TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024151058
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-24
出願番号2023064179
出願日2023-04-11
発明の名称熱交換器コア及びその製造方法
出願人株式会社UACJ
代理人弁理士法人あいち国際特許事務所
主分類C22C 21/00 20060101AFI20241017BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】優れた耐食性を有する熱交換器コア及びその製造方法を提供する。
【解決手段】熱交換器コア1は、フィン2と、チューブ3と、フィン2とチューブ3とを接合するろう付接合4とを有している。フィン2は、Si:2.0~3.0質量%、Fe:0.05~1.2質量%、Cu:0.25質量%以下、Mn:0.3~1.8質量%、Zn:0.3~5.0質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有するアルミニウム合金から構成されている。チューブ3は、Cuの含有量が0.05質量%以下であるアルミニウム合金押出材から構成されている。チューブ3の外表面には犠牲陽極層31が形成されている。犠牲陽極層31の自然電極電位、チューブ3の内表面の自然電極電位、ろう付接合4におけるフィレットの自然電極電位及びフィン2の自然電極電位が特定の条件を満たしている。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
Si:2.0質量%以上3.0質量%以下、Fe:0.05質量%以上1.2質量%以下、Cu:0質量%以上0.25質量%以下、Mn:0.3質量%以上1.8質量%以下、Zn:0.3質量%以上5.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有するフィンと、
Cuの含有量が0.05質量%以下であるアルミニウム合金押出材からなるチューブと、
前記フィンと前記チューブとを接合するろう付接合と、を有し、
前記チューブの外表面には、前記チューブの内表面よりも低い自然電極電位を有する犠牲陽極層が形成されており、
(1)前記犠牲陽極層の自然電極電位、前記ろう付接合におけるフィレットの自然電極電位及び前記フィンの自然電極電位のうち最も高い自然電極電位を基準としたときの前記チューブの内表面の自然電極電位が+80mV以上である、(2)前記フィレットの自然電極電位を基準としたときの前記犠牲陽極層の自然電極電位が+80mV以下である、(3)前記フィン、前記フィレット及び前記犠牲陽極層のそれぞれの自然電極電位と、前記フィンの自然電極電位、前記フィレットの自然電極電位及び前記犠牲陽極層の自然電極電位の平均との電位差の絶対値が50mV以下である、の3つの条件を満たす、熱交換器コア。
続きを表示(約 950 文字)【請求項2】
前記フィンは、さらに、Zr:0質量%超え0.3質量%以下、Cr:0質量%超え0.3質量%以下、Ti:0質量%超え0.3質量%以下、V:0質量%超え0.3質量%、Ni:0質量%超え0.8質量%以下、Mg:0質量%超え0.1質量%以下、In:0質量%超え0.03質量%以下及びSn:0質量%超え0.1質量%以下からなる群より選択される1種または2種以上の元素を含んでいる、請求項1に記載の熱交換器コア。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱交換器コアの製造方法であって、
Si:2.0質量%以上3.0質量%以下、Fe:0.05質量%以上1.2質量%以下、Cu:0質量%以上0.25質量%以下、Mn:0.3質量%以上1.8質量%以下、Zn:0.3質量%以上4.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有するフィンと、Cuの含有量が0.05質量%以下であるアルミニウム合金押出材からなるチューブとを交互に重ね合わせて組立体を組み立て、
前記組立体を加熱し、亜鉛蒸気を含む雰囲気中で前記組立体のろう付を行うことにより前記フィンと前記チューブとの間に前記ろう付接合を形成するとともに、前記チューブの外表面に前記犠牲陽極層を形成する、熱交換器コアの製造方法。
【請求項4】
前記フィンは、さらに、Zr:0質量%超え0.3質量%以下、Cr:0質量%超え0.3質量%以下、Ti:0質量%超え0.3質量%以下、V:0質量%超え0.3質量%、Ni:0質量%超え0.8質量%以下、Mg:0質量%超え0.1質量%以下、In:0質量%超え0.03質量%以下及びSn:0質量%超え0.1質量%以下からなる群より選択される1種または2種以上の元素を含んでいる、請求項3に記載の熱交換器コアの製造方法。
【請求項5】
外表面にZn溶射皮膜が設けられた前記チューブを用いて前記組立体を組み立てる、請求項3に記載の熱交換器コアの製造方法。
【請求項6】
ろう付後における前記フィン中のZnの含有量が、ろう付前における前記フィン中のZnの含有量に対して0.1質量%以上高い、請求項3に記載の熱交換器コアの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器コア及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のラジエータや自動車に組み込まれる空気調和装置のコンデンサ及びエバポレータなどには、アルミニウム合金製のパラレルフロー型熱交換器が用いられている。この種の熱交換器は、伝熱媒体が流通可能に構成された複数のチューブと、複数のフィンとを含む熱交換器コアを有している。パラレルフロー型熱交換器のコアにおいて、チューブとフィンとは交互に積層されており、ろう付接合を介して互いに接合されている。
【0003】
従来、熱交換器コアのフィンとしては、心材の少なくとも一方の面上にろう材が設けられたブレージングシートが多用されている。一方、近年では、相手材との間にろう付接合を形成する機能を有する単層のアルミニウム合金材をフィンとして用いることが提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、Si:1.0~5.0mass%、Fe:0.01~2.0mass%、Mn:0.05~2.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、液相率が5%以上35%以下となる温度において単層で加熱接合機能を有する熱交換器用フィン材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第5698416号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、熱交換器コアの耐食性を向上させる方法として、チューブの外表面にZn溶射皮膜を形成することにより、チューブの外表面をチューブの内部に対する犠牲陽極として機能させる方法が知られている。しかし、Zn溶射皮膜を設けたチューブと、特許文献1の熱交換器用フィン材とを組み合わせる場合、ろう付接合やフィン材の腐食が早期に進行し、熱交換器コアの耐食性の低下を招くことがあった。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、優れた耐食性を有する熱交換器コア及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、Si(シリコン):2.0質量%以上3.0質量%以下、Fe(鉄):0.05質量%以上1.2質量%以下、Cu(銅):0質量%以上0.25質量%以下、Mn(マンガン):0.3質量%以上1.8質量%以下、Zn(亜鉛):0.3質量%以上5.0質量%以下を含有し、残部がAl(アルミニウム)及び不可避的不純物からなる化学成分を有するフィンと、
Cuの含有量が0.05質量%以下であるアルミニウム合金押出材からなるチューブと、
前記フィンと前記チューブとを接合するろう付接合と、を有し、
前記チューブの外表面には、前記チューブの内表面よりも低い自然電極電位を有する犠牲陽極層が形成されており、
(1)前記犠牲陽極層の自然電極電位、前記ろう付接合におけるフィレットの自然電極電位及び前記フィンの自然電極電位のうち最も高い自然電極電位を基準としたときの前記チューブの内表面の自然電極電位が+80mV以上である、(2)前記フィレットの自然電極電位を基準としたときの前記犠牲陽極層の自然電極電位が+80mV以下である、(3)前記フィン、前記フィレット及び前記犠牲陽極層のそれぞれの自然電極電位と、前記フィンの自然電極電位、前記フィレットの自然電極電位及び前記犠牲陽極層の自然電極電位の平均との電位差の絶対値が50mV以下である、の3つの条件を満たす、熱交換器コアにある。
【0009】
また、本発明の他の態様は、前記の態様の熱交換器コアの製造方法であって、
Si:2.0質量%以上3.0質量%以下、Fe:0.05質量%以上1.2質量%以下、Cu:0質量%以上0.25質量%以下、Mn:0.3質量%以上1.8質量%以下、Zn:0.3質量%以上4.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有するフィンと、Cuの含有量が0.05質量%以下であるアルミニウム合金押出材からなるチューブとを交互に重ね合わせて組立体を組み立て、
前記組立体を加熱し、亜鉛蒸気を含む雰囲気中で前記組立体のろう付を行うことにより前記フィンと前記チューブとの間に前記ろう付接合を形成するとともに、前記チューブの外表面に前記犠牲陽極層を形成する、熱交換器コアの製造方法にある。
【発明の効果】
【0010】
前記熱交換器コアにおけるフィンは、前記特定の化学成分を有するアルミニウム合金から構成されている。前記熱交換器コアは、少なくとも、前記特定の化学成分を有するフィンを用いることにより、前記犠牲陽極層の表面、前記チューブの内表面、前記ろう付接合のフィレット及び前記フィンの自然電極電位を、従来の熱交換器コアでは実現が困難であった前記3つの条件の全てを満たすように調整することができる。そして、熱交換器コアにおける各部位の自然電極電位を前記の態様とすることにより、熱交換器コアの耐食性を向上させることができる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許

株式会社UACJ
タブ用アルミニウム合金板
3日前
株式会社UACJ
タブ用アルミニウム合金板
3日前
株式会社UACJ
缶蓋用アルミニウム合金板
3日前
株式会社UACJ
缶蓋用アルミニウム合金板
3日前
株式会社UACJ
缶蓋用アルミニウム合金板
3日前
株式会社UACJ
缶蓋用アルミニウム合金板
3日前
株式会社UACJ
金属部材及びその製造方法
1か月前
株式会社UACJ
熱交換器コア及びその製造方法
8日前
株式会社UACJ
熱交換器コア及びその製造方法
8日前
株式会社UACJ
缶蓋用アルミニウム合金板の製造方法
3日前
株式会社UACJ
アルミニウム合金板、その製造方法及び熱交換器
16日前
株式会社UACJ
表面処理アルミニウム材、その製造方法及び半導体処理装置用部材
9日前
株式会社UACJ
摩擦攪拌点接合装置及び摩擦攪拌点接合方法
14日前
大同特殊鋼株式会社
金属粉末
2か月前
株式会社神戸製鋼所
鋼板
3か月前
株式会社神戸製鋼所
鋼線
21日前
JFEスチール株式会社
25日前
株式会社神戸製鋼所
銅合金板
1か月前
株式会社神戸製鋼所
銅合金板
22日前
JX金属株式会社
銅製錬の操業方法
7日前
日本特殊陶業株式会社
複合材
1か月前
有限会社 ナプラ
電解めっき用電極
16日前
古河機械金属株式会社
高クロム鋳鉄
17日前
日本製鉄株式会社
鋼材
1か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
28日前
日本製鉄株式会社
鋼材
14日前
日本製鉄株式会社
鋼材
3か月前
石福金属興業株式会社
耐熱性Ir合金
3か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
14日前
日本製鉄株式会社
鋼材
14日前
三洋化成工業株式会社
重金属回収用イオン液体
1日前
日本製鉄株式会社
鋼材
3か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
3か月前
日本製鉄株式会社
ボルト
1か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
14日前
日本製鉄株式会社
鋼部品
2か月前
続きを見る