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公開番号
2024164933
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-28
出願番号
2023080672
出願日
2023-05-16
発明の名称
エンジンシステム
出願人
株式会社豊田自動織機
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
F02D
19/02 20060101AFI20241121BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約
【課題】改質器の触媒の劣化を抑制することができるエンジンシステムを提供する。
【解決手段】エンジンシステム1は、アンモニアガスを改質する改質器25と、改質器25に供給される空気の流量を制御する改質スロットルバルブ27と、改質器25に向けてアンモニアガスを間欠的に噴射する改質インジェクタ30と、改質ガスがアンモニアエンジン2のシリンダ10内に向けて流れる下流側改質流路33と、改質スロットルバルブ27及び改質インジェクタ30を制御するコントローラ42とを備え、コントローラ42は、シリンダ10内に空気が吸入される行程が開始されてから次のシリンダ10内に空気が吸入される行程が開始されるまでの吸気期間Tにおいて、吸気脈動により改質器25に供給される空気の流量が多くなるタイミングに応じてアンモニアガスが噴射されるように改質インジェクタ30を制御する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
シリンダと前記シリンダ内に配置されたピストンとを複数ずつ有し、燃料が水素と共に燃焼するエンジンと、
前記シリンダ内に供給される空気が流れる吸気流路と、
前記吸気流路に配設され、前記シリンダ内に供給される空気の流量を制御する第1流量制御弁と、
前記シリンダ内に向けて燃料を間欠的に噴射する第1燃料噴射弁と、
前記燃料を前記水素に分解する触媒を有し、前記燃料を改質して前記水素を含有した改質ガスを生成する改質器と、
前記改質器に供給される空気が流れる上流側改質流路と、
前記改質器により生成された改質ガスが前記シリンダ内に向けて流れる下流側改質流路と、
前記上流側改質流路または前記下流側改質流路に配設され、前記改質器に供給される空気の流量を制御する第2流量制御弁と、
前記改質器に向けて燃料を間欠的に噴射する第2燃料噴射弁と、
前記第1流量制御弁、前記第1燃料噴射弁、前記第2流量制御弁及び前記第2燃料噴射弁を制御する制御部とを備え、
前記エンジンは、前記複数のシリンダ毎に、前記シリンダ内に空気が吸入される行程を含む複数の行程を順番に実施し、
前記制御部は、前記シリンダ内に空気が吸入される行程が開始されてから次の前記シリンダ内に空気が吸入される行程が開始されるまでの吸気期間において、吸気期間の開始から前記シリンダ内に空気が吸入される行程に起因して発生する吸気脈動により前記改質器に供給される空気の流量が多くなるタイミングに応じて前記第2燃料噴射弁から燃料が噴射されるように前記第2燃料噴射弁を制御するエンジンシステム。
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【請求項2】
前記シリンダ内への吸気圧を検出する吸気圧検出部を更に備え、
前記制御部は、前記吸気圧検出部により検出された吸気圧に基づいて、前記タイミングを求め、当該タイミングに応じて前記第2燃料噴射弁から燃料が噴射されるように前記第2燃料噴射弁を制御する請求項1記載のエンジンシステム。
【請求項3】
前記エンジンの状態を検出するエンジン状態検出部を更に備え、
前記制御部は、前記エンジン状態検出部により検出されたエンジンの状態に基づいて、前記タイミングを求め、当該タイミングに応じて前記第2燃料噴射弁から燃料が噴射されるように前記第2燃料噴射弁を制御する請求項1記載のエンジンシステム。
【請求項4】
前記エンジン状態検出部は、前記エンジンの状態として、前記エンジンの回転数及び負荷の少なくとも一方を検出し、
前記制御部は、前記エンジンの回転数及び負荷の少なくとも一方に基づいて、前記タイミングを求める請求項3記載のエンジンシステム。
【請求項5】
液体の燃料を気化させる気化器と、
前記気化器により気化された燃料が前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁に向けて流れる燃料流路と、
前記燃料流路内の圧力を前記第2燃料噴射弁の上流圧として検出する第1圧力検出部と、
前記上流側改質流路内の圧力を前記第2燃料噴射弁の下流圧として検出する第2圧力検出部とを更に備え、
前記制御部は、前記第2燃料噴射弁の上流圧と前記第2燃料噴射弁の下流圧との圧力差が所定値以上であるときは、前記第2燃料噴射弁の上流圧と前記第2燃料噴射弁の下流圧との圧力差が前記所定値よりも低いときに比べて、前記第2燃料噴射弁からの燃料の噴射時間が短くなるように前記第2燃料噴射弁を制御する請求項1記載のエンジンシステム。
【請求項6】
液体の燃料を気化させる気化器と、
前記気化器により気化された燃料が前記第1燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁に向けて流れる燃料流路と、
環境温度または前記エンジンを冷却する冷却水の温度を検出する温度検出部とを更に備え、
前記制御部は、前記環境温度または前記冷却水の温度が所定値以上であるときは、前記環境温度または前記冷却水の温度が前記所定値よりも低いときに比べて、前記第2燃料噴射弁からの燃料の噴射時間が短くなるように前記第2燃料噴射弁を制御する請求項1記載のエンジンシステム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンシステムに関する。
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【背景技術】
【0002】
従来のエンジンシステムとしては、例えば特許文献1に記載されているように、改質器により燃料ガスを改質して水素を主成分とする改質ガスを生成し、その改質ガスをエンジンで燃焼させる技術が知られている。特許文献1に記載のエンジンシステムは、改質器と、この改質器の上流側に配置され、主流路及び副流路を有するエゼクタと、エンジンの吸気通路とエゼクタの副流路とを接続する空気導入路と、この空気導入路の途中に設けられ、改質用空気の流量を制御する改質用空気制御弁と、エゼクタの主流路に臨んで配置され、エゼクタ内に改質用燃料ガスを噴射するインジェクタとを備えている。エンジンの吸気圧変化に対して、エゼクタから改質器に供給される改質用空気と改質用燃料ガスとの混合比率の変動を抑制するように、改質用空気制御弁の開度が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2015-10581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術のような改質器を備えたエンジンシステムでは、エンジン内のピストンの上下運動により、改質器を含む改質流路に吸気脈動が発生するため、改質器に供給される空気の流量が変動する。また、インジェクタは、エンジンの回転数に応じて間欠的に燃料を噴射している。これらにより、改質器に供給される燃料及び空気は時間的に一様な状態ではないため、改質器における空燃比(A/F)が時間的に一様でない状態(ムラがある状態)となる。このような空燃比のムラによって改質器の触媒反応も時間的に一様ではなく、空燃比が必要以上に高い状態では、改質器の一時的な過昇温が生じることで、改質器の触媒が劣化することがある。
【0005】
本発明の目的は、改質器の触媒の劣化を抑制することができるエンジンシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様に係るエンジンシステムは、シリンダとシリンダ内に配置されたピストンとを複数ずつ有し、燃料が水素と共に燃焼するエンジンと、シリンダ内に供給される空気が流れる吸気流路と、吸気流路に配設され、シリンダ内に供給される空気の流量を制御する第1流量制御弁と、シリンダ内に向けて燃料を間欠的に噴射する第1燃料噴射弁と、燃料を水素に分解する触媒を有し、燃料を改質して水素を含有した改質ガスを生成する改質器と、改質器に供給される空気が流れる上流側改質流路と、改質器により生成された改質ガスがシリンダ内に向けて流れる下流側改質流路と、上流側改質流路または下流側改質流路に配設され、改質器に供給される空気の流量を制御する第2流量制御弁と、改質器に向けて燃料を間欠的に噴射する第2燃料噴射弁と、第1流量制御弁、第1燃料噴射弁、第2流量制御弁及び第2燃料噴射弁を制御する制御部とを備え、エンジンは、複数のシリンダ毎に、シリンダ内に空気が吸入される行程を含む複数の行程を順番に実施し、制御部は、シリンダ内に空気が吸入される行程が開始されてから次のシリンダ内に空気が吸入される行程が開始されるまでの吸気期間において、吸気期間の開始からシリンダ内に空気が吸入される行程に起因して発生する吸気脈動により改質器に供給される空気の流量が多くなるタイミングに応じて第2燃料噴射弁から燃料が噴射されるように第2燃料噴射弁を制御する。
【0007】
このようなエンジンシステムにおいては、改質器に燃料及び空気が供給されることで、改質器において水素を含む改質ガスが生成され、改質ガスがエンジンのシリンダ内に供給される。また、エンジンのシリンダ内に燃料及び空気が供給されることで、シリンダ内において燃料が水素と混合して燃焼する。エンジンでは、複数のシリンダ毎に、シリンダ内に空気が吸入される行程を含む複数の行程が順番に実施される。このとき、シリンダ内に空気が吸入される行程が開始されてから次のシリンダ内に空気が吸入される行程が開始されるまでの吸気期間において、吸気期間の開始からシリンダ内に空気が吸入される行程に起因して発生する吸気脈動により改質器に供給される空気の流量が多くなるタイミングに応じて第2燃料噴射弁から燃料が噴射される。このため、改質器に吸気脈動が発生することで、改質器に供給される空気の流量が変動しても、改質器における時間的な空燃比のムラが低減される。これにより、改質器の過昇温が抑えられるため、改質器の触媒の劣化が抑制される。
【0008】
(2)上記の(1)において、エンジンシステムは、シリンダ内への吸気圧を検出する吸気圧検出部を更に備え、制御部は、吸気圧検出部により検出された吸気圧に基づいて、タイミングを求め、当該タイミングに応じて第2燃料噴射弁から燃料が噴射されるように第2燃料噴射弁を制御してもよい。
【0009】
ピストンが下降すると、シリンダ内に負圧が発生し、シリンダ内に空気が吸入される。このとき、シリンダ内の負圧が高いほど、空気がシリンダ内に吸入されやすく、空気がシリンダ内に迅速に吸入される。そこで、シリンダ内への吸気圧に基づいて、吸気期間の開始からシリンダ内に空気が吸入される行程に起因して発生する吸気脈動により改質器に供給される空気の流量が多くなるタイミングを求め、そのタイミングに応じて第2燃料噴射弁から燃料を噴射することにより、シリンダ内に空気が吸入される行程が開始されてから次のシリンダ内に空気が吸入される行程が開始されるまでの吸気期間において、シリンダ内への吸気圧に応じた適切なタイミングで第2燃料噴射弁から燃料が噴射される。このため、改質器における時間的な空燃比のムラが更に低減される。従って、改質器の過昇温が更に抑えられるため、改質器の触媒の劣化が一層抑制される。
【0010】
(3)上記の(1)において、エンジンシステムは、エンジンの状態を検出するエンジン状態検出部を更に備え、制御部は、エンジン状態検出部により検出されたエンジンの状態に基づいて、タイミングを求め、当該タイミングに応じて第2燃料噴射弁から燃料が噴射されるように第2燃料噴射弁を制御してもよい。
(【0011】以降は省略されています)
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