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公開番号2024092083
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-08
出願番号2022207759
出願日2022-12-26
発明の名称溶融亜鉛浴設備用鋼板、その製造方法および溶融亜鉛浴設備
出願人JFEスチール株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20240701BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】溶接構造用鋼としての所要の靭性及び耐溶接割れ性を具備し、耐溶融亜鉛腐食性および耐亜鉛割れ性に優れた溶融亜鉛浴設備用鋼板、その製造方法および溶融亜鉛浴設備を提供する。
【解決手段】質量%で、特定量のC、Si、Mnを含有し、P、S、Al、Bを特定範囲に制限し、CEZを0.44以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、圧延方向に平行、且つ、板面に垂直な板厚断面において、板厚方向で板面からt/4部(t:板厚)までの表層の金属組織のうち、面積率で30%超がフェライト組織であり、残部がベイナイト組織を面積率で90%以上有する硬質第二相であり、試験片の長手方向が圧延方向に平行で、板面から板厚方向に1mmの位置から採取した2mmVノッチ試験片を用いたシャルピー衝撃試験で得られる吸収エネルギーが-40℃で27J以上である、溶融亜鉛浴設備用鋼板。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、
C:0.12%超0.30%未満、
Si:0.05%以下、
Mn:0.20~2.0%
を含有し、
P:0.015%以下、
S:0.030%以下、
Al:0.070%以下、
B:0.0002%以下
に制限し、
式(1)に示すCEZを0.44以下に制限し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
圧延方向に平行、且つ、板面に垂直な板厚断面において、板厚方向で板面からt/4部(t:板厚)までの表層の金属組織のうち、面積率で30%超がフェライト組織であり、残部がベイナイト組織を面積率で90%以上有する硬質第二相であり、
試験片の長手方向が圧延方向に平行で、板面から板厚方向に1mmの位置から採取した2mmVノッチ試験片を用いたシャルピー衝撃試験で得られる吸収エネルギーが-40℃で27J以上である、溶融亜鉛浴設備用鋼板。
CEZ=C+Si/17+Mn/7.5+Cu/13+Ni/17+Cr/4.5
+Mo/3+V/1.5+Nb/2+Ti/4.5+420×B・・・式(1)
式(1)中、元素記号は、鋼板中の成分の含有量(質量%)を意味する。
続きを表示(約 790 文字)【請求項2】
前記成分組成として、さらに、質量%で、
Cu:0.1~0.5%、
Ni:0.1~2.0%、
Cr:0.02%以上0.10%未満、
Mo:0.02%以上0.10%未満、
Nb:0.003~0.050%、
V:0.01~0.10%、
Ti:0.005~0.050%、
Ca:0.0002~0.0060%、
Mg:0.0002~0.0060%、
REM:0.0002~0.0060%
のうちの1種または2種以上を含有する、請求項1に記載の溶融亜鉛浴設備用鋼板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の成分組成を有するスラブを1000~1250℃に加熱し、
圧延終了温度が800℃以下となる熱間圧延を行なったのち、
鋼板表面温度で加速冷却開始温度がAr

点-100℃~Ar

点-20℃の範囲である加速冷却を開始し、
加速冷却完了後、鋼板表面温度:500~650℃で復熱を終了する、溶融亜鉛浴設備用鋼板の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の成分組成を有するスラブを1000~1250℃に加熱し、
圧延終了温度が800℃以下となる熱間圧延を行なったのち、
鋼板表面温度で加速冷却開始温度がAr

点-100℃~Ar

点-20℃の範囲である加速冷却を開始し、
加速冷却完了後、鋼板表面温度:500℃未満で復熱を終了し、
500~700℃の焼き戻し温度で焼き戻す、溶融亜鉛浴設備用鋼板の製造方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の溶融亜鉛浴設備用鋼板を用いる溶融亜鉛浴設備。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼材等に溶融亜鉛処理を施す際に用いられる溶融亜鉛浴用釜(浴槽)等を構成する溶融亜鉛浴設備用鋼板に関するものである。より詳しくは、溶融亜鉛による腐食に対して優れた耐食性を有し、且つ、溶融亜鉛に起因した割れが従来鋼に比べて生じにくく、しかも、ガス切断や溶接施工が可能で経済的な、耐溶融亜鉛腐食性および耐亜鉛割れ性に優れた溶融亜鉛浴設備用鋼板に関するものである。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
従来、鉄鋼材料に施す経済的な防錆処理方法として、一般に溶融亜鉛めっき法が広く用いられている。このような溶融亜鉛めっき法は、溶融亜鉛が入れられた鋼製の浴槽に、めっきを施す鋼材を浸漬して行なわれる。
【0003】
上述のような鋼製の浴槽は、溶融亜鉛と接触する界面において、溶融亜鉛と浴槽の鉄とが反応し、鉄-亜鉛合金層を形成するため、腐食が進行してしまう。この際の腐食速度は、溶融亜鉛の温度が500℃近傍である場合に非常に大きくなるので、浴槽の温度管理が適切でないと、短期間で減肉による破損が生じたり、穴あきが生じたりすることにより、浴槽が使用できなくなるという問題がある。
【0004】
上述のような腐食の問題に対し、浴槽をなす鋼の化学成分組成において、特許文献1では、C量を0.12~0.30%、P量を0.015%以下に制御することで耐亜鉛腐食性を改善した亜鉛釜用鋼材の技術が開示されている。
特許文献2では、C量を0.05~0.12質量%に制御することで溶融亜鉛中の割れ感受性を下げて耐溶融亜鉛腐食性及び耐溶融亜鉛脆化性に優れた鋼材の技術が開示されている。
特許文献3では、C量やNb量を適切に制御することで耐溶融亜鉛腐食性だけでなく高温強度を確保し、使用中の高温での変形を防止する技術が開示されている。
特許文献4では、Cr、V含有量を制御することで亜鉛割れの進展を抑制した亜鉛めっき釜用鋼材の技術が開示されている。
特許文献5では、Moを0.10%以上含有させることで、また、特許文献6では、Moを0.1%以上含有させることで、耐亜鉛腐食性を改善したり、使用中の高温での変形を防止したりする技術が開示されている。
特許文献7および特許文献8では、Al量をP量に応じて制御することで耐溶融亜鉛腐食性を向上させた亜鉛メッキ釜用鋼材やメッキ槽の技術が開示されている。
特許文献9では、結晶粒度を結晶粒度番号でNo.8以上に調整した耐溶融亜鉛用鉄鋼材により溶融亜鉛による腐食による溶損量を低減する技術が開示されている。
特許文献10では、フェライトとパーライトからなる組織形態に制御し、そのフェライト組織の平均アスペクト比を2以上にすることで、耐溶融亜鉛腐食性のみならず、耐亜鉛割れ性にも優れた溶融亜鉛浴設備用鋼板の技術が開示されている。
特許文献11では、フェライトとパーライトからなる組織形態に制御し、そのフェライト組織の平均アスペクト比を2以上とする鋼板を用いた溶融亜鉛浴設備の技術が開示されている。
また、特許文献12では、圧延方向に平行、かつ、板面に垂直な板厚断面において、板厚方向で板面からt/4部までの表層の金属組織のうち、面積率で70%以上がベイナイト組織である耐溶融亜鉛腐食性および耐亜鉛割れ性に優れた溶融亜鉛浴設備用鋼板の技術が開示されている。
特許文献13では、圧延方向に平行、かつ、板面に垂直な板厚断面において、板厚方向で板面からt/4部までの表層の金属組織のうち、面積率で70%以上がベイナイト組織であり、残部がフェライト組織である鋼板を用いて構成される溶融亜鉛浴設備の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開昭49-130310号公報
特開2003-231942号公報
特開昭60-116746号公報
特開昭54-99031号公報
特開昭49-107911号公報
特開2002-241888号公報
特開昭53-8314号公報
特開2000-239816号公報
特開昭55-31172号公報
特開2013-177682号公報
特開2017-122280号公報
特開2013-177681号公報
特開2017-133106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~13に記載の鋼材では、腐食は抑制できるが鋼材表面の粒界などから割れが発生し、進展した際の抵抗力がなく、結果として十分な溶融亜鉛浴設備としての寿命が得られない。
すなわち、特許文献1~13に記載の鋼材では、溶融亜鉛に起因した割れの抑制も含め、十分な耐亜鉛割れ性を備えているとは言えなかった。
このように、溶接構造用鋼としての所要の靭性および溶接性(以下、耐溶接割れ性とも記す)を具備しながら、溶融亜鉛による腐食に対する耐食性(以下、耐溶融亜鉛腐食性とも記す)および耐亜鉛割れ性の全てを十分満足する溶融亜鉛浴設備用鋼板の技術の確立が希求されていた。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、靭性、耐溶接割れ性、耐溶融亜鉛腐食性および耐亜鉛割れ性に優れた溶融亜鉛浴設備用鋼板、その製造方法および溶融亜鉛浴設備を提供することを目的とする。
【0007】
なお、本発明において、靭性に優れるとは、JIS Z2242に準拠し、試験片の長手方向が圧延方向に平行で、かつ、板面から板厚方向に1mmの位置から採取した2mmVノッチ試験片を用いて、シャルピー衝撃試験を行ない、-40℃における吸収エネルギーが27J以上であることを指す。
【0008】
また、本発明において、耐溶接割れ性に優れるとは、y型溶接割れ試験(JIS Z3158)において、ルート間隔1.0mmとして、開先を用意し、溶接材料としてYGW15(JIS Z3312)規格のソリッドワイヤ材を用いて、入熱量30~36kJ/cmで、MAG溶接による多層盛溶接を行って、y型溶接試験片を作製し、y型溶接部の各5断面の鏡研磨面で断面割れが、肉眼で全く観察されないことを指す。
【0009】
また、本発明において、耐溶融亜鉛腐食性に優れるとは、鋼板の表層から採取した40mm×25mm×4mmの試験片を、温度が500℃とされた純度99.99%の亜鉛中に24時間浸漬させ、試験前と試験後における試験片の質量変化量(質量減少量)を、試験前の試験片(40mm×25mm×4mmの直方体)の表面積で除算することにより求めた腐食量が100mg/cm

以下であることを指す。
【0010】
また、本発明において、耐亜鉛割れ性に優れるとは、NBT試験(切欠付き丸棒引張り試験)において、試験片の切欠に亜鉛線材を巻き付けて加熱し、溶融亜鉛を付着させ、試験温度を500℃として、破断時間400秒におけるSLM値(SLM-400値)が90%以上であることを指す。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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