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公開番号2025001054
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-08
出願番号2021187729
出願日2021-11-18
発明の名称眼内抗炎症剤
出願人国立大学法人東北大学
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類A61K 45/00 20060101AFI20241225BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】眼内組織における過剰な炎症を抑制することができる、眼内抗炎症剤を提供することを課題とする。
【解決手段】 ERK活性化剤を含有する、眼内抗炎症剤。また、一般式(1)及び一般式(2)で表される活性イオウ分子、並びに前記活性イオウ分子の誘導体からなる群より選択される1種以上を含有する、眼内抗炎症剤。
R1S(S)nH ・・・(1)
(上記式(1)中、R1はL-システイン(Cys)、ホモシステイン(HCys)またはグルタチオン(GSH)であって、チオール基以外の部分を表す。nは1以上の整数である。)
R2S(S)n+1R3 ・・・(2)
(上記式(2)中、R2及びR3は、独立してL-システイン(Cys)、ホモシステイン(HCys)またはグルタチオン(GSH)であって、チオール基以外の部分を表す。nは1以上の整数である。)
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
ERK活性化剤を含有する、眼内抗炎症剤。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記ERK活性化剤が一般式(1)及び一般式(2)で表される活性イオウ分子、前記活性イオウ分子の誘導体、C6-ceramide、並びにC16-PAFからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の眼内抗炎症剤。


S(S)

H ・・・(1)
(上記式(1)中、R

はホモシステイン(HCys)またはグルタチオン(GSH)であって、チオール基以外の部分を表す。nは1以上の整数である。)


S(S)
n+1


・・・(2)
(上記式(2)中、R

及びR

は、独立してホモシステイン(HCys)またはグルタチオン(GSH)であって、チオール基以外の部分を表す。nは1以上の整数である。)
【請求項3】
前記活性イオウ分子が、グルタチオンパースルフィドを含有する、請求項2に記載の眼内抗炎症剤。
【請求項4】
前記ERK活性化剤の前記眼内抗炎症剤における濃度が0.0005μM~1500μMである、請求項1~3のいずれか1項に記載の眼内抗炎症剤。
【請求項5】
前記ERK活性化剤の前記眼内抗炎症剤における濃度が0.015μM~50μMである、請求項1~3のいずれか1項に記載の眼内抗炎症剤。
【請求項6】
前記ERK活性化剤の前記眼内抗炎症剤における濃度が0.5μM~50μMである、請求項1~3のいずれか1項に記載の眼内抗炎症剤。
【請求項7】
一般式(1)及び一般式(2)で表される活性イオウ分子、並びに前記活性イオウ分子の誘導体からなる群より選択される1種以上を含有する、眼内抗炎症剤。


S(S)

H ・・・(1)
(上記式(1)中、R

はホモシステイン(HCys)またはグルタチオン(GSH)であって、チオール基以外の部分を表す。nは1以上の整数である。)


S(S)
n+1


・・・(2)
(上記式(2)中、R

及びR

は、独立してホモシステイン(HCys)またはグルタチオン(GSH)であって、チオール基以外の部分を表す。nは1以上の整数である。)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、眼内抗炎症剤に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
組織への外的侵襲や代謝の異常により生体恒常性に異常が生じると、炎症性サイトカインなどが放出され、炎症が引き起こされる。グリア細胞は末梢組織において炎症反応を調節することが知られており、網膜では、網膜色素上皮(RPE)細胞や主要なグリア細胞であるミュラー細胞、ミクログリアが炎症反応を調節する機能を有する。例えば、RPE細胞が炎症惹起シグナルを受容すると、インターロイキン(IL)-1β、IL-6、CCL2などの炎症性サイトカインの発現が促され、炎症反応が増強される。
【0003】
しかしながら、過剰な炎症は網膜組織に重大な損傷を与えることがある。例えば、加齢に伴う網膜変性疾患は、RPE細胞による炎症性サイトカインの過剰放出を一つのきっかけとして引き起こされる。また、糖尿病患者は代謝の異常によりしばしば網膜に過度の炎症が生じ、糖尿病網膜症を発症する。
【0004】
ところで、眼科手術には眼内灌流液が用いられる。眼内灌流液としては、グルタチオン誘導体を含有する眼内灌流液が開発されており、カルシウムの沈殿を効果的に抑制し、極めて安定な眼内灌流液であるとされている(特許文献1参照)。
また、アスコルビン酸とトコフェロールとのリン酸ジエステルを含有する眼内灌流液も開発されており、角膜細胞の保護に優れ、眼科手術を安全に行うことができるとされている(特許文献2参照)。
【0005】
一方で、活性イオウ分子であるシステインパースルフィド(CysSSH)は、生体内では、主たるCysSSH産生酵素であるシステインtRNA合成酵素(CARS)によって生合成されることが報告されている。また、CysSSHは、さらに、グルタチオンパースルフィド(GSSH)などの様々な活性イオウに変換され、ミトコンドリアのエネルギー代謝調節機能や抗酸化活性を発揮することが知られている。
【0006】
一般にCysSSHは、このような特殊な酵素の触媒活性を担う不安定な代謝中間体として認識されていたところ、近年CysSSHなどの活性イオウ分子が、生体内で高い抗酸化活性やレドックスシグナルの制御機能を発揮していることが見出された(非特許文献1参照)。また、活性イオウ分子を眼内灌流液に含ませることにより、手術侵襲由来の酸化ストレスを十分に抑制することが可能となることが見出された(特許文献3)。また、上記の通り活性イオウ分子は生体内に存在することから、当該眼内灌流液は、眼内での親和性が高く、安全性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平7-97331号公報
特開平7-10701号公報
国際公開第2017/057768号
【非特許文献】
【0008】
Ida, T. et al. Reactive cysteine persulfides and S-polythiolation regulate oxidative stress and redox signaling. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2014, doi: 10.1073 / pnas.1321232111
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らの検討により、過剰な炎症は上述したような疾患のみでなく、白内障治療、角膜移植、硝子体手術などの眼科手術においても問題となることが明らかとなってきた。具体的には、眼科手術での長時間にわたる眼内灌流下での眼内操作等により、各眼内組織に炎症が引き起こされ、角膜混濁、水晶体混濁、網膜細胞死などが生じた結果、眼科手術後に視力が低下する場合があると考えられる。
【0010】
眼内灌流液として、特許文献1及び2等の眼内灌流液が開発されているが、これらの眼内灌流液を用いた場合も、眼科手術後に視力低下をきたす症例が存在する。本発明は、このような問題を解決するものであり、眼内組織における過剰な炎症を抑制することができる、眼内抗炎症剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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