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公開番号2025086308
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-06
出願番号2024041835
出願日2024-03-18
発明の名称煤を連続して除去する燃料添加剤と煤を連続除去して燃費を改善する方法
出願人個人
代理人
主分類F01N 3/029 20060101AFI20250530BHJP(機械または機関一般;機関設備一般;蒸気機関)
要約【課題】自動車等のディーゼルエンジンにおいて、燃焼室、排気系統、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)において、触媒の作用により煤を連続酸化してり除去することにより、DPFに堆積する煤の量を低減して燃費を改善するための方法を提供する。
【解決手段】粒径が20nm以下の触媒と、粒径が20nm以下の触媒粒子を互いに結合して集積させる役割を果たす接着剤的な機能を持つ物質を含む溶剤から構成され、接着剤的な機能を持つ溶剤が複雑な結合体として表面積を維持した状態で質量を増加させ、運動エネルギーを増加させることで、反応物を衝突かこれに近い状態で接触させることにより触媒反応を活性化させて煤を連続して除去する機能を有する、エンジンの燃焼室、排気系統及び、DPFにおいて、触媒の作用により煤を連続して除去することが可能な燃料添加剤と、この燃料添加剤を用いた煤を連続除去して燃費を改善する方法。
【選択図】図11
特許請求の範囲【請求項1】
粒径が20nm以下の触媒と、粒径が20nm以下の触媒粒子を互いに結合して集積させる役割を果たす接着剤的な機能を持つ物質を含む溶剤から構成され、接着剤的な機能を持つ溶剤が触媒粒子を数個から数百個、もしくはそれ以上連なったブドウの房状や鎖状と形容される複雑な結合体にして触媒の総表面積を維持した状態で質量を増加させることにより運動エネルギー(慣性力)を増加させて、ディーゼルエンジンの燃焼ガスや排ガス中に煤とともに共存するO2(酸素)及びNO(一酸化窒素)とは異なる動きさせることにより、O2及びNOを衝突かこれに近い状態で接触させ触媒上で酸化して、O2よりも酸化力が大きい二酸化窒素(NO2)を生成するという機能を有する、自動車等のディーゼルエンジンの燃焼室、排気系統、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)において、触媒の作用により煤を連続酸化してり除去することにより、DPFに堆積する煤の量を低減して燃費を改善するための燃料添加剤。
続きを表示(約 2,800 文字)【請求項2】
粒径が20nm以下の触媒と、粒径が20nm以下の触媒粒子を互いに結合して集積させる役割を果たす接着剤的な機能を持つ物質を含む溶剤から構成され、接着剤的な機能を持つ溶剤が触媒粒子を数個から数百個、もしくはそれ以上連なったブドウの房状や鎖状と形容される複雑な結合体にして触媒の総表面積を維持した状態で質量を増加させることにより運動エネルギー(慣性力)を増加させて、ディーゼルエンジンの燃焼ガスや排ガス中に煤とともに共存するO2(酸素)及びNO(一酸化窒素)とは異なる動きさせることにより、O2及びNOを衝突かこれに近い状態で接触させ触媒上で酸化して、O2よりも酸化力が大きい二酸化窒素(NO2)を生成するという機能を有する、自動車等のディーゼルエンジンの燃焼室、排気系統、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)において、触媒の作用により煤を連続酸化してり除去することにより、DPFに堆積する煤の量を低減して燃費を改善するための燃料添加剤を用いることを特徴とする、煤を連続除去して燃費を改善する方法。
【請求項3】
ディーゼルエンジンの排ガス中に煤と共存するO2(酸素)とNO(一酸化窒素)を触媒上で効果的に酸化して、O2より酸化力が強い二酸化窒素(NO2)を連続生成することにより、燃焼室、排気系統において煤を酸化して連続除去するとともに、DPFに捕集された煤を酸化して連続除去することが可能な、請求項1に記載された燃料添加剤。
【請求項4】
ディーゼルエンジンの排ガス中に煤と共存するO2(酸素)とNO(一酸化窒素)を触媒上で効果的に酸化して、O2より酸化力が強い二酸化窒素(NO2)を連続生成することにより、燃焼室、排気系統において煤を酸化して連続除去するとともに、DPFに捕集された煤を酸化して連続除去することが可能な、請求項1に記載された燃料添加剤を用いることを特徴とする、請求項2に記載された、煤を連続除去して燃費を改善する方法。
【請求項5】
粒径が20nm以下の酸化セリウムと、粒径が20nm以下の酸化セリウム粒子を互いに結合して集積させる役割を果たす接着剤的な機能を持つ物質を含む溶剤から構成され、接着剤的な機能を持つ溶剤が酸化セリウム粒子を数個から数百個、もしくはそれ以上連なったブドウの房状や鎖状と形容される複雑な結合体にして運動エネルギー(慣性力)を増加させることにより、燃焼室、排気系統、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)において、O2(酸素)やNO(一酸化窒素)を複雑な形状の結合体となった酸化セリウムに衝突かこれに近い状態で接触させ、NO2を生成する反応を活性化させて煤を連続して除去するという機能を有することを特徴とする、請求項1に記載された、エンジンの燃焼室、排気系統、DPFにおいて、酸化セリウムの作用により煤を連続して除去することが可能な燃料添加剤。
【請求項6】
粒径が20nm以下の酸化セリウムと、粒径が20nm以下の酸化セリウム粒子を互いに結合して集積させる役割を果たす接着剤的な機能を持つ物質を含む溶剤から構成され、接着剤的な機能を持つ溶剤が酸化セリウム粒子を数個から数百個、もしくはそれ以上連なったブドウの房状や鎖状と形容される複雑な結合体にして運動エネルギー(慣性力)を増加させることにより、燃焼室、排気系統、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)において、O2(酸素)やNO(一酸化窒素)を複雑な形状の結合体となった酸化セリウムに衝突かこれに近い状態で接触させ、NO2を生成する反応を活性化させて煤を連続して除去するという機能を有することを特徴とする、エンジンの燃焼室、排気系統、DPFにおいて、酸化セリウムの作用により煤を連続して除去することが可能な燃料添加剤を用いることを特徴とする、請求項2に記載された、煤を連続除去して燃費を改善する方法。
【請求項7】
溶剤に沸点が触媒の活性化温度よりも高い性状の物質を含ませることにより、この成分が触媒の活性化温度以上において、粒径が20nm以下の触媒粒子を互いに結合して集積させる役割を果たす接着剤的な役割を果たし、反応物との触媒反応において、反応物を衝突かこれに近い状態で接触させることにより触媒反応を活性化させて煤を連続して除去することが可能になることを特徴とする、請求項1に記載された、粒径が20nm 以下の触媒とその触媒を溶解する溶剤から構成される、煤を連続して除去する燃料添加剤。
【請求項8】
溶剤に沸点が触媒の活性化温度よりも高い性状の物質を含ませることにより、この成分が触媒の活性化温度以上において、粒径が20nm以下の触媒粒子を互いに結合して集積させる役割を果たす接着剤的な役割を果たし、反応物との触媒反応において、反応物を衝突かこれに近い状態で接触させることにより触媒反応を活性化させて煤を連続して除去することが可能になることを特徴とする、請求項1に記載された、粒径が20nm 以下の触媒とその触媒を溶解する溶剤から構成される、煤を連続して除去する燃料添加剤を用いることを特徴とする、請求項2に記載された、煤を連続除去して燃費を改善する方法。
【請求項9】
溶剤に沸点が酸化セリウムの活性化温度よりも高い性状の物質を含ませることにより、この成分が酸化セリウムの活性化温度以上において、粒径が20nm以下の酸化触媒粒子を互いに結合して集積させる役割を果たす接着剤的な役割を果たし、燃焼室、排気系統、DPFにおけるO2やNOとの反応において、O2やNOを衝突かこれに近い状態で複雑な形状の結合体となった酸化セリウムと接触させることにより反応を活性化させて煤を連続して除去することが可能になることを特徴とする、請求項1に記載された、粒径が20nm以下の酸化セリウムとその触媒を溶解する溶剤から構成される、煤を連続して除去する燃料添加剤。
【請求項10】
溶剤に沸点が酸化セリウムの活性化温度よりも高い性状の物質を含ませることにより、この成分が酸化セリウムの活性化温度以上において、粒径が20nm以下の酸化触媒粒子を互いに結合して集積させる役割を果たす接着剤的な役割を果たし、燃焼室、排気系統、DPFにおけるO2やNOとの反応において、O2やNOを衝突かこれに近い状態で複雑な形状の結合体となった酸化セリウムと接触させることにより反応を活性化させて煤を連続して除去することが可能になることを特徴とする、請求項1に記載された、粒径が20nm以下の酸化セリウムとその触媒を溶解する溶剤から構成される、煤を連続して除去する燃料添加剤を用いることを特徴とする、請求項2に記載された、煤を連続除去して燃費を改善する方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化セリウムに、エンジンの燃焼室において煤の生成を低減する酸素貯蔵作用と、排気管に設置されたDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)に捕集された煤の酸化除去作用という2つの機能を効果的に行わせることにより、ディーゼルエンジンに設置されたDPFを連続して再生するために、燃焼室で生成される煤の生成を低減する酸素吸蔵作用と、DPFに堆積した煤を効果的に酸化除去するのに適した粒径を有する酸化セリウムと、この酸化セリウムを効果的に集積、分散させる機能を有する溶剤から構成されるセリウム系燃料添加剤に関する.
続きを表示(約 6,000 文字)【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの燃焼過程において生成されるPMを連続して低減するためには、主に、次に示すような3つの方法が用いられている。
1.自動車などに設置されているディーゼルエンジンから排出されるPMに対して実施されている、DOC(ディーゼル酸化触媒)とDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)に担持された触媒によりPMを酸化除去する方法
(1)まず、DOCにおいて200~450℃の温度範囲で、排ガス中に含まれるPM成分であるSOF(可溶性有機成分)を酸化除去するとともに、エンジンの燃焼室において生成されたNO(一酸化窒素)を酸化させて、NO2(二酸化窒素)に変化させる。また、燃料の不完全燃焼によって発生するCOを酸化させてCO2に変化させる。次に、DPFにおいて捕集されたPMの成分であるC(炭素、煤)を、DPFに担持されたCeO2(酸化セリウム)、Pt(白金)などの触媒と、排ガス中のO2(酸素)及びNO2の働きにより400℃以下の温度で酸化させる(炭素化合物であるCO2に変化させる)ことにより、これを除去する(以後、これをDPFの再生と記す)。
(2)DOCとDPFから構成されるPM低減装置において、この作用を実現するためには、DOCにおいては約200℃以上、DPFにおいては約300℃以上の温度が必要とされているが、高性能(より低い温度で活性化する)触媒の開発によってこの温度は低下傾向にある。この温度は、定常運転時(通常走行時)においては排ガスの温度が高いため、エンジン本体の排ガスのみにより達成可能であるが、エンジンの起動直後を含む低負荷運転時においては排ガス温度が低いため、DPFの再生に必要な温度を達成することは困難である。
(3)このため、排気系統に設置した燃料噴射装置から燃料を噴射して、この燃料をDOCにおいて酸化させることにより排ガスの温度を上昇させて目的とする温度を得るという方法、エンジンからDOCに至る排気管の途中に電気ヒーターを設置して排ガスの温度を上昇させて目的とする温度を得るという方法、吸気を絞るとともに排気を吸気側に環流する方法などを用いて排ガスの温度を上昇させて目的とする温度を得るという方法などを用いている。
【0003】
2.排気管に燃料を噴射して(ポスト噴射)、高温の燃焼ガスを生成して煤を燃焼する方法
(1)排気管に燃料を噴射して、DPFの直前に設置されたDOC(ディーゼル酸化触媒)の
働きにより排ガス温度を約500℃以上まで上昇させて、DPFに堆積した煤を燃焼させる
ことにより除去する方法である。
(2)この方法は、配管内に煤を酸化除去するために排ガス温度を上昇させるため
の燃料を必要とし(燃費の悪化)、これを実施している間(20~30分)は車両を走行させる
ことはできない(稼働率の悪化)ばかりではなく、高温ガスによりDPFに詰まった煤
が急激に燃焼すると、DPFそのものが燃焼して破損する可能性がある(トラブルの報告あ
り)。
【0004】
3.燃料に添加剤を混合して煤を低減する方法
特許文献1には、セリウム酸化物の酸素を貯蔵し放出するという特性を効果的に活用するために、添加剤として燃料に添加する場合、燃料中の安定な分散を維持するのに十分な程度に小さな大きさの粒子でなければならず、例えばそれらは大きさが1ミクロン未満であり、触媒効果は表面積依存であるので、好ましくは1~300nmの大きさでなければならない。との記載がある。
特許文献2には、燃料に20~30ppmのフェロセンを添加することで、燃焼室中の炭素含有付着物が除去され、運行距離当たりの燃料消費量が5%減少するが、フェロセンは一般に固体状であり、これを溶解させるにはかなりの攪拌力と時間を必要とため、これを改善すべくフェロセン及び、又はフェロセン誘導体とレシチンとを併用することにより、燃焼促進、煤塵減少、NOx低減等の作用が強化されたとの記載がある。
特許文献3には、有機相と、少なくとも1種の両親煤性物質と、小さなサイズの結晶化状態の鉄化合物の粒子を主成分とする固形物を含む分散体を燃料添加剤として使用することにより、煤煙の自己着火温度の低下に寄与するとの記載がある。
特許文献4には、軽油のみを、花崗岩を用いて粉末焼結したセラミックスと、多孔性を有する天然岩石である麦飯石との混合物に60~300分間接触流動循環させ、循環途中に磁力発生装置で100~5,000ガウスの磁界をかけることで製造された燃焼促進剤を、軽油燃料1リットル当たり0.5mL~2mL添加することにより、SO2濃度、NOx濃度が減少するとともに、PMも削減されるとの記載がある。
しかし、これらの文献に含むこれまでの文献には、燃料に添加剤を混合することによりエンジンから排出されるPMなどの大気汚染物質や地球温暖化ガスであるCO2の低減に貢献できるとの記載はあるが、添加剤の具体的な性状や、その効果を発揮する物理的・化学的なメカニズム(物理的・化学的な根拠)は記載されておらず、これを用いた実験室における学術的な実験や、実車を用いたフィールド実験の結果も示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2006-516996
特許第4131748号
特表2014-503649
特許第5700383号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動車等のディーゼルエンジンに設置されたDPFに捕集されたPMを、触媒の働きにより効果的に酸化除去するためには、排気温度を触媒が活性化する温度以上に上昇させる必要がある。自動車等においては、アイドリングや低負荷時においてはこの温度に達しないため、排気系統に燃料噴射装置を設置して燃料を噴射する方法、排気管の途中に電気ヒーターを設置して排ガスを加熱する方法などが用いられているが、地球温暖化防止や省エネルギーの観点から、燃料消費量や電力の使用量をできるだけ少なくするとともに、エンジン性能を維持しながらDPFに捕集されたPMを効果的に除去する必要がある。また、これまでよりも低温域で活性化する触媒を担持したDPFの開発や、この触媒を燃料に添加することにより低温域でも活性化できる技術にも対応していく必要があるとともに、これらの技術革新に対応したディーゼル微粒子捕集フィルターの再生システムと再生方法を開発し続ける必要がある。
【0007】
ジョンソンマッセイ(JM)が開発した方式は、O2(酸素)より酸化力が強い何らかの気体成分を触媒で発生させ、この酸化成分が気相を経てPM表面に到達することにより煤の酸化を促進するものであり、最近の実用、改良型DPFシステムの多くはこの方式によっている。
ディーゼル排ガス中には煤とともにO2とNO(一酸化窒素)が共存するので、これを触媒上で酸化して、O2より酸化力が大きい二酸化窒素(NO2)にすることにより、燃焼室、排気系統において連続的に煤を酸化して除去することが可能になるとともに、DPFに捕集されたPMの酸化を促進することができる。このような反応において、触媒自体はPMと直接接触する必要はない。NO2による煤を酸化して除去する反応は触媒の活性化温度以上において始まるため、通常のエンジン排ガス温度条件でもDPFに堆積したPMを連続除去することが可能となる。
【0008】
燃料中に、触媒とこれを溶解する溶剤から構成される燃料添加剤を混合することにより、燃焼室、排気系統、DPFにおいて連続して煤を酸化して除去することが可能となる。
触媒系燃料添加剤を構成する触媒の粒径は、O2やNOなどの反応物との接触面積をできるだけ大きくするために一般に20nm以下にする必用がある。
これに対し、煤の酸化反応は、通常の固体接触と異なり、固(触媒)- 気(O2やNO)、気(O2やNO)- 固(煤)のように固体と気体間における反応である。エンジンの燃焼室、排気系統、DPFにおいては燃料ガスや排ガス(気体)の激しい流動が伴うため、固体(触媒)の質量が小さいと燃焼ガスや排ガス中に浮遊した状態で流動し、「不均一系(固体)触媒である酸化セリウムと反応物であるO2やNOを効果的に反応させるための条件である衝突かそれに近い接触」という状態とはなりにくいため、触媒としての機能を果たすことは困難となる。
【0009】
そこで本発明は、燃焼添加剤を構成する溶剤中に高沸点成分を含ませることにより、この成分が触媒の活性温度以上において触媒粒子を互いに結合させる接着剤的な役割をして、触媒にブドウの房状や鎖状と形容される結合体を形成させることにより、運動エネルギー(慣性力)を増加させ、反応物との触媒反応において、反応物を衝突かこれに近い状態で接触させることにより触媒反応を活性化させて煤を連続して除去するという機能を有することを特徴とするとともに、下記の物理的・化学的な機能を有する、粒径が20nm以下の酸化セリウムと沸点が300℃から600℃の範囲にある成分を含む溶剤から構成される、燃焼室で煤の生成を低減し、DPFに捕集された煤を酸化除去するセリウム系燃料添加剤を提供することを目的とする。
(1)粒径が20nm以下の酸化セリウムを燃料に混合することにより、燃焼室において粒径が20nm~100nmとされる煤粒子と衝突を繰り返し、酸化セリウムが持つ”酸素貯蔵作用”により煤の生成を低減するとともに、酸化セリウムが持つ触媒効果により生成した煤を酸化除去する。
(2)燃料とともに噴射された、沸点が300℃から600℃の範囲にある成分を含むほとんどの溶剤は、燃焼温度が1000℃以上になる燃焼室における燃料の燃焼過程においては蒸発した状態であるが、燃焼の膨張行程においては燃料ガスの温度は1000℃以下に低下し、排気弁が開く時期には600℃以下となり、排気管においては更に温度が低下する。このような状態において、添加剤に含まれる沸点が300℃から600℃の範囲にある成分は、粒形が20nm以下の酸化セリウムを核として凝縮し、個々の酸化セリウムをブドウの房状や鎖状と形容される複雑な形状となって集積・結合させる役割を果たす。
(3)添加剤の溶剤に含まれる沸点が300℃から600℃の範囲にある成分が凝縮することによって、ブドウの房状や鎖状と形容される複雑な形状となって集積・結合した酸化セリウムは、DOC(酸化触媒)を経てDPFに至る。
(4)DPFにおける排ガスの流路径は10~30μmであるが、燃焼室で生成された粒径が20nm~100nmの煤粒子は、その後、燃焼室内及び排気管において炭素微小球間を埋めていくように凝集して1μm近くまで成長し(2次粒子)、DPFの複雑な排ガス流路に堆積する。
(5)DPFの排ガス流路の表面には、CeO2(酸化セリウム)、Pt(白金)などの触媒が担持されているが、排ガス温度が触媒の活性化温度以下の状態では凝集して1μm近くまで成長した”煤の2次粒子”が、触媒の表面を覆ってしまうと”煤粒子”を酸化除去するために必要な還元剤であるNO2と接触できなくなり、”煤の2次粒子”がDPFの流路に堆積し続け、やがて流路そのものが閉塞する。
(6)一方、燃料とともに燃焼室に噴射された粒径が20nm以下の酸化セリウムは、”酸素貯蔵作用”により燃焼室で煤の生成を低減するとともに、”触媒作用”により生成した煤の酸化除去に貢献した後、排気管内においてブドウの房状や鎖状と形容される複雑な形状となって集積・結合した酸化セリウムは、質量が増加したことにより運動エネルギー(慣性力)が増加し、複雑な流路と持つDPFの流路に堆積した“煤の2次粒子”と衝突することにより触媒としての機能が有効に働き、これを酸化除去する。
(7)これに対し、集積・結合していない酸化セリウムや、集積・結合した粒子数が少ないため十分な運動エネルギーを有しない酸化セリウムは、排ガスとともにDPFの流路に沿って流動し、複雑な流路と持つDPFの流路に堆積した“煤の2次粒子”と衝突することなく大気中に排出される。
(8)セリウム系触媒を構成する溶剤の沸点をDPFに堆積した煤を燃焼除去する際の温度以下にすることにより、DPFに堆積した煤を燃焼除去する際酸化セリウム粒子を結合する接着剤の役割を果たしていた溶剤は気化して酸化セリウムを微小な粒子に戻すことにより、DPF内に留まっていた酸化セリウムは燃焼ガスとともにDPFの外に排出される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の煤を連続して除去する燃料添加剤は、酸化セリウムに、エンジンの燃焼室において煤の生成を低減する酸素貯蔵作用と、排気管に設置されたDPFに捕集された煤の酸化除去作用という2つの機能を効果的に行わせることにより、ディーゼルエンジンに設置されたDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)を連続して再生するために、燃焼室で生成される煤の粒径20nmから100nmよりも小さい粒径を持つことにより表面に酸素を効果的に貯蔵するとともに煤の粒子と効果的に接触することにより触媒としての機能を効率的に発揮できる酸化セリウムと、沸点がDPFに担持された触媒の活性化温度よりも高く、DPFに堆積した煤を燃焼除去する際の温度よりも低い性状の物質を含むことにより、排気管において酸化セリウム粒子が数個から数百個、もしくはそれ以上連なってブドウの房状や鎖状と形容される複雑な構造となって質量が増加することにより運動エネルギー(慣性力)が増加して、DPFに堆積した煤と効果的に接触することによりこれを酸化除去する機能を効果的・効率的に発揮させる際の接着剤的な機能を有するとともに、DPFに堆積した煤を燃焼除去する際には気化して酸化セリウムを微小な粒子に戻すことにより燃焼ガスとともにDPFの外に排出するという機能を有する溶剤から構成されることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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