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公開番号
2024108258
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-13
出願番号
2023012529
出願日
2023-01-31
発明の名称
複合半透膜
出願人
東レ株式会社
代理人
主分類
B01D
69/12 20060101AFI20240805BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】実用に耐える透水性と除去性を有し、酸に接触後も高い除去性を有する複合半透膜を提供する。
【解決手段】本発明の複合半透膜は不織布基材の上に形成された支持層と、前記支持層上に設けられた分離機能層とを備える複合半透膜であって、前記分離機能層が架橋芳香族ポリアミドを含有し、 NaClの濃度が3.5重量%、温度が25℃、pHが6.5の水溶液を5.5MPaの圧力で前記複合半透膜に透過させたときの脱塩率が99.75%以上であり、さらに、前記複合半透膜0.2 m
2
に対し、分離機能層側の表面のみに2-プロパノール1000 mLを25 ℃で20時間接触させた抽出液を濃縮した後、重ジメチルスルホキシド(DMSO-d
6
)に溶解し、25 ℃で
1
H NMRの分析を行ったとき、化学シフト5.80ppm以上6.80ppm以下の積分値xと、6.80ppm以上9.00ppm以下の積分値yから計算されるx/(x+y)の値が0.16以下である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
支持層と、前記支持層上の分離機能層とを備える複合半透膜であって、
前記分離機能層が架橋芳香族ポリアミドを含有し、
NaClの濃度が3.5重量%、温度が25℃、pHが6.5の水溶液を5.5MPaの圧力で前記複合半透膜に透過させたときの脱塩率が99.75%以上であり、
下記抽出物について、溶媒として重ジメチルスルホキシド(DMSO-d
6
)を用いた、25 ℃での
1
H NMRで得られる下記xおよびyが、x/(x+y)≦0.16を満たす、
複合半透膜。
x:化学シフト5.80ppm以上6.80ppm以下の積分値
y:化学シフト6.80ppm以上9.00ppm以下の積分値
抽出物:前記複合半透膜0.2 m
2
の分離機能層側の表面に25℃の2-プロパノール1000mLを20時間接触させることで抽出液を得、前記抽出液から2-プロパノールを除去することで得られる固形物。
続きを表示(約 530 文字)
【請求項2】
前記抽出物の量が10 mg以下である
請求項1に記載の複合半透膜。
【請求項3】
前記分離機能層が全芳香族ポリアミドである
請求項1または2に記載の複合半透膜。
【請求項4】
前記分離機能層をアルカリ加水分解して得られるカルボン酸塩のうち、イソフタル酸およびその塩のモル数a、テレフタル酸およびその塩のモル数b、トリメシン酸およびその塩のモル数cが、(a+b)/c ≦ 0.1を満たし、かつ
前記分離機能層をアルカリ加水分解して得られるアミンがm-フェニレンジアミンである
請求項3に記載の複合半透膜。
【請求項5】
前記分離機能層についてのDD-MAS
13
C固体NMRで得られる各官能基のモル比率が、アミド基/(カルボキシ基+アミノ基)≧1.8である、
請求項4に記載の複合半透膜。
【請求項6】
複合半透膜エレメントにより供給水を濃縮水と淡水とに分離する水処理システムであり、かつ、
上記複合半透膜エレメントが上記請求項1~5のいずれか1項に記載の複合半透膜を含む、
水処理システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状混合物の選択的分離に有用な、複合半透膜に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)
【背景技術】
【0002】
液状混合物の分離に関して、溶媒(例えば水)に溶解した物質(例えば塩類)を除くための技術には様々なものがあるが、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして、膜分離法の利用が拡大している。膜分離法に使用される膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等があり、これらの膜は、例えば塩分、有害物を含んだ水等から飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、排水処理、有価物の回収等に用いられている。
【0003】
現在市販されている逆浸透膜およびナノろ過膜の大部分は、支持膜上に塩類等の分離性能を有する分離機能層を被覆した複合半透膜であり、支持膜上にゲル層とポリマーを架橋した活性層を有するものと、支持膜上でモノマーを重縮合した活性層を有するものとの2種類がある。後者の複合半透膜のなかでも、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によって得られる架橋ポリアミドを含有する分離機能層を有する複合半透膜(特許文献1)が、透過性および選択分離性の高い分離膜として広く用いられている。
【0004】
ここで水処理プラントにおいては、膜汚れを洗浄するため、各種の化学薬品が使われることがある。中でも、酸・アルカリを用いた膜洗浄がしばしば実施される。その際、酸接触による架橋ポリアミド膜の劣化を抑制するための検討が行われてきた。架橋ポリアミド膜の耐酸性・耐アルカリ性の向上方法としては、分離機能層の官能基を制御する方法(特許文献2、特許文献3)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開WO2010/096563号パンフレット
国際公開WO2017/111140号パンプレット
国際公開WO2016/002819号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、逆浸透膜が普及するに従って、薬品洗浄に対する要求は年々高まっている。その中で、高い溶質除去性を維持したまま酸洗浄が可能な、高耐久逆浸透膜が望まれている。本発明の目的は、実用に耐える透水性と除去性を有し、酸に接触後も高い除去性を有する複合半透膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の複合半透膜は、支持層と、前記支持層上の分離機能層とを備える複合半透膜であって、前記分離機能層が架橋芳香族ポリアミドを含有し、NaClの濃度が3.5重量%、温度が25℃、pHが6.5の水溶液を5.5MPaの圧力で前記複合半透膜に透過させたときの脱塩率が99.75%以上であり、下記抽出物について、溶媒として重ジメチルスルホキシド(DMSO-d
6
)を用いた、25 ℃での
1
H NMRで得られる下記xおよびyが、x/(x+y)≦0.16を満たす。
【0008】
x:化学シフト5.80ppm以上6.80ppm以下の積分値
y:化学シフト6.80ppm以上9.00ppm以下の積分値
抽出物:前記複合半透膜0.2 m
2
の分離機能層側の表面に25℃の2-プロパノール1000mLを20時間接触させることで抽出液を得、前記抽出液から2-プロパノールを除去することで得られる固形物
また、この複合半透膜は水処理システムに利用可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって実用性のある透水性と除去性を有し、さらに酸に接触後も高い除去性を示す複合半透膜が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
(【0011】以降は省略されています)
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