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公開番号2025033890
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023139910
出願日2023-08-30
発明の名称無隔膜式アルカリ水電解方法及び無隔膜式アルカリ水電解装置
出願人国立大学法人九州大学
代理人弁理士法人特許事務所サイクス
主分類C25B 1/04 20210101AFI20250306BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】本発明は、アルカリ水を電気分解することで水素を製造する方法において、陽極反応を酸素発生反応からヨウ素酸イオン生成反応へ転換し、アルカリ水電解方法を高効率かつ省電力で行うことを目的とする。
【解決手段】本発明は、ヨウ化物イオンを含み、濃度が1mol/L以上のアルカリ金属水酸化物水溶液を電気分解し、陰極で水素ガスを生成し、陽極でヨウ素酸イオンを生成する、無隔膜式アルカリ水電解方法及び無隔膜式アルカリ水電解装置に関する。
【選択図】図9
特許請求の範囲【請求項1】
ヨウ化物イオンを含み、濃度が1mol/L以上のアルカリ金属水酸化物水溶液を電気分解し、陰極で水素ガスを生成し、陽極でヨウ素酸イオンを生成する、無隔膜式アルカリ水電解方法。
続きを表示(約 730 文字)【請求項2】
前記アルカリ金属水酸化物水溶液は、陰極表面改質剤をさらに含む、請求項1に記載の無隔膜式アルカリ水電解方法。
【請求項3】
前記陰極表面改質剤が、6価クロムイオン、5価バナジウムイオン、6価モリブデンイオン、5価ニオブイオン及び4価チタンイオンよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の無隔膜式アルカリ水電解方法。
【請求項4】
前記陰極表面改質剤が、6価クロムイオンを含む、請求項2に記載の無隔膜式アルカリ水電解方法。
【請求項5】
前記陰極表面改質剤の含有量が0.05mol/L以下である、請求項2に記載の無隔膜式アルカリ水電解方法。
【請求項6】
前記陰極の表面が、陰極表面改質剤由来成分を有する、請求項1に記載の無隔膜式アルカリ水電解方法。
【請求項7】
前記陰極の表面に、クロム、バナジウム、モリブデン、ニオブ及びチタンよりなる群から選択される少なくとも1種を含む水酸化物あるいは酸化物が存在する、請求項1に記載の無隔膜式アルカリ水電解方法。
【請求項8】
前記陰極の表面に、クロムを含む水酸化物あるいは酸化物が存在する、請求項1に記載の無隔膜式アルカリ水電解方法。
【請求項9】
電気分解が30~250℃で行われる、請求項1に記載の無隔膜式アルカリ水電解方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の無隔膜式アルカリ水電解方法で得られたヨウ素酸イオン含有溶液を用いて有価金属を酸化浸出させることを含む、有価金属回収方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、無隔膜式アルカリ水電解方法及び無隔膜式アルカリ水電解装置に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
水素は燃焼時に二酸化炭素を発生しないため、カーボンニュートラル達成のためのクリーンエネルギーである。例えば、水素は、自動車や航空機の燃料、燃料電池など発電用燃料として利用できるため、各方面から注目されている。従来、水素は工業的に製造されており、例えば、触媒を用いて化石燃料を改質する方法や製鉄所や化学工場などからの副生ガスを分離・精製する方法、バイオマスから発生するバイオガスから水素を取り出す方法、水を電気分解する方法等が知られている。
【0003】
化石燃料を用いた水素製造方法は水素だけでなく二酸化炭素も製造されるため、カーボンニュートラルの観点から望ましくない。また、製鉄所や化学工場などからの副生ガスを分離・精製する方法では、水素の製造量がメインの生産物の製造量に依存しているため、水素の製造に関して安定性に欠く。バイオガスから水素を製造する方法では、供給地が限定されてしまうため、輸送コスト等がかさむといった問題がある。このため、水(アルカリ水)を電気分解することで、水素を安価で、かつ安定的に製造する技術の確立が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、水素を製造するための電気化学的システム及び方法が記載されている。特許文献1では、標準酸化電位が水よりも高い(すなわち容易に酸化される)酸化基質から陽極液(anolyte)が成る電気化学的セルを使用した水素の製造装置および製造方法が提案されている。また、特許文献2には、海水や塩水を電解する無隔膜電解装置が開示されており、電極板へのスケール付着が起こり難い電解液フローパターンを実現する構造が開示されている。
【0005】
水素を製造するために、水(アルカリ水)を電気分解する方法では、それぞれの電極における反応は以下のとおりである。
陽極(アノード):2OH

→1/2O

+H

O+2e

陰極(カソード):2H

O+2e

→2OH

+H

陰極で生成した水素は回収され、各種用途に利用されるが、陽極で副生物として発生した酸素は、主に大気中に放出されるのみであり、工業的価値が低い。
【0006】
このため、水の電気分解をすることで酸素に代えて次亜塩素酸ナトリウムを生成し、次亜塩素酸ナトリウムを殺菌剤として活用する方法も提案されている。例えば、特許文献3には、食塩水を無隔膜電解槽で電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成する方法が開示されている。また、特許文献4には、塩素酸塩の電解製造方法が開示されており、次亜塩素酸イオンと3価クロムイオンの反応により6価クロムイオンを生成し、生成した6価クロムイオンを電解操作に利用する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際公開第2012/097167号
特開昭59-24193号公報
特開昭57-1593号公報
特開平1-22356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、陽極反応を酸素発生反応から他の副生物に転換することができれば、水素製造方法において副生物の有効利用が可能となる。例えば、次亜塩素酸ナトリウム以外の副生物を生成でき、その副生物の有効活用ができれば水素製造の普及や改良に寄与する。また、水素社会の実装化を達成するためには、アルカリ水の電解装置の簡略化や小型化に加えて、アルカリ水電解の高効率化及び省電力化も求められている。
【0009】
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、アルカリ水を電気分解することで水素を製造する方法において、陽極反応を酸素発生反応からヨウ素酸イオン生成反応へ転換し、アルカリ水電解方法を高効率かつ省電力で行うことを目的として検討を進めた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の具体的な態様の例を以下に示す。
(【0011】以降は省略されています)

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