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公開番号
2025039033
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-21
出願番号
2023145772
出願日
2023-09-08
発明の名称
燃料電池用電極
出願人
株式会社豊田中央研究所
代理人
個人
主分類
H01M
4/86 20060101AFI20250313BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】ガス拡散抵抗の低い新規な燃料電池用電極を提供すること。
【解決手段】燃料電池用電極は、触媒粒子を含む電極触媒と、前記触媒粒子の表面の全部又は一部を被覆するアイオノマ層とを備え、散乱長密度変化率(ΔSLD)が25%以下である。但し、ΔSLD=(SLD
2
-SLD
1
)×100/SLD
1
、SLD
1
は前記アイオノマ層のバルク領域の散乱長密度の平均値、SLD
2
は前記アイオノマ層の界面領域の散乱長密度の最大値、前記「界面領域」は前記アイオノマ層内の領域の内、前記触媒粒子と前記アイオノマとの界面から厚さ10nmまでの領域、前記「バルク領域」は前記アイオノマ層内の領域の内、前記界面領域を除いた領域、前記「散乱長密度」は相対湿度50%以上の条件下において中性子反射率法を用いて測定及び算出された、前記アイオノマ層の任意の位置における単位体積あたりの中性子の散乱長。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
触媒粒子を含む電極触媒と、
前記触媒粒子の表面の全部又は一部を被覆するアイオノマ層と
を備え、
次の式(1)で表される散乱長密度変化率(ΔSLD)が25%以下である
燃料電池用電極。
ΔSLD=(SLD
2
-SLD
1
)×100/SLD
1
…(1)
但し、
SLD
1
は、前記アイオノマ層のバルク領域の散乱長密度の平均値、
SLD
2
は、前記アイオノマ層の界面領域の散乱長密度の最大値、
前記「界面領域」は、前記アイオノマ層内の領域の内、前記触媒粒子と前記アイオノマとの界面から厚さ10nmまでの領域、
前記「バルク領域」は、前記アイオノマ層内の領域の内、前記界面領域を除いた領域、
前記「散乱長密度」は、相対湿度50%以上の条件下において中性子反射率法を用いて測定及び算出された、前記アイオノマ層の任意の位置における単位体積あたりの中性子の散乱長。
続きを表示(約 1,500 文字)
【請求項2】
触媒粒子を含む電極触媒と、
前記触媒粒子の表面の全部又は一部を被覆するアイオノマ層と
を備え、
次の式(2)で表される含水量低下率(Δλ)が80%以下である
燃料電池用電極。
Δλ=(λ
1
-λ
2
)×100/λ
1
…(2)
但し、
λ
1
は、前記アイオノマ層のバルク領域の含水量の平均値、
λ
2
は、前記アイオノマ層の界面領域の含水量の最小値、
前記「界面領域」は、前記アイオノマ層内の領域の内、前記触媒粒子と前記アイオノマとの界面から厚さ10nmまでの領域、
前記「バルク領域」は、前記アイオノマ層内の領域の内、前記界面領域を除いた領域、
前記「含水量」は、相対湿度50%以上の条件下において中性子反射率法を用いて測定及び算出された、前記アイオノマ層の任意の位置における単位体積あたりの水の質量の割合。
【請求項3】
触媒粒子を含む電極触媒と、
前記触媒粒子の表面の全部又は一部を被覆するアイオノマ層と
を備え、
次の式(3)で表されるアイオノマ量増加率(ΔC)が23%以下である
燃料電池用電極。
ΔC=(C
2
-C
1
)×100/C
1
…(3)
但し、
C
1
は、前記アイオノマ層のバルク領域のアイオノマ量の平均値、
C
2
は、前記アイオノマ層の界面領域のアイオノマの量の最大値、
前記「界面領域」は、前記アイオノマ層内の領域の内、前記触媒粒子と前記アイオノマとの界面から厚さ10nmまでの領域、
前記「バルク領域」は、前記アイオノマ層内の領域の内、前記界面領域を除いた領域、
前記「アイオノマ量」は、相対湿度50%以上の条件下において中性子反射率法を用いて測定及び算出された、前記アイオノマ層の任意の位置における単位体積あたりのアイオノマの質量の割合。
【請求項4】
前記電極触媒は、前記触媒粒子を担持する担体をさらに含む請求項1から3までのいずれか1項に記載の燃料電池用電極。
【請求項5】
前記アイオノマ層は、高酸素透過アイオノマを含む請求項1から3までのいずれか1項に記載の燃料電池用電極。
【請求項6】
前記アイオノマ層は、次の式(4)で表される分子構造を備えた高酸素透過アイオノマを含む請求項1から3までのいずれか1項に記載の燃料電池用電極。
-[C
3
O
2
F
2
(Rf1)(Rf2)]
x
-[CF
2
-CF(ORf3-SO
3
H)]
y
- …(4)
但し、
Rf1及びRf2は、それぞれ、F、又は、炭素数1から10のパーフルオロアルキル基であり、前記パーフルオロアルキル基は分子鎖に酸素原子を有していても良い、
Rf3は、-(CF
2
CF(CF
3
)O)
h
-(CF)
i
-であり、hは0から3の整数、iは1から10の整数、
x及びyは、それぞれ、1以上、
x/yは、0.63以上4.2以下、
重量平均分子量は、5,000以上300,000以下。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用電極に関し、さらに詳しくは、固体高分子形燃料電池の電極(触媒層)として好適な燃料電池用電極に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
固体高分子形燃料電池は、電解質膜の両面に電極(触媒層)が接合された膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly,MEA)を備えている。触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、白金等の電極触媒を担持したカーボンと触媒層アイオノマとの複合体からなる。通常、触媒層の外側には、さらにガス拡散層が配置される。ガス拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボンペーパー、カーボンクロス等が用いられる。
さらに、ガス拡散層の外側には、ガス流路を備えたセパレータが配置される。固体高分子形燃料電池は、一般に、このようなMEA、ガス拡散層、及びセパレータからなる単セルが複数個積層された構造(スタック構造)を備えている。
【0003】
固体高分子形燃料電池は、低温高湿条件から高温低湿条件までの幅広い温湿度環境で高い発電性能を示すことが求められている。これらの性能を両立させるためには、反応が生じる触媒層の改良が必要である。高温低湿条件での発電性能の向上のためには、プロトン抵抗を下げて、IRロスを低減することが必要である。また、低温高湿条件での発電性能の向上のためには、触媒層の空隙率を高くすることや、水の排出性能を高くすることでガス拡散抵抗を低減することが必要である。
しかし、これらの性能は、トレードオフの関係にある。例えば、アイオノマの体積分率を高くすれば、プロトン抵抗は低減できるが、その分、空隙率は低下する。
【0004】
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、
(a)非対称の5員環構造を有するパーフルオロモノマーと、スルホン酸基を有するパーフルオロ基からなるペンダント構造を有するパーフルオロモノマーとのランダム共重合体からなる高分子電解質を調製し、
(b)疎水的表面を有するカーボン担体にPtを担持したPt担持カーボンを調製し、
(c)高分子電解質と、Pt担持カーボンとを含む触媒インクを調製し、
(d)基材表面に触媒インクをスプレー塗布し、乾燥させることにより電極とし、
(e)電極を電解質膜のカソード側の表面に150℃で熱転写する
ことにより得られる膜電極接合体が開示されている。
【0005】
同文献には、
(A)電極において、高分子電解質の親水性ドメインと疎水性ドメインが過度に相分離していると、連続的に存在する親水性ドメインがガスの透過を阻害するために、電極性能が低下する点、
(B)触媒層アイオノマとして、主鎖に、嵩高く剛直な非対称の5員環(1,3-ジオキソール環)構造を有する高分子電解質を用いると、触媒層アイオノマとして、柔軟なテトラフルオロエチレン鎖を有する高分子電解質を用いた場合に比べて、親水性ドメインの離散性が増し、これによってセル電圧が上昇する点、及び、
(C)触媒層アイオノマとして、主鎖に、嵩高く剛直な非対称の5員環(1,3-ジオキソール環)構造を有する高分子電解質を用いる場合において、カーボン担体の表面が疎水的であるときには、カーボン担体の表面が親水的であるときに比べて親水性ドメインの離散性が増し、これによってセル電圧が上昇する点
が記載されている。
【0006】
非特許文献1には、
(a)Pt/Si基板表面にナフィオン(登録商標)溶液をスピンコートし、140℃で2時間真空アニールすることにより得られた薄膜について、H
2
OとD
2
Oのコントラスト変化を利用した中性子反射率測定を行う方法、及び、
(b)このような方法により得られた、Ptに接する湿潤ナフィオン(登録商標)膜の深さ方向の、ナフィオン(登録商標)分子の散乱長密度プロファイル及び水の体積分率プロファイル
が開示されている。
【0007】
同文献には、
(A)Pt表面には、ナフィオン(登録商標)分子の濃度が増加し、かつ、水分子の濃度が低下している偏析層が形成される点、及び、
(B)偏析層の厚さは、約3nmであり、溶液中においてナフィオン(登録商標)分子が凝集することにより形成される棒状ミセルの直径にほぼ対応している点
が記載されている。
【0008】
燃料電池車の普及のためには、燃料電池の低コスト化が課題である。電極で用いられる触媒量を減量すればコストを低減できるが、触媒量を減量した状態で電流-電圧特性を維持するためには電極のガス拡散抵抗を低減させる必要がある。特に、燃料電池の出力密度はカソードの酸素還元能に依存するため、カソードのガス拡散抵抗を低減することは重要である。
しかしながら、カソード用の触媒層アイオノマとして、ナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマを用いると、到達可能な電流-電圧特性に限界がある。これは、Pt表面にナフィオン(登録商標)分子の濃度が高い偏析層が形成され、ガス拡散抵抗が増加する場合があるためと考えられる(非特許文献1参照)。
【0009】
この問題を解決するために、特許文献1に記載されているように、カソード用の触媒層アイオノマとして、非対称の5員環(1,3-ジオキソール環)を有するアイオノマを用いることも考えられる。このようなアイオノマは、ナフィオン(登録商標)に比べて酸素のガス拡散抵抗が低いため、「高酸素透過アイオノマ」とも呼ばれている。
しかしながら、カソード用の触媒層アイオノマとして、単に高酸素透過アイオノマを用いるだけでは、到達可能な電流-電圧特性に限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特許第6096749号公報
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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