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公開番号
2024145827
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-15
出願番号
2023058346
出願日
2023-03-31
発明の名称
山岳トンネルにおけるインバート部構造体の施工方法
出願人
株式会社奥村組
,
日本コンクリート工業株式会社
代理人
弁理士法人翔和国際特許事務所
主分類
E21D
11/08 20060101AFI20241004BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約
【課題】インバート部の覆工体を構成するインバート部構造体を、トンネルの横断方向の片側領域毎に形成できるようにするインバート部構造体の施工方法を提供する。
【解決手段】山留板部材57をH型鋼35に支持さることで、他方の片側領域55Bの地盤61を山留めすることによって、通行路60での通行を確保した状態で、一方の片側領域55Aにおいて、片側のインバート部構造体10を形成する工程と、山留板部材57を盛り換えてH型鋼35に支持させることで、一方の片側領域55Aに造成された地盤を山留めすることにより通行路60’を復旧させて通行を確保した状態で、他方の片側領域55Bにおいて、残りの片側のインバート部構造体10を形成する工程とを含んで構成されている。
【選択図】図3
特許請求の範囲
【請求項1】
山岳トンネルのインバート部におけるトンネルの横断方向の全域に設けられてインバート部覆工体を構成する、PCaコンクリートブロックを用いたインバート部構造体を、前記横断方向の中央を挟んだ両側の片側領域に分けて施工して、他方の片側領域における通行を確保しながら、各々の一方の片側領域で片側ずつ形成できるようにする、山岳トンネルにおけるインバート部構造体の施工方法であって、
前記インバート部におけるトンネルの横断方向の中央には、トンネルの軸方向に所定の間隔をおいて、山留板部材を支持させるH型鋼が、フランジ部をトンネルの軸方向に沿わせた状態で、前記インバート部の地盤に打設されることにより複数立設して設けられており、
前記H型鋼における一方の片側領域側のフランジ部又は他方の片側領域側のフランジ部に支持させることで、他方の片側領域における通行路の地盤を山留めすることによって、当該他方の片側領域における通行を確保した状態で、一方の片側領域において、片側のインバート部構造体を、一方の片側領域側のフランジ部を超える部分までPCaコンクリートブロックを用いて形成する工程と、
前記H型鋼に山留板部材を支持させることで、一方の片側領域において形成された片側のインバート部構造体の上方部分が埋め戻されて造成された地盤を、山留めすることによって当該一方の片側領域に通行路を復旧させ、復旧させた通行路における通行を確保した状態で、他方の片側領域において、残りの片側のインバート部構造体をPCaコンクリートブロックを用いて形成する工程とを含んで構成される山岳トンネルにおけるインバート部構造体の施工方法。
続きを表示(約 580 文字)
【請求項2】
一方の片側領域において、片側のインバート部構造体を、一方の片側領域側のフランジ部を超える部分までPCaコンクリートブロックを用いて形成する工程では、前記H型鋼における一方の片側領域側のフランジ部の内側面との間に、スパーサ部材を介在させて、山留板部材を、他方の片側領域側に片寄せた状態で当該一方の片側領域側のフランジ部に支持させる請求項1記載の山岳トンネルにおけるインバート部構造体の施工方法。
【請求項3】
一方の片側領域及び他方の片側領域において形成されるインバート部構造体は、各々、複数のPCコンクリートブロックを、隣接する側壁部覆工体の下端部の受台部との間、及び隣接するPCコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、トンネルの横断方向に連設して配置してインバート部に設置すると共に、トンネルの軸方向にもまた、隣接するPCコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、連設して配置してインバート部に設置することで形成されたブロック群を、隣接する前記受台部との間の隙間、及び隣接する前記PCコンクリートブロックとの間の隙間に、充填固化材を充填して硬化させることによって、硬化した充填固化材を介して一体化されて形成されるものとなっている請求項1又は2記載の山岳トンネルにおけるインバート部構造体の施工方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、山岳トンネルにおけるインバート部構造体の施工方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
山岳トンネルは、岩盤等の自立していて比較的安定した地盤を掘削して形成されるトンネルであり、掘削された内壁面は、コンクリートやモルタルによる一次覆工や二次覆工によって覆われるようになっている。すなわち、山岳トンネルの内壁面は、例えば発破等を実施しながらトンネルを掘削した後に、好ましくはモルタルやコンクリートを吹付けて一次覆工を行うことにより防護層を形成してから、形成した一次覆工による防護層の内側に、例えば公知のトンネル覆工型枠を設置して、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分に、コンクリートによる所定の厚さの覆工体を、二次覆工として形成する。さらに、先行して形成されたトンネルの両側の側壁部から上部のアーチ形状部分に至る覆工体における、一対の側壁部の下端部の受台部の間の部分に、底部のインバート部の覆工体を、トンネルの横断方向にコンクリートを用いて所定の厚さで一体しして形成することにより、山岳トンネルの内壁面の全周を、二次覆工によって連続して覆うようになっている。
【0003】
また、山岳トンネルは、比較的安定した地盤を掘削して形成されるものであることから、例えば数十年以上前に構築されたトンネルは、インバート部の覆工体を省略して、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分に至る領域にのみ、覆工体を形成して二次覆工を行っているものがある。このようなインバート部の覆工体を省略した山岳トンネルに対しては、例えば将来、底盤部の盤膨れ等による影響が生じないように、インバート部の覆工体を新たに形成することが検討されている。
【0004】
トンネルの底部に、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分に先行して設けられた覆工体と連続させて、インバート部の覆工体を形成する方法としては、従来より、現場打ちコンクリートを用いたものが一般的であるが(例えば、特許文献1参照)、インバート部の覆工体は、湾曲した形状となるように上面を仕上げるのに、高度な熟練を要することになる。さらに、現場打ちコンクリートを用いた場合、打設されたコンクリートは、硬化した後に所定の養生期間が経過するまでに、相当の時間を要することから、特にインバート部の覆工体を省略した側壁部から上部のアーチ形状部分の覆工体に、新たにインバート部の覆工体を形成する場合には、長期間、トンネル内の通行を遮断することになるため、より短期間で、工事を終了できるようにすることが望ましい。
【0005】
このようなことから、インバート部の覆工体を、予め工場等において製造された、プレキャストコンクリート製のコンクリート部材を用いて形成することによって、工期の短縮を図ることも検討されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。また、例えば数十年以上前に構築された既存の山岳トンネルに、インバート部の覆工体をプレキャストコンクリート製のコンクリート部材(ブロック)を用いて新たに形成する場合、トンネルでの通行を全面的に遮断することなく、通行路での通行を確保したまま、工事を行なえるようにすることが望ましいことから、山岳トンネルのインバート部の覆工体を、トンネルの横断方向における片側領域毎に施工できるようにする技術も開発されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2020-159060号公報
特開2013-28898号公報
特開2018-123528号公報
特開2000-145390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の山岳トンネルにおけるインバートの形成方法では、トンネルの横断方向における他方の片側領域の通行路での通行を確保したまま、一方の片側領域の通行路及びこれの下方の地盤を掘削して掘削溝を形成した後に、形成した掘削溝の底部に、インバート部を構成する複数のブロックを、並べて配置するようになっており、また通行が確保された他方の片側領域の、通行路の下方の地盤の側面は、当該他方の片側領域に隣接して配置されるブロックの立ち上り部によって土留めされるようになっているが、一方の片側領域に形成した掘削溝の底部に、複数のブロックを精度良く並べて配置する作業には、多くの時間と手間の要することになると共に、立ち上り部を有するブロックが、通行路での通行が確保された他方の片側領域の地盤に、隣接して設置されるまでの間は、通行路の下方の地盤の側面は、土留めされずに解放されたままとなるため、安定した状態で、通行路及びこれの下方の地盤を保持しておくことは困難であると考えられる。
【0008】
本発明は、既存の山岳トンネルにおいて、インバート部の覆工体を構成する、PCaコンクリートブロックを用いたインバート部構造体を、トンネルの横断方向における片側領域毎に施工する際に、他方の片側領域の通行路及びこれの下方の地盤を、簡易な構成により安定した状態で保持しながら、一方の片側領域において形成することのできる山岳トンネルにおけるインバート部構造体の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、山岳トンネルのインバート部におけるトンネルの横断方向の全域に設けられてインバート部覆工体を構成する、PCaコンクリートブロックを用いたインバート部構造体を、前記横断方向の中央を挟んだ両側の片側領域に分けて施工して、他方の片側領域における通行を確保しながら、各々の一方の片側領域で片側ずつ形成できるようにする、山岳トンネルにおけるインバート部構造体の施工方法であって、前記インバート部におけるトンネルの横断方向の中央には、トンネルの軸方向に所定の間隔をおいて、山留板部材を支持させるH型鋼が、フランジ部をトンネルの軸方向に沿わせた状態で、前記インバート部の地盤に打設されることにより複数立設して設けられており、前記H型鋼における一方の片側領域側のフランジ部又は他方の片側領域側のフランジ部に支持させることで、他方の片側領域における通行路の地盤を山留めすることによって、当該他方の片側領域における通行を確保した状態で、一方の片側領域において、片側のインバート部構造体を、一方の片側領域側のフランジ部を超える部分までPCaコンクリートブロックを用いて形成する工程と、前記H型鋼に山留板部材を支持させることで、一方の片側領域において形成された片側のインバート部構造体の上方部分が埋め戻されて造成された地盤を、山留めすることによって当該一方の片側領域に通行路を復旧させ、復旧させた通行路における通行を確保した状態で、他方の片側領域において、残りの片側のインバート部構造体をPCaコンクリートブロックを用いて形成する工程とを含んで構成される山岳トンネルにおけるインバート部構造体の施工方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
そして、本発明の山岳トンネルにおけるインバート部構造体の施工方法は、一方の片側領域において、片側のインバート部構造体を、一方の片側領域側のフランジ部を超える部分までPCaコンクリートブロックを用いて形成する工程では、前記H型鋼における一方の片側領域側のフランジ部の内側面との間に、スパーサ部材を介在させて、山留板部材を、他方の片側領域側に片寄せた状態で当該一方の片側領域側のフランジ部に支持させるようになっていることが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)
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