応器の出口から抜き出され、任意の3台の反応器を制御して直列運転を実現し、他の反応器はプロセス全体の流れに影響を与えることなく独立して運転を停止でき、系の立ち上げ運転前の反応器内触媒の充填比は、それぞれ前記セクション1の反応器が1/3、前記セクション2の反応器が2/3、前記セクション3の反応器が1、前記セクション4の反応器が1であり、立ち上げ運転後、触媒使用サイクルの1/3ごとにバルブ制御により触媒が失活した反応器を切り離し、残りの3台の反応器の直列運転を制御し、連続生産を実現し、
系の運転期間の反応器切り替え方法は、次の通りであり、
1)アセトン、過剰のフェノール及び第1段の反応液循環ストリームを冷却した後、第1段反応系に送り、ビスフェノールAの生成反応を行い、前記ビスフェノールA、未反応フェノール及び副生成物の混合液が得られ、前記第1段反応系から送り出された原料の温度を76℃以下に下がるように循環ストリームとして前記第1段反応系に部分的に戻し、前記送り出された原料及び第2段反応系の循環反応液は、前記段間脱水系に入り、予熱後、真空フラッシュ蒸発・脱水を行い、脱水後の原料が前記第2段反応系に送り込まれ、前記第2段反応系の供給点で補給された新鮮なアセトンと一緒に冷却した後、前記第2段反応系内で反応されてビスフェノールA反応液を得、前記反応液は2つのストリームに分けられ、一方のストリームが前記段間脱水系に再循環され、第2段反応器出口の原料温度を80℃以下に下げるように流量比を調整し、他方のストリームが抜き出されて吸着カラムに送られ、
2)前記セクション1の反応器内の触媒が触媒活性を失った場合、触媒充填比2/3の前記セクション2の反応器内の触媒の寿命は、1/3となり、触媒充填比1の前記セクション3の反応器内の触媒の寿命は2/3になり、この時バルブ制御により触媒が失活した前記セクション1の反応器を切り離し、前記セクション4の反応器とセクション2の、セクション3の反応器の直列運転に切り替え、反応原料は触媒の前記セクション2の反応器から入り、反応生成物は前記セクション4の反応器から抜き出されるように制御し、切り離された前記セクション1の反応器内の失活した触媒を払い出して処理し、充填比1の新しい触媒を満充填し、後で使用するために用意しておき、
3)前記セクション2の反応器内の触媒が触媒活性を失った場合、バルブ制御により触媒が失活した前記セクション2の反応器を切り離れ、前記セクション1の反応器とセクション3の、セクション4の反応器の直列運転に切り替え、切り離された前記セクション2の反応器内の失活した触媒を払い出して処理し、新しい触媒を満充填し、後で使用するために用意しておき、原料は、前記セクション3の反応器の入口から入り、前記セクション1の反応器の出口から抜き出されるように制御し、
4)前記セクション3の反応器内の触媒が触媒活性を失った場合、バルブ制御により触媒が失活した前記セクション3の反応器を切り離し、前記セクション2の反応器とセクション1の、セクション4の反応器の直列運転に切り替え、切り離された前記セクション3の反応器内の失活した触媒を払い出して処理し、新しい触媒を満充填し、後で使用するために用意しておき、原料は、前記セクション4の反応器の入口から入り、前記セクション2の反応器の出口から抜き出されるように制御し、
5)前記セクション4の反応器内の触媒が触媒活性を失った場合、バルブ制御により、触媒が失活した前記セクション4の反応器を切り離し、前記セクション3の反応器とセクション1の、セクション2の反応器の直列運転に切り替え、切り離された前記セクション4の反応器内の失活した触媒を払い出して処理し、新しい触媒を満充填し、後で使用するために用意しておき、原料は、前記セクション1の反応器の入口から入り、前記セクション3の反応器の出口から抜き出されるように制御し、系の運転モードは開始状態に戻る、
ことを特徴とする、ビスフェノールAの製造方法。
続きを表示(約 1,500 文字)
【請求項2】
前記触媒は、ビスフェノールA合成樹脂触媒であり、メルカプト変性強酸性陽イオン交換樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載のビスフェノールAの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のビスフェノールAの製造方法を実施する装置であって、各反応器に原料入口及び生成物出口が設けられ、前記第1段反応系にける各反応器の入口は、第1段冷却器の出口に接続され、各反応器の出口はそれぞれ第1段循環熱除去ポンプの入口及び段間予熱器の入口に接続され、第1段セクション1の反応器の出口は第1段セクション2の反応器の入口に接続され、前記第1段セクション2の反応器の出口は第1段セクション3の反応器の入口に接続され、前記第1段セクション3の反応器の出口は第1段セクション4の反応器の入口に接続され、前記第1段セクション4の反応器の出口は前記第1段セクション1の反応器の入口に接続され、第1段循環ポンプの出口は前記第1段冷却器の入口に接続され、前記段間予熱器の出口はフラッシュ蒸発缶の入口に接続され、前記フラッシュ蒸発缶の気相出口は第1段コンデンサーの入口に接続され、前記第1段コンデンサーの出口はそれぞれ回収系及び第2段コンデンサーの入口に接続され、前記第2段コンデンサーの出口はそれぞれ前記回収系及び真空ユニットに接続され、前記フラッシュ蒸発缶の液相出口はフラッシュ蒸発液体ポンプの入口に接続され、前記フラッシュ蒸発液体ポンプの出口は第2段冷却器の入口に接続され、アセトン原料管路はそれぞれ前記第1段冷却器の入口及び前記第2段冷却器の入口に接続され、フェノール原料管路は前記第1段冷却器の入口に接続され、前記第2段反応系における各反応器の入口は、前記第2段冷却器の出口に接続され、各反応器の出口はそれぞれ前記段間予熱器の入口及び吸着カラムの入口に接続され、第2段セクション1の反応器の出口は第2段セクション2の反応器の入口に接続され、前記第2段セクション2の反応器の出口は第2段セクション3の反応器の入口に接続され、前記第2段セクション3の反応器の出口は、第2段セクション4の反応器の入口に接続され、前記第2段セクション4の反応器の出口は前記第2段セクション1の反応器の入口に接続され、各段の反応系における管路は、バルブにより開閉制御され、任意の3台の反応器を直列に連結でき、前記吸着カラムの出口は、濃縮ビスフェノールA系の流入口管路に接続されることを特徴とする、ビスフェノールAの製造方法を実施する装置。
【請求項4】
前記第1段冷却器の降温側の出口温度は、65~70℃であり、直列第1段反応器の単位床層圧力損失は、15~30kPa/mであり、直列第1段反応器の出口温度は、76℃未満で、第1段循環ポンプの出口温度は72~76℃であることを特徴とする、請求項3に記載のビスフェノールAの製造方法を実施する装置。
【請求項5】
前記第2段冷却器の降温側の出口温度は、65~70℃でえあり、直列第2段反応器の単位床層圧力損失は、7~28kPa/mであり、直列第2段反応器の出口温度は、72~80℃であることを特徴とする、請求項3に記載のビスフェノールAの製造方法を実施する装置。
【請求項6】
前記段間予熱器の昇温側の出口温度は、85~90℃であり、脱水前記フラッシュ蒸発缶の圧力は、3~7kPaAであることを特徴とする、請求項3に記載のビスフェノールAの製造方法を実施する装置。
【請求項7】
前記段間脱水系に入る第2段反応器出口原料流と吸着カラムに送られる第2段反応器出口原料流の流量比は、0.8:1~1:1であることを特徴とする、請求項3に記載のビスフェノールAの製造方法を実施する装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスフェノールAの製造方法及び装置に関し、特に、反応器の直列運転の技術的手段及びスタートアップ前の反応器内触媒の充填比スキームに関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
ビスフェノールAは、適切な温度、圧力、触媒作用下でアセトンと過剰のフェノールを縮合反応させることにより製造され、該反応は発熱反応であり、水が生成され、非特許文献1には、フェノールとアセトンの縮合反応の発熱量が98kcal/kgであり、所定の反応温度を維持するため、反応系の各段に循環熱除去ポンプを設け、過剰のフェノール原料を反応系に戻させ熱の一部を奪うことで、反応を適切な温度で行うよう維持すると言及されている。反応を促進し、触媒に対する水の有害な作用を減らすため、三菱化学株式会社(Chiyoda Corporation:Advanced Process for Production of BPA、CT‐BISA Process、1996)は、反応混合物中の未反応のアセトン、水、フェノールを3つの蒸留塔に送って蒸留分離し、分離して得られたアセトンとフェノールは合成反応器へ再循環されて反応に参加し、水は蒸留塔の塔底部から廃棄物として排出さるが、複数の蒸留塔を使用して反応物を1つずつ分離すると、多くのエネルギー及び経済的損失が発生する。本発明は、第1段反応系で生成した水をフラッシュ蒸発により一度に除去する段間脱水システムを設計し、エネルギー損失を低減しながら生成物の品質を保証する。
【0003】
GE社(Bisphenol A and Alkylated Phenols、PEP Report、No・1921988Dec)は単一の二層固定床縮合反応器を使用して反応を行い、得られたアセトンとフェノールのワンパス転化率が約50%と10%で、フェノールの場合、総BPA収率は91%、単一ユニット反応器の最大処理能力は年間24万トン程度であり、大規模工業生産の発展傾向には対応していない。反応転化率及び選択性をさらに向上するため、本発明は直列に連結した3台の循環固定床反応器を設計し、空間速度及び反応の推進力を増加させてより高い転化率を得る。
【0004】
産業では、ビスフェノールA合成には、触媒を満充填した単一または並列の固定床反応器がよく使用され、ビスフェノールA合成触媒は、主にイオン交換樹脂である。系のスタートアップ時に、生成物の品質が基準を満たしていないことが判明した場合、満充填された触媒をすべて取り外して評価と分析に送る必要があり、これにより人的資源と物的資源の多大な無駄が発生する。特許文献1では、ビスフェノールA合成プロセスにおいて触媒を交換する方法及び装置が開示されている。この方法では、複数の反応器並列方法で複数の並列反応器をそれぞれ凝縮区域及び異性化区域に連結し、縮合反応区域の触媒の品質が要件を満たさない場合、反応器内の触媒を取り出して新しい改質触媒と交換し、異性化区域に切り替えて継続的に使用する。該方法では、系の試運転期間に生成物の品質が不安定な場合に、すべての触媒を交換する必要があるという無駄の問題を解決できず、試運転期間に生成物の品質に問題が生じた場合、並列反応器内に満充填された全ての触媒を交換する必要があり、多大な経済的損失を引き起こす。本発明は、上記問題を防ぐことができ、特に大規模製造装置の場合、経済的損失を避けた方が有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許出願第CN 202111648943.1号公報
【非特許文献】
【0006】
梁恕湘編譯的《ビスフェノールA》
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、連続的かつ安定したビスフェノールAの製造方法及び装置を提供することである。樹脂触媒を用いて反応器を3台直列に連結した反応系を構築する。前記反応系は、より高い反応選択性と転化率を提供できると共に、生産能力の拡大にも役立つ。反応系のプロセス構成及び反応器への樹脂触媒の充填スキームにより、系のスタートアップ期間に製品の品質が基準を満たさなかった場合の触媒無駄の問題を解決するだけでなく、樹脂触媒の部分的失活による生産能力の低下やビスフェノールA選択率の低下の問題も避けることができ、3つの廃棄物の排出を効果的に削減する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の技術的手段は、次の通りである。
【0009】
ビスフェノールAの製造方法であって、二段反応系と段間脱水系とを備え、各段の反応系は冷却器と4つのセクションの4台の反応器を含み、系のスタートアップ運転前にビスフェノールA合成樹脂触媒を反応器内に充填し、触媒の充填比はセクション1の反応器が1/3、セクション2の反応器が2/3、セクション3の反応器及びセクション4の反応器が1であり、バルブ制御によりセクション1の反応器、セクション2の反応器及びセクション3の反応器を直列運転させ、反応原料はセクション1の反応器の入口から仕込み、生成物はセクション3の反応器の出口から抜き出される。
【0010】
前記ビスフェノールAの製造方法において、任意の3台の反応器を制御して直列運転を実現し、他の反応器はプロセス全体の流れに影響を与えることなく独立して運転を停止でき、系の立ち上げ運転前の反応器内触媒の充填比は、それぞれセクション1の反応器が1/3、セクション2の反応器が2/3、セクション3の反応器が1、セクション4の反応器が1であり、立ち上げ運転後、触媒使用サイクルの1/3ごとにバルブ制御により触媒が失活した反応器を切り離し、残りの3台の反応器の直列運転を制御し、連続生産を実現する。
v
(【0011】以降は省略されています)
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