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公開番号
2024164965
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-28
出願番号
2023080719
出願日
2023-05-16
発明の名称
太陽電池及びそれに用いる光学素子を備えるバリア構造体
出願人
マクセル株式会社
代理人
主分類
H10K
30/50 20230101AFI20241121BHJP()
要約
【課題】光電変換効率が高く設置性が良く信頼性の高い太陽電池を製造すること。また太陽電池を構成するバリア部材に、水分や空気の侵入を遮断した信頼性の高い太陽電池を提供することにある。
【解決手段】本発明の太陽電池は高効率で、印刷工程で安価な太陽電池が実現できる有機無機ペロブスカイト型太陽電池の課題である水分・空気のバリア性が高いガラス同等のバリア層を有しその表面に超微細または微細光学素子を設け、反射防止と集光作用を備えることで一層の高効率化を実現する。
【選択図】図16
特許請求の範囲
【請求項1】
基材上に、少なくとも光電変換層(光吸収層)と透明電極とを有する太陽電池であって、
前記光電変換層は、有機無機ペロブスカイト化合物を含み、
更に、前記透明電極全体を覆って封止する無機バリア層と、前記透明電極上の前記無機バリア層の少なくとも太陽光入射面にモスアイ構造を有する微細光学素子を備えることを特徴とする太陽電池。
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【請求項2】
前記透明電極上には引出し配線を備え、
前記引出し配線の全体を覆って封止する無機バリア層と、前記透明電極上の前記無機バリア層の外側に配置された取出し電極とを有することを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
【請求項3】
前記透明電極の上部に前記光電変換層の側面を取り囲むようにして前記透明電極の下に配置された、絶縁層からなる外枠を有することを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
【請求項4】
前記透明電極と前記無機バリア層との間に配置された平坦化層を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記有機無機ペロブスカイト化合物は、一般式R-M-X
3
(但し、Rは有機分子、Mは金属 原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項6】
基材上に、少なくとも光電変換層(光吸収層)と透明電極とを有する太陽電池であって、
前記光電変換層は、有機無機ペロブスカイト化合物を含み、
更に、前記透明電極全体を覆って封止する無機バリア層と、前記透明電極上の前記バリア層の太陽光入射面にモスアイ構造を有する微細光学素子を備える前記光電変換層において、
太陽光を集光する作用を備えたことを特徴とする太陽電池。
【請求項7】
前記光電変換層(光吸収層)は複数の層を有する太陽光の可視光領域の光が集光する部分に第一の光電変換層を有し、
更に近赤外光領域の光が集光する部分には第二の光電変換層を有することで、それぞれの波長に応じて最も光電変換効率が高い成分を有する有機無機ペロブスカイト化合物を含むことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
基材上に、少なくとも光電変換層(光吸収層)と透明電極とを有し、
前記光電変換層が有機無機ペロブスカイト化合物を含む太陽電池のバリア層に用いる無機バリア層又は無機バリア膜であって、
前記バリア層の少なくとも太陽光入射面にモスアイ構造を有する微細光学素子を備えることを特徴とする無機バリア層又は無機バリア膜。
【請求項9】
前記無機バリア層又は無機バリア膜は、窒化珪素を含むことを特徴とする請求項8記載の無機バリア層又は無機バリア膜。
【請求項10】
前記無機バリア層又は無機バリア膜はプレカーサーとしてポリシラザンを基材上に塗布し、真空紫外線を照射することで硬化させる工程により形成されることを特徴とする請求項8又は9に記載の無機バリア層又は無機バリア膜の形成方法
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池特にペロブスカイト太陽電池を構成する部材に対して水分や気体に対するバリア性能が高く表面形状を賦形することで光学的な作用を有し光電変換効率が高い及び太陽電池に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池として、対向する電極間にN型半導体層とP型半導体層とを配置した積層体が盛んに開発されており、上記N型、P型半導体として主にシリコン等の無機半導体が用いられている。しかしながら、このような無機太陽電池は、真空プロセスが必要で大型化が困難であるばかりか大規模な設備が必要で材料コストがかかるため、利用範囲が限られてしまうという問題があった。そこで、近年、中心金属に鉛、スズ等を用いたペロブスカイト構造を有する有機無機ペロブスカイト化合物を光電変換層に用いた、ペロブスカイト太陽電池が注目されている。ペロブスカイト太陽電池は高い光電変換効率が期待できるうえに、印刷法によって製造できることから製造コストを大幅に削減することができる。一方、耐水性に課題があり対応技術手段の開発が急がれていた(例えば、特許文献1)。
【0003】
このペロブスカイト型結晶構造は図1に示すように体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系構造の模式図である。
【0004】
上述したように、ペロブスカイト型化合物を用いた太陽電池(以下、「ペロブスカイト太陽電池」と呼ぶ)は、低コストかつ高効率な次世代太陽電池の候補の1つであり、その研究・開発が世界中で進められている。
【0005】
上記した太陽電池の光電変換層には、図1で示した一般式R-M-X
3
(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含むことが好ましい。上記光電変換層に上記有機無機ペロブスカイト化合物を用いることにより、フレキシブル太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
【0006】
こうした中、光電変換効率を更に高めるためにタンデム型太陽電池が開発された。タンデム型(多接合)太陽電池は、異なる吸収波長の太陽電池を積層させることであり、光の 波長を効率的に活用することが可能となるため、光電変換効率を更に上げることができる。
【0007】
例えば、太陽光が入射する第一層にペロブスカイト太陽電池を設け、基板側の第二層にシリコン系太陽電池を用いたタンデムの場合は、ペロブスカイト太陽電池においてはバンドギャップの最適化、V
OC
(開放電圧)ロスを低減できるセルの高効率化、高信頼性化(シリコン系太陽電池と同等程度)が重要であり、他方シリコン系太陽電池では、ペロブスカイト材料を均質に成膜するための表面形状の制御、界面制御技術が重要でこれらについては多くの研究が重ねられてきた(例えば特許文献2)。
【0008】
一方、近年、ポリイミド、ポリエステル系の耐熱高分子材料や金属箔を基材とするフレキシブルな太陽電池が注目されるようになってきている。フレキシブル太陽電池は、薄型化や軽量化による運搬、施工の容易さや、衝撃に強い等の利点があり、例えば、フレキシブル基材上に、光が照射されると電流を生じる機能を有する光電変換層等の複数の層を薄膜状に積層することにより製造される。更に、必要に応じてフレキシブル太陽電池の上下面を、太陽電池封止シートを積層して封止する。例えば、特許文献3には、シート状のアルミニウム基材を含む半導体装置用基板、及び、この半導体装置用基板を含む有機薄膜太陽電池が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2018-163938号公報
特開2022-183700号公報
特開2013-253317号公報
「JST研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)(2)~機能材料~新技術説明会」2022年11月18日開催にて発表された資料)「印刷で作成できるガラス並みのウルトラ・ハイバリア」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ペロブスカイト太陽電池は近年構成物、素子構造の進化によって大幅な特性改善が実現され、初期の光電変換効率が20%を超え単結晶シリコンの太陽電池に迫りつつある。
またバリアシートの採用などで水分や空気を充分に遮蔽して信頼性を高める開発もなされている。しかしながら、光電変換効率を向上するために光学的な知見を基に太陽光束を光吸収層に伝搬させる具体的な素子構成や配置に関しての検討はなされていなかった。
(【0011】以降は省略されています)
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