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公開番号
2025037268
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-18
出願番号
2023144062
出願日
2023-09-06
発明の名称
ロータ
出願人
株式会社アイシン
代理人
個人
主分類
H02K
21/14 20060101AFI20250311BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約
【課題】回転停止時または所定回転数未満の場合において、磁性体を容易に初期位置に移動させることが可能なロータを提供する。
【解決手段】このロータ10では、エンドプレート3は、ロータコア2に近接するように配置され、回転停止時の軸方向における初期位置と、初期位置よりもロータコア2に近い、所定回転数以上の回転時の軸方向における作動位置とに移動可能であって、少なくとも一部が磁性体からなる第1部材31と、第2部材32と、第1部材31と第2部材32との間に構成される、液体が流通可能な流路空間30と、第1部材31を作動位置から初期位置に戻す方向の付勢力または吸引力を第1部材31に付与する戻し方向力付与部31dと、流路空間30の一部であって、エンドプレート3の径方向外側部に設けられた、液体を溜めるチャンバー部34と、を含む。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
軸線を中心に回転可能なロータシャフトと、
前記ロータシャフトに固定され、軸方向に延在する永久磁石とを含むロータコアと、
前記軸方向において、前記ロータコアの端面側に配置されるエンドプレートと、を備え、
前記エンドプレートは、
前記ロータコアに近接するように配置され、回転停止時の前記軸方向における初期位置と、前記初期位置よりも前記ロータコアに近い、所定回転数以上の回転時の前記軸方向における作動位置とに移動可能であって、少なくとも一部が磁性体からなる第1部材と、
前記第1部材よりも前記ロータコアから離れて配置される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に構成される、液体が流通可能な流路空間と、
前記第1部材を前記作動位置から前記初期位置に戻す方向の付勢力または吸引力を前記第1部材に付与する戻し方向力付与部と、
前記流路空間の一部であって、前記エンドプレートの径方向外側部に設けられた、液体を溜めるチャンバー部と、を含む、ロータ。
続きを表示(約 440 文字)
【請求項2】
前記磁性体は、前記第1部材の前記ロータコア側の面に、前記作動位置に移動した状態で前記永久磁石と接触可能なように、前記第1部材に設けられ、
前記戻し方向力付与部は、前記軸方向と直交する方向において前記永久磁石とは接触しない離間した位置に配置されている、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記戻し方向力付与部は、前記ロータコアの回転数が大きくなるにつれて前記第1部材が前記作動位置に近づくように弾性変形するとともに、前記ロータコアの回転数が小さくなるにつれて前記第1部材が前記初期位置に近づくように弾性変形状態が元に戻る、ばね部材を含む、請求項1に記載のロータ。
【請求項4】
前記ロータコアが回転する際の遠心力により発生する前記第1部材を前記ロータコア側に押圧する力が、前記戻し方向力付与部の戻し方向の力よりも大きい場合に、前記第1部材は、前記作動位置に移動するように構成されている、請求項1に記載のロータ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドプレートを備えるロータに関する。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、エンドプレートを備えるロータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ステータコイルが巻回されたステータと、永久磁石が埋め込まれたロータコアを有し、ステータの内周側に所定の隙間を空けて配置されるロータと、ロータコアの永久磁石からステータコイルに向かう磁束をロータの回転速度に応じて変化させる磁束可変機構とを備える回転電機が開示されている。特許文献1では、ロータの回転数が上がることにより誘導電圧が大きくなった場合に、磁束可変機構によって磁束を短絡させる(ステータ側とは異なる方向に磁束の一部を逃がす)ことによって、誘導電圧が回転電機の駆動電圧を超えないようにしている。
【0004】
上記特許文献1では、磁束可変機構は、ロータコアの一方端面に固定されるケース体と、ケース体により軸方向の移動が規制されるとともに、軸方向に対して傾斜する傾斜面を有する移動子と、移動子の傾斜面と接触するとともに軸方向に対して傾斜するカム面を有するカム部材と、カム部材に一体的に設けられた磁束短絡部材と、軸方向においてロータとは反対側にカム部材を付勢する付勢ばねと、を含む。特許文献1では、ロータの回転速度に応じた遠心力により移動子の傾斜面がカム部材のカム面に沿って軸方向に摺動する。ロータの回転数が増加した場合、移動子とカム部材とが接触する位置が変化して、移動子の軸方向の長さが大きい部分とカム部材の軸方向の長さが大きい部分とが接触し、カム部材がロータ側に押されることにより、付勢ばねの付勢力に抗してカム部材がロータに近づくように移動する。さらに、カム部材がロータ側に押圧されることにより、カム部材とともに磁束短絡部材がロータ側に移動するため、磁石と磁束短絡部材とが接近し、磁束の短絡が生じる。また、ロータの回転数が低下した場合は、付勢部材によりカム部材が付勢されてロータから離れるようにケース体側に移動し、移動体の傾斜面がカム部材に沿って摺動することにより、磁束短絡部材がロータの回転停止時の位置に戻るように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第6965705号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のロータでは、カム部材および磁束短絡部材を軸方向に移動させるために、カム部材のカム面と移動子の傾斜面とを摺動させる必要がある。カム部材と移動子とを継続して摺動させる場合には、経時変化により、移動子の傾斜面の傾斜角度とカム部材のカム面の傾斜角度とに差が生じたり、傾斜面の表面粗さとカム面の表面粗さとに差が生じたりするため、移動子がカム部材に沿ってスムーズに摺動することが難しくなる。これに起因して、移動子を移動させるために必要な力が大きくなり、付勢部材の付勢力だけでは、磁束短絡部材(磁性体)を回転時の位置から回転停止時または所定回転数未満の場合の初期位置に移動させることが難しくなる場合がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、回転停止時または所定回転数未満の場合において、磁性体を容易に初期位置に移動させることが可能なロータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるロータは、軸線を中心に回転可能なロータシャフトと、ロータシャフトに固定され、軸方向に延在する永久磁石とを含むロータコアと、軸方向において、ロータコアの端面側に配置されるエンドプレートと、を備え、エンドプレートは、ロータコアに近接するように配置され、回転停止時の軸方向における初期位置と、初期位置よりもロータコアに近い、所定回転数以上の回転時の軸方向における作動位置とに移動可能であって、少なくとも一部が磁性体からなる第1部材と、第1部材よりもロータコアから離れて配置される第2部材と、第1部材と第2部材との間に構成される、液体が流通可能な流路空間と、第1部材を作動位置から初期位置に戻す方向の付勢力または吸引力を第1部材に付与する戻し方向力付与部と、流路空間の一部であって、エンドプレートの径方向外側部に設けられた、液体を溜めるチャンバー部と、を含む。
【0009】
この発明の一の局面によるロータでは、上記のように、エンドプレートは、ロータコアに近接するように配置され、回転停止時の軸方向における初期位置と、初期位置よりもロータコアに近い、所定回転数以上の回転時の軸方向における作動位置とに移動可能であって、少なくとも一部が磁性体からなる第1部材と、第1部材よりもロータコアから離れて配置される第2部材と、第1部材と第2部材との間に構成される、液体が流通可能な流路空間と、第1部材を作動位置から初期位置に戻す方向の付勢力または吸引力を第1部材に付与する戻し方向力付与部と、流路空間の一部であって、エンドプレートの径方向外側部に設けられた、液体を溜めるチャンバー部と、を含む。これによって、ロータの回転により、チャンバー部内の液体に径方向の外側に向かう遠心力がかかる。また、チャンバー部内の外周端に位置する液体は、チャンバー部から径方向外側に流れることができないため、液体にかかっている径方向の遠心力は、軸方向の力に分散される。これにより、ロータの回転数が所定回転数以上になることに伴って遠心力が大きくなり、遠心力に起因するロータコアに向かう軸方向の力が戻し方向力付与部の付勢力または吸引力よりも大きくなった場合に、チャンバー部内の液体によって第1部材がロータコアに向かって押されるため、第1部材がロータコア側に移動するとともに磁性体をロータコアの永久磁石に近づけることができる。また、ロータコアの回転数が所定回転数未満になることに伴って遠心力が小さくなり、遠心力に起因するロータコアに向かう軸方向の力が戻し方向力付与部の付勢力または吸引力よりも小さくなった場合に、戻し方向力付与部により第2部材側に第1部材が付勢されるため、第1部材が初期位置に移動するとともに磁性体をロータコアの永久磁石から離間することができる。また、移動子とカム部材とを設けて、移動子の移動とカム部材の移動とを連携させて磁性体を移動させる場合と異なり、第1部材と第2部材とから構成され、遠心力に起因するロータコアに向かう力、または戻し方向力付与部の付勢力または吸引力によって第1部材を軸方向に移動させるだけで磁性体が移動される。そのため、第1部材に他部材と摺動させる傾斜面を設ける必要がないため、経時変化により第1部材の傾斜面の傾斜角度と他部材の面の傾斜角度とに差が生じたり、第1部材の傾斜面の表面粗さと他部材の表面粗さとに差が生じたりすることがなく、戻し方向力付与部の付勢力または吸引力に抗する力が発生するのを抑制することができる。この結果、戻し方向力付与部の付勢力または吸引力により第1部材を移動させやすくすることができるため、回転停止時または所定回転数未満の場合において、磁性体を容易に初期位置に移動させることができる。
【0010】
上記一の局面によるロータにおいて、好ましくは、磁性体は、第1部材のロータコア側の面に、作動位置に移動した状態で永久磁石と接触可能なように、第1部材に設けられ、戻し方向力付与部は、軸方向と直交する方向において永久磁石とは接触しない離間した位置に配置されている。
(【0011】以降は省略されています)
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