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公開番号2025065076
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-17
出願番号2024175069
出願日2024-10-04
発明の名称筋組織カルシウム蓄積を抑制するビタミンD作用
出願人学校法人立命館
代理人個人,個人,個人
主分類A61K 31/59 20060101AFI20250410BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】筋石灰化状態を抑制および/または予防するための組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、ビタミンD誘導体、例えばアルファカルシドール、カルシトリオール、ファレカルシトリオール、およびエルデカルシトールの中から選ばれる化合物を含有する、筋石灰化状態を抑制および/または予防するための組成物に関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
式:
TIFF
2025065076000009.tif
218
170
で示されるビタミンD誘導体の中から選ばれる化合物を含有する、筋石灰化状態を抑制および/または予防するための組成物。
続きを表示(約 340 文字)【請求項2】
ビタミンD誘導体が、アルファカルシドール、カルシトリオール、ファレカルシトリオール、およびエルデカルシトールの中から選ばれる化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
ビタミンD誘導体を、骨芽細胞に作用し骨の石灰化を促進する用量よりも低い用量で含有する、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
骨芽細胞に作用し骨の石灰化を促進する濃度よりも低い用量が、骨芽細胞に作用し骨の石灰化を促進する用量の2分の1以下である、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
医薬組成物または食品組成物である、請求項1から4までのいずれか記載の組成物。
【請求項6】
健康食品である、請求項5記載の組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本特許出願は、日本国特許出願2023-174279号(2023年10月6日出願)に基づく日本国特許法第41条に規定する優先権およびその利益を主張するものであり、ここに引用することによって、上記出願に記載された内容の全体が本明細書中に組み込まれるものとする。
続きを表示(約 3,600 文字)【0002】
本発明は、ビタミンD誘導体の新たな用途、詳細には特定のビタミンD誘導体を含有する、筋石灰化状態を抑制および/または予防するための組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
運動器を構成する骨や筋の機能の適正化は、全ての世代を通じて生活の質を保つために欠かせない要素であり超高齢社会のわが国において喫緊の課題といえる。ビタミンDは、骨や筋の機能維持に働くとされるが、骨の量を増やす作用機序が明確化されつつあるのに対し、筋組織に対する効果は不明であった。近年、筋組織の機能を維持する研究が行われ、ビタミンD作用として筋組織量が維持されることが報告された(非特許文献1)。筋機能を向上させるために、食事から摂取するタンパク質を増やし、筋組織量を増加する提案がなされているが、高齢者や病者では食事量に制限があり、筋量の増加を促す量のタンパク質を摂取するのは困難である。そこで、タンパク質摂取量は増やさず筋組織量が変化しない場合でも、筋運動性が向上する仕組み、さらに、その仕組みを利用して筋機能を向上させる方法の開発が求められ、ビタミンDが注目されている(非特許文献2)。
【0004】
他方、骨とともに運動器としての機能を司る「筋」、「腱」、「靭帯」は、加齢とともに機能が低下し、中でも、これらの組織中にカルシウムが蓄積し発症する石灰沈着症は運動器としての機能を制限するだけでなく、痛みを伴うことにより生活の質に影響する(非特許文献3)。骨外組織における石灰沈着のメカニズムは未だ不明な点が多いことから、治療方法は石灰沈着に引き続き生じる炎症の抑制と、石灰沈着の本体物質のリン酸カルシウムの除去に限られ(非特許文献4)、沈着の予防や改善の方法は考案されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Girgis, Christian M., et al. Mice with myocyte deletion of vitamin D receptor have sarcopenia and impaired muscle function. Journal of cachexia, sarcopenia and muscle, 2019, 10.6: 1228-1240.
Bischoff-Ferrari, Heike A., et al. Fall prevention with supplemental and active forms of vitamin D: a meta-analysis of randomised controlled trials. Bmj, 2009, 339.
Yoshida, Yuki, et al. Chronic intramuscular calcific tendinitis of the deltoid muscle. Skeletal Radiology, 2023, 52.6: 1251-1256.
Ranganathan, Kavitha, et al. Heterotopic ossification: basic-science principles and clinical correlates. The Journal of bone and joint surgery. American volume, 2015, 97.13: 1101.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
筋組織の石灰化は、X染色体劣勢遺伝疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの特徴的な症状であること、また、外傷により骨格筋が損傷した際にも高頻度で認められることなど、筋機能を制限する主要因の一つである。これらに対処する方法は炎症の抑制やリン酸カルシウムの除去といった対症療法である。本発明は、筋組織の石灰化現象を根治させる方法の探索にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、筋組織でのビタミンD作用を把握するため、筋組織のみビタミンD作用を欠く遺伝子組み換えマウスを用いて運動機能変化をとらえ、さらに、培養筋細胞を用いた実験を行い、筋運動の適正化に関わるビタミンDの作用メカニズムを明らかにした。
さらに、本発明者らは、筋組織でビタミンDが作用しないマウスの運動性が減少すること、カルシウムの蓄積を伴うことに着目し、筋細胞でのビタミンDの作用標的を検討し、ビタミンD作用により筋組織の石灰化が抑制される仕組みを見出し、本発明を完成した。
【0008】
したがって、本発明は、以下の態様を含む。
<医薬組成物>
[1]
式:
TIFF
2025065076000001.tif
218
170
で示されるビタミンD誘導体の中から選ばれる化合物を含有する、筋石灰化状態を抑制および/または予防するための組成物。
[2]
ビタミンD誘導体が、アルファカルシドール、カルシトリオール、ファレカルシトリオール、およびエルデカルシトールの中から選ばれる化合物である、[1]記載の組成物。
[3]
ビタミンD誘導体を、骨芽細胞に作用し骨の石灰化を促進する用量よりも低い用量で含有する、[2]記載の組成物。
[4]
骨芽細胞に作用し骨の石灰化を促進する濃度よりも低い用量が、骨芽細胞に作用し骨の石灰化を促進する用量の2分の1以下である、[3]記載の組成物。
[5]
医薬組成物または食品組成物である、[1]から[4]までのいずれか記載の組成物。
[6]
健康食品である、[5]記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は全体として、骨格筋でのビタミンD作用はマウスの自発的な運動量を保つのに有効であることを示している。図1Aは、正常にビタミンD受容体(VDR)が発現しビタミンDが作用するマウス(図中、「Vdr Mus+」と称する)と、骨格筋特異的にビタミンD受容体(VDR)の機能を欠失し、骨格筋でのビタミンD作用を失ったマウス(図中、「Vdr Mus-」と称する)の両マウスにおける8週齢および20週齢での体重を示すグラフである (n = 6, 平均値 ± SE)。図1Bは、両マウスにおける20週齢での24時間の自発運動量を示すグラフである (n = 6, 平均値 ± SE)。図1Cは、24時間に渡る自発運動量の計測値の累積値:それぞれ平均値 (実線) ± SE (破線) のグラフである (n = 3)。図1D、図1Eおよび図1Fはそれぞれ、両マウスにおける20週齢でのヒラメ筋(D)、足底筋(E)の湿重量 (n = 5, 平均値 ± SE)、および前肢握力(F) (n = 4, 平均値 ± SE)を示すグラフである。Vdr Mus-:骨格筋でビタミンD作用を失ったマウスVdr Mus+:ビタミンD作用が全ての組織で正常に機能するマウスBW: 体重. *P < 0.05.
【0010】
図2は全体として、培養骨格筋細胞に対し、培養液中にビタミンDを添加した際の細胞応答を示している。図2Aは、筋芽細胞の筋管細胞への分化過程において順次発現する遺伝子:Myf5、MyoD、Myogenin(ミオゲニン)、Myosin Heavy Chain (ミオシン重鎖:MyHC)、Myostatin(ミオスタチン)の発現量を示すグラフである。図2Bは、C2C12細胞内におけるATP/ADP比を示す。図2Cは、C2C12細胞における輸送分子(コネキシン43 (Cx43))、脱リン酸酵素(エクトヌクレオチド ピロリン酸/ホスホジエステラーゼ (ENPP1))、ATP合成酵素 (ATP5c1)、および対照酵素(グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ (GAPDH))のタンパク質発現量を示す。図2Dは、C2C12細胞培養液中へのgap26添加時のATP/ADP比を示す。図2Eは、C2C12細胞培養液中への活性型ビタミンDである1,25(OH)
2
D
3
添加後の細胞培養上清中ピロリン酸 (PPi) 量の相対値を示すグラフである。図2(Cを除く)において、ビヒクル (Veh)を1として算出している。n = 3、平均値 ± SE *P < 0.05。
(【0011】以降は省略されています)

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