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公開番号
2024163895
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-22
出願番号
2024077487
出願日
2024-05-10
発明の名称
二酸化炭素回収装置および二酸化炭素回収方法
出願人
大阪瓦斯株式会社
代理人
弁理士法人R&C
主分類
B01D
53/06 20060101AFI20241115BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】経済的に有利な方法で、大気に含まれる低濃度の二酸化炭素を回収して、高純度の二酸化炭素を得ることができる二酸化炭素回収装置を提供する。
【解決手段】吸着ゾーン11、予熱ゾーン13、再生ゾーン14および予冷ゾーン15に区分され、二酸化炭素を可逆的に吸脱着可能な吸着材を含有するハニカムローター1と、吸着ゾーン11に空気を送入する空気供給部10と、予熱ゾーン13に予熱用ガスを送入してハニカムローター1を加熱する予熱部130と、再生ゾーン14に再生用ガスを送入し、ハニカムローター1から二酸化炭素を脱離させて二酸化炭素を分離する再生部140と、予冷ゾーン15に予冷用ガスを送入し、ハニカムローター1を冷却する予冷部150と、予熱部130および再生部140の少なくとも一方が有する酸素除去手段135とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
二酸化炭素を可逆的に吸脱着可能な吸着材を含有し、二酸化炭素を含有する空気が供給されるハニカムローターと、
前記ハニカムローターを、その回転方向に沿って、吸着ゾーン、予熱ゾーン、再生ゾーンおよび予冷ゾーンに区分する流路区分手段と、
前記吸着ゾーンの入口側に、二酸化炭素を含有する0℃以上40℃以下の空気を送入し、二酸化炭素濃度が低下した空気を出口側から流出させるための空気送入手段を有する空気供給部と、
前記予熱ゾーンの入口側に、60℃以上120℃以下で、酸素濃度が空気よりも低い予熱用ガスを送入し、前記ハニカムローターを加熱するとともに、前記予熱ゾーンの出口側から流出した気体を循環利用するための、予熱用加熱手段および予熱用ガス循環手段を有する予熱部と、
前記再生ゾーンの入口側に、60℃以上120℃以下で、酸素濃度が空気よりも低い再生用ガスを送入し、前記ハニカムローターから二酸化炭素を脱離させるとともに、前記再生ゾーンの出口側から流出した二酸化炭素濃度の高まった二酸化炭素富化ガスから二酸化炭素を分離し、循環利用するための、二酸化炭素分離手段、再生用加熱手段および再生用ガス循環手段を有する再生部と、
前記予冷ゾーンの入口側に、0℃以上60℃以下で、酸素濃度が空気よりも低い予冷用ガスを送入し、前記ハニカムローターを冷却するとともに、前記予冷ゾーンの出口側から流出した前記予冷用ガスを循環利用するための、冷却手段および予冷用ガス循環手段を有する予冷部と、
前記予熱部および前記再生部の少なくとも一方が有する酸素除去手段と、を備えた二酸化炭素回収装置。
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【請求項2】
前記予熱部は、前記予熱ゾーンの循環経路上に前記予熱用ガス中の水蒸気濃度を低減させるための水分除去手段を有する請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
予熱工程で前記予熱ゾーンに送入される前記予熱用ガスと再生工程で前記再生ゾーンに送入される前記再生用ガスとの水蒸気分圧の差を駆動力として当該予熱用ガスから当該再生用ガスに水蒸気を移動させる水蒸気輸送手段を備える請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
前記流路区分手段は、前記ハニカムローターを、その回転方向に沿って、前記吸着ゾーン、エアパージゾーン、前記予熱ゾーン、前記再生ゾーン、前記予冷ゾーンおよび低酸素濃度ガス回収ゾーンに区分し、
前記エアパージゾーンと前記低酸素濃度ガス回収ゾーンとの間でガスを循環させる低酸素濃度ガス循環部を備える請求項1~3のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
二酸化炭素を可逆的に吸脱着可能な吸着材を含有するハニカムを用い、
前記ハニカムに、二酸化炭素を含有する0℃以上40℃以下の空気を送入して、前記ハニカムに二酸化炭素を吸着させるとともに、前記ハニカムから二酸化炭素濃度が低下した空気を流出させる空気供給工程と、
前記空気供給工程を終えた前記ハニカムに、60℃以上120℃以下で、酸素濃度が空気よりも低い予熱用ガスを送入するとともに、前記ハニカムから流出した前記予熱用ガスを加熱して、循環利用しながら前記ハニカムを60℃以上120℃以下に予熱する予熱工程と、
前記予熱工程を終えた前記ハニカムに、60℃以上120℃以下で、酸素濃度が空気よりも低い再生用ガスを送入し、前記ハニカムから二酸化炭素を脱離させ、前記ハニカムから流出した二酸化炭素濃度の高まった二酸化炭素富化ガスから二酸化炭素を分離するとともに、二酸化炭素を分離した後のガスを加熱して、前記再生用ガスとして循環利用しながら前記ハニカムから二酸化炭素を回収して、再生する再生工程と、
前記再生工程を終えた前記ハニカムに、0℃以上60℃以下で、酸素濃度が空気よりも低い予冷用ガスを送入するとともに、前記ハニカムから流出した前記予冷用ガスを冷却して、循環利用しながら前記ハニカムを60℃以下に冷却する予冷工程と、をこの順序で繰り返すとともに、前記予熱工程および前記再生工程の少なくとも一方において、循環するガスから酸素を除去する操作を行う、二酸化炭素回収方法。
【請求項6】
前記予熱工程において、循環するガスから水蒸気を除去する操作を行う、請求項5に記載の二酸化炭素回収方法。
【請求項7】
前記予熱工程で前記ハニカムに送入される前記予熱用ガスと前記再生工程で前記ハニカムに送入される前記再生用ガスとの水蒸気分圧の差を駆動力として、前記予熱用ガスから前記再生用ガスに水蒸気を移動させる操作を行う、請求項5に記載の二酸化炭素回収方法。
【請求項8】
前記再生工程で前記ハニカムに送入される前記再生用ガスの相対湿度が、前記予熱工程で前記ハニカムに送入される前記予熱用ガスの相対湿度よりも高くなるよう、前記再生工程で前記ハニカムに送入される前記再生用ガスに水蒸気を添加する操作を行う、請求項5に記載の二酸化炭素回収方法。
【請求項9】
前記空気供給工程を終えたハニカム流路内の空気の少なくとも一部を、前記予冷工程を終えたハニカム流路内のガスと交換するエアパージ工程と、
前記予冷工程を終えたハニカム流路内のガスの少なくとも一部を、前記空気供給工程を終えたハニカム流路内のガスと交換する低酸素濃度ガス回収工程と、を含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気に含まれる低濃度の二酸化炭素を回収して、高純度の二酸化炭素を得るための二酸化炭素回収装置および二酸化炭素回収方法に関する。
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【背景技術】
【0002】
化石燃料の燃焼に伴い放出された二酸化炭素による地球温暖化が問題となっており、化石燃料の燃焼に伴う二酸化炭素の大気中への放出を抑制することが急務となっている。一方で、化石燃料の利用が、技術的あるいは経済的に避けられない用途も存在することから、大気中の二酸化炭素を回収する直接空気回収(Direct Air Capture)技術への期待が高まっている。
【0003】
二酸化炭素は、水素と反応させてメタンなどの炭化水素に変換することができる。この際、水素の製造を太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギー由来の電力を用いて行うとともに、二酸化炭素は大気から回収したものを利用することとすれば、得られた炭化水素は、燃焼利用しても、燃料の製造から利用までの過程を通算して、大気中の二酸化炭素濃度を増加させることがないので、カーボンニュートラルな炭化水素となる。
【0004】
燃焼排ガスからの二酸化炭素の回収技術は公知である。燃焼排ガスをアミン化合物の水溶液と接触させて、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素の大部分を除去するとともに、二酸化炭素を吸収したアミン水溶液を加熱して、体積基準で99%以上の二酸化炭素を含む高純度の二酸化炭素を回収するアミン吸収法二酸化炭素除去設備は、石炭火力発電所排ガスからの二酸化炭素回収設備として実用化されている。
【0005】
アミン吸収法は、高純度(例えば99.5%以上)の二酸化炭素を回収できることから、回収した二酸化炭素を燃料などの原料とする際には有利である。一方で、燃焼排ガスからアミン水溶液に二酸化炭素を回収する際には、二酸化炭素分子は気液界面を通過することになり、効率的な二酸化炭素回収を行うには、気液の接触を促進する必要がある。そこで、接触面積を高めるための充填物を充填した充填塔の上部からアミン水溶液を流下させ、下部から上部に燃焼排ガスを流通して、向流接触させる方法が一般的に採用されているが、この方法ではガスの圧力損失が高くなるという問題がある。
【0006】
大気に含まれる二酸化炭素(約400ppm)の回収では、燃焼排ガス(通常4%~13%程度)と比較して、同じ量の二酸化炭素を回収するために処理すべきガスの量が100~300倍となるため、ガスの圧力損失が高くなるアミン吸収法の利用は現実的ではない。
【0007】
固体状の二酸化炭素吸着材が知られている(非特許文献1)。このような固体吸着材をハニカム状の担体に担持した二酸化炭素吸着体を用いると、圧力損失を抑制しながら、短時間に多量のガスを処理することができる。固体吸着材は、低温で二酸化炭素を吸着し、高温で二酸化炭素を脱離するので、低温で二酸化炭素を含む大気を流通すると、固体吸着材に二酸化炭素が吸着され、これに高温の再生用ガスを流通すると、二酸化炭素が脱離して、二酸化炭素濃度の高まったガスが得られる。
【0008】
ハニカム状の担体を円盤状のハニカムローターとして形成し、その回転により吸着部と再生部を繰り返し移動するように構成し、連続的に大気に含まれる二酸化炭素の吸着と、再生用ガスによる再生を行うことができる二酸化炭素の濃縮装置も知られている(特許文献1~3)。
【0009】
固体の二酸化炭素吸着材として、シリカや活性炭などの多孔質担体に、分子量の大きいアミン、例えばポリエチレンイミンなどを担持した吸着材、あるいは弱塩基性陰イオン交換樹脂などが知られており、これらの固体吸着材は、大気中の希薄な二酸化炭素でも吸着することが可能である。一方で、これらの吸着材から、常圧の下で、120℃程度よりも低い温度で、高純度の二酸化炭素を回収することは、吸着の熱力学的制約により、通常不可能である。
【0010】
二酸化炭素吸着材は、高温で高濃度の酸素を含む雰囲気では、酸化劣化が進行する。特に、アミン系の吸着剤や弱塩基性陰イオン交換樹脂は、空気中120℃以上では速やかに劣化する。従って、特許文献1~3に記載の方法では、大気中の希薄な二酸化炭素を回収して、高純度の二酸化炭素を得ることは困難である。
(【0011】以降は省略されています)
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