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公開番号
2025076692
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-16
出願番号
2023188455
出願日
2023-11-02
発明の名称
ヒストンH3-H4オクタソームの試験管内再構築法
出願人
国立大学法人北海道大学
代理人
個人
,
個人
主分類
C07K
2/00 20060101AFI20250509BHJP(有機化学)
要約
【課題】生理的条件下で、イン・ビトロでH3-H4オクタソームを再構築する方法を開発すること。
【解決手段】H3-H4オクタソームの再構築方法であって、(a)小麦胚芽無細胞抽出液、ヒストンH3およびH4をそれぞれコードするmRNA、および鋳型DNAを含む混合物をインキュベートすること、または(b)小麦胚芽無細胞抽出液およびヒストンH3およびH4をそれぞれコードするmRNAを含む混合物をインキュベートした後に、鋳型DNAと共にインキュベートすること、を含む方法等が提供される。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
H3-H4オクタソームの再構築方法であって、
(a)小麦胚芽無細胞抽出液、ヒストンH3およびH4をそれぞれコードするmRNA、および鋳型DNAを含む混合物をインキュベートすること、または
(b)小麦胚芽無細胞抽出液およびヒストンH3およびH4をそれぞれコードするmRNAを含む混合物をインキュベートした後に、鋳型DNAと共にインキュベートすること
を含む、方法。
続きを表示(約 540 文字)
【請求項2】
ヒストンが動物または植物由来である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
動物がヒトである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
H3が変種ヒストンである、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記混合物がさらにクロマチン再構成因子をコードするmRNAを含むか、または前記混合物をクロマチン再構成因子と共にさらにインキュベートすることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
小麦胚芽無細胞抽出液中で発現されたヒストンH3およびH4と、鋳型DNAとからなる、再構築されたH3-H4オクタソーム。
【請求項7】
ヒストンが動物または植物由来である、請求項6記載の再構築されたH3-H4オクタソーム。
【請求項8】
動物がヒトである、請求項7記載の再構築されたH3-H4オクタソーム。
【請求項9】
H3が変種ヒストンである、請求項6~8のいずれか1項記載の再構築されたH3-H4オクタソーム。
【請求項10】
請求項1または5記載の方法によって再構築された、H3-H4オクタソーム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験管内でヒストンH3-H4オクタソームの再構築を行う方法、および該方法によって構築された機能的ヒストンH3-H4オクタソームに関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
真核生物の全てのゲノム情報(DNA)は、クロマチンと呼ばれる染色体構造により高次に折り畳まれ、細胞核内に収納されている。クロマチンは、基本構造であるヌクレオソームの繰り返し単位から構成されており、ヌクレオソームは、4種のヒストンタンパク質(H2A、H2B、H3、H4)から成る八量体コアタンパク質と、その周囲に巻き付いた約150bpの二本鎖DNAとから構成される。染色体の時間空間的な構造変化は、細胞周期に伴うDNAの複製や修復、転写を可能としていると考えられ、これらの制御を担っている要素が、DNAのメチル化や、ヒストンタンパク質の様々な化学修飾である。さらに、4種の正規ヒストン(H2A、H2B、H3、H4)にそれぞれ相同な機能を持つ変種ヒストンの存在も知られており、染色体の構造変化に寄与している。
【0003】
ヌクレオソームは、細胞のクロマチンにおける代表的なヒストン-DNA複合体であるが、別のヒストン-DNA複合体の存在も知られていた。なかでも、H3-H4オクタソームは、ヌクレオソームに匹敵するサイズを有するヌクレオソーム様粒子であり、ヌクレオソームとは異なり、H3とH4の2種のヒストンのみから構成される八量体コアタンパク質を有する。近年、モデル酵母において、H3-H4オクタソームの存在が示唆された(非特許文献1)。非特許文献1では、H3-H4オクタソームを従来の塩透析法により再構築し、H3-H4オクタソームが、4コピーのH3-H4二量体から構成される八量体コアタンパク質の周囲に120~130bpの二本鎖DNAが巻き付いている立体構造を有する事を明らかにした。
【0004】
塩透析法は、試験管内においてクロマチンを再構築する方法としてよく知られており、二本鎖DNAと大腸菌異種発現したヒストン(組換えヒストン)の混合物を塩透析することによってタンパク質複合体をリフォールディングさせる。しかしながら、塩透析法では、1)大腸菌異種発現したヒストンは構造が壊れ不溶化するため、非生理的条件下で可溶化する必要があること、2)塩濃度依存的に(すなわち、非生理的条件下で)再構築するため、天然に近い状態で再構成されたクロマチンやオクタソームを提供できないこと、などの問題がある。また、最近、発明者らのグループは、小麦胚芽無細胞抽出液を用いて、ヒトおよびショウジョウバエ由来の可溶化ヒストンとクロマチン再構成因子の共発現反応によりクロマチン再構築を行う技術を開発した(非特許文献2、非特許文献3)。しかしながら、小麦胚芽無細胞抽出液を用いてH3-H4オクタソームを再構築できるかは不明であり、今までに小麦胚芽無細胞抽出液を利用した発現系をH3-H4オクタソームの再構築に応用した例は無い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Nozawaら、PNAS,2022,Vol.119,No.45,e2206542119
Okimuneら、BMC Biotechnol.20,62(2020)
Endoら、FEBS Open Bio,11(2021),1552-1564
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今後、H3-H4オクタソームの真核生物核内における分子機構の解明が、生命現象の根幹に位置するゲノム構造および機能の理解に必須と考えられるが、そのためには、天然に近い状態での評価するための染色体構造が必要となる。このような情況下、本発明は、生理的条件下で、イン・ビトロでH3-H4オクタソームを再構築する方法を開発することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは鋭意研究の結果、驚くべきことに、小麦胚芽無細胞系において、動物または植物のヒストンタンパク質H3およびH4をそれぞれコードしたmRNAを鋳型DNAの存在下で共発現することにより、生理的条件下で機能的H3-H4オクタソームを再構築することに成功した。さらに、変種ヒストンを含む機能的H3-H4オクタソームの再構築にも成功した。さらに、クロマチン再構成因子をコードするmRNAを加えて共発現させることにより、H3-H4オクタソームの再構築が促進されることも見出した。かくして、本発明を完成させた。
【0008】
したがって、本発明は以下の態様を提供する。
[1]H3-H4オクタソームの再構築方法であって、
(a)小麦胚芽無細胞抽出液、ヒストンH3およびH4をそれぞれコードするmRNA、および鋳型DNAを含む混合物をインキュベートすること、または
(b)小麦胚芽無細胞抽出液およびヒストンH3およびH4をそれぞれコードするmRNAを含む混合物をインキュベートした後に、鋳型DNAと共にインキュベートすること
を含む、方法。
[2]ヒストンが動物または植物由来である、[1]記載の方法。
[3]動物がヒトである、[2]記載の方法。
[4]H3が変種ヒストンである、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記混合物がさらにクロマチン再構成因子をコードするmRNAを含むか、または前記混合物をクロマチン再構成因子と共にさらにインキュベートすることを含む、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]小麦胚芽無細胞抽出液中で発現されたヒストンH3およびH4と、鋳型DNAとからなる、再構築されたH3-H4オクタソーム。
[7]ヒストンが動物または植物由来である、[6]記載の再構築されたH3-H4オクタソーム。
[8]動物がヒトである、[7]記載の方法。
[9]H3が変種ヒストンである、[6]または[7]記載の再構築されたH3-H4オクタソーム。
[10][1]または[5]記載の方法によって再構築された、H3-H4オクタソーム。
[11]H3-H4オクタソームの構築を促進または阻害する物質をスクリーニングするための方法であって、
(1)
(a)小麦胚芽無細胞抽出液、ヒストンH3およびH4をそれぞれコードするmRNA、および鋳型DNAを含む混合物を候補物質の存在下でインキュベートすること、
(b)小麦胚芽無細胞抽出液およびヒストンH3およびH4をそれぞれコードするmRNAを含む混合物を候補物質の存在下でインキュベートした後に、鋳型DNAと共にインキュベートすること、または
(c)小麦胚芽無細胞抽出液およびヒストンH3およびH4をそれぞれコードするmRNAを含む混合物をインキュベートした後に、鋳型DNAと共に候補物質の存在下でインキュベートすること、および
(2)H3-H4オクタソームが再構築されたか否かを評価すること
を含む、方法。
[12]前記(a)または(b)において、前記候補物質が小麦胚芽無細胞抽出液中で共発現されている、[11]記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生理的条件下において、H3-H4オクタソームを試験管内で簡便に再構築することができる。さらに、本発明のH3-H4オクタソーム再構築過程は、H3-H4オクタソーム再構築機能を促進あるいは阻害する新規因子をスクリーニングする方法に利用できる。本発明によれば、生理的条件下で再構成されたH3-H4オクタソームが提供されるので、本発明は、エピジェネティクスの研究を行う上で重要な評価系を提供し、また、創薬スクリーニング等に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、小麦胚芽無細胞抽出液において、クロマチン再構成因子を用いずに又は用いて、再構築されたヒトH3-H4オクタソームについて、スーパーコイリングアッセイの結果を示す。図中、RCは「リラックス型DNA」を示し、SCは「スーパーコイル化DNA」を示す。クロマチン再構成因子Nap1L1を使用しなかった結果を「-」、使用した結果を「+」のレーンに示す。
図2は、小麦胚芽無細胞抽出液中におけるヒトH3.X-H4オクタソームの再構築のための、ヒトクロマチン再構成因子Nap1L1の最適な添加量を決定するための実験結果を示す。
図3は、小麦胚芽無細胞抽出液において、クロマチン再構成因子を用いずに又は用いて、再構築されたヒトH3-H4オクタソームについて、スーパーコイリングアッセイの結果を示す。図中、RCは「リラックス型DNA」を示し、SCは「スーパーコイル化DNA」を示す。クロマチン再構成因子AtNAP1;3を使用しなかった結果を「-」、使用した結果を「+」のレーンに示す。
図4は、小麦胚芽無細胞抽出液による植物H3-H4オクタソーム再構築について、スーパーコイリングアッセイの結果を示す。図中、RCは「リラックス型DNA」を示し、SCは「スーパーコイル化DNA」を示す。
図5は、小麦胚芽無細胞抽出液による植物H3-H4オクタソーム再構築について、MNaseアッセイの結果を示す。
図6は、小麦胚芽無細胞抽出液において、クロマチン再構成因子を用いた植物H3-H4オクタソームの再構築について、スーパーコイリングアッセイの結果を示す。図中、RCは「リラックス型DNA」を示し、SCは「スーパーコイル化DNA」を示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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