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公開番号2024090543
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-04
出願番号2022206517
出願日2022-12-23
発明の名称地山補強構造と地山補強方法
出願人大成建設株式会社,株式会社ケー・エフ・シー
代理人個人,個人
主分類E21D 20/00 20060101AFI20240627BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】薬液の補強体の内部への逆流を防止でき、薬液注入の際の圧力管理を不要にでき、工費の高騰と施工時間が長くなることを抑制しながら、ボアホールからの固結材の漏洩を防止することのできる、地山補強構造と地山補強方法を提供する。
【解決手段】地山補強構造100において、補強体30には、内部の中空34と外周面35とを連通する連通孔36がその基端33側に設けられ、先端側には中空34がボアホール20に通じる開口37が設けられ、連通孔36を包囲するメッシュシート40とメッシュシート40を包囲するパッカー50が補強体30に装着されており、メッシュシート40は、液状の固結材70の通過を許容し、通過した液状の固結材70が発泡してなるポリマーセルの通過を許容しない開き目を備え、パッカー50は、発泡した固結材70によって膨張され、ボアホール20入り口22側において隙間25を閉塞している。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
地山において水平方向よりも上方に向かって形成されているボアホールに対して、軸状で管状の補強体がその先端を該ボアホールの奥側に配設され、その基端を該ボアホールの入り口側に配設されるようにして挿入され、該補強体と該ボアホールとの間の隙間に対して該補強体の内部から固結材が注入及び発泡され、該補強体と該固結材とにより前記地山を補強する、地山補強構造であって、
前記補強体のうち、前記基端側には、該補強体の内部の中空と外周面とを連通する連通孔が設けられ、さらに、該連通孔よりも前記先端側には、該中空が前記ボアホールに通じる開口が設けられており、
前記補強体には、前記連通孔を包囲するメッシュシートが装着され、該メッシュシートを包囲するパッカーがさらに装着されており、
前記メッシュシートは、液状の前記固結材の通過を許容し、通過した液状の該固結材が発泡してなるポリマーセルの通過を許容しない開き目を備え、
前記パッカーは、発泡した前記固結材によって膨張され、前記入り口側において前記隙間を閉塞していることを特徴とする、地山補強構造。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
前記パッカーは、空気の通過を許容し、前記ポリマーセルの通過を許容しない開き目を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の地山補強構造。
【請求項3】
前記パッカーが基布により形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の地山補強構造。
【請求項4】
液状の前記固結材が、発泡性の2液混合材であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の地山補強構造。
【請求項5】
地山において水平方向よりも上方に向かって形成されているボアホールに対して、軸状で管状の補強体を、その先端が該ボアホールの奥側に配設され、その基端が該ボアホールの入り口側に配設されるようにして挿入し、該補強体と該ボアホールとの間の隙間に対して該補強体の内部から固結材を注入及び発泡させ、該補強体と該固結材とにより前記地山を補強する、地山補強方法であって、
前記補強体のうち、前記基端側には、該補強体の内部の中空と外周面とを連通する連通孔が設けられ、さらに、該連通孔よりも前記先端側には、該中空が前記ボアホールに通じる開口が設けられており、該補強体には、該連通孔を包囲するメッシュシートが装着され、該メッシュシートを包囲するパッカーがさらに装着され、該メッシュシートは、液状の前記固結材の通過を許容し、通過した液状の該固結材が発泡してなるポリマーセルの通過を許容しない開き目を備えており、
前記連通孔を介し、前記メッシュシートを介して、液状の前記固結材を注入し、該固結材を発泡させて該パッカーを膨張させ、前記入り口側において前記隙間を閉塞する、閉塞工程と、
前記開口を介して前記隙間に対して液状の前記固結材を注入し、発泡させて、前記補強体と該固結材とにより前記地山を補強する、補強工程とを有することを特徴とする、地山補強方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、地山補強構造と地山補強方法に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
トンネルの切羽面から斜め前方地山に対して、例えば5m程度以下の長さのロックボルトやパイプ等の補強体を打設し、セメントミルク、ウレタン、シリカレジン等の薬液を圧力注入することにより、前方地山の変形に対する拘束力を高め、トンネル天端の安定性を高める工法である、注入式のフォアポーリング工法が地山補強方法(補助工法)として適用される場合がある。
この地山補強方法は特に、亀裂の発達した岩盤やルーズな砂質地盤等に適している。尚、補強体の長さが5m程度以下のものを一般に「フォアポーリング」と称し、補強体の長さが5m程度以上の場合は「ファアパイリング」と称されるが、以下、本明細書ではまとめて、「フォアポーリング」もしくは「フォアポーリング工法」と称する。
【0003】
フォアポーリング工法では、トンネル内から地山に形成したボアホール内に例えば中空構造のロックボルトからなる補強体を挿入し、補強体からボアホール内に薬液等の固結材を注入するが、この固結材の注入の際に、補強体の外周面とボアホールとの間の隙間から固結材が逆流してトンネル内に漏れ出さないように、ボアホールの入り口側(口元近傍)を、コーキングチューブとウエスによって間詰めする施工が一般に行われる。
しかしながら、上記する間詰め施工においては、コーキングが不十分である部分が少なからず存在することから、固結材の注入圧力が高い場合や、固結材が発泡して硬化する過程において、コーキングが不十分な部分から液状の固結材が漏洩してしまうことが往々にして生じ得る。
そこで、このような固結材の漏洩対策として、ボアホールに補強体を挿入してから、入り口側に急結性のモルタルを吹付ける方法や、補強体にパッカーを取り付けて専用の固結材を充填し、パッカーを膨張させて隙間を閉塞する方法などが確立されてきているが、コーキングに専用の固結材や注入ポンプなどが必要となり、これらを要因として地山補強施工における工費の高騰と施工時間が長くなるといった新たな課題が生じ得る。
この施工時間が長くなるといった課題は、施工安全性の低下に直結する。例えば、トンネルの肌落ち災害は、依然としてトンネル施工における大きな課題の一つであるが、上記する地山補強のための補助工法を必要とする地山では、この肌落ち災害のリスクが一層高くなる。このように、トンネル施工における施工安全性の観点からも、施工時間が長くなることは大きな解決課題となる。
以上のことから、工費の高騰と施工時間が長くなることを抑制しながら、ボアホールからの固結材の漏洩を防止できる、地山補強構造と地山補強方法が望まれる。
【0004】
ここで、特許文献1には、注入式ロックボルトを用いた、地山の補強工事の施工方法が提案されている。まず、適用される注入式ロックボルトは、外周面にねじ山が形成されているとともに、地山補強用の薬液が流通可能に管状に形成された鋼製のロックボルト本体と、ロックボルト本体の外周部に装着されるパッカーと、ロックボルト本体の先端部に取着され、所定の圧力で開放される本体バルブとを備えている。
ロックボルト本体のパッカーが装着されている部位には、ロックボルト本体の内側空間と外側空間とを連通する連通孔が形成され、パッカーは、ロックボルト本体内に薬液を流通させる際は、連通孔から流出する薬液により膨張可能とされている。この連通孔には、本体バルブが開放される圧力よりも低い圧力で開放される連通孔バルブが取着されている。
そして、この注入式ロックボルトを用いた地山の補強工事の施工方法は、地山に注入式ロックボルトの外径よりも大きな内径の穿孔(ボアホールに相当)を形成する工程と、穿孔に注入式ロックボルトを挿入する工程と、ロックボルト本体の基端部から薬液を注入してパッカーを膨張させ、パッカーの外周面を穿孔の内壁に定着させる工程と、ロックボルト本体の基端部から薬液を更に注入して本体バルブを開放し、薬液を穿孔内に放出する工程とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2017-106207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の注入式ロックボルトやこれを用いた地山の補強工事の施工方法では、パッカーに薬液を注入する際に、パッカーが膨張するまでの過程で注入された薬液がロックボルト内に逆流する恐れがあるが、特許文献1においてこの薬液の逆流を解決する手段の開示はない。
また、本体バルブが開放される圧力よりも低い圧力で開放される連通孔バルブを介して、ロックボルトからパッカーへ薬液を注入し、パッカーが膨張されてロックボルトとボアホールとの間が閉塞された後に、本体バルブが開放される圧力にて薬液が注入されることから、薬液注入の際の圧力管理が容易でなく、上記するように施工時間が長くなることの抑制には繋がり難い。
【0007】
本発明は、地山に形成されているボアホールに挿入された補強体の内部から、ボアホールと補強体の間の隙間に固結材が注入及び発泡されることによって地山を補強する方法において、薬液の補強体の内部への逆流を防止でき、薬液注入の際の圧力管理を不要にでき、工費の高騰と施工時間が長くなることを抑制しながら、ボアホールからの固結材の漏洩を防止することのできる、地山補強構造と地山補強方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明による地山補強構造の一態様は、
地山において水平方向よりも上方に向かって形成されているボアホールに対して、軸状で管状の補強体がその先端を該ボアホールの奥側に配設され、その基端を該ボアホールの入り口側に配設されるようにして挿入され、該補強体と該ボアホールとの間の隙間に対して該補強体の内部から固結材が注入及び発泡され、該補強体と該固結材とにより前記地山を補強する、地山補強構造であって、
前記補強体のうち、前記基端側には、該補強体の内部の中空と外周面とを連通する連通孔が設けられ、さらに、該連通孔よりも前記先端側には、該中空が前記ボアホールに通じる開口が設けられており、
前記補強体には、前記連通孔を包囲するメッシュシートが装着され、該メッシュシートを包囲するパッカーがさらに装着されており、
前記メッシュシートは、液状の前記固結材の通過を許容し、通過した液状の該固結材が発泡してなるポリマーセルの通過を許容しない開き目を備え、
前記パッカーは、発泡した前記固結材によって膨張され、前記入り口側において前記隙間を閉塞していることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、ボアホールに挿入される補強体のうち、その基端側には補強体の内部の中空と外周面とを連通する連通孔が設けられ、連通孔よりも先端側には中空がボアホールに通じる開口が設けられ、連通孔を包囲するメッシュシートが補強体に装着され、メッシュシートを包囲するパッカーがさらに補強体に装着されていて、メッシュシートは、液状の固結材の通過を許容し、通過した液状の固結材が発泡してなるポリマーセルの通過を許容しない開き目を備え、パッカーは、発泡した固結材によって膨張され、ボアホールの入り口側において隙間を閉塞することにより、メッシュシートによって、液状の固結材の通過を許容し、通過した液状の固結材が発泡してなるポリマーセルの通過、すなわち補強体内への逆流を防止することができる。
また、パッカーが、発泡した固結材によって膨張されて、入り口側において補強体とボアホールの間の隙間を閉塞することにより、固結材の注入の際の圧力管理を不要にでき、さらには、パッカーを膨張させるコーキング材料と隙間への注入材料が同種の固結材で、単一の注入工程の下でコーキング作業(入り口を閉塞する作業)とボアホール内への注入作業を連続的に行えることによって、工費の高騰と施工時間が長くなることを抑制しながら、ボアホールからの固結材の漏洩を防止することができる。そして、この施工時間の短縮は、施工安全性にも繋がる。尚、ボアホールの入り口を速やかに閉塞する観点から、補強体における連通孔の設置位置は、基端側の中でも基端近傍の位置が好ましい。
さらに、固結材が発泡してパッカーを膨張させること、すなわち、固結材の発泡圧によってパッカーを膨張させることから、例えば、特許文献1に記載の注入式ロックボルトのように、注入圧でパッカーが膨張してパッカー内が5MPa以上の高圧になり得る恐れはない。
【0010】
ここで、「補強体」には、中空を有するロックボルトやパイプ等を適用できる。この補強体が備える連通孔の周囲にあるパッカーにより、補強体の基端側から注入された固結材は連通孔を介して補強体とパッカーの内部に注入され、速やかに発泡して補強体とボアホールの間の隙間が閉塞される。すなわち、補強体において、連通孔よりも先端側にあって中空がボアホールに通じる開口を介して隙間に固結材が注入され、発泡することに先行して、ボアホールの入り口側におけるパッカーによる隙間の閉塞が実行される。そのため、ボアホールが「地山において水平方向よりも上方に向かって形成されている」ことにより、重力によって液状の固結材が下方へ下がり易い本態様においても、上記する固結材の漏洩防止が確実に実行されることになる。
(【0011】以降は省略されています)

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