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公開番号2025035279
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023142220
出願日2023-09-01
発明の名称皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の分布の分析方法及び皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の浸透経路の予測方法
出願人株式会社 資生堂,株式会社東レリサーチセンター
代理人個人,個人
主分類G01N 27/62 20210101AFI20250306BHJP(測定;試験)
要約【課題】皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の分布を分析することができる分析方法の提供。
【解決手段】本発明の皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の分布の分析方法は、標識した対象成分を含有する皮膚外用剤と皮膚とを接触させた後、前記皮膚の角層を含む領域の組織片を作製し、前記組織片における角層の深さ方向の断面を露出させた切片を作製し、NanoSIMSを用いて前記切片から検出されたイオンの分布をマッピングする第1のマッピング工程と、前記標識した対象成分を含有する前記皮膚外用剤と皮膚とを接触させた後、前記皮膚からテープストリッピング法で試料を採取し、前記NanoSIMSを用いて前記試料から検出されたイオンの分布をマッピングする第2のマッピング工程と、前記第1のマッピング工程で得られた前記イオンの分布と前記第2のマッピング工程で得られた前記イオンの分布から前記標識した対象成分の分布を判別する判別工程と、を含む。
【選択図】図3A
特許請求の範囲【請求項1】
皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の分布の分析方法であって、
標識した対象成分を含有する前記皮膚外用剤と皮膚とを接触させた後、前記皮膚の角層を含む領域の組織片を作製し、前記組織片における前記角層の深さ方向の断面を露出させた切片を作製し、Nano-SIMSを用いて、前記切片から検出されたイオンの分布をマッピングする第1のマッピング工程と、
前記標識した対象成分を含有する前記皮膚外用剤と皮膚とを接触させた後、前記皮膚からテープストリッピング法で試料を採取し、前記Nano-SIMSを用いて、前記試料から検出されたイオンの分布をマッピングする第2のマッピング工程と、
前記第1のマッピング工程で得られた前記イオンの分布と、前記第2のマッピング工程で得られた前記イオンの分布から、前記標識した対象成分の分布を判別する判別工程と、
を含むことを特徴とする分析方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記対象成分の前記標識が微量同位体である、請求項1に記載の分析方法。
【請求項3】
前記第1のマッピング工程及び前記第2のマッピング工程で検出された前記イオンが、CNイオン、Cイオン、Oイオン、Hイオン、Sイオン、及びPイオンからなる群より選択される少なくともいずれかである、請求項1に記載の分析方法。
【請求項4】
前記判別工程は、前記CNイオン、前記Cイオン、前記Oイオン、前記Hイオン、前記Sイオン、及び前記Pイオンからなる群より選択される少なくともいずれかの前記イオンの分布と、前記対象成分の前記標識に由来するイオンの分布との比較により行う、請求項3に記載の分析方法。
【請求項5】
前記判別工程は、前記皮膚に浸透した前記皮膚外用剤の前記対象成分の相対量を更に判別する、請求項1に記載の分析方法。
【請求項6】
皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の浸透経路の予測方法であって、
標識した対象成分を含有する前記皮膚外用剤と皮膚とを接触させた後、前記皮膚の角層を含む領域の組織片を作製し、前記組織片における前記角層の深さ方向の断面を露出させた切片を作製し、Nano-SIMSを用いて、前記切片から検出されたイオンの分布をマッピングする第1のマッピング工程と、
前記標識した対象成分を含有する前記皮膚外用剤と皮膚とを接触させた後、前記皮膚からテープストリッピング法で試料を採取し、前記Nano-SIMSを用いて、前記試料から検出されたイオンの分布をマッピングする第2のマッピング工程と、
前記第1のマッピング工程で得られた前記イオンの分布と、前記第2のマッピング工程で得られた前記イオンの分布から、前記標識した対象成分の浸透経路を予測する予測工程と、
を含むことを特徴とする予測方法。
【請求項7】
前記対象成分の前記標識が微量同位体である、請求項6に記載の予測方法。
【請求項8】
前記第1のマッピング工程及び前記第2のマッピング工程で検出された前記イオンが、CNイオン、Cイオン、Oイオン、Hイオン、Sイオン、及びPイオンからなる群より選択される少なくともいずれかである、請求項6に記載の予測方法。
【請求項9】
前記予測工程は、前記CNイオン、前記Cイオン、前記Oイオン、前記Hイオン、前記Sイオン、及び前記Pイオンからなる群より選択される少なくともいずれかの前記イオンの分布と、前記対象成分の前記標識に由来するイオンの分布との比較により行う、請求項8に記載の予測方法。
【請求項10】
前記予測工程は、前記皮膚に浸透した前記皮膚外用剤の前記対象成分の相対量を更に判別する、請求項6に記載の予測方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の分布の分析方法及び皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の浸透経路の予測方法に関する。
続きを表示(約 4,700 文字)【背景技術】
【0002】
皮膚外用剤としては、皮膚から全身へ作用するもの、皮膚局所で作用するもの、機能性を有する化粧料などの様々な用途が開発されている。このような皮膚外用剤の有効性や安全性を評価するためには、有効成分の浸透速度、浸透量、浸透経路等の浸透性を分析することが重要である。特に、皮膚局所で作用する皮膚外用剤の場合、例えば、サンスクリーン剤や皮膚保護剤は皮膚表面の有効成分濃度が重要であり、一方、抗菌剤、鎮痒剤、美白作用を有する機能性化粧料は表皮や真皮中の濃度が重要であるなど、用途によって皮膚における作用点が異なることから、有効成分の浸透性の簡便な評価方法が強く望まれている。
【0003】
従来、皮膚における有効成分の浸透性は、主にテープストリッピング法により、皮膚外用剤を塗布した皮膚をテープで剥離し、分析する方法が用いられてきた。しかしながら、この方法は、皮膚表面の角層の評価に留まり、皮膚の内部への浸透性や、浸透経路などの分析は困難であった。
【0004】
これに対し、皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の分布を分析する方法として、皮膚外用剤を皮膚に塗布し、皮膚外用剤が塗布された該皮膚の領域から粘着テープを用いて複数層の角質を剥離し、TOF-SIMSを用いて、該角質が付着した粘着テープから生成したイオンの質量分析を行い、角質が付着した粘着テープから生成した皮膚外用剤の成分、角質細胞及びテープのイオンの分布を平面上にマッピングする分析方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1の分析方法であっても、浸透経路の明確な可視化や皮膚の内部への浸透性の分析は困難であり、更に、皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の定量が難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第6530165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に鑑みて、本発明の一態様は、皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の分布を分析することができる分析方法を提供することを課題とする。また、本発明の別の一態様は、皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の浸透経路を予測することができる予測方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る分析方法の一態様は、皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の分布の分析方法であって、標識した対象成分を含有する前記皮膚外用剤と皮膚とを接触させた後、前記皮膚の角層を含む領域の組織片を作製し、前記組織片における前記角層の深さ方向の断面を露出させた切片を作製し、Nano-SIMSを用いて、前記切片から検出されたイオンの分布をマッピングする第1のマッピング工程と、前記標識した対象成分を含有する前記皮膚外用剤と皮膚とを接触させた後、前記皮膚からテープストリッピング法で試料を採取し、前記Nano-SIMSを用いて、前記試料から検出されたイオンの分布をマッピングする第2のマッピング工程と、前記第1のマッピング工程で得られた前記イオンの分布と、前記第2のマッピング工程で得られた前記イオンの分布から、前記標識した対象成分の分布を判別する判別工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の分布を分析することができる分析方法を提供することができる。また、本発明の別の一態様によれば、皮膚に浸透した皮膚外用剤の成分の浸透経路を予測することができる予測方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、試験例1における、凍結切片試料のCCDカメラ像である。スケールバーは200μmを示す。
図2Aは、試験例1における凍結切片試料の、図1の囲みで示す領域におけるNano-SIMSによるイメージングの
12

14


の分布を示す図である。SCは角層を示し、Epiは表皮を示し、点線はSCとEpiの境界を示す。スケールバーは10μmを示す。
図2Bは、試験例1における凍結切片試料の、図1の囲みで示す領域におけるNano-SIMSによるイメージングの比[
13

15



12

14


]の分布を示す図である。比[
13

15



12

14


]の分布は、トラネキサム酸(TA)の分布を示す。スケールバーは10μmを示す。
図2Cは、試験例1における凍結切片試料の、図1の囲みで示す領域における凍結切片試料のNano-SIMSによるイメージングの比[







]の分布を示す図である。比[







]の分布は、4-メトキシサリチル酸カリウム塩(4MSK)の分布を示す。スケールバーは10μmを示す。
図2Dは、試験例1における凍結切片試料の、図1の囲みで示す領域における凍結切片試料のNano-SIMSによるイメージングの
32


の分布を示す図である。
32


の分布は、主に角化外膜の分布を示す。スケールバーは10μmを示す。
図2Eは、試験例1における凍結切片試料の、図1の囲みで示す領域における凍結切片試料のNano-SIMSによるイメージングの
31


の分布を示す図である。
31


の分布は、主に顆粒層及び有棘層の細胞の分布を示す。スケールバーは10μmを示す。
図3Aは、トラネキサム酸(TA)の分布を示す、図2Bで示す比[
13

15



12

14


]の分布と、主に角化外膜の分布を示す、図2Dで示す
32


の分布を重ねた図である。スケールバーは10μmを示す。
図3Bは、4-メトキシサリチル酸カリウム塩(4MSK)の分布を示す、図2Cで示す比[







]の分布と、主に角化外膜の分布を示す、図2Dで示す
32


の分布を重ねた図である。スケールバーは10μmを示す。
図3Cは、TAの分布を示す、図2Bで示す比[
13

15



12

14


]の分布と、4MSKの分布を示す、図2Cで示す比[







]の分布を重ねた図である。スケールバーは10μmを示す。
図4Aは、試験例1における、剥離角層試料のCCDカメラ像である。スケールバーは200μmを示す。
図4Bは、試験例1における、別の剥離角層試料のCCDカメラ像である。スケールバーは200μmを示す。
図5Aは、試験例1における、剥離角層試料の、図4Aの囲みで示す領域におけるNano-SIMSによるイメージングの



の分布を示す図である。スケールバーは10μmを示す。
図5Bは、試験例1における、剥離角層試料の、図4Aの囲みで示す領域におけるNano-SIMSによるイメージングの
12

14


の分布を示す図である。スケールバーは10μmを示す。
図5Cは、試験例1における、剥離角層試料の、図4Aの囲みで示す領域におけるNano-SIMSによるイメージングの比[
13

15



12

14


]の分布を示す図である。スケールバーは10μmを示す。
図5Dは、試験例1における、剥離角層試料の、図4Aの囲みで示す領域におけるNano-SIMSによるイメージングの比[







]の分布を示す図である。スケールバーは10μmを示す。
図6Aは、試験例1における、別の剥離角層試料の、図4Bの囲みで示す領域におけるNano-SIMSによるイメージングの



の分布を示す図である。スケールバーは10μmを示す。
図6Bは、試験例1における、別の剥離角層試料の、図4Bの囲みで示す領域におけるNano-SIMSによるイメージングの
12

14


の分布を示す図である。スケールバーは10μmを示す。
図6Cは、試験例1における、別の剥離角層試料の、図4Bの囲みで示す領域におけるNano-SIMSによるイメージングの比[
13

15



12

14


]の分布を示す図である。スケールバーは10μmを示す。
図6Dは、試験例1における、別の剥離角層試料の、図4Bの囲みで示す領域におけるNano-SIMSによるイメージングの比[







]の分布を示す図である。スケールバーは10μmを示す。
図7Aは、試験例1における、別の剥離角層試料の、図6Cの囲みで示す領域の拡大図であり、Nano-SIMSによるイメージングの比[
13

15



12

14


]の分布を示す図である。
図7Bは、試験例1における、別の剥離角層試料の、図6Dの囲みで示す領域の拡大図であり、Nano-SIMSによるイメージングの比[







]の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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