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公開番号2024158238
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023073267
出願日2023-04-27
発明の名称弦楽器励振装置及び、振動伝達部並びに弦楽器励振システム
出願人Strings Audio Lab合同会社
代理人個人
主分類G10D 3/00 20200101AFI20241031BHJP(楽器;音響)
要約【課題】弦楽器の弦に取り付けられる弦楽器励振装置を構成する振動伝達部の作製が容易でかつ振動伝達部に対する着脱が容易である振動伝達部及び、かかる振動伝達部を有する弦楽器励振装置及びかかる弦楽器励振装置を含む弦楽器励振システムを提供する。
【解決手段】振動装置30が取り付けられる振動伝達部40の構造として、弦15gを上下方向から挟み込む上板42と下板44、これらを相互接続する接続部46を設け、接続部近傍においては、上板の下面と下板の上面の間隔t1が弦15gの太さt0より小さい値とした。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
弦楽器の弦に取り付けられる弦楽器励振装置であって、前記弦楽器の本体から所定間隔離れて張られた前記弦の前記弦楽器本体側を下側とし、その反対側を上側とするとき、
入力信号を受けて振動する振動装置と、
前記振動装置が接続されて、前記弦に前記振動装置からの振動を伝達する振動伝達部とを有し、
前記振動伝達部は、
前記弦の前記上側に配さる上板と、
前記弦の前記下側に配される下板と、
前記上板の少なくとも一部に前記下板の大部分が対向するように前記上板と前記下板とを前記下板の一方の端部近傍で相互接続する接続部とを有し、
前記接続部近傍においては、前記上板の下面と前記下板の上面の間隔が前記弦の前記太さより小さい値である弦楽器励振装置。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記上板の前記下面と前記下板の前記上面が平坦である請求項1に記載の弦楽器励振装置。
【請求項3】
前記上板の前記下面の前記弦の長手方向の略中央部に凹部が設けられ、前記下板の前記上面が平坦であり、前記弦に取り付けられたとき前記上板の前記長手方向の両端部近傍と前記下板の前記上面の間に前記弦を挟み込む構成の請求項1に記載の弦楽器励振装置。
【請求項4】
前記上板の下面と前記下板の上面の間隔が前記接続部近傍から前記下板の前記一方の端部の反対側の他方の端部までの間において前記弦の前記太さより小さい値である請求項1又は2に記載の弦楽器励振装置。
【請求項5】
前記上板の下面と前記下板の上面の間隔が前記接続部近傍から前記下板の前記一方の端部の反対側の他方の端部に向かって徐々に大きくなり、前記下板の前記他方の端部において前記弦の前記太さより大きい値である請求項1又は2に記載の弦楽器励振装置。
【請求項6】
前記上板の下面と前記下板の上面の間隔が前記下板の前記一方の端部の反対側の他方の端部において前記弦の前記太さより大きい値である請求項1又は2に記載の弦楽器励振装置。
【請求項7】
前記上板の前記下面に前記長手方向に沿って凹部となる湾曲部が設けられ、前記下板の前記上面に前記長手方向に沿って凸部となる湾曲部が設けられ、前記弦に取り付けられたとき前記上板の前記下面の前記長手方向の両端部と、前記下板の前記下面の前記湾曲部の頂点近傍の位置で前記弦を支持するよう構成した請求項1に記載の弦楽器励振装置。
【請求項8】
前記凹部となる前記湾曲部の曲率半径をR1とし、前記凸部となる前記湾曲部の曲率半径をR2とするとき、R1>R2となるよう設定し、前記上板の下面と前記下板の上面の間の空間において、前記弦が撓んで保持される構成の請求項7に記載の弦楽器励振装置。
【請求項9】
前記振動装置が前記振動伝達部を構成する前記上板と、前記下板と、前記接続部の少なくとも1つに接続されている請求項1から8のいずれか1つに記載の弦楽器励振装置。
【請求項10】
前記振動装置が前記振動伝達部を構成する前記上板にのみ接続されている請求項9に記載の弦楽器励振装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、弦楽器励振装置及びその一部である振動伝達部、それらを含む弦楽器励振システムに関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
一般に、弦楽器は、表板(胴板)と裏板及び側板とによって構成された響鳴胴を有し、表板には響穴(サウンドホール)が形成されている。また、弦楽器は、表板に板状のブリッジベース部材が接着剤によって固定されており、ブリッジベース部材上には弦を支持するために弦の長手方向と直交する方向に延在する駒(ブリッジ)が取り付けられている。
【0003】
各弦は、ブリッジの上部を越えて一端部をブリッジベース部材に取り付けられたブリッジピンに係止されている。この弦のそれぞれは、他端部をヘッド側(テール側)に設けられている張力調整機構によって張力を与えられることにより、ブリッジの上面に押し付けられ、ブリッジによって有効な位置に規定される。 このような弦楽器を用いて、弦楽器のブリッジを介して、あるいは弦楽器の各弦に直接外部から、例えば圧電振動子やスピーカのような振動手段により振動を伝達し、弦楽器を演奏したのと同様に発音させる弦楽器励振装置及び弦楽器励振装置を含む弦楽器励振システムが提案されている。
【0004】
本発明者は、下記の特許文献1に示されるように、本発明に先だって弦楽器励振装置及び弦楽器励振システムを開発した。特許文献1の図1から 図11及び図14から図23には、各弦の長手方向に直交する方向(便宜上この方向を左右方向と言う)から各弦を挟み込む構造の振動伝達部を有する弦楽器励振装置が開示されている。また、特許文献1の図24から 図26には、各弦の長手方向及び左右方向に直交する方向(便宜上この方向を上下方向と言う)から各弦を挟み込む構造の振動伝達部を有する弦楽器励振装置が開示されている。
【0005】
また、下記の特許文献2には、弦楽器の弦を2枚の板状部材で上下方向から挟み込む加振装置及び加振システムが開示されている。
【0006】
特許文献1の図1から 図11及び図14から図23に記載の、各弦の左右方向から各弦を挟み込む構造の振動伝達部を有する弦楽器励振装置を用いて弦を励振した場合、各弦の左右方向から各弦に振動が伝達されるため、通常の演奏時に例えば、バイオリンやビオラなどの場合、弦の上部を弓で摩擦することにより、各弦を振動させる態様とは異なる態様となってしまい、通常の演奏による発音と同様に再現することはできなかった。
【0007】
特許文献1の図24から 図26に記載の、各弦の上下方向から各弦を挟み込む構造の振動伝達部を用いると、各弦の上下方向から振動が各弦に伝達されるので、実際の演奏に近い状態で励振することができる。しかし、この構成の場合、各弦を上下から挟み込む構造が本体基板の取付面から水平方向に溝堀されたS字形状の弦取り付け溝であるため、次の問題がある。すなわち、本体基板にS字形状の弦取り付け溝を設ける工程において、この溝の上下方向の寸法の設定が容易ではない。例えば、バイオリンのG弦の場合、その太さ(直径)は0.78~0.90mm程度であり、E弦の場合、その太さは0.26mm程度であるが、これらの太さより溝の上下方向寸法が小さいと、弦を溝内に保持することができないので、必然的に弦の太さと同程度とするか、それ以上にする必要がある。しかし弦の太さは、弦のメーカーごとに微妙に異なり、また同一メーカーであっても、一定のバラツキがある。そのため、弦の太さが溝の上下方向の寸法より小さいと、弦が溝の中で遊んでしまい、その結果、弦楽器励振装置を弦に確実に固定することがむずかしいのみならず、振動が効果的に弦に伝達されないことがある。
【0008】
また、特許文献2に記載の構成では、2枚の板状部材がねじで結合されて、2枚の板状部材の間隔が調整される構成となっている。したがって、この構成を弦に取り付けるためには、まずねじを緩めて、2枚の板状部材の間隔を弦の太さより大きくした状態で弦に係合させ、その状態でねじを締めて2枚の板状部材の間隔を狭める必要がある。またこの構成において弦との係合を解くためには、ねじを緩める必要がる。このように、特許文献2に記載の構成は、弦に対する着脱時にねじを締めたり緩めたりする必要があり、面倒でありまた時間を要するものであった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
特許第7098219号公報 図1~図11 図14~図23
特開2022-61728号公報 図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
弦楽器の弦に取り付けられる振動伝達部の作製が容易でかつ振動伝達部を弦に取り付けて確実に固定することが容易であり、さらに弦に対する着脱が容易である振動伝達部及び、かかる振動伝達部を有する弦楽器励振装置及びかかる弦楽器励振装置を含む弦楽器励振システムが求められていた。
また、かかる弦楽器励振装置及びかかる弦楽器励振装置を含む弦楽器励振システムであって、1つの振動装置で2本以上の弦を励振可能なものが求められていた。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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