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公開番号2025077148
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-19
出願番号2023189132
出願日2023-11-06
発明の名称光学アンテナ、キラル分子の分光分析装置、光放射装置および光学アンテナの設計方法
出願人国立大学法人北海道大学
代理人弁理士法人鷲田国際特許事務所
主分類H01S 1/02 20060101AFI20250512BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】キラル分子の識別精度をより高めることができる光学アンテナを提供すること。
【解決手段】ねじれ構造に囲まれた、所定の偏光状態の光を入射または出射させるための連通孔をそれぞれ含む複数の構造体と、前記複数の構造体の間に配置され、前記連通孔に連通するナノギャップと、を有する、光学アンテナ。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ねじれ構造に囲まれた、所定の偏光状態の光を入射または出射させるための連通孔をそれぞれ含む複数の構造体と、
前記複数の構造体の間に配置され、前記連通孔に連通するナノギャップと、
を有する、光学アンテナ。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記複数の構造体は、中心軸が同一直線上に配置されている2つの構造体を含む、請求項1に記載の光学アンテナ。
【請求項3】
前記複数の構造体の数は2つである、請求項2に記載の光学アンテナ。
【請求項4】
前記2つの構造体は、前記ねじれ構造の前記ナノギャップに対するねじれの向きが、互いに逆向きである、請求項3に記載の光学アンテナ。
【請求項5】
前記2つの構造体の形状は、互いに鏡像対称である、請求項3に記載の光学アンテナ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学アンテナを含む、キラル分子の分光分析装置。
【請求項7】
前記光学アンテナのナノギャップに分析対象のキラル分子を送り込むための流路部をさらに有する、請求項6に記載のキラル分子の分光分析装置。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学アンテナと、
前記ナノギャップに配置された光源と、
を有する、光放射装置。
【請求項9】
計算機を用いて行う、光学アンテナの設計方法であって、
設計領域を設定する工程と、
前記設計領域内の誘電関数の分布を設定する工程と、
前記設計領域に対して複数の方向から円偏光または光渦を入射させたときの、前記設計領域を含む領域内の電磁場を、前記誘電関数の分布に基づいて算出する工程と、
前記電磁場に基づいて、前記設計領域内の所定の位置における、所定の物理量を取得する工程と、
前記物理量が閾値以上か否かについて第1の判定をする工程と、
を含み、
前記第1の判定をする工程で前記物理量が閾値未満であると判定された場合、数理計画法を用いて、前記設計領域内の誘電関数の分布を変更する工程がさらに行われ、次いで前記変更する工程の後に、前記算出する工程と、前記取得する工程と、前記第1の判定をする工程とが行われ、
前記第1の判定をする工程で前記物理量が閾値以上であると判定された場合、前記変更する工程は行われない、
光学アンテナの設計方法。
【請求項10】
前記第1の判定をする工程で前記物理量が閾値未満であると判定された場合、前記変更する工程の前に、前記設計領域内の誘電関数の分布に対する、前記物理量の勾配を求める工程が行われ、
前記変更する工程では、前記物理量の勾配に基づいて、前記設計領域内の誘電関数の分布を変更する、
請求項9に記載の光学アンテナの設計方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、光学アンテナ、キラル分子の分光分析装置、光放射装置および光学アンテナの設計方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
以前から、多くの分子はキラリティを有することが知られており、互いにキラリティが異なる分子(エナンチオマー)は生体内の生物学的活性について異なる効果を示し得る。たとえば、薬剤分野において、エナンチオマーは、生物体内で異なる代謝反応を示したり、異なる受容体との相互作用および異なる毒性を示したりすることがある。また、化学反応においてキラルな反応剤や触媒を使用すると、エナンチオマーは反応速度や収率に違いをもたらし得る。これらのことから、キラリティを識別することは、上述した医薬品開発や有機合成の分野のほか、光学センサーの設計などの分野で重要となることが知られている。
【0003】
キラリティを識別する方法として、円二色性分光法が広く用いられている。この方法では、対象の分子に右円偏光および左円偏光を照射し、それぞれの円偏光の向きに対する分子の吸収性の差(CD)を測定する。しかしながら、光の波長に対して、分子の大きさが極めて小さいため、CDに関する信号(以下、CD信号と称する)を検出しにくく、キラリティの識別が困難であった。
【0004】
ところで、近年、電磁場に関する光学キラリティと呼ばれる物理量が、CD信号の大小に関係することが見いだされ、キラル分子の識別精度の指標になり得るとして、注目を集めている(非特許文献1)。非特許文献1では、C=ωIm[E

・B]で表される光学キラリティの値が大きいほど、CD信号が増強されるとされている(上記式において、ωは角周波数、E、Bはそれぞれ電場と磁場であり、Imは複素数の虚部を表す)。上記光学キラリティについて、例えば、自由空間を伝搬する、円偏光した平面波(平面波円偏光)の光学キラリティは、C=±2|E|

ω/cと表される(cは光速であり、正の符号が左回り円偏光を、負の符号が右回り円偏光を、それぞれ表す)。
【0005】
したがって、光学キラリティの値を、平面波円偏光の光学キラリティの値よりも大きくできれば、CD信号を増強させて、キラル分子の識別精度を飛躍的に増大させることができる。そこで、近年、光学キラリティの値を、平面波円偏光の光学キラリティの値よりも大きくするためのナノ構造(光学アンテナ)および上記ナノ構造の設計方法が提案されている(例えば、非特許文献2~4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Tang, Y. & Cohen, A. E. “Optical Chirality and Its Interaction with Matter,” Phys. Rev. Lett. Vol.104, 163901.
Schaferling, M., Dregely, D., Hentschel, M. & Giessen, H. “Tailoring Enhanced Optical Chirality: Design Principles for Chiral Plasmonic Nanostructures,” Phys. Rev. X 2, 031010.
Mun, J. et al. “Electromagnetic chirality: from fundamentals to nontraditional chiroptical phenomena,” Light: Sci. Appl. Vol.9, 139.
Khaliq, H. S., Nauman, A., Lee, J. & Kim, H. “Recent Progress on Plasmonic and Dielectric Chiral Metasurfaces: Fundamentals, Design Strategies, and Implementation,” Adv. Opt. Mater. Vol.11,2300644.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献2および非特許文献3のように光学キラリティの値を増大させるためのナノ構造(光学アンテナ)が知られているが、より高いキラル分子の識別精度が求められている。
【0008】
また、非特許文献4では、深層学習を活用した、光学キラリティを高められる構造の設計方法が開示されているが、この方法では、構造と光学キラリティとを結びつける教師データが大量に必要になる。そのため、簡易的に所望の構造を設計することができなかった。
【0009】
そのため、キラル分子の識別精度をより高めることができる光学アンテナおよび上記光学アンテナを簡易的に設計する方法への要望が存在する。
【0010】
ところで、3次元ディスプレイ、次世代情報通信機器、量子コンピュータ、量子暗号通信機器などのデバイスには、円偏光を放射する装置が用いられている。上記装置は、高い異方性を有する円偏光を発生させることができ、かつ偏光状態を制御できる装置であることが望ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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