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公開番号
2024153327
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-29
出願番号
2023067145
出願日
2023-04-17
発明の名称
缶蓋用アルミニウム合金板
出願人
株式会社UACJ
代理人
名古屋国際弁理士法人
主分類
C22C
21/06 20060101AFI20241022BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】缶材由来のスクラップ原料を配合しつつ、高強度及び高靭性を両立できる缶蓋用アルミニウム合金板を提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、Siが0.20質量%以上0.47質量%以下、Feが0.30質量%以上0.59質量%以下、Cuが0.11質量%以上0.40質量%以下、Mnが0.70質量%以上0.98質量%以下、Mgが1.1質量%以上3.7質量%以下であり、圧延方向に対し0°方向、45°方向、及び90°方向それぞれにおいて、0.2%耐力σ
0.2
、引張強さσ
B
、及び0.2%耐力と引張強さとの平均値σ
fm
を用いて式(1)によって算出される評価値Sのうち、最小評価値S
min
が330MPa以上410MPa以下である、缶蓋用アルミニウム合金板である。
S=σ
fm
/(σ
0.2
/σ
B
) ・・・(1)
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ケイ素(Si)の含有量が0.20質量%以上0.47質量%以下であり、
鉄(Fe)の含有量が0.30質量%以上0.59質量%以下であり、
銅(Cu)の含有量が0.11質量%以上0.40質量%以下であり、
マンガン(Mn)の含有量が0.70質量%以上0.98質量%以下であり、
マグネシウム(Mg)の含有量が1.1質量%以上3.7質量%以下であり、
残部がアルミニウム(Al)及び不可避的不純物からなり、
圧延方向に対し0°方向、45°方向、及び90°方向それぞれにおいて、0.2%耐力σ
0.2
、引張強さσ
B
、及び0.2%耐力と引張強さとの平均値σ
fm
を用いて下記式(1)によって算出される評価値Sのうち、最小値である最小評価値S
min
が330MPa以上410MPa以下である、缶蓋用アルミニウム合金板。
S=σ
fm
/(σ
0.2
/σ
B
) ・・・(1)
続きを表示(約 830 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の缶蓋用アルミニウム合金板であって、
ケイ素(Si)の含有量が0.20質量%以上0.39質量%以下であり、
マンガン(Mn)の含有量が0.75質量%以上0.98質量%以下であり、
マグネシウム(Mg)の含有量が1.4質量%以上3.1質量%以下であり、
固相線温度からMg
2
Siの固溶温度を引いた温度差が30℃以上であり、
アルミニウムの凝固開始温度よりも初晶の晶出温度が低く、
幅方向中央部分のL-ST断面において、面積が0.3μm
2
以上のMg
2
Si粒子の前記L-ST断面における総面積の割合が0.2%以下であり、
前記最小評価値S
min
が360MPa以上410MPa以下である、缶蓋用アルミニウム合金板。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の缶蓋用アルミニウム合金板であって、
圧延方向に対し0°方向の0.2%耐力σ
0.2_0°
から、圧延方向に対し90°方向の0.2%耐力σ
0.2_90°
を引いた値が-13MPa以上13MPa以下である、缶蓋用アルミニウム合金板。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の缶蓋用アルミニウム合金板であって、
幅が12.5mm、長さが200mmの短冊状に切り出した試験片に対し、曲げ稜線が圧延方向と平行となる向きで、90°曲げて0°位置に戻す曲げ操作を繰り返した際に、前記試験片の破断までの前記曲げ操作の回数である繰り返し曲げ回数Nを、前記試験片の板厚t及び下記式(2)により規格化した規格化繰り返し曲げ回数N
s
が18回以上である、缶蓋用アルミニウム合金板。
N
s
=N×t/0.235 ・・・(2)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、缶蓋用アルミニウム合金板に関する。
続きを表示(約 1,300 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりから製造工程においてCO
2
排出量の少ないアルミニウム合金板が求められている。アルミニウムの製造工程においてCO
2
の排出に間接的に大きく寄与するのは鋳造工程におけるアルミニウム新地金の配合である。
【0003】
アルミニウム新地金の製造は、その精錬工程において大きな電力を使用し、大量のCO
2
排出に繋がる。そのため、アルミニウム新地金の配合量を減らし、水平リサイクル率を上げることがアルミニウム合金板の製造にとってCO
2
排出量削減に繋がる。
【0004】
一般的にアルミニウムスクラップを再溶解して鋳造した場合のCO
2
排出量は、アルミニウム新地金を製造する場合に対して約30分の1まで抑えられると言われている。特に世界中で使用される飲料缶用アルミニウム合金板の生産量は非常に多く、その水平リサイクル率をさらに向上させることは環境負荷低減に大きな意味を持つ。
【0005】
その中でも、5182アルミニウム合金(AA5182合金)で形成される缶蓋は、3104アルミニウム合金(AA3104合金)で形成される缶胴に比べて、Si、Fe、Cu、Mn等の成分規格上限が低く、3104アルミニウム合金を混合した缶材由来のスクラップを配合しにくい。
【0006】
例えば、市中から発生する缶スクラップ(UBC:Used Beverage Can)をそのまま配合すると、缶胴と缶蓋との重量比から3104アルミニウム合金の成分をより多く含むため、5182アルミニウム合金の成分上限を超えやすくなり、新地金で成分を希釈する必要が出てくる。
【0007】
そのため、缶蓋用アルミニウム合金板は、缶胴用アルミニウム合金板に比べて新地金を多く使用して5182アルミニウム合金の成分に調整しており、リサイクル率が低い。したがって、缶蓋を3104アルミニウム合金が配合しやすい成分の合金に変更することにより、缶蓋の新地金使用率を大きく低減させることができる。
【0008】
特許文献1-5ではリサイクル性に優れる3104アルミニウム合金の成分に比較的近づけた缶蓋用アルミニウム合金板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2001-73106号公報
特開平9-070925号公報
特開平11-269594号公報
特開2000-160273号公報
特開2016-160511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
缶蓋用の合金を3104アルミニウム合金に近い成分にする場合の課題として、缶蓋の耐圧及び材料の靭性の低下が挙げられる。缶蓋の耐圧とは、缶内部の圧力に対して缶蓋が反転するときの内圧値であり、外部環境の変化で缶の内圧が不慮に増加したときの抵抗値となる。
(【0011】以降は省略されています)
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