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公開番号
2025042768
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-28
出願番号
2023149889
出願日
2023-09-15
発明の名称
固体電解質、積層体、及び、燃料電池
出願人
国立大学法人九州大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
H01B
1/06 20060101AFI20250321BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】中温度域において、優れたプロトン拡散性能を発揮し得る固体電解質を提供すること。
【解決手段】本開示の一側面は、一般式:AMaO
3―δ
で表される母結晶と、上記母結晶におけるMaの一部を置換固溶する元素Mbとを有する、ペロブスカイト型の結晶構造を有する固体電解質であって、上記母結晶は、AMaO
3―δ
で表されるペロブスカイト結晶に対してMbを固溶させた際の結晶格子体積の変化とMbの置換固溶割合との関係を示すグラフにおける傾きを∇aとし、上記ペロブスカイト結晶のδを酸素原子で充填させたAMaO
3
で表される結晶に対して、Mbを固溶させた際の結晶格子体積の変化とMbの置換固溶割合との関係を示すグラフにおける傾きを∇bとしたときに、|∇a|/|∇b|の値が、0超1.568未満となる結晶である、固体電解質を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
一般式:AMaO
3―δ
(一般式中、Aはペロブスカイト構造におけるAサイト元素を示し、Maはペロブスカイト構造におけるBサイト元素を示し、δは3未満の値である)で表される母結晶と、前記母結晶におけるMaの一部を置換固溶する元素Mbとを有する、ペロブスカイト型の結晶構造を有する固体電解質であって、
前記母結晶は、
AMaO
3―δ
で表されるペロブスカイト結晶に対してMbを固溶させた際の結晶格子体積の変化とMbの置換固溶割合との関係を示すグラフにおける傾きを∇aとし、
前記ペロブスカイト結晶のδを酸素原子で充填させたAMaO
3
で表される結晶に対して、Mbを固溶させた際の結晶格子体積の変化とMbの置換固溶割合との関係を示すグラフにおける傾きを∇bとしたときに、
|∇a|/|∇b|の値が、0超1.568未満となる結晶である、固体電解質。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記Aのイオン半径をr
A
とし、前記Ma及び前記Mbのイオン半径の元素の存在比に基づく加重平均値をr
M
としたときに、(r
M
/r
A
)+Cの値が0.24~0.54であり、前記CはC=0.55×r
A
-0.89で表される、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項3】
結晶格子体積が70.678×10
-3
nm
3
以上85.052×10
-3
nm
3
以下である、請求項1又は2に記載の固体電解質。
【請求項4】
プロトン伝導度が1.0×10
-3
Scm
-1
以上である、請求項1又は2に記載の固体電解質。
【請求項5】
前記Aは、Ba、Sr、Ca、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Li、Na、K、Rb、Cs、及びMgからなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記Ma及び前記Mbは、それぞれ、Ti、Zr、Hf、Sn、Pb、Bi、Si、Ge、Ga、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Y、Lu、In、Sc、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Sb、Mg、Al、As、及びReからなる群より選択される少なくとも一種である、
請求項1又は2に記載の固体電解質。
【請求項6】
一般式:BaSn
1-y
Sc
y
O
3-δ
(yは0.2~0.7の値を示し、δは0.2~3の値を示す)、一般式:BaTi
1-y
Sc
y
O
3-δ
(yは0.2~0.8の値を示し、δは0~3の値を示す)、又は一般式:BaTi
1-y-x
Sn
y
Sc
x
O
3-δ
(yは0.05~0.15の値を示し、xは0.2~0.8の値を示し、δは0~3の値を示す)で表される、請求項1又は2に記載の固体電解質。
【請求項7】
第一の電極と、前記第一の電極上に設けられた電解質膜と、前記電解質膜の前記第一の電極側とは反対側に設けられた第二の電極と、を備え、
前記電解質膜が、請求項1又は2に記載の固体電解質を含む、積層体。
【請求項8】
請求項7に記載の積層体を備える、燃料電池。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体電解質、積層体、及び、燃料電池に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)
【背景技術】
【0002】
燃料電池は電解質の種類に応じて、アルカリ電解質型燃料電池、リン酸塩型燃料電池、固体高分子型燃料電池、及び固体酸化物型燃料電池等が知られている。なかでも固体酸化物型燃料電池は、白金等の高価な触媒を使用せず、発電効率も高いことから特に注目されている。
【0003】
しかし、固体酸化物型燃料電池の一般的な動作温度は700~1000℃と高温であり、動作させるために予備加熱が必要であること、燃料電池の構成材料に耐久性が求められることなどの事情によって普及していない。そこで、動作温度を低下させるため、電解質であるプロトン伝導性酸化物としてペロブスカイト構造を有する酸化物を用いる検討が行われている。例えば、特許文献1には、イットリウム添加ジルコン酸バリウムから形成される固体電解質積層体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2013-206703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、300~400℃程度の中温度域において、優れたプロトン拡散性能を発揮し得る固体電解質を提供することを目的とする。本開示はまた、上述のような固体電解質を備える積層体を提供することを目的とする。本開示はまた、中温度域での動作に優れる燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
固体電解質におけるプロトンの拡散は、一般式AMaO
3
で示されるペロブスカイト型の結晶における酸素原子周りの電子雲を順次ホッピングしていくことで行われると考えられる。そして、この移動の際にプロトンが感じるエネルギー障壁を低下させることで、プロトンの拡散性能を制御できると考えられる。本発明者らは検討によって、上記エネルギー障壁を低下させるための一手段として、結晶内に酸素空孔を有するAMaO
3-δ
で示されるペロブスカイト結晶に添加元素(Mb)を固溶させていった場合の結晶格子体積の変化と、酸素空孔が充填されたAMaO
3
で示される結晶に対してMbを固溶させていった場合の結晶格子体積の変化との挙動が類似するような結晶を母結晶として用いること、より具体的には、AMaO
3-δ
で示されるペロブスカイト結晶と、AMaO
3
で示されるペロブスカイト結晶(ここでは、AMaO
3-δ
とAMaO
3
とで、酸素空孔の他、構成する元素種、組成は一致するものとする)とを想定し、縦軸を各結晶の結晶格子体積とし、横軸を元素Mbの添加割合とし、結晶格子体積とMbの添加割合との関係をプロットしたグラフにおける結晶格子体積の変化率(すなわち、傾き)の比を取った場合に、その値が所定値未満となるような結晶を母体結晶として用いることが重要であるとの新たな知見を見出した。さらに、Mbの添加量を変化させたときの上記結晶格子体積の変化率が、酸素空孔の有無に寄らず同様の傾向を示すことが、プロトン拡散の活性化エネルギーの減少及びプロトン拡散係数の上昇によく対応することも見出した。本開示は、これらの新たな知見に基づいてなされたものである。なお、上記結晶格子体積の変化は、ペロブスカイト結晶中の単位格子の格子長さの変化と関係し、この格子長さの変化が小さいということは、Mbの添加によっても単位格子に大きな変化を生じさせずに、Mb添加による環境変化を吸収できるといえ、柔軟性に優れる結晶ということもできる。
【0007】
本開示の一側面は、以下の[1]を提供する。
[1]
一般式:AMaO
3―δ
(一般式中、Aはペロブスカイト構造におけるAサイト元素を示し、Maはペロブスカイト構造におけるBサイト元素を示し、δは3未満の値である)で表される母結晶と、前記母結晶におけるMaの一部を置換固溶する元素Mbとを有する、ペロブスカイト型の結晶構造を有する固体電解質であって、
前記母結晶は、
AMaO
3―δ
で表されるペロブスカイト結晶に対してMbを固溶させた際の結晶格子体積の変化とMbの置換固溶割合との関係を示すグラフにおける傾きを∇aとし、
前記ペロブスカイト結晶のδを酸素原子で充填させたAMaO
3
で表される結晶に対して、Mbを固溶させた際の結晶格子体積の変化とMbの置換固溶割合との関係を示すグラフにおける傾きを∇bとしたときに、
|∇a|/|∇b|の値が、0超1.568未満となる結晶である、固体電解質。
【0008】
母結晶が硬質な場合は上記|∇a|/|∇b|の値が大きく、すなわち、Mbの添加によってプロトンが移動する際のエネルギー障壁が大きく変化する。これに対して、上記固体電解質は、母結晶について上記|∇a|/|∇b|の値が上記所定の範囲内となるもとなっている。このような構成を有する固体電解質は、酸素周りの電子雲の重なりによって生じるポテンシャル場において、プロトンが移動する際のエネルギー障壁が小さなものとなっている。これによって、上記固体電解質はプロトン拡散性能に優れる固体電解質となり得る。
【0009】
本開示の一側面は、以下の[2]~[9]を提供する。
【0010】
[2]
一般式:A(Ma
1-y
Mb
y
)O
3―δ
(yは0超1以下の値であり、δは3未満の値である)で表される、[1]に記載の固体電解質。
[3]
前記Aのイオン半径をr
A
とし、前記Ma及び前記Mbのイオン半径の元素の存在比に基づく加重平均値をr
M
としたときに、(r
M
/r
A
)+Cの値が0.24~0.54であり、前記CはC=0.55×r
A
-0.89で表される、[1]又は[2]に記載の固体電解質。
[4]
結晶格子体積が70.678×10
-3
nm
3
以上85.052×10
-3
nm
3
以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の固体電解質。
[5]
プロトン伝導度が1.0×10
-3
Scm
-1
以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の固体電解質。
[6]
前記Aは、Ba、Sr、Ca、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Li、Na、K、Rb、Cs、及びMgからなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記Ma及び前記Mbは、それぞれ、Ti、Zr、Hf、Sn、Pb、Bi、Si、Ge、Ga、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Y、Lu、In、Sc、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Sb、Mg、Al、As、及びReからなる群より選択される少なくとも一種である、
[1]~[5]のいずれかに記載の固体電解質。
[7]
一般式:BaSn
1-y
Sc
y
O
3-δ
(yは0.2~0.7の値を示し、δは0.2~3の値を示す)、一般式:BaTi
1-y
Sc
y
O
3-δ
(yは0.2~0.8の値を示し、δは0~3の値を示す)、又は一般式:BaTi
1-y-x
Sn
y
Sc
x
O
3-δ
(yは0.05~0.15の値を示し、xは0.2~0.8の値を示し、δは0~3の値を示す)で表される、[1]~[6]のいずれかに記載の固体電解質。
[8]
第一の電極と、前記第一の電極上に設けられた電解質膜と、前記電解質膜の前記第一の電極側とは反対側に設けられた第二の電極と、を備え、
前記電解質膜が、請求項1~7のいずれか一項に記載の固体電解質を含む、積層体。
[9]
[8]に記載の積層体を備える、燃料電池。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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