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公開番号2025015087
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-30
出願番号2023118210
出願日2023-07-20
発明の名称放射線検出装置、放射性核種検出装置、放射性核種分布測定方法
出願人国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
代理人個人,個人,個人
主分類G01T 1/22 20060101AFI20250123BHJP(測定;試験)
要約【課題】放射線を検出することによって放射性核種の分布を認識する際に、この放射線のエネルギーに関する情報も認識することによって、複数の放射性核種が混在している場合でも、特定の放射性核種を検出する。
【解決手段】液体ライトガイド10の両端には、それぞれ端部で光を検出する光検出器21A、21Bが設けられる。MCA26で、液体ライトガイド10に荷電粒子が入射した際における1回の発光に対する、光検出器21A、21Bにおける検出タイミングの時間差を認識することができる。放射線検出装置1によって得られた検出強度分布においては、両端部側に第2の検出光(端面での反射を経た光)に基づく反射ピークが形成され、これらの間に第1の検出光(端面での反射を経ない光)に基づく非反射ピークが形成される。荷電粒子に起因するチェレンコフ光を検出する場合には、これらのピークの強度比は荷電粒子のエネルギーによって変化する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
入射した荷電粒子によって発生したチェレンコフ光を検出することによって前記荷電粒子を検出する放射線検出器であって、
前記チェレンコフ光である光を発生させ、当該光を長手方向における両端部の側にそれぞれ伝搬させると共に、前記両端部の各々の端面で当該光の一部を反射させる導光部材と、
前記導光部材中において前記チェレンコフ光の発生箇所から前記端面で反射されずに前記両端部のうちのいずれかに達した光である第1の検出光、及び前記発生箇所から前記端面での反射を経て前記両端部のうちのいずれかに達した光である第2の検出光を、前記導光部材の前記両端部の側の各々でそれぞれ検出する第1の光検出器、第2の光検出器と、
前記第1の光検出器と前記第2の光検出器における光検出の組み合わせの時間差を前記導光部材の前記長手方向における位置に対応させ、前記組み合わせのカウント数の前記位置に対する依存性の測定結果であり、前記第1の検出光に起因して前記両端部側以外で形成されるピークである非反射ピークと、前記第2の検出光に起因して前記両端部側で形成されるピークである反射ピークと、を有する検出強度分布を認識し、当該検出強度分布より、エネルギーの異なる前記荷電粒子を区別して検出する解析部と、
を具備することを特徴とする放射線検出装置。
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
前記導光部材でチェレンコフ光を発生させる前記荷電粒子はγ線により生成されたコンプトン電子であり、前記解析部は、前記荷電粒子を検出することにより前記γ線を検出することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
測定対象領域における、荷電粒子である放射線又は荷電粒子を発生させる放射線を発する放射性核種を検出する放射性核種検出装置であって、
請求項1に記載の放射線検出装置を用い、
前記導光部材は前記測定対象領域に敷設され、
前記解析部は、前記検出強度分布より、当該測定対象領域における測定対象となる放射性核種の存在を、他の放射性核種から区別して認識することを特徴とする放射性核種検出装置。
【請求項4】
前記解析部は、前記測定対象となる放射性核種の前記測定対象領域内における分布を、前記導光部材の前記長手方向に沿った分布として認識することを特徴とする請求項3に記載の放射性核種検出装置。
【請求項5】
前記解析部は、
エネルギーの異なる前記荷電粒子を発生させる2種類の核種を前記測定対象となる放射性核種として設定し、
前記導光部材の前記長手方向における位置を、両端部側の各々に対応した領域を含む3つ以上の区間に区分し、
前記2種類の核種の各々が各前記区間の各々に存在した場合の前記検出強度分布である参照用検出強度分布における各前記区間におけるカウント数より算出された応答係数を用い、前記測定対象領域に対して得られた前記検出強度分布より、前記2種類の核種の各々の前記導光部材の前記長手方向に沿った分布を認識することを特徴とする請求項4に記載の放射性核種検出装置。
【請求項6】
前記解析部は、前記検出強度分布において、前記導光部材の長手方向における両端側のピークとして前記反射ピークを、前記長手方向における中央側のピークとして前記非反射ピークをそれぞれ認識し、前記反射ピークと前記非反射ピークの強度比から、前記測定対象領域における前記測定対象となる放射性核種の存在を、前記他の放射性核種から区別して認識することを特徴とする請求項3に記載の放射性核種検出装置。
【請求項7】
前記測定対象となる放射性核種には
90
Sr又は
90
Yが含まれることを特徴とする請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載の放射性核種検出装置。
【請求項8】
前記2種類の核種は、それぞれ
90
Sr又は
90
Y、
137
Csであることを特徴とする請求項5に記載の放射性核種検出装置。
【請求項9】
入射した荷電粒子によって発生したチェレンコフ光を検出することによって前記荷電粒子である放射線、又は前記荷電粒子を発生させる放射線を検出し、前記放射線を発し測定対象となる放射性核種を、他の放射性核種と区別して測定対象領域内における分布を測定する放射性核種分布測定方法であって、
前記チェレンコフ光である光を発生させ、当該光を長手方向における両端部の側にそれぞれ伝搬させると共に、前記両端部の各々の端面で当該光の一部を反射させる導光部材を前記測定対象領域に敷設し、
前記導光部材中において前記チェレンコフ光の発生箇所から前記端面で反射されずに前記両端部のうちの一方に達した光である第1の検出光、及び前記発生箇所から前記端面での反射を経て前記両端部のうちの一方に達した光である第2の検出光を、前記導光部材の前記両端部の側の各々でそれぞれ検出する第1の光検出器、第2の光検出器を用い、
前記第1の光検出器と前記第2の光検出器における光検出の組み合わせの時間差を前記導光部材の前記長手方向における位置に対応させ、前記組み合わせのカウント数の前記位置に対する依存性の測定結果であり、前記第1の検出光に起因して両端部側以外で形成されるピークである非反射ピークと、前記第2の検出光に起因して両端部側で形成されるピークである反射ピークと、を有する検出強度分布を認識し、
前記検出強度分布より、前記測定対象となる放射性核種の分布を、前記他の放射性核種の分布と分離して認識することを特徴とする、放射性核種分布測定方法。
【請求項10】
前記導光部材の前記長手方向における位置を、両端部側の各々に対応した領域を含む3つ以上の区間に区分し、
前記測定対象となる放射性核種と前記他の放射性核種の各々が各前記区間の各々に存在した場合の前記検出強度分布である参照用検出強度分布における各前記区間におけるカウント数より算出された応答係数を用い、前記測定対象領域に対して得られた前記検出強度分布より、前記測定対象となる放射性核種と前記他の放射性核種の各々の前記導光部材の前記長手方向に沿った分布を認識することを特徴とする請求項9に記載の放射性核種分布測定方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線強度を測定する放射線検出装置、これを用いた放射性核種検出装置、放射性核種分布測定方法に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
放射線を発する核種の空間分布を測定する技術は、放射性物質で汚染された環境を評価する上で重要である。このための技術として、非特許文献1には、シンチレータとして機能する光ファイバーや液体ライトガイドを敷設し、その両端部でそれぞれ発光を検出し、その受光タイミングの時間差より発光位置(放射線の入射位置)を算出する技術が記載されている。この技術においては、測定対象となる領域において所望の形態で光ファイバー等を敷設することができるため、これによって放射線を発した核種の1次元、2次元分布を測定することができる。
【0003】
放射線の線量が低い場合には、この技術によって放射線の入射位置を正確に算出できるが、線量が高い場合には、検出される発光の数が多くなり、時間差を検出すべき発光出力の組み合わせの特定が困難となるため、放射線の入射位置を正確に算出することが困難となった。これに対して、特許文献1には、光ファイバーの端部に設けられた分光器でその発光のスペクトルを測定することによって、放射線の入射位置を認識する技術が記載されている。この技術においては、線量が高い場合でも、放射線を発した核種の分布を測定することができる。
【0004】
これらの技術においては、単純な装置構成で、放射線を発した核種(放射性核種)の空間分布を測定することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
M.Hayashi、J.Kawarabayashi、K.Asai、H.Iwai、Yuri Nakagawa、and T.Iguchi、「Position-Sensitive Radiation Detector with Flexible Light Guide and Liquid Organic Scintillator to Monitor Distributions of Radioactive Isotopes」、Journal of Nuclear Science and Technology、 Vol.45(sup.6)、p.81(2008年)
【特許文献】
【0006】
特開2021-32627号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の技術においては、発光位置を認識することによって、放射線核種の位置(空間分布)を測定することができる。一方、この放射性核種が何であるかを特定する、あるいは特定の放射性核種の分布を他の放射性核種と区別して測定する際には、検出された放射線のエネルギーに関する情報が必要である。上記の技術においては、放射線(あるいはこれを発した核種)の分布を測定すると同時に、この放射線のエネルギーに関する情報を得ることは困難であった。
【0008】
このため、放射線を検出することによって放射性核種の分布を認識する際に、この放射線のエネルギーに関する情報も認識することによって、複数の放射性核種が混在している場合でも、特定の放射性核種を検出することができる技術が望まれた。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の放射線検出装置は、入射した荷電粒子によって発生したチェレンコフ光を検出することによって前記荷電粒子を検出する放射線検出器であって、前記チェレンコフ光である光を発生させ、当該光を長手方向における両端部の側にそれぞれ伝搬させると共に、前記両端部の各々の端面で当該光の一部を反射させる導光部材と、前記導光部材中において前記チェレンコフ光の発生箇所から前記端面で反射されずに前記両端部のうちのいずれかに達した光である第1の検出光、及び前記発生箇所から前記端面での反射を経て前記両端部のうちのいずれかに達した光である第2の検出光を、前記導光部材の前記両端部の側の各々でそれぞれ検出する第1の光検出器、第2の光検出器と、前記第1の光検出器と前記第2の光検出器における光検出の組み合わせの時間差を前記導光部材の前記長手方向における位置に対応させ、前記組み合わせのカウント数の前記位置に対する依存性の測定結果であり、前記第1の検出光に起因して前記両端部側以外で形成されるピークである非反射ピークと、前記第2の検出光に起因して前記両端部側で形成されるピークである反射ピークと、を有する検出強度分布を認識し、当該検出強度分布より、エネルギーの異なる前記荷電粒子を区別して検出する解析部と、を具備することを特徴とする。
本発明の放射線検出装置において、前記導光部材でチェレンコフ光を発生させる前記荷電粒子はγ線により生成されたコンプトン電子であり、前記解析部は、前記荷電粒子を検出することにより前記γ線を検出することを特徴とする。
本発明の放射性核種検出装置は、測定対象領域における、荷電粒子である放射線又は荷電粒子を発生させる放射線を発する放射性核種を検出する放射性核種検出装置であって、前記放射線検出装置を用い、前記導光部材は前記測定対象領域に敷設され、前記解析部は、前記検出強度分布より、当該測定対象領域における測定対象となる放射性核種の存在を、他の放射性核種から区別して認識することを特徴とする。
本発明の放射性核種検出装置において、前記解析部は、前記測定対象となる放射性核種の前記測定対象領域内における分布を、前記導光部材の前記長手方向に沿った分布として認識することを特徴とする。
本発明の放射性核種検出装置において、前記解析部は、エネルギーの異なる前記荷電粒子を発生させる2種類の核種を前記測定対象となる放射性核種として設定し、前記導光部材の前記長手方向における位置を、両端部側の各々に対応した領域を含む3つ以上の区間に区分し、前記2種類の核種の各々が各前記区間の各々に存在した場合の前記検出強度分布である参照用検出強度分布における各前記区間におけるカウント数より算出された応答係数を用い、前記測定対象領域に対して得られた前記検出強度分布より、前記2種類の核種の各々の前記導光部材の前記長手方向に沿った分布を認識することを特徴とする。
本発明の放射性核種検出装置において、前記解析部は、前記検出強度分布において、前記導光部材の長手方向における両端側のピークとして前記反射ピークを、前記長手方向における中央側のピークとして前記非反射ピークをそれぞれ認識し、前記反射ピークと前記非反射ピークの強度比から、前記測定対象領域における前記測定対象となる放射性核種の存在を、前記他の放射性核種から区別して認識することを特徴とする。
本発明の放射性核種検出装置において、前記測定対象となる放射性核種には
90
Sr又は
90
Yが含まれることを特徴とする。
本発明の放射性核種検出装置において、前記2種類の核種は、それぞれ
90
Sr又は
90
Y、
137
Csであることを特徴とする。
本発明の放射性核種分布測定方法は、入射した荷電粒子によって発生したチェレンコフ光を検出することによって前記荷電粒子である放射線、又は前記荷電粒子を発生させる放射線を検出し、前記放射線を発し測定対象となる放射性核種を、他の放射性核種と区別して測定対象領域内における分布を測定する放射性核種分布測定方法であって、前記チェレンコフ光である光を発生させ、当該光を長手方向における両端部の側にそれぞれ伝搬させると共に、前記両端部の各々の端面で当該光の一部を反射させる導光部材を前記測定対象領域に敷設し、前記導光部材中において前記チェレンコフ光の発生箇所から前記端面で反射されずに前記両端部のうちの一方に達した光である第1の検出光、及び前記発生箇所から前記端面での反射を経て前記両端部のうちの一方に達した光である第2の検出光を、前記導光部材の前記両端部の側の各々でそれぞれ検出する第1の光検出器、第2の光検出器を用い、前記第1の光検出器と前記第2の光検出器における光検出の組み合わせの時間差を前記導光部材の前記長手方向における位置に対応させ、前記組み合わせのカウント数の前記位置に対する依存性の測定結果であり、前記第1の検出光に起因して両端部側以外で形成されるピークである非反射ピークと、前記第2の検出光に起因して両端部側で形成されるピークである反射ピークと、を有する検出強度分布を認識し、前記検出強度分布より、前記測定対象となる放射性核種の分布を、前記他の放射性核種の分布と分離して認識することを特徴とする。
本発明の放射性核種分布測定方法は、前記導光部材の前記長手方向における位置を、両端部側の各々に対応した領域を含む3つ以上の区間に区分し、前記測定対象となる放射性核種と前記他の放射性核種の各々が各前記区間の各々に存在した場合の前記検出強度分布である参照用検出強度分布における各前記区間におけるカウント数より算出された応答係数を用い、前記測定対象領域に対して得られた前記検出強度分布より、前記測定対象となる放射性核種と前記他の放射性核種の各々の前記導光部材の前記長手方向に沿った分布を認識することを特徴とする。
本発明の放射性核種分布測定方法において、前記測定対象となる放射性核種、前記他の放射性核種は、それぞれ
90
Sr又は
90
Y、
137
Csであることを特徴とする。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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