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公開番号2024145820
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2023058339
出願日2023-03-31
発明の名称インバート部におけるPCaブロックの設置方法
出願人株式会社奥村組,日本コンクリート工業株式会社
代理人弁理士法人翔和国際特許事務所
主分類E21D 11/08 20060101AFI20241004BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】PCaコンクリートブロックを用いて形成されるインバート部覆工体を、安定した状態で効率良く迅速に形成できるようにするPCaブロックの設置方法を提供する。
【解決手段】縦横に並べてインバート部33に設置される複数のPCaコンクリートブロック20は、トンネルの横断方向に連設する各々の横断方向ブロック列20Dの複数のPCaコンクリートブロック20A,20B,20Cが、受台部側ブロック20Aを受台部31cに隣接させて設置して仮固定手段36により仮固定した後に、仮固定された受台部側ブロック20Aに隣接させて、中間部ブロック20C及び中央部側ブロック20Bを順次設置することで、トンネルの横断方向に連設してインバート部33に設置されるようになっている。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
山岳トンネルのインバート部におけるトンネルの横断方向の少なくとも片側領域に設けられて、インバート部覆工体を構成する、複数のPCaコンクリートブロックを用いたインバート部構造体を施工する際に用いる、インバート部におけるPCaブロックの設置方法であって、
前記PCaコンクリートブロックは、前記インバート部覆工体の横断面形状に沿った湾曲形状を備えるように、湾曲する上面部及び下面部を有する六面体形状のブロックとして形成されており、
複数の前記PCaコンクリートブロックは、側壁部覆工体の下端部の受台部に隣接して配置される受台部側ブロックと、インバート部の横断方向中央側に配置される中央部側ブロックと、これらの間に配置される一又は複数の中間部ブロックとを含んでおり、
複数の前記PCaコンクリートブロックは、隣接する受台部との間、及び隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、トンネルの横断方向に連設して配置されると共に、トンネルの軸方向にもまた、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で連設して配置されて、縦横に並べてインバート部に設置されるようになっており、
トンネルの横断方向に連設する各列の複数の前記PCaコンクリートブロックは、前記受台部側ブロックを前記受台部に隣接させて設置して仮固定手段により仮固定した後に、仮固定された前記受台部側ブロックに隣接させて、前記中間部ブロック及び前記中央部側ブロックを順次設置することで、トンネルの横断方向に連設する各列の複数の前記PCaコンクリートブロックを、インバート部に設置するインバート部におけるPCaブロックの設置方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記受台部側ブロックを前記受台部に隣接させて設置して仮固定手段により仮固定した後に、仮固定された前記受台部側ブロックに順次隣接させて、前記中間部ブロック及び前記中央部側ブロックを設置し、設置したこれらのブロックの各々の隣接箇所において、横断方向対向面と近接する少なくとも一方の前記PCaコンクリートブロックの上面部に配設されたボルトボックスを介して、ボルト部材により仮固定してから、各々の前記PCaコンクリートブロックの高さ及び位置を調整し、しかる後に前記ボルト部材を本締めすることによって、トンネルの横断方向に連設する各列の複数の前記PCaコンクリートブロックを、インバート部に設置する請求項1記載のインバート部におけるPCaブロックの設置方法。
【請求項3】
前記受台部側ブロックを前記受台部に隣接させて設置して仮固定手段により仮固定した後に、仮固定された前記受台部側ブロックに隣接させて、前記中間部ブロックを設置し、設置した前記中間部ブロックの前記受台部側ブロックとの隣接箇所において、横断方向対向面と近接する少なくとも一方の前記PCaコンクリートブロックの上面部に配設されたボルトボックスを介して、ボルト部材により仮固定してから、各々の前記PCaコンクリートブロックの高さ及び位置を調整した後に前記ボルト部材を本締めし、引き続いて前記中間部ブロックに隣接させて、前記中央部側ブロックを設置し、設置した前記中央部側ブロックの前記中間部ブロックとの隣接箇所において、横断方向対向面と近接する少なくとも一方の前記PCaコンクリートブロックの上面部に配設されたボルトボックスを介して、ボルト部材により仮固定してから、前記中央部側ブロックの高さ及び位置を調整した後に前記ボルト部材を本締めすることによって、トンネルの横断方向に連設する各列の複数の前記PCaコンクリートブロックを、インバート部に設置する請求項1記載のインバート部におけるPCaブロックの設置方法。
【請求項4】
前記仮固定手段は、前記受台部に埋設したホールインアンカーに取り付けられた係止部材と、前記受台部側ブロックに設けられたボルトボックスや吊り治具に取り付けられた係止部材とに両端部が係止された、ワイヤ、チェーン部材等の索条体となっている請求項1~3のいずれか1項記載のインバート部におけるPCaブロックの設置方法。
【請求項5】
前記索条体は、係止される両端部の間の長さを調整可能な、伸縮調整手段を備えており、これによって前記受台部と、これに隣接する前記受台部側ブロックとの間に保持される隙間の間隔幅を調整可能となっている請求項4記載のインバート部におけるPCaブロックの設置方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、インバート部におけるPCaブロックの設置方法に関し、特に、山岳トンネルのインバート部に設けられてインバート部覆工体を構成する、インバート部構造体を施工する際に用いるPCaブロックの設置方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
山岳トンネルは、岩盤等の自立していて比較的安定した地盤を掘削して形成されるトンネルであり、掘削された内壁面は、コンクリートやモルタルによる一次覆工や二次覆工によって覆われるようになっている。すなわち、山岳トンネルの内壁面は、例えば発破等を実施しながらトンネルを掘削した後に、好ましくはモルタルやコンクリートを吹付けて一次覆工を行うことにより防護層を形成してから、形成した一次覆工による防護層の内側に、例えば公知のトンネル覆工型枠を設置して、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分に、コンクリートによる所定の厚さの覆工体を、二次覆工として形成する。さらに、先行して形成されたトンネルの両側の側壁部から上部のアーチ形状部分に至る覆工体における、一対の側壁部の下端部の受台部の間の部分に、底部のインバート部の覆工体を、トンネルの横断方向にコンクリートを用いて所定の厚さで一体しして形成することにより、山岳トンネルの内壁面の全周を、二次覆工によって連続して覆うようになっている。
【0003】
また、山岳トンネルは、比較的安定した地盤を掘削して形成されるものであることから、例えば数十年以上前に構築されたトンネルは、インバート部の覆工体を省略して、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分に至る領域にのみ、覆工体を形成して二次覆工を行っているものがある。このようなインバート部の覆工体を省略した山岳トンネルに対しては、例えば将来、底盤部の盤膨れ等による影響が生じないように、インバート部の覆工体を新たに形成することが検討されている。
【0004】
トンネルの底部に、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分に先行して設けられた覆工体と連続させて、インバート部の覆工体を形成する方法としては、従来より、現場打ちコンクリートを用いたものが一般的であるが(例えば、特許文献1参照)、インバート部の覆工体は、湾曲した形状となるように上面を仕上げるのに、高度な熟練を要することになる。さらに、現場打ちコンクリートを用いた場合、打設されたコンクリートは、硬化した後に所定の養生期間が経過するまでに、相当の時間を要することから、特にインバート部の覆工体を省略した側壁部から上部のアーチ形状部分の覆工体に、新たにインバート部の覆工体を形成する場合には、長期間、トンネル内の通行を遮断することになるため、より短期間で、工事を終了できるようにすることが望ましい。
【0005】
このようなことから、インバート部の覆工体を、予め工場等において製造された、プレキャストコンクリート製のコンクリート部材を用いて形成することによって、工期の短縮を図ることも検討されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2020-159060号公報
特開2013-28898号公報
特開2018-123528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、プレキャストコンクリート製のコンクリート部材を用いた従来の山岳トンネルにおけるインバート部の施工方法によれば、工場等において予め形成されるこれらのコンクリート部材は、インバート部の横断方向の全幅に亘る長さで形成されていたり、インバート部を横断方向に2~3分割した長さで形成されていたりするため、重量や形状が大きなものになると共に、工場等において型枠を組み立てて、ジョイント部等を精度良く形成するのに多くの手間を要することになる。さらに、工事現場での搬入や組付けにも多くの労力を要する他、特に、例えば複数車線の道路トンネルにおいて、他方の車線での通行を維持したまま、各々の車線毎に工事を行う場合には、嵩張る大きさのコンクリート部材を用いることになるため、困難な作業を伴うことになる。
【0008】
本発明は、工場等において製造することが容易な適度な重量及び大きさのプレキャストコンクリート製のブロック(PCaコンクリートブロック)を用いることで、多くの労力を要することなく施工されてトンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分の覆工体と連続して設けられる、インバート部覆工体の構成部分として形成されるインバート部構造体を、安定した状態で効率良く迅速に形成することを可能にするインバート部におけるPCaブロックの設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、山岳トンネルのインバート部におけるトンネルの横断方向の少なくとも片側領域に設けられて、インバート部覆工体を構成する、複数のPCaコンクリートブロックを用いたインバート部構造体を施工する際に用いる、インバート部におけるPCaブロックの設置方法であって、前記PCaコンクリートブロックは、前記インバート部覆工体の横断面形状に沿った湾曲形状を備えるように、湾曲する上面部及び下面部を有する六面体形状のブロックとして形成されており、複数の前記PCaコンクリートブロックは、側壁部覆工体の下端部の受台部に隣接して配置される受台部側ブロックと、インバート部の横断方向中央側に配置される中央部側ブロックと、これらの間に配置される一又は複数の中間部ブロックとを含んでおり、複数の前記PCaコンクリートブロックは、隣接する受台部との間、及び隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、トンネルの横断方向に連設して配置されると共に、トンネルの軸方向にもまた、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で連設して配置されて、縦横に並べてインバート部に設置されるようになっており、トンネルの横断方向に連設する各列の複数の前記PCaコンクリートブロックは、前記受台部側ブロックを前記受台部に隣接させて設置して仮固定手段により仮固定した後に、仮固定された前記受台部側ブロックに隣接させて、前記中間部ブロック及び前記中央部側ブロックを順次設置することで、トンネルの横断方向に連設する各列の複数の前記PCaコンクリートブロックを、インバート部に設置するインバート部におけるPCaブロックの設置方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
そして、本発明のインバート部におけるPCブロックの設置方法は、前記受台部側ブロックを前記受台部に隣接させて設置して仮固定手段により仮固定した後に、仮固定された前記受台部側ブロックに順次隣接させて、前記中間部ブロック及び前記中央部側ブロックを設置し、設置したこれらのブロックの各々の隣接箇所において、横断方向対向面と近接する少なくとも一方の前記PCaコンクリートブロックの上面部に配設されたボルトボックスを介して、ボルト部材により仮固定してから、各々の前記PCaコンクリートブロックの高さ及び位置を調整し、しかる後に前記ボルト部材を本締めすることによって、トンネルの横断方向に連設する各列の複数の前記PCaコンクリートブロックを、インバート部に設置するようになっていることが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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