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公開番号2025091573
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-19
出願番号2023206874
出願日2023-12-07
発明の名称粉体塗料及びその製造方法、塗装金属材
出願人JFE建材株式会社
代理人アインゼル・フェリックス=ラインハルト,個人,個人
主分類C08J 3/12 20060101AFI20250612BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】熱可塑性ポリエチレンテレフタレート樹脂と熱硬化性樹脂の両樹脂の優れた特性を十分に兼ね備えた粉体塗料を提供すること。廃ポリエチレンテレフタレート樹脂を有効活用すること。
【解決手段】再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を準備する工程と、液体窒素により冷凍させた再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を粉砕して再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体を得る工程と、熱硬化性樹脂塗料原料を準備する工程と、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体と熱硬化性樹脂塗料原料とを加熱しながら混合して粉体塗料を得る工程と、を有する粉体塗料の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を準備する工程と、
液体窒素により冷凍させた再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を粉砕して再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体を得る工程と、
熱硬化性樹脂塗料原料を準備する工程と、
前記再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体と前記熱硬化性樹脂塗料原料とを加熱しながら混合して粉体塗料を得る工程と、
を有する粉体塗料の製造方法。
続きを表示(約 840 文字)【請求項2】
前記熱硬化性樹脂塗料原料を構成する熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、変性アクリル樹脂、エポキシ樹脂、およびフッ素樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂である、請求項1に記載の粉体塗料の製造方法。
【請求項3】
前記粉体塗料は、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂と熱硬化性樹脂の複合樹脂を含む、請求項1または2に記載の粉体塗料の製造方法。
【請求項4】
前記再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体を得る工程と、前記粉体塗料を得る工程との間に、
メッシュを用いて前記再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体を分級する工程を有する、請求項1または2に記載の粉体塗料の製造方法。
【請求項5】
平均粒径が100μm以下の再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体と、
熱硬化性樹脂塗料と、
を含む粉体塗料。
【請求項6】
前記熱硬化性樹脂塗料を構成する熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、変性アクリル樹脂、エポキシ樹脂、およびフッ素樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂である、請求項5に記載の粉体塗料。
【請求項7】
再生ポリエチレンテレフタレート樹脂と熱硬化性樹脂の複合樹脂を含む、請求項5または6に記載の粉体塗料。
【請求項8】
金属材と、
再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体と熱硬化性樹脂とを含む粉体塗料を含有する塗膜層と
を有する塗装金属材。
【請求項9】
前記熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、変性アクリル樹脂、エポキシ樹脂、およびフッ素樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂である、請求項8に記載の塗装金属材。
【請求項10】
前記再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体の平均粒径は、前記塗膜層の平均膜厚以下である、請求項8または9に記載の塗装金属材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体塗料及びその製造方法、塗装金属材に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
資源の再生利用は、石油製品の高騰や有効利用への注目、廃棄による海洋汚染の観点、カーボンニュートラルの観点からも注目されている。特に、近年はプラスチックの海洋汚染等が世界的に問題視されており、再生プラスチックの利用が注目視されている。使用済みのプラスチックの中でも、ポリエチレンテレフタレート樹脂は大量に発生することから、飲料容器以外での再利用が検討されている。そこで、従来から粉体塗料として、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることが検討されてきた。ポリエチレンテレフタレート樹脂の粉体塗料を用いた塗装法としては、流動浸漬法および静電粉体法が考えられる。ポリエチレンテレフタレート樹脂は融点が250℃と高く熱可塑性樹脂であるため、これらの塗装法の中でも、ポリエチレンテレフタレート樹脂の粉体塗料を浮遊させた流動槽内に加熱した被塗物を入れて塗装する、流動浸漬法による塗装が好ましい。また、静電粉体法により塗装を行った場合、ポリエチレンテレフタレート樹脂の融点との関係上、加熱温度を高くしなくてはならず、改質剤を添加してポリエチレンテレフタレート樹脂の溶融温度を下げる検討が行われている。
【0003】
また、個々の塗装製品によって必要とされる塗膜層の性能が異なるため、塗装製品に応じた塗料設計の必要があった。ポリエチレンテレフタレート樹脂の粉体塗料では、塗装製品に応じた様々な塗装性能の要望に応じることができず、実用化が進まなかった。そこで、ポリエチレンテレフタレート樹脂の粉体塗料に、該ポリエチレンテレフタレート樹脂とは異なる特性を有する熱硬化性樹脂を混合することにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂および熱硬化性樹脂の優れた特性を兼ね備えた粉体塗料の使用が検討されている。特許文献1(特開2000-53892号公報)は、ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット又はポリエチレンテレフタレート樹脂成型品の回収物から得た細片100質量部とポリエステル樹脂又は変性ポリエステル樹脂5~40質量部が溶融混合されて金属密着性を付与された粉体塗料用組成物を開示する。特許文献2(特開平10-287844号公報)は、ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット又はポリエチレンテレフタレート樹脂成型品の回収物から得た細片100質量部と変性ポリエステル樹脂5~40質量部が溶融混合されて粉末化されてなる粉体塗料を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2000-53892号公報
特開平10-287844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来から検討されていた、再生したポリエチレンテレフタレート樹脂粉体および熱硬化性樹脂塗料を含む粉体塗料は、熱硬化性樹脂の粉体塗料と比べて、塗膜層の特性が低下することとなっていた。より具体的には、熱可塑性であるポリエチレンテレフタレート樹脂粉体と熱硬化性樹脂の融点が大きく異なることから同一塗装条件(塗装設備ならびに加熱温度条件)で塗膜層を形成させることが困難であった。熱可塑性であるポリエチレンテレフタレート樹脂の溶融温度を下げるため改質剤の使用の検討も行われたが、改質剤による品質の低下などの問題もあった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、液体窒素により冷凍させた再生ポリエチレンテレフタレート樹脂の粉砕を行うことによって粒径の小さい再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体を作製する。これにより、本発明では、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂の融点以下の焼き付け温度で熱硬化性樹脂塗料原料に再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体を混合しても品質性能を損なうことなく塗膜層を形成することができるものである。すなわち、本発明は、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂と熱硬化性樹脂の両樹脂の優れた特性を十分に兼ね備えた粉体塗料を提供することを目的とする。また、本発明では、廃ポリエチレンテレフタレート樹脂を有効活用することもでき、循環型社会に寄与することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため本発明の各実施態様は、以下の通りである。
[1]再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を準備する工程と、
液体窒素により冷凍させた再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を粉砕して再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体を得る工程と、
熱硬化性樹脂塗料原料を準備する工程と、
前記再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体と前記熱硬化性樹脂塗料原料とを加熱しながら混合して粉体塗料を得る工程と、
を有する粉体塗料の製造方法。
[2]前記熱硬化性樹脂塗料原料を構成する熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、変性アクリル樹脂、エポキシ樹脂、およびフッ素樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂である、上記[1]に記載の粉体塗料の製造方法。
[3]前記粉体塗料は、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂と熱硬化性樹脂の複合樹脂を含む、上記[1]または[2]に記載の粉体塗料の製造方法。
[4]前記再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体を得る工程と、前記粉体塗料を得る工程との間に、
メッシュを用いて前記再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体を分級する工程を有する、上記[1]または[2]に記載の粉体塗料の製造方法。
[5]平均粒径が100μm以下の再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体と、
熱硬化性樹脂塗料と、
を含む粉体塗料。
[6]前記熱硬化性樹脂塗料を構成する熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、変性アクリル樹脂、エポキシ樹脂、およびフッ素樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂である、上記[5]に記載の粉体塗料。
[7]再生ポリエチレンテレフタレート樹脂と熱硬化性樹脂の複合樹脂を含む、上記[5]または[6]に記載の粉体塗料。
[8]金属材と、
再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体と熱硬化性樹脂とを含む粉体塗料を含有する塗膜層と
を有する塗装金属材。
[9]前記熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、変性アクリル樹脂、エポキシ樹脂、およびフッ素樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂である、上記[8]に記載の塗装金属材。
[10]前記再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体の平均粒径は、前記塗膜層の平均膜厚以下である、上記[8]または[9]に記載の塗装金属材。
[11]他の態様では上記[1]~[10]において、「再生ポリエチレンテレフタレート樹脂」の代わりに「再生プラスチック」とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体と熱硬化性樹脂の両樹脂の優れた特性を十分に兼ね備えた粉体塗料を提供することができる。また、廃ポリエチレンテレフタレート樹脂を有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、本発明の粉体塗料の製造方法の一例を表すフローチャートである。
図2は、冷凍粉砕機の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(粉体塗料)
本発明の粉体塗料は、平均粒径が100μm以下の再生ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂粉体と、熱硬化性樹脂塗料とを含む。この再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体は、液体窒素により冷凍させた再生ポリエチレンテレフタレート樹脂の粉砕を行うことにより得られたものである。このため、粉体塗料の塗膜層に要求される目的の性能を損なうことなく、粉体塗料の塗膜層の強度を高くすることができる。本発明の粉体塗料はこのような性質を有する再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体および熱硬化性樹脂が均一に分散したものである。このため、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体および熱硬化性樹脂の両樹脂の優れた特性を十分に兼ね備えることができる。また、冷凍した再生ポリエチレンテレフタレート樹脂の粉砕により得られた再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体は塗膜層の平均膜厚以下の小さい平均粒径を有する。このため、粉体塗料を用いて塗装した後に得られた再生ポリエチレンテレフタレート樹脂粉体を含有する塗膜層は均一かつ平滑な膜厚を有すると共に、膜厚を薄くすることができる。さらに、廃ポリエチレンテレフタレート樹脂を再生ポリエチレンテレフタレート樹脂として有効活用することができるため、循環型社会に寄与することができる。なお、他の態様では、再生プラスチックと、熱硬化性樹脂塗料とを含む粉体塗料とすることもできる。
(【0011】以降は省略されています)

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