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公開番号2024141361
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-10
出願番号2023052962
出願日2023-03-29
発明の名称放射性核種の製造方法及び放射性核種の製造装置
出願人JFEエンジニアリング株式会社,国立大学法人東北大学
代理人個人,個人
主分類G21K 5/08 20060101AFI20241003BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】電子線加速器を用いて大電流で電子線を照射して、効率的に放射性核種を生成することができる放射性核種の製造方法の提供。
【解決手段】電子線加速器31で加速した電子線32を、電子線を受けて制動放射線を発生するターゲット材11に照射し、これによって前記ターゲット材11から発生する制動放射線を原料核種に照射して放射性核種を製造する放射性核種の製造方法であって、次の工程を備えることを特徴とする放射性核種の製造方法。
工程A:冷却媒体23中に設置した管状の電子線透過性材料によって形成された循環路13内において、原料核種を含む粒子と不活性ガスとからなる混合流体20を循環させる工程
工程B:前記循環路13の途中で、前記混合流体20中の前記粒子に前記制動放射線を照射して前記粒子中に前記放射性核種を生成させる工程
工程C:前記冷却媒体23を熱交換器によって冷却する工程
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
電子線加速器で加速した電子線を、電子線を受けて制動放射線を発生するターゲット材に照射し、これによって前記ターゲット材から発生する制動放射線を原料核種に照射して放射性核種を製造する放射性核種の製造方法であって、次の工程を備えることを特徴とする放射性核種の製造方法。
工程A:冷却媒体中に設置した管状の電子線透過性材料によって形成された循環路内において、原料核種を含む粒子と不活性ガスとからなる混合流体を循環させる工程
工程B:前記循環路の途中で、前記混合流体中の前記粒子に前記制動放射線を照射して前記粒子中に前記放射性核種を生成させる工程
工程C:前記冷却媒体を熱交換器によって冷却する工程
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記原料核種を含む粒子が前記ターゲット材であり、前記電子線を前記ターゲット材に照射して、前記ターゲット材から発生する制動放射線を前記原料核種に照射してターゲット材中に放射性核種を生成させる、請求項1に記載の放射性核種の製造方法。
【請求項3】
前記ターゲット材は、モリブデン100(Mo-100)または三酸化モリブデン100(
100
MoO

)であり、放射性核種がモリブデン99(Mo-99)である、請求項2に記載の放射性核種の製造方法。
【請求項4】
前記ターゲット材は前記電子線加速器と循環路との間に配置されており、前記ターゲット材に電子線を照射し、前記ターゲット材から発生した制動放射線を前記循環路内の前記混合流体中の前記粒子に照射して、前記粒子中に放射性核種を生成させる、請求項1に記載の放射性核種の製造方法。
【請求項5】
前記循環路の一部は、前記混合流体が流れる方向が直線状の領域を有し、
前記電子線加速器が出射する電子線の中心軸が、前記直線状の領域の軸方向に一致するようにした、請求項1に記載の放射性核種の製造方法。
【請求項6】
前記循環路内において、前記混合流体は、前記直線状の領域における電子線入射側に進入して電子線出射側に向かって流れるようにした、請求項5に記載の放射性核種の製造方法。
【請求項7】
前記不活性ガスはヘリウムガスである、請求項1に記載の放射性核種の製造方法。
【請求項8】
電子線加速器と、
原料核種を含み、前記電子線加速器からの電子線を受けて制動放射線を発生し、前記制動放射線を前記原料核種に照射して放射性核種を生じさせるターゲット材からなる粒子と不活性ガスとからなる混合流体を循環させる管状の電子線透過性材料によって形成された循環路と、
前記混合流体を前記循環路内で循環させるポンプと、
冷却媒体によって満たされ、前記循環路を冷却媒体内に収容したタンクと、
を備えた放射性核種の製造装置。
【請求項9】
電子線加速器と、
原料核種を含む粒子と不活性ガスとからなる混合流体を循環させる管状の電子線透過性材料によって形成された循環路と、
前記電子線加速器と前記循環路との間に配置され、前記電子線加速器からの電子線を受けて発生した制動放射線を前記循環路の少なくとも一部に照射して、前記原料核種を含む粒子中に放射性核種を生じさせるターゲット材と、
前記混合流体を前記循環路内で循環させるポンプと、
内部が冷却媒体によって満たされ、前記冷却媒体内に前記循環路を収容したタンクと、
を備えた放射性核種の製造装置。
【請求項10】
前記循環路の一部は、前記混合流体が流れる方向が直線状の領域を有し、
前記電子線加速器が出射する電子線の中心軸は、前記循環路の前記直線状の領域内を通過するように前記電子線加速器が配置されている請求項8又は9に記載の放射性核種の製造装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性核種の製造方法及び放射性核種の製造装置に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
核医学の分野では、診断や治療等に放射性核種が利用されている。放射性核種は、所定の薬物動態を示す薬剤に結合ないし標識され、その薬剤が患者に投与される。薬剤が特定の病巣、組織、細胞等に集積する作用を利用して、放射性核種からの内部照射による治療や、放射線分布に基づく診断が行われている。
【0003】
一般に、放射性核種は、原料となる核種に放射線を照射して原子核反応により放射性核種(RI;Radioisotope)を生成させた後、目的の放射性核種を化学分離する方法で生産されている。原子核反応を惹起するための放射線としては、荷電粒子線、中性子線、制動放射線等が用いられている。放射線源としては、原子炉、サイクロトロン、線形加速器等が利用されている。目的の放射性核種の化学分離には、沈殿分離、抽出分離、クロマトグラフィ等の種々の方法が利用されている。
【0004】
診断に用いられる放射性核種としては、γ線を放出するテクネチウム99m(Tc-99m)、ガリウム67(Ga-67)等や、β線を放出するフッ素18(F-18)、酸素15(O-15)、窒素14(N-14)、炭素11(C-11)等が知られている。
【0005】
テクネチウム99mは、励起状態で準安定状態(meta stable)であり、基底状態に核異性体転移するときにγ線を放出する性質を持つため、診断用の放射性核種として多用されている。テクネチウム99mの一般的な原料は、モリブデン99である。親核種であるモリブデン99のβ

崩壊によって、娘核種であるテクネチウム99mが生成されている。
【0006】
テクネチウム99mは、半減期が約6時間と短いため、ミルキングという手法によって必要時に生成されている。ミルキングには、ジェネレータと呼ばれる装置が用いられている。ジェネレータは、カラムにアルミナを充填した装置であり、カラム中のアルミナには、モリブデン99が結合したモリブデン酸イオンが担持される。モリブデン99のβ

崩壊が起こると、アルミナに対する親和性が低い過テクネチウム酸イオンに転換する。そのため、娘核種であるテクネチウム99mは、カラムに対する生理食塩水の通液によって溶出して、過テクネチウム酸イオンの化学形で回収される。
【0007】
モリブデン99の半減期は、約66時間と短く、長期間にわたる貯蔵は困難である。そのため、使用直前の空輸が必須なケースが大半である。このような供給上の問題を解消するために、天然同位体の酸化モリブデン等を放射化する放射化法をはじめ、新たな生産法が検討されている。
【0008】
特許文献1には原料を含む流体を循環させ、この流体に放射線を照射することにより、効率よく放射性核種を製造する方法が記載されている。
特許文献1に記載の方法を、図4を用いて説明する。
原料を含む流体20をポンプ22によって循環路21に沿って循環させる。循環路21の途中で電子線加速器1からの電子線10を制動放射線発生用ターゲット11に照射することにより発生した制動放射線12を前記流体20に照射することにより前記原料から第1の放射性核種を流体20中に生じさせる。この流体20を循環路21に沿って循環させながら、流体20の中から、第1の放射性核種および第1の放射性核種から生じた第2の放射性核種のうちの少なくとも一部を含む物質を分離装置30によって取り出し、残りの原料を含む流体を再び循環路21に戻して循環させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2020-183926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では具体例としては、原料であるラジウム226を塩酸溶液又は硝酸溶液とし、これを流体として用いて、この流体に制動放射線を照射することにより、ラジウム225を流体中に生成させる例を挙げている。しかしながら、溶液の状態では原料濃度が低く、また、放射線が液体溶媒に吸収されるので、反応効率が低くなる。
また、電子線照射によりモリブデン99を製造する際に、モリブデン99の製造量を増やすには、大電流照射が必要である。大電流の電子線を電流照射すると発熱が大きくなるため流体を冷却する必要がある。特許文献1には循環路の一部を冷却することについては記載があるが、電子線照射によりモリブデン99を製造する際の冷却装置としては十分ではない。
なお、特許文献1には原料をガスに分散させたものを流体として用いることについても記載があるが、具体的な例は示されていない。
(【0011】以降は省略されています)

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