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公開番号2025097208
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-30
出願番号2023213367
出願日2023-12-18
発明の名称放射冷却式装置
出願人大阪瓦斯株式会社
代理人弁理士法人R&C
主分類F24S 70/60 20180101AFI20250623BHJP(加熱;レンジ;換気)
要約【課題】比較的長期間に亘って、経時的に反射率が低下することを防止すると共に、表面(放射面)の耐摩耗性を維持しながらも、放射性能が低下しない放射冷却膜材を提供する。
【解決手段】赤外放射層における放射面の存在側にシリカを主成分とするコート層を備え、コート層の層厚は、30nm以上500nm未満であり、コート層を生成するためのコート材料が、アルコール溶剤に粒状のシリカを分散させた混合物を乾燥させたものであり、コート層を形成するコート材料は、乾燥前の質量である加熱乾燥前質量のコート材料を200℃で所定の判定加熱時間の間加熱したときに残る質量を第1残量質量とし、加熱乾燥前質量のコート材料を700℃で判定加熱時間の間加熱したときに残る質量を第2残量質量としたときに、(第1残量質量-第2残量質量)/第1残量質量の値が、0.05以上で且つ0.45未満の条件を満たすものである。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
基材の外面に放射冷却層が装着され、
前記放射冷却層が、放射面から赤外光を放射する赤外放射層と、当該赤外放射層における前記放射面の存在側とは反対側に位置させる光反射層と、を備える形態に構成され、
前記赤外放射層が、吸収した太陽光エネルギーよりも大きな熱輻射エネルギーを波長8μmから波長14μmの帯域で放つ厚みに調整された塩化ビニル樹脂又は塩化ビニリデン樹脂からなる樹脂材料層であり、
前記光反射層が、銀又は銀合金を備え、
前記赤外放射層における前記放射面の存在側に粒状のシリカを主成分とするコート層を備え、
前記コート層の層厚は、30nm以上500nm未満であり、
前記コート層を形成するコート材料は、
乾燥前の質量である加熱乾燥前質量の前記コート材料を200℃で所定の判定加熱時間の間加熱したときに残る質量を第1残量質量とし、前記加熱乾燥前質量の前記コート材料を700℃で前記判定加熱時間の間加熱したときに残る質量を第2残量質量としたときに、(第1残量質量-第2残量質量)/第1残量質量の値が、0.05以上で且つ0.45未満の条件を満たすものである放射冷却式装置。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記放射冷却層が、接着剤又は粘着剤の接続層にて前記膜材の外面に装着されている請求項1に記載の放射冷却式装置。
【請求項3】
前記樹脂材料層の膜厚が、
波長0.4μmから0.5μmの光吸収率の波長平均が13%以下であり、波長0.5μmから波長0.8μmの光吸収率の波長平均が4%以下であり、波長0.8μmから波長1.5μmまでの光吸収率の波長平均が1%以内であり、1.5μmから2.5μmまでの光吸収率の波長平均が40%以下となる光吸収特性を備え、且つ、
8μmから14μmの輻射率の波長平均が40%以上となる熱輻射特性を備える状態の厚みに調整されている請求項1又は2に記載の放射冷却式装置。
【請求項4】
前記光反射層は、波長0.4μmから0.5μmの反射率が90%以上、波長0.5μmより長波の反射率が96%以上である請求項1又は2に記載の放射冷却式装置。
【請求項5】
前記光反射層が、銀または銀合金で構成され、その厚みが50nm以上である請求項1又は2に記載の放射冷却式装置。
【請求項6】
前記光反射層が、前記樹脂材料層に隣接して位置する銀または銀合金と前記樹脂材料層から離れる側に位置するアルミまたはアルミ合金の積層構造である請求項1又は2に記載の放射冷却式装置。
【請求項7】
前記樹脂材料層を形成する樹脂材料が、可塑剤が混入された塩化ビニル樹脂又は塩化ビニリデン樹脂であり、
前記可塑剤が、フタル酸エステル類、脂肪族二塩基酸エステル類及びリン酸エステル類からなる群より選択される1つ以上の化合物からなる請求項1又は2に記載の放射冷却式装置。
【請求項8】
前記可塑剤が、前記塩化ビニル系樹脂の100重量部に対して、1重量部以上200重量部以下の範囲で混入されている請求項7に記載の放射冷却式装置。
【請求項9】
前記可塑剤のリン酸エステルが、リン酸トリエステル、又は、芳香族リン酸エステルである請求項7に記載の放射冷却式装置。
【請求項10】
前記樹脂材料層と前記光反射層との間に保護層を備える形態に構成され、
前記保護層が、厚さが300nm以上で、40μm以下のポリオレフィン系樹脂、又は、厚さが17μm以上で、40μm以下のポリエチレンテレフタラート樹脂である請求項1又は2に記載の放射冷却式装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、放射冷却作用を備えた放射冷却式装置に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
放射冷却とは、物質が周囲に赤外線などの電磁波を放射することでその温度が下がる現象のことを言う。この現象を利用すれば、たとえば、電気などのエネルギーを消費せずに冷却対象を冷やす放射冷却層(放射冷却式装置)を構成することができる。
【0003】
放射冷却層(放射冷却式装置)の従来例として、放射面から赤外光を放射する赤外放射層と、当該赤外放射層における前記放射面の存在側とは反対側に位置させる光反射層とが積層状態で設けられ、赤外放射層が、ジメチルシロキサン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、アクリル酸樹脂、メチルメタクリレート樹脂を用いて形成され、光反射層が、銀又は銀合金を備える形態に構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
つまり、放射冷却層(放射冷却式装置)は、赤外放射層が、波長8μmから14μmの帯域で大きな熱輻射エネルギーを放射し、光反射層が、赤外放射層を透過した光(紫外光、可視光、赤外光)を反射して放射面から放射させて、赤外放射層を透過した光(紫外光、可視光、赤外光)が冷却対象に投射されて、冷却対象が加温されることを回避することにより、昼間の日射環境下においても冷却対象を冷やすことができる。
【0005】
尚、光反射層は、赤外放射層を透過した光に加えて、赤外放射層から光反射層の存在側に放射される光を赤外放射層に向けて反射する作用も奏することになるが、以下の説明においては、光反射層を設ける目的が赤外放射層を透過した光(紫外光、可視光、赤外光)を反射することにあるとして説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特表2018-526599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に示される放射冷却層を有する膜材は、比較的長期に亘って使用される場合、表面(放射面)に異物が付着することにより経時的に反射率が低下したり、赤外放射層の紫外線による黄変により経時的に反射率が低下したり、表面(放射面)が摩耗したりする等といった問題が生じることがある。
そこで、比較的長期間に亘って、経時的に反射率が低下することを防止すると共に、表面(放射面)の耐摩耗性を維持しながらも、放射性能が低下しない放射冷却膜材の開発が望まれていた。
【0008】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、比較的長期間に亘って、経時的に反射率が低下することを防止すると共に、表面(放射面)の耐摩耗性を維持しながらも、放射性能が低下しない放射冷却膜材を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の放射冷却式装置は、
基材の外面に放射冷却層が装着され、
前記放射冷却層が、放射面から赤外光を放射する赤外放射層と、当該赤外放射層における前記放射面の存在側とは反対側に位置させる光反射層と、を備える形態に構成され、
前記赤外放射層が、吸収した太陽光エネルギーよりも大きな熱輻射エネルギーを波長8μmから波長14μmの帯域で放つ厚みに調整された塩化ビニル樹脂又は塩化ビニリデン樹脂からなる樹脂材料層であり、
前記光反射層が、銀又は銀合金を備え、
前記赤外放射層における前記放射面の存在側に粒状のシリカを主成分とするコート層を備え、
前記コート層の層厚は、30nm以上500nm未満であり、
前記コート層を形成するコート材料は、
乾燥前の質量である加熱乾燥前質量の前記コート材料を200℃で所定の判定加熱時間の間加熱したときに残る質量を第1残量質量とし、前記加熱乾燥前質量の前記コート材料を700℃で前記判定加熱時間の間加熱したときに残る質量を第2残量質量としたときに、(第1残量質量-第2残量質量)/第1残量質量の値が、0.05以上で且つ0.45未満の条件を満たすものである。
【0010】
すなわち、放射冷却層における赤外放射層の放射層から入射する太陽光は、樹脂材料層を透過した後、樹脂材料層の放射面の存在側とは反対側にある光反射層で反射され、放射面から系外へ逃がされる。
なお、本明細書の記載において、単に光と称する場合、当該光の概念には紫外光(紫外線)、可視光、赤外光を含む。これらを電磁波としての光の波長で述べると、その波長が10nmから20000nm(0.01μmから20μmの電磁波)の電磁波を含む。
(【0011】以降は省略されています)

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