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公開番号2024124269
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-12
出願番号2023032303
出願日2023-03-02
発明の名称トリアリールメタン骨格を有する光酸素化触媒、及びこれを含有する医薬組成物
出願人国立大学法人 東京大学,公立大学法人和歌山県立医科大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類A61K 31/136 20060101AFI20240905BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】BBB透過性と光酸素化活性を向上させた、病原性アミロイドの凝集性を阻害することができる安全で効果的な新規光酸素化触媒を提供すること、及びこれを用いたアミロイド関連疾患予防治療薬を提供することを課題とする。
【解決手段】トリアリールメタン骨格を有する化合物を用いることで、凝集アミロイドにおけるクロス‐β-シート構造に高い親和性を有し、選択的に光酸素化が可能な新規触媒として機能することを見出した。特に、トリアリールメタン骨格のカルボカチオンにヒドリドイオンを結合させ中性種としたロイコ体が、高いBBB透過性を有するとともに、光照射により自己触媒的に触媒活性種であるカチオン体を生成させるプロドラッグとして機能して、非侵襲的に凝集アミロイドの光酸素化が達成できることを見出した。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
以下の式(I-1)又は式(I-2)で表される化合物を含む、病原性アミロイドの光酸素化触媒:
TIFF
2024124269000016.tif
51
144
TIFF
2024124269000017.tif
51
138
(式中、R

、R

、及びR

は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい、-NH(R

)、-N(R

)(R

)、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルコキシ基、及びスルホ基よりなる群から選択され、ベンゼン環上の任意の位置に存在する1~5個の置換であり;R

及びR

は、それぞれ独立に、それぞれ置換されていてもよい、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、又はヘテロアリールアルキル基であり、R

及び/又はR

がアルキル基である場合、それらが結合する窒素原子及び場合によりベンゼン環を構成する炭素原子を含む環構造を形成してもよく;R

、R

、及びR

のうち少なくとも1つは、N(R

)(R

)を含む。)。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】


、R

、及びR

のうち少なくとも2つが、少なくとも1つの‐NH(R

)又は-N(R

)(R

)を含む、請求項1に記載の光酸素化触媒。
【請求項3】


、R

、及びR

のいずれもが、少なくとも1つの‐NH(R

)又は-N(R

)(R

)を含む、請求項1に記載の光酸素化触媒。
【請求項4】


及びR

が、炭素数1~5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である、請求項1に記載の光酸素化触媒。
【請求項5】
前記化合物が、以下の式(II-1)又は式(II-2)で表される構造を有する、請求項1に記載の光酸素化触媒:
TIFF
2024124269000018.tif
56
145
TIFF
2024124269000019.tif
58
148
(式中、R

、R

、及びR

は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい、-NH(R

)、-N(R

)(R

)、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルコキシ基、及びスルホ基よりなる群から選択され;X、Y、及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルコキシ基、及びスルホ基よりなる群から選択され、ベンゼン環上の任意の位置に存在する1~4個の置換であり;R

及びR

は、それぞれ独立に、それぞれ置換されていてもよい、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、又はヘテロアリールアルキル基であり;R

及び/又はR

がアルキル基である場合、それらが結合する窒素原子及び場合によりベンゼン環を構成する炭素原子を含む環構造を形成してもよく;R

、R

、及びR

のうち少なくとも1つは、N(R

)(R

)である。)。
【請求項6】


、R

、及びR

のうち、少なくとも2つが‐NH(R

)又は-N(R

)(R

)である、請求項5に記載の光酸素化触媒。
【請求項7】


、R

、及びR

のいずれもが、‐NH(R

)又は-N(R

)(R

)である、請求項5に記載の光酸素化触媒。
【請求項8】


及びR

が、炭素数1~5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である、請求項5に記載の光酸素化触媒。
【請求項9】


、R

、及びR

のうち少なくとも1つが、N(R

)(R

)であり、かつR

及びR

が、炭素数1~5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり;
前記アルキル基が結合する窒素原子を含む5員又は6員の単環式環構造を有するか、又は、前記アルキル基が結合する窒素原子及びベンゼン環を構成する2つの炭素原子を含む多環式環構造を有する、請求項5に記載の光酸素化触媒。
【請求項10】
前記病原性アミロイドが、アミロイドβ又はタウタンパク質である、請求項1に記載の光酸素化触媒。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、病原性アミロイドの凝集を阻害する新規な光酸素化触媒化合物、及びかかる病原性アミロイドが関与する疾患を予防又は治療するための医薬組成物に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
一般に、タンパク質はフォールディングすることにより、特異的なネイティブ構造を形成して生命機能を担うが、一方でミスフォールディングすることでβシート構造に富んだ線維へと凝集(アミロイド化)することがある。このアミロイド化の過程で産生する凝集体(オリゴマー、プロトフィブリル、線維)は様々な機能障害を引き起こすことが知られており(このような疾患は「アミロイド病」と総称される)、35種類以上のタンパク質がアミロイド病の原因物質として同定されている。そのようなアミロイドとしては、例えば、アミロイドβ(Aβ)ペプチド、タウタンパク質、パーキンソン病のαシヌクレイン、糖尿病のアミリン、全身性アミロイド-シスのトランスサイレチン、ハンチントン病のハンチンチン等が知られている。
【0003】
アルツハイマー病は、脳の萎縮とともに認知機能の低下を引き起こす進行性の神経変性疾患であり、その患者数は年々増加している。このアルツハイマー病もアミロイド病の一種であって、その発症には、アミロイドβ(Aβ)が形成する凝集体による神経毒性が関与していると考えられており、これまでAβを標的とする治療法が精力的に研究されている。しかしながら、その薬物治療は対症療法薬が主であり、アデュカヌマブ・レカネマブ等の抗体医薬を除けば根本治療薬は未だ存在せず、その開発は急を要する。
【0004】
また、近年、アルツハイマー病に関与する病原性アミロイドとして、タウタンパク質にも注目が集まっている。アルツハイマー病の発症には、タウタンパク質が凝集して形成されるアミロイドの神経毒性が関与していると考えられており、タウタンパク質を標的とした治療戦略はアルツハイマー病の根治に繋がると期待される。
【0005】
これに対し、本願発明者らは、Aβに対して酸素原子を付与する光酸素化反応によりAβの凝集性・毒性を低減できる化合物の開発を行ってきた(非特許文献1等)。また、生体内反応への応用を見据え、血液脳関門(BBB: Blood-Brain Barrier)透過性を有する触媒の開発にも成功している(非特許文献1等)。
【0006】
しかしながら、既存の光活性触媒化合物は、脳内において酸素化活性が未だ十分ではなく、また頭皮組織に副反応に由来する外傷が見れるという課題があり、安全で効果的なアルツハイマー病治療に繋がる新たな化合物の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Taniguchi, A. et al., Nat. Chem. 2016, 8, 974-982
Nagashima, N.; Ozawa, S.; Furuta, M.; Oi, M.; Hori, Y.; Tomita, T.; Sohma, Y.; Kanai, M. Sci. Adv. 2021, 7, eabc9750
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かかる従来技術の問題点に鑑み、本発明は、BBB透過性と光酸素化活性を向上させた、病原性アミロイドの凝集性を阻害することができる安全で効果的な新規光酸素化触媒を提供すること、及びこれを用いたアミロイド関連疾患予防治療薬を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、共鳴構造を有するトリアリールメタン骨格を有する化合物を用いることで、凝集アミロイドにおけるクロス‐β-シート構造に高い親和性を有し、選択的に光酸素化が可能な新規触媒として機能することを見出した。特に、トリアリールメタン骨格のカルボカチオンにヒドリドイオンを結合させ中性種としたロイコ体が、高いBBB透過性を有するとともに、光照射により自己触媒的に触媒活性種であるカチオン体を生成させるプロドラッグとして機能して、非侵襲的に凝集アミロイドの光酸素化が達成できることを見出した。これらの知見により、本発明を完成するに至ったものである。なお、ここで、「酸素化(oxygenation)」とは、広く酸化(oxidation)のうち、特に酸素原子を付与・結合させる化学反応を意味する語として用いる。
【0010】
すなわち、本発明は、一態様において、病原性アミロイドに対する光酸素化触媒に関し、
<1>以下の式(I-1)又は式(I-2)で表される化合物を含む、病原性アミロイドの光酸素化触媒:
TIFF
2024124269000001.tif
53
152
TIFF
2024124269000002.tif
51
147
(式中、R

、R

、及びR

は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい、-NH(R

)、-N(R

)(R

)、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルコキシ基、及びスルホ基よりなる群から選択され、ベンゼン環上の任意の位置に存在する1~5個の置換であり;R

及びR

は、それぞれ独立に、それぞれ置換されていてもよい、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、又はヘテロアリールアルキル基であり、R

及び/又はR

がアルキル基である場合、それらが結合する窒素原子及び場合によりベンゼン環を構成する炭素原子を含む環構造を形成してもよく;R

、R

、及びR

のうち少なくとも1つは、N(R

)(R

)を含む。);
<2>R

、R

、及びR

のうち少なくとも2つが、少なくとも1つの‐NH(R

)又は-N(R

)(R

)を含む、上記<1>に記載の光酸素化触媒;
<3>R

、R

、及びR

のいずれもが、少なくとも1つの‐NH(R

)又は-N(R

)(R

)を含む、上記<1>に記載の光酸素化触媒;
<4>R

及びR

が、炭素数1~5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である、上記<1>に記載の光酸素化触媒;
<5>前記化合物が、以下の式(II-1)又は式(II-2)で表される構造を有する、上記<1>に記載の光酸素化触媒:
TIFF
2024124269000003.tif
57
149
TIFF
2024124269000004.tif
58
148
(式中、R

、R

、及びR

は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい、-NH(R

)、-N(R

)(R

)、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルコキシ基、及びスルホ基よりなる群から選択され;X、Y、及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルコキシ基、及びスルホ基よりなる群から選択され、ベンゼン環上の任意の位置に存在する1~4個の置換であり;R

及びR

は、それぞれ独立に、それぞれ置換されていてもよい、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、又はヘテロアリールアルキル基であり;R

及び/又はR

がアルキル基である場合、それらが結合する窒素原子及び場合によりベンゼン環を構成する炭素原子を含む環構造を形成してもよく;R

、R

(【0011】以降は省略されています)

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