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公開番号2024166750
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-29
出願番号2023083070
出願日2023-05-19
発明の名称発光性化合物
出願人国立大学法人東京科学大学
代理人弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
主分類C07C 211/61 20060101AFI20241122BHJP(有機化学)
要約【課題】光安定性が高く、溶液中のみならず固体状態においても高い蛍光量子収率を示す新規発光性化合物とその製造方法を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表される発光性化合物である。
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>TIFF</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2024166750000096.tif</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">29</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">162</com:WidthMeasure> </com:Image>
(式中、Wは、水素、アルキル基、アルコキシ基であり、Xは、CR1R2、NR3、SiR4R5、O、S、SO2、またはPOR6であり、Yは電子供与基であり、mは0または1であり、Zは、ホルミル基、カルボキシル基、シアノ基、COR7、またはCO2R7であり、R1~R5およびR7は、アルキル基等であり、R6は、置換/非置換のフェニル基である。)
【選択図】図14B
特許請求の範囲【請求項1】
以下の一般式(1)で表され、
TIFF
2024166750000092.tif
26
162
Wは、水素、炭素数1から8のアルキル基、または炭素数1から8のアルコキシ基であり、
Xは、CR



、NR

、SiR



、O、S、SO

、またはPOR

であり、


とR

は、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基、またはCH

CH

(OCH

CH



OCH

で表されるポリエチレングリコール鎖であり、
nは1以上の整数であり、


、R

、およびR

は、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基であり、


はフェニル基または置換フェニル基であり、
前記置換フェニル基の置換基は、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、ジフェニルアミノ基、または窒素上の置換基が炭素数1から8のアルキル基であるモノアルキルアミノ基若しくはジアルキルアミノ基であり、
Yは電子供与基であり、
mは0または1であり、
Zは、ホルミル基、カルボキシル基、シアノ基、COR

、またはCO



であり、


は、炭素数1から8のアルキル基または置換アルキル基であり、
前記置換アルキル基の置換基は、ハロゲン、水酸基、アミノ基、またはアジド基である発光性化合物。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
前記電子供与基は、炭素数1から8のアルコキシ基ならびに以下の構造式で表されるアミノ基および置換アミノ基から選択され、
TIFF
2024166750000093.tif
46
165


、R

、R
10
、R
11
、およびR
12
は、独立に、水素、炭素数1から10のアルキル基または置換アルキル基であり、


、R

、R
10
、R
11
、またはR
12
が前記置換アルキル基の場合の置換基は、ハロゲン、カルボキシル基、エチニル基、アジド基、アミド基、アミノ基、またはジフェニルフォスフィノフェニル基であり、
kは1以上4以下の整数である、請求項1に記載の発光性化合物。
【請求項3】


、R

、R
10
、R
11
、またはR
12
が前記置換アルキル基の場合、R

、R

、R
10
、R
11
、またはR
12
上の前記置換基は、前記置換アルキル基の末端炭素上に位置する、請求項2に記載の発光性化合物。
【請求項4】
Wは水素またはメチル基である、請求項1に記載の発光性化合物。
【請求項5】


は、パーフルオロアルキル基である、請求項1に記載の発光性化合物。
【請求項6】
前記パーフルオロアルキル基は、トリフルオロメチル基である、請求項5に記載の発光性化合物。
【請求項7】
前記置換アルキル基の前記置換基は、前記置換アルキル基の末端炭素上に位置する、請求項1に記載の発光性化合物。
【請求項8】
前記ポリエチレングリコール鎖の数平均分子量は、500以上2000以下である、請求項1に記載の発光性化合物。
【請求項9】
Xは、ジメチルメチレン基である、請求項1に記載の発光性化合物。
【請求項10】
以下の一般式(2)で表され、
TIFF
2024166750000094.tif
37
160
Wは、水素、炭素数1から8のアルキル基、または炭素数1から8のアルコキシ基であり、


とX

は、独立に、CR



、NR

、SiR



、O、S、SO

、またはPOR

であり、


とR

は、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基、またはCH

CH

(OCH

CH



OCH

で表されるポリエチレングリコール鎖であり、
nは1以上の整数であり、


、R

、およびR

は、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基であり、


はフェニル基または置換フェニル基であり、
前記置換フェニル基の置換基は、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、ジフェニルアミノ基、または窒素上の置換基が炭素数1から8のアルキル基であるモノアルキルアミノ基若しくはジアルキルアミノ基であり、
Yは電子供与基であり、
mは0または1であり、
Zは、ホルミル基、カルボキシル基、シアノ基、COR

、またはCO



であり、


は、炭素数1から8のアルキル基または置換アルキル基であり、
前記置換アルキル基の置換基は、ハロゲン、水酸基、アミノ基、またはアジド基である発光性化合物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、発光性化合物とその製造方法に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
周囲の極性環境に応答して蛍光色を変化させるソルバトクロミック蛍光色素は、分析化学、特にバイオイメージングに有用であるだけでなく、ミセルやソフトマターの構造解析や固体発光材料として期待されている。例えば非特許文献1には、細胞膜の脂質層のモデルの構造解析において、プッシュ-プル型のピレン誘導体が糖成分の識別に利用できることが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
YOSUKE NIKO、外8名、SCI REPORTS,2016年,第6巻,p.18870
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の一つは、部分的に橋かけされたビフェニル、ターフェニル、またはクアテルフェニル骨格を有する新規発光性化合物とその製造方法を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、光安定性が高く、溶液中のみならず固体状態においても高い蛍光量子収率を示す新規発光性化合物とその製造方法を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の一つは、以下の一般式(1)で表される発光性化合物である。ここで、Wは、水素、炭素数1から8のアルキル基、または炭素数1から8のアルコキシ基である。Xは、CR



、NR

、SiR



、O、S、SO

、またはPOR

である。R

とR

は、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基またはCH

CH

(OCH

CH



OCH

で表されるポリエチレングリコール鎖である。nは1以上の整数である。R

、R

、およびR

は、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基である。R

は、フェニル基または置換フェニル基である。置換フェニル基の置換基は、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、ジフェニルアミノ基、または窒素上の置換基が炭素数1から8のアルキル基であるモノアルキルアミノ基若しくはジアルキルアミノ基である。Yは電子供与基である。mは0または1である。Zは、ホルミル基、カルボキシル基、シアノ基、COR

、またはCO



である。R

は、炭素数1から8のアルキル基または置換アルキル基である。置換アルキル基の置換基は、ハロゲン、水酸基、アミノ基、またはアジド基である。
TIFF
2024166750000002.tif
26
162
【0006】
本発明の実施形態の一つは、以下の一般式(2)で表される発光性化合物である。ここで、Wは、水素、炭素数1から8のアルキル基、または炭素数1から8のアルコキシ基である。X

とX

は、独立に、CR



、NR

、SiR



、O、S、SO

、またはPOR

である。R

とR

は、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基またはCH

CH

(OCH

CH



OCH

で表されるポリエチレングリコール鎖である。nは1以上の整数である。R

、R

、およびR

は、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基である。R

は、フェニル基または置換フェニル基である。置換フェニル基の置換基は、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、ジフェニルアミノ基、または窒素上の置換基が炭素数1から8のアルキル基であるモノアルキルアミノ基若しくはジアルキルアミノ基である。Yは電子供与基である。mは0または1である。Zは、ホルミル基、カルボキシル基、シアノ基、COR

、またはCO



である。R

は、炭素数1から8のアルキル基または置換アルキル基である。置換アルキル基の置換基は、ハロゲン、水酸基、アミノ基、またはアジド基である。
TIFF
2024166750000003.tif
38
164
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物1-[9,9-ジメチル-7-(ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-2-イル]-2,2,2-トリフルオロエタン-1オン(FRF)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
FRFの種々の溶媒における発光スペクトル。
本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物1-(7-ジエチルアミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(N-FR-F)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
N-FR-Fの種々の溶媒における発光スペクトル。
本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物メチル[7-(N,N-ジエチルアミノ)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル]カルボキシラート(FCM)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
FCMの種々の溶媒における発光スペクトル。
本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物1-{4-[9,9-ジメチル-7-(ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-2-イル)]フェニル}-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(FRπF1)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
FRπF1の種々の溶媒における発光スペクトル。
本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物1-{[4-(7-ジエチルアミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)]フェニル}-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(FRπF2)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
FRπF2の種々の溶媒における発光スペクトル。
本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物1-{4-[9,9-ジメチル-7-(ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-2-イル]-3-メチルフェニル}-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(FRπMeF)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
FRπMeFの種々の溶媒における発光スペクトル。
本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物メチル4-(7-ジエチルアミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ベンゾエート(FπCM)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
FπCMの種々の溶媒における発光スペクトル。
本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物メチル4-[9,9-ジメチル-7-(ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-2-イル]ベンゾエート(FπpCM)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
FπpCMの種々の溶媒における発光スペクトル。
本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物2,2,2-トリフルオロ-1-{4-[6,6,12,12-テトラメチル-8-(ピペリジン-1-イル)-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン-2-イル]フェニル}エタン-1-オン(IFπF)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
IFπFの種々の溶媒における発光スペクトル。
本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物2,2,2-トリフルオロ-1-[6,6,12,12-テトラメチル-8-(ピペリジン-1-イル)-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン-2-イル]エタン-1-オン(IFF)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
IFFの種々の溶媒における発光スペクトル。
ポリメタクリル酸メチルマトリクス中に分散したFπCM、FπA、およびFRπFの発光スペクトル。
FπCMによるモデル細胞の染色画像。
FπCMによるマウス乳腺上皮細胞の染色画像。
FπCMとProdanのトルエン溶液に対して400nmの励起光を照射した際の発光強度の経時変化プロット。
405nmの励起光を0分、10分、および30分照射した、Lurdanによるマウス乳腺上皮細胞の染色画像。
405nmの励起光を0分、10分、および30分照射した、FπCMによるマウス乳腺上皮細胞の染色画像。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0009】
以下、アルキル基とは、脂肪族炭化水素から一つの水素原子が失われて生じる1価の置換基であり、C


2n+1
で表される置換基を指す。nは1以上の整数である。特筆しない限り、アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、および環状アルキル基を含む。置換アルキル基とは、アルキル基の一つまたは複数の水素原子を水素原子以外の原子または置換基で置換することで生じる1価の置換基を指す。アルキル基と同様、特筆しない限り、置換アルキル基も置換直鎖アルキル基、置換分岐アルキル基、および置換環状アルキル基を含む。アルコキシ基とは、OC


2n+1
で表される1価の置換基であり、アルキル基と同様、特筆しない限り、アルコキシ基は直鎖アルコキシ基、分岐アルコキシ基、および環状アルコキシ基を含む。
【0010】
以下、アミノ基とはNH

で表される置換基であり、一つまたは二つの水素が水素以外の原子または置換基によって置換されているアミノ基を置換アミノ基と呼ぶ。
(【0011】以降は省略されています)

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