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公開番号
2024175668
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-18
出願番号
2024088576
出願日
2024-05-31
発明の名称
グリッパ駆動系用の診断装置を備えたグリッパ織機
出願人
イテマ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
,
ITEMA S.p.A.
代理人
個人
,
個人
主分類
D03D
47/27 20060101AFI20241211BHJP(織成)
要約
【課題】グリッパ駆動系を備えたグリッパ織機で、グリッパ駆動系の性能を継続的に監視し、グリッパ駆動系のあらゆる可能性のある異常を報告することが可能な診断装置を提供する。
【解決手段】グリッパ駆動系G用の診断装置を備えたグリッパ織機は、織機のグリッパの往復直線運動を引き起こす歯付きクラウンCの近傍に配置された検出装置Mと、制御ソフトウェアとを含み、検出装置は、織機の動作中に回転する歯付きクラウンの物理的形状に相関するパラメータを検出するように構成されており、制御ソフトウェアは、歯付きクラウンの電子プロファイルを構築するステップと、グリッパ駆動系の通常の動作と比較して、電子プロファイルの生じ得る異常を検出するステップと、電子プロファイルの検出された異常と、グリッパ駆動系の少なくとも1つの特定の構成要素の対応する異常との相関関係を生じさせるステップと、対応する警告信号を生成するステップとを実行する。
【選択図】図5
特許請求の範囲
【請求項1】
グリッパ駆動系(G)用の診断装置を備えたグリッパ織機であって、
前記グリッパ駆動系(G)は、織機のメインモータの回転運動を歯車(D)の支持シャフト(A)の往復回転運動に変換する運動学的な機構を含み、
前記往復回転運動が前記織機のグリッパの往復直線運動を引き起こすように構成されており、
前記診断装置は、前記支持シャフト(A)に一体化された歯付きクラウン(C)の近傍に配置された検出装置(M)と、制御ソフトウェアとを含み、
前記検出装置(M)は、前記織機の動作中に回転する前記歯付きクラウン(C)の物理的形状に相関するパラメータを検出するように構成されており、
前記制御ソフトウェアは、
前記歯付きクラウン(C)の電子プロファイルを構築するステップ(a)であって、前記電子プロファイルは、前記検出装置(M)によって検出された前記パラメータの変化をグラフ化したものであり、前記電子プロファイルは、谷部によってそれぞれ区切られた一連のピークを含み、前記ピークは前記歯付きクラウン(C)の歯を表している、ステップ(a)と、
前記電子プロファイルの生じ得る異常を検出するステップ(b)であって、前記グリッパ駆動系(G)の通常の動作に対応するように前記ピークの高さが全て同じになる状態と比べて、前記電子プロファイルが変化することで前記異常が示される、ステップ(b)と、
前記電子プロファイルの検出された前記異常と、前記グリッパ駆動系(G)の少なくとも1つの特定の構成要素の対応する異常との相関関係を、1つ以上の分析アルゴリズムによって見出すステップ(c)と、
前記少なくとも1つの特定の構成要素に対して、メンテナンス、調整、又は交換の介入を行うための対応する警告信号を発信するステップ(d)と、
を実行することを特徴とする、
診断装置を備えたグリッパ織機。
続きを表示(約 1,800 文字)
【請求項2】
前記電子プロファイルの異常は、前記織機の複数の作業サイクルにわたって、前記歯付きクラウン(C)の前記電子プロファイルの前記ピークの包絡線の形状が、直線(1)又は微小周期の変動を伴う線から、より広い周期の変動を伴う線(2)に変化することであり、
前記電子プロファイルの異常に対応する前記グリッパ駆動系(G)の異常は、前記歯車(D)の前記支持シャフト(A)のベアリングの故障である、
請求項1に記載の診断装置を備えたグリッパ織機。
【請求項3】
前記制御ソフトウェアは、前記より広い周期の変動の最大高さの初期値からの増加量が所定の閾値を超えたとき、前記ステップ(d)の前記警告信号を発信する、
請求項2に記載の診断装置を備えたグリッパ織機。
【請求項4】
前記電子プロファイルの異常は、前記歯車(D)の加速度が符号反転を起こす織機作業サイクル領域に対応して、前記電子プロファイルにおける第1対のピーク間の期間Δt1が、前記第1対のピークに隣接する第2対のピーク間の期間Δt2と異なることであり、
前記電子プロファイルの異常に対応する前記グリッパ駆動系(G)の異常は、前記グリッパ駆動系(G)の構成要素の遊びが過度に増大することである、
請求項1に記載の診断装置を備えたグリッパ織機。
【請求項5】
前記制御ソフトウェアは、前記第1対のピーク間の期間Δt1に対する前記第2対のピーク間の期間Δt2の比Δt2/Δt1が、1から設定値だけずれたとき、前記ステップ(d)の前記警告信号を発信する、
請求項4に記載の診断装置を備えたグリッパ織機。
【請求項6】
前記電子プロファイルの異常は、前記織機の複数の作業サイクルにわたって、前記歯付きクラウン(C)の同じ一対の歯に対応した連続する2つのピーク間の期間Δt1が増大することであり、該期間Δt1の増大は、前記歯車(D)の加速度が最大になる織機作業サイクル領域に対応して生じており、
前記電子プロファイルの異常に対応する前記グリッパ駆動系(G)の異常は、前記グリッパ駆動系(G)の構成要素間の機械的ジョイントの故障である、
請求項1に記載の診断装置を備えたグリッパ織機。
【請求項7】
前記グリッパ駆動系(G)の構成要素間の機械的ジョイントの前記故障は、前記支持シャフト(A)にキー止めされている前記歯車(D)の故障である、
請求項6に記載の診断装置を備えたグリッパ織機。
【請求項8】
前記運動学的な機構は、クランク機構を用いて前記メインモータによって往復直線運動するように駆動される摺動ブロックカーソルと、支持ベアリング上で回転自在であり、前記摺動ブロックカーソルによって往復回転運動するように駆動される可変ピッチウォームスクリューとの間のカップリングを含み、
前記摺動ブロックカーソルにヒンジ接続された摺動ブロックホルダ要素に、互いに対向する摺動ブロックの対が収容され、
前記歯車(D)は、前記可変ピッチウォームスクリューの一端にキー止めされている、
請求項1に記載の診断装置を備えたグリッパ織機。
【請求項9】
前記電子プロファイルの異常は、前記歯車(D)の加速度が符号反転を起こす織機作業サイクル領域に対応して、前記電子プロファイルにおける第1対のピーク間の期間Δt1が、前記第1対のピークに隣接する第2対のピーク間の期間Δt2と異なることであり
前記電子プロファイルの異常に対応する前記グリッパ駆動系(G)の異常は、前記可変ピッチウォームスクリューのねじ山における前記摺動ブロックカーソルの前記摺動ブロックの対の遊びの過度の増大、及び/又は、前記クランク機構のロッドの支持ベアリングの故障である、
請求項8に記載の診断装置を備えたグリッパ織機。
【請求項10】
前記制御ソフトウェアは、前記第1対のピーク間の期間Δt1に対する前記第2対のピーク間の期間Δt2の比Δt2/Δt1が、1から設定値だけずれたとき、前記ステップ(d)の前記警告信号を発信する、
請求項9に記載の診断装置を備えたグリッパ織機。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリッパ駆動系用の診断装置を備えたグリッパ織機に関する。特に、本発明は、グリッパ織機において、グリッパ駆動系の機械部品に生じ得る機械的異常または不正確な調整を信号伝達可能な診断装置に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)
【背景技術】
【0002】
周知のように、グリッパ織機には、搬送グリッパと引込グリッパの往復直線運動を駆動するグリッパ駆動系が設けられている。グリッパ駆動系の駆動は、適切な運動学を通じて、織機のメインモータの回転運動を、一対の歯車の交互の回転運動に変換することによって行われる。一対の歯車は、経糸に平行なそれぞれのシャフトにキーで固定され、織機の両側に1つずつ配置されている。前記一対の歯車は、複数の軸方向スロットを備えた一対の可撓性バンド(ストラップ)を介して、上述の搬送グリッパと引込グリッパの往復直線運動を引き起こす。一対の可撓性バンドは、軸方向スロットにおいて対応する歯車の外周部に係合されたまま、適切なガイド手段によって杼口内に案内され得る。搬送グリッパと引込グリッパの往復直線運動では、搬送グリッパと引込グリッパとの間での緯糸の交換のために経糸の杼口(隙間)の中央へ向かう運動と、その逆の運動とが順に繰り返される。
【0003】
本願と同じ出願人名義の特許文献1(欧州特許第3298185号明細書)に、この種のグリッパ駆動系の一例が開示されている。特許文献1のグリッパ駆動系では、織機のメインモータの連続的な円運動が、ロッド/クランク機構によって織機のメインモータによって往復直線運動で駆動される摺動ブロックカーソルと、支持ベアリング上で回転自在な可変ピッチウォームスクリューとの間の可動カップリングによって、グリッパの往復直線運動に変換される。前記可変ピッチウォームスクリューは、前記摺動ブロックカーソルによって往復回転運動で駆動される。前記摺動ブロックカーソルにヒンジ接続されたそれぞれの摺動ブロックホルダ要素には、互いに対向する一対の摺動ブロックが収容されている。最後に、可変ピッチウォームスクリューの一端にキー止めされた歯車が、前述のように織機の一方のグリッパが固定された端部への可撓性バンド(ストラップ)の動きを駆動する。
【0004】
これらの機械要素のグループ全体(一般的には「グリッパ駆動系」、より一般的には「緯糸搬送駆動系」という)は、個々の機械部品の異常や故障、又は、不適切な調整を防ぐために注意深く保守する必要がある。これらの異常は、すぐに修正しないと、織りのエラーや、グリッパ駆動系のより深刻で広範囲にわたる故障を引き起こし得る。
【0005】
この種のグリッパ駆動系において、異常の対象となる部品は、摩耗や変動負荷を受ける部品(特に、回転シャフトの支持ベアリングや、これら部品間の様々な種類の機械的ジョイントなど)であり、望ましくない遊びの形成や構造上の故障にさらされ得る。
【0006】
しかしながら、これらの部品の直接監視は、織機を停止してグリッパ駆動系を完全に分解しない限り行えない。この種の作業は簡単な診断動作には適していないため、現行は、摩耗部品の交換、遊びや機械的接続完全性のチェックなど、定期的なメンテナンスに頼らざるを得ない。しかしながら、このような管理方法は完全に満足できるものではない。なぜなら、グリッパ駆動系を安全な状態に維持するためには、摩耗部品の耐用年数がまだ十分にある場合でも、これらの部品の予定耐用年数中に故障が絶対に発生しないという保証はなく、隠れた欠陥があり、予想よりも耐用年数が短くなる可能性があるためである。
【0007】
特許文献2(特開2000-096388号公報)は、上記のようなグリッパ駆動系を有するグリッパ織機を開示している。該グリッパ織機は、さらに、グリッパ織機の動作中にレピアバンドのたわみの度合いを検出するために、レピアバンドが歯車の外周部に巻き付く領域においてレピアバンドの近くに配置された検出装置を備えている。たわみの度合いが規定の限度を超えると、織機制御装置に警告信号が送信される。特許文献2に開示された全体的な構造は、目的は全く異なるが、本発明でも使用されており、したがって、上記の特徴は本発明の独立請求項の前提部分に含まれる。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題は、グリッパ駆動系の通常の動作を妨げることなく、すなわち織機の通常の運転中に、グリッパ駆動系の性能を継続的に監視し、グリッパ駆動系のあらゆる可能性のある異常を報告することが可能な診断装置を提供することである。
【0009】
この課題において、本発明の第1の目的は、一方では、上記のグリッパ駆動系の重要な構成要素のいずれかの異常の可能性に対する十分に敏感な「監視者」として機能しつつ、他方では、織機の運転中に、好ましくは直接接触することなく継続的に監視できるほど十分にアクセス可能なグリッパ駆動系の構成要素を特定することである。
【0010】
本発明の第2の目的は、異常が発生している可能性が高い(すなわち、メンテナンス、調整、又は交換介入を実行する必要がある)1つ又は複数のグリッパ駆動系構成要素にオペレータを誘導するために、上記の「監視者」である構成要素を継続的に監視し、生じ得る動作異常を自動的に検出し、その動作異常をグリッパ駆動系の特定の構成要素の異常と相関させることができる診断装置を提供することである。
(【0011】以降は省略されています)
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