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公開番号
2024126412
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-20
出願番号
2023034775
出願日
2023-03-07
発明の名称
酸素発生反応用触媒、電極及び酸素発生反応用触媒の製造方法
出願人
国立大学法人山口大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C25B
11/075 20210101AFI20240912BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約
【課題】本発明の課題は、酸素発生反応に用いる触媒として使用でき、海水等の塩化物イオンを含む水の電解において塩化物イオンの酸化を抑制できる触媒を提供することである。
【解決手段】酸化ルテニウム(IV)を含み、前記酸化ルテニウム(IV)の結晶子サイズが2.5~4.0nmである酸素発生反応用触媒。
【選択図】図3
特許請求の範囲
【請求項1】
酸化ルテニウム(IV)を含み、前記酸化ルテニウム(IV)の結晶子サイズが2.5~4.0nmである酸素発生反応用触媒。
続きを表示(約 260 文字)
【請求項2】
酸化ルテニウム(IV)のBET比表面積が20~200m
2
/gである請求項1記載の酸素発生反応用触媒。
【請求項3】
請求項1又は2記載の酸素発生反応用触媒を担持した電極。
【請求項4】
ルテニウム塩、酸化剤及び溶媒を耐圧容器に入れて加熱することを特徴とする、結晶子サイズが2.5~4.0nmである、又は結晶子サイズが2.5~4.0nmであり比表面積が20~200m
2
/gである酸化ルテニウム(IV)酸素発生反応用触媒の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素発生反応用触媒、これを担持した電極、及び酸素発生反応用触媒の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)
【背景技術】
【0002】
現在世界の水素の95%は、メタン等の化石燃料の水蒸気改質によって製造されている。
再生可能エネルギー由来の電力による水の電気分解は、すべての工程でCO
2
を排出しない理想の水素製造プロセスである。電解条件によらず、水の電気分解のボトルネックは陰極での水素生成ではなく、その対極(陽極)での酸素生成であり、高効率な陽極触媒の開発が望まれている。水電解における既存技術はアルカリ水電解とプロトン交換膜(PEM)型水電解である。前者はアルカリと純水、後者は膜材料と純水が必要である。地球上の水資源の97%が海水であることを考えると、海水を直接電解して水素を製造するプロセスは魅力的である。特に、淡水へのアクセスが困難、かつエネルギーを得やすい沿岸地域や砂漠地域では有効である。海水を逆浸透膜(RO)法で淡水化し、既存の方法で電解するという手もあるが、不純物除去の困難さや、スペースの問題が残る。例えば、洋上風力発電とのコンビネーション、島しょ部、移動システム(船舶も含む)では直接海水電解が好ましい。
【0003】
海水電解における技術的な課題は、(a)副反応である塩化物イオン(Cl
-
)の酸化(COR:chloride oxidation reaction)を抑制すること、(b)小さな過電圧で十分な水素発生量(=電流密度)を得ることである。水の酸化による酸素発生反応(OER:oxygen evolution reaction)は、塩化物イオン(Cl
-
)の酸化(COR)による塩素(Cl
2
)ならびに次亜塩素酸イオン(ClO
-
)の生成反応よりも熱力学的に有利だが、実際にIrO
2
、RuO
2
等の市販の陽極触媒を使ってNaClを電気分解するとCORが優先する。これはOERが4電子移動を含む遅い反応であり、CORが2電子のみの移動を伴う速い反応であるという速度論的要件による。(a)及び(b)の課題に対して、従来は(i)海水にアルカリを添加する方法、(ii)触媒上に塩化物イオンをブロックする層を被覆する方法が用いられてきた。しかしながら、(i)では、実海水に多量のアルカリを添加しなければならず、(ii)ではOER選択性が得られる一方で、電流密度が小さい、という問題があった。非特許文献1には、OER触媒としてナトリウムをドープした酸素欠陥を有する酸化ルテニウムを使用することが記載されているが、CORの抑制については何ら開示されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Lijie Zhang,et al., ‘Sodium-Decorated Amorphous/Crystalline RuO2 with RichOxygen Vacancies:A Robust pH-Universal Oxygen Evolution Electrocatalyst’,Angewandte Chemie, 2021,60,18821-18829
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、酸素発生反応に用いる触媒として使用でき、海水等の塩化物イオンを含む水の電解において塩化物イオンの酸化を抑制できる触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を開始した。検討を進めるなかで、本発明者らは、結晶子サイズが2.5~4.0nmの酸化ルテニウム(IV)を合成したところ、合成した酸化ルテニウム(IV)は、酸素発生反応用触媒としての特性に優れ、塩化物イオンを含む水の電解において塩化物イオンの酸化を抑制でき、海水のような塩化物イオンを含む水をアルカリを添加せずに電解しても、塩化物イオンの酸化による塩素や次亜塩素酸イオンの生成反応を抑制できることを見いだした。非特許文献1には、OER触媒としての酸化ルテニウムが記載されているが、非特許文献1における酸化ルテニウムの結晶子サイズは5nm程度と見積もられ(第18823頁左欄第40~46行)、本発明における酸化ルテニウム(IV)とは異なるものであった。本発明における酸化ルテニウム(IV)は、COR抑制に優れ、ナトリウムをドープせずとも酸素発生反応の触媒活性に優れるものであった。本発明は、こうして完成されたものである。
【0007】
すなわち、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
(1)酸化ルテニウム(IV)を含み、前記酸化ルテニウム(IV)の結晶子サイズが2.5~4.0nmである酸素発生反応用触媒。
(2)酸化ルテニウム(IV)のBET比表面積が20~200m
2
/gである上記(1)の酸素発生反応用触媒。
(3)上記(1)又は(2)の酸素発生反応用触媒を担持した電極。
(4)ルテニウム塩、酸化剤及び溶媒を耐圧容器に入れて加熱することを特徴とする、結晶子サイズが2.5~4.0nmである、又は結晶子サイズが2.5~4.0nmでありBET比表面積が20~200m
2
/gである酸化ルテニウム(IV)酸素発生反応用触媒の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の酸素発生反応用触媒及び電極は、触媒活性に優れ、海水等の塩化物イオンを含む水の電解において塩化物イオンの酸化を抑制できる。また、本発明の製造方法は、本発明の酸素発生反応用触媒を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、実施例1~4で得られたルテニウム酸化物と比較例1の市販RuO
2
のXRDパターンを示す図である。
図2は、実施例1で得られたS-RuOxと市販RuO
2
について電解液のpHを変えて行ったボルタンメトリーの結果を示す図である。
図3は、表1の結果をグラフに表したものである。
図4は、S-RuOxについての過電圧、RRDE法に基づいて算出したCORファラデー効率及び残留塩素種量により算出したCORファラデー効率を示す図である。
図5は、CV測定の結果を示す図である。
図6は、カソード電流とアノード電流の差Δjと掃引速度の関係をプロットした図である。
図7は、BET測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の酸素発生反応用触媒は、酸化ルテニウム(IV)を含み、前記酸化ルテニウム(IV)の結晶子サイズが2.5~4.0nmである酸素発生反応用触媒である。本発明における酸化ルテニウム(IV)の結晶子サイズは、X線回折(XRD)により得られる回折パターンの110方向に対応するピークの半値全幅より、シェラー(Scherrer)の式を用いて求めることができる。本発明における酸化ルテニウム(IV)の結晶子サイズは、触媒活性及び塩化物イオンの酸化抑制効果をより向上させる観点から、2.5~3.5nmが好ましく、2.7~3.5nmがより好ましい。
(【0011】以降は省略されています)
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