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公開番号
2024166296
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-28
出願番号
2024154941,2022542400
出願日
2024-09-09,2020-01-10
発明の名称
薬物送達適用のためのポリマー賦形剤
出願人
ティンダル フォーミュレーション サービシーズ, エルエルシー
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C07K
2/00 20060101AFI20241121BHJP(有機化学)
要約
【課題】ポリ(サルコシン)ブロックおよびD、L-混合型ポリ(アミノ酸)ブロックを含むマルチブロックコポリマー、およびその使用を提供すること。
【解決手段】本開示は、親水性ポリ(サルコシン)ブロック、およびD-アミノ酸とL-アミノ酸との混合物を含む疎水性ポリ(アミノ酸)ブロックを含むマルチブロックコポリマーを対象とする。マルチブロックコポリマーは、対応するアミノ酸N-カルボキシ無水物の重合によって合成することができる。本明細書に記載されている通り、マルチブロックコポリマーは、疎水性分子の封入に有用であり、これによって、水溶液への分子の溶解度が増大する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
明細書に記載の発明。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、ポリマー化学の分野、より詳細には、マルチブロックポリ(アミノ酸)コポリマーおよびその使用を対象とする。
続きを表示(約 5,800 文字)
【背景技術】
【0002】
本開示の背景
ポリマー賦形剤は、薬学的に活性な成分(API)の製剤化に一般に利用される。これらのポリマーは、錠剤の溶解を補助するため、結合剤を提供するため、または経口用製剤の粘度を改変するために使用される。一部の場合、ポリマー賦形剤は、疎水性APIの水溶解度を増大させるために使用される。ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PGLA)およびシクロデキストリン(CD)は、疎水性APIの溶解度を改善するため、医薬品の開発に常套的に使用されるポリマー賦形剤の非限定例である。しかし、これらの公定賦形剤が疎水性薬物を適度に可溶化しない場合、選択肢がほとんど残されていない。そのような場合、APIは化学修飾されて、その水への溶解度を増大させることができる(例えば、プロドラッグ、またはポリマー薬物コンジュゲートなどの新規APIの創製)、この化合物は却下され得る、または新規な非公定賦形剤が開発され得る。多くの場合、これらの新規な賦形剤は、目的とするAPI用に設計された特別仕様となる。これは、学術研究グループによって開発された、特定のAPIを可溶化する多数の薬物送達技術によって証明される。新規な薬物製品は、商業的段階に進まない限り、一般の人は、このような溶解度を増大させる賦形剤の合成、毒性および有用性に関してほとんど知ることはない。
【0003】
したがって、いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、幅広い範囲の疎水性APIを可溶化させる幅広い有用性を有するポリマー賦形剤を開発することが望ましいと思われる。そのような賦形剤は、アモルファス性のlogPが高い化合物(口語では、「グリースボール(grease ball)」と称される)、および高度に結晶性の疎水性API(口語では、「ブリックダスト(brick dust)」と称される)を封入する必要があると思われる。
【0004】
ポリマーミセルは、疎水性化合物を可溶化するための方法の1つとなる。ポリマーミセルは、両親媒性ブロックコポリマーのコア-シェルタイプ構造への熱力学的自己集合によって形成される(Yu, K. et al. Macromolecules 1996, 29(19), 6359; Roesler, A. et al. Adv. Drug Deliv. Rev. 2012, 64, 270を参照されたい)。水溶液中のポリマーミセルの場合、このポリマーの親水性ブロックはミセルのコロナを形成する一方、疎水性ブロックはコアを形成する。ミセル形成が、さらなる疎水性分子(例えば、疎水性薬物)の存在下で行われる場合、この疎水性化合物は、ポリマーミセルの疎水性コアに自発的に向かい、隔離される。疎水性薬物は、ポリマーミセルの親水性コロナによって水溶性にされる。このような特定の適用では、薬物は、物理的に捕捉されており、ポリマー鎖に化学的に結合していないことに留意すべきであることが重要である。
【0005】
薬物送達適用のための両親媒性ブロックコポリマーの大多数が、文献に報告されている(Kedar, U. et al. Nanomedicine 2010, 6(6), 714; Ahmad, Z. et al. RSC Adv. 2014, 33, 17028; Kataoka, K. et al. Adv. Drug Delivery Rev. 2001, 47(1), 113を参照されたい)。PEG-PGLA、PEG-PLA、PEG-ポリ(アミノ酸)、ポリ(アクリレート)-ブロック-ポリ(メタクリレート)およびそれらの誘導体は、ポリマーミセルをベースとする薬物送達適用に関して研究が行われてきたすべての共通するポリマーである。これらのポリマーの大部分は、親水性構成成分として、PEGの使用を含む。PEGは、非毒性の非免疫原性化合物と幅広くみなされており、食物、化粧品および医薬製品において数十年間、使用されてきた。しかし、最近の研究により、とりわけ静脈内製品に関すると、PEG含有物質に対して免疫原性反応がある恐れがあることが示され始めている(Garay, R. et al., Expert Opin. Drug Delivery, 2012, 1319-1323; Yang, Q. et al., Anal. Chem. 2016, 88(23), 11804-11812; Wenande, E. et al., Clin. Exp. Allergy, 2016, 46(7), 907-922.; Webster, R. Drug Metab. Dispos, 2007, 35(1), 9-16を参照されたい)。このようなPEG含有医薬製品は、注入に関する反応を生じる恐れもある(Browne, E.K. et al. J. Pediatr Oncolo. Nurs. 2018, 35(2), 103を参照されたい)。さらに、高純度の薬学的に許容されるPEG誘導体の製造は、酸化エチレンの極めて危険な重合を伴い、生成物中の微量不純物でさえ、その適用に有意な影響を及ぼす恐れがある(Vojkovsky, T. et al. Polymer, 2016, 105, 72-78; Sill, K. et al. Biomacromolecules 2017, 18(6), 1874-1884を参照されたい)。これによって、PEG含有医薬品の利用は高価になり、したがって、ある特定の適用の場合、法外な費用になる恐れがある。
薬物送達適用に一般に使用される他のポリマーは、アクリレートまたは他のビニルポリマーの化学に基づく。そのようなポリマーは、ビニルモノマーのアニオン重合またはラジカル重合によって調製される。多くの場合、アクリル酸ブチルなどのこれらのモノマーは、強力な感作剤である。さらに、これらのポリマーの主鎖は、炭素-炭素結合からもっぱら構成されているので、これらのポリマーは、生体適合性であるが、in vivoで分解しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Garay,R.ら、Expert Opin.Drug Delivery(2012)1319~1323
Yang,Q.ら、Anal.Chem.(2016)88(23)11804~11812
Wenande,E.ら、Clin.Exp.Allergy(2016)46(7)907~922
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の簡単な要約
本開示は、親水性ポリ(サルコシン)ブロック、およびD-アミノ酸とL-アミノ酸との混合物を含む疎水性ポリ(アミノ酸)ブロックを含むマルチブロックコポリマーを対象とする。マルチブロックコポリマーは、対応するアミノ酸N-カルボキシ無水物の重合によって合成することができる。本明細書に記載されている通り、マルチブロックコポリマーは、疎水性分子の封入に有用であり、これによって、水溶液への分子の溶解度が増大する。本開示の組成物は、マルチブロックコポリマーおよび疎水性薬物を含む薬物製品を含む。そのような組成物は、非経口投与に一般に使用される希釈剤への前記疎水性薬物の溶解度を増大させる。同様に、本明細書に記載されている組成物または単位用量形態を調製する方法が、本明細書において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
5.0mg/kgとなる等価なパクリタキセル用量での、アブラキサンに対するTYN-21のラットの薬物動態プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示のある特定の実施形態の詳細説明
1.一般説明:
本明細書に記載されている通り、本開示は、マルチブロックポリ(アミノ酸)コポリマーを対象とする。第1のブロックは、親水性ポリ(サルコシン)ブロックであり、第2のブロックは、D-アミノ酸およびL-アミノ酸の混合物を含む疎水性ポリ(アミノ酸)ブロックである。そのようなコポリマーは、水溶液中でミセル構造へと自発的に自己集合し、親水性ポリ(サルコシン)ブロックはコロナを形成し、疎水性ポリ(アミノ酸)ブロックはミセルのコアを形成する。このような集合の間に、疎水性分子(例えば、API、化合物、薬物または医薬活性剤)が存在する場合、この分子は、ミセルの疎水性部分に隔離され得る。これは、水溶液中での疎水性分子の溶解度を増大させる効果を有する。ポリ(サルコシン)ブロックのアミド主鎖は、シスおよびトランス立体配置の両方をとることができる一方、D-アミノ酸とL-アミノ酸の両方の混合物を含むポリ(アミノ酸)ブロックは、二次構造および三次構造の形成を妨害する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、これらの2つの特性は、一緒になって、回転の自由度が増大し、これによって、マルチブロックポリ(アミノ酸)コポリマーは、多数のコンフォメーションをとることが可能となり、これが、会合した疎水性分子が最低の可能なエネルギー状態を見出すよう促進すると考えられる。疎水性分子が疎水性薬物である場合、本開示の組成物は、Cremophor(登録商標)EL(ポリオキシエチル化ヒマシ油)などの、追加の可溶化剤を必要とすることなく、一般的な水性希釈剤(例えば、食塩水またはD5W)を使用する非経口投与に有用であることが理解されよう。当業者は、Cremophor ELは、気管支けいれん、低血圧、末梢神経障害およびアナフィラキシー反応を含めた、いくつかの注入に関連する副作用を引き起こすことが知られているので、これを必要としなくなるという利点があることを認識している。これらの副作用は、Cremophor ELをベースとするパクリタキセル製剤に対する過敏反応を軽減するために、H
1
およびH
2
アンタゴニストによる事前投薬ならびに注入時間の長期化が必要となる(Authier, N. et al., Neurotox. Res. 2001, 3, 301-306; Gelderblom, H. et al., Eur. J. Cancer 2001, 37, 1590-1598; Brat, D. et al., Pharmacology Exp. Ther.1992, 261, 803-810; Windebank, A.J. et al., J. Pharmacology Exp. Ther.1994, 268, 1051-1056; Van Zuylen, L. et al., Investigational New Drugs, 2001, 19, 125-141を参照されたい)。Cremophor ELはまた、ポリ塩化ビニル(PVC)物質に由来する可塑剤であるDEHP(ジ(2-エチルヘキシル)フタレート)を抽出するので、標準的な静脈用チューブと適合しない。さらに、Cremophor ELを用いて製剤化した薬物(例えば、パクリタキセル)は、Cremophorのミセルに捕捉された状態になる恐れがあり、これは、非線形薬物動態をもたらす(Sparreboom, A. et al., Cancer Res, 1999, 59, 1454-1457を参照されたい)。
【0010】
一部の実施形態では、本開示のポリ(アミノ酸)コポリマーは、対応するアミノ酸N-カルボキシ無水物(NCA)の重合によって調製することができる。本開示のマルチブロックコポリマーは、サルコシンのNCA、次いでD-アミノ酸とL-アミノ酸のNCAの混合物の逐次重合によって調製することができる。一部の実施形態では、この重合は、単一溶媒中で行われ、最終コポリマーは、単一の抗溶媒(anti-solvent)による沈殿により単離される。溶媒および試薬は、「受領したとおり」で使用され、NCA重合に一般に使用される通り、精製するため、または空気および/もしくは水分を排除するためのさらなるステップ(例えば、Schlenk技法)をとらない(Aliferis, T. et al. Biomacromolecules 2004, 5(5), 1653.; Deming, T. J. et al. Nature 1997, 390(6658), 386; Kricheldorf, H.R. α-Amino acid-N-carboxy-anhydrides and related heterocycles: syntheses, properties, peptide synthesis, polymerization, Berlin, Springer-Verlag, 2011を参照されたい)。これは、最少数の溶媒を調達して、リリース試験の間に定量することしか必要としないので、とりわけ、製造管理および品質管理に関する基準(GMP)ガイダンス下での商業的規模でのポリ(アミノ酸)コポリマーの調製に関連する費用が最小限になることが理解されよう。
(【0011】以降は省略されています)
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