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公開番号2024086099
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-27
出願番号2022201034
出願日2022-12-16
発明の名称締切構造
出願人株式会社安藤・間
代理人弁理士法人 武政国際特許商標事務所
主分類E02B 7/00 20060101AFI20240620BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、種々の問題を抱える水密モルタルを充填することなく、荷重伝達機能と水密機能を併せ持つ締切構造を提供することである。
【解決手段】本願発明の締切構造は、ダム上流に締切空間を形成するための構造であって、側壁と背面壁、水密構造、荷重伝達構造を備えたものである。水密ゴムを含む水密構造は、締切空間への水の浸入を抑制する構造であり、支圧材を含む荷重伝達構造は、水平荷重をダム堤体に伝達する構造である。水密構造は側壁とダム堤体との間であって側壁の外縁に沿って配置され、荷重伝達構造は側壁とダム堤体との間であって水密構造よりも締切空間側に配置される。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
ダム上流に締切空間を形成するための構造であって、
左右に配置され、下流側でダム堤体に当接する側壁と、
前記側壁より上流側に配置され、該側壁に連結される背面壁と、
水密ゴムを含み、前記締切空間への水の浸入を抑制する水密構造と、
支圧材を含み、水平荷重を前記ダム堤体に伝達する荷重伝達構造と、を備え、
前記水密構造は、前記側壁と前記ダム堤体との間であって、該側壁の外縁に沿って配置され、
前記荷重伝達構造は、前記側壁と前記ダム堤体との間であって、前記水密構造よりも前記締切空間側に配置された、
ことを特徴とする締切構造。
続きを表示(約 620 文字)【請求項2】
底部に配置され、下流側で前記ダム堤体に当接する底版を、さらに備え、
前記水密構造は、前記底版と前記ダム堤体との間であって、該底版の下縁に沿って配置され、
前記荷重伝達構造は、前記底版と前記ダム堤体との間であって、前記水密構造よりも上方に配置された、
ことを特徴とする請求項1記載の締切構造。
【請求項3】
頂部に配置され、下流側で前記ダム堤体に当接する頂版を、さらに備え、
前記水密構造は、前記頂版と前記ダム堤体との間であって、該頂版の上縁に沿って配置され、
前記荷重伝達構造は、前記頂版と前記ダム堤体との間であって、前記水密構造よりも下方に配置された、
ことを特徴とする請求項1記載の締切構造。
【請求項4】
前記水密構造は、当接板をさらに含み、
前記当接板が前記ダム堤体に取り付けられるとともに、前記水密ゴムが該当接板と前記側壁との間に配置された、
ことを特徴とする請求項1記載の締切構造。
【請求項5】
前記水密構造は、シール状の水膨張性ゴムをさらに含み、
前記水膨張性ゴムは、前記当接板と前記ダム堤体との間に設置され、
前記水膨張性ゴムによって、不陸が生じた前記ダム堤体の表面が平坦にされた状態で、前記当接板が該ダム堤体に取り付けられた、
ことを特徴とする請求項4記載の締切構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本願発明は、供用中のダムにおける締切構造に関するものであり、より具体的には、従来用いられていた水密モルタルを伴う戸当たりを設けることなく、締切空間の水密性を保ちつつダム堤体に荷重を伝達することができる締切構造に関するものである。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
ダムや堰は、利水や治水などを目的として河川等の水を堰止める構造物である。なお我が国の河川法では、堤高が15m以上の堤防はダムに分類され、堤高が15m未満の堤防は堰に分類される。治水用のダムや堰(以下、これらを総称して「ダム等」という。)は、洪水調整を行う(洪水の一部を貯める)ことで大雨等による下流の洪水被害を軽減することを主な目的として構築される。一方、利水用のダム等は、水道用水や工業用水、田畑へのかんがい用水を安定的に提供すること、あるいは水力発電を行うことを目的として構築される。いずれにしろダム等によって河川等の水を堰止める結果、上流側には貯水池(ダム湖)が形成される。
【0003】
水力発電を行うためのダム等(以下、単に「水力発電ダム」という。)には、ダム湖の水を水車へ送水する取水施設が設けられる。ダム堤体に設けられた取水口からダム湖の水が出水し、導水路を通って落下することによって水車を回転させるわけである。ところで、既に供用している水力発電ダムによる発電力をさらに拡張させることもある。この場合、新たな取水施設(発電ルート)を設置する必要があり、そのためダム堤体に取水口を構築することとなる。上記したように供用中の水力発電ダムの上流にはダム湖があることから、取水口を構築する(ダム堤体に貫通孔を空ける)には、計画された取水口の上流部をドライ(水を抜いた状態)にする必要があり、すなわち仮締切を行う必要がある。
【0004】
図7は、従来の締め切り構造を示す図であり、(a)は上方から見た平面図、(b)は戸当たり部分を示す部分平面図である。この図に示すようにダム湖における締切構造は、左右に配置される側壁WSと、側壁WSよりも上流に配置される背面壁WB、そして側壁WSと背面壁WBを連結するコーナー壁WCによって構成され、これら壁体とダム堤体で囲まれた領域の水を排出することよって締切空間(ドライな空間)が形成される。締切構造を構成する各壁体は、ダム湖の底に配置される底版に連結され、その水面を超える高さまで立ち上げられ、あるいは水面を超えない高さまで立ち上げるときは上面を封鎖する頂版が配置される。
【0005】
左右の側壁WSはそれぞれ下流側の端面(いわゆる「妻面」)でダム堤体に当接しており、この当接部には「戸当たり」と呼ばれる構造が設置される。当接部は、締切空間内にダム湖の水が流入しない水密機能と、締切構造に作用する水平荷重(主にダム湖の水圧)を当接面において均等になるようにダム堤体に伝達する荷重伝達機能が求められる。そのため従来の戸当たりは、図7(b)に示すように、上流側に支圧木材PWを設置するとともに、外側(つまり、ダム湖側)に止水材RBを設置していた。支圧木材PWによって上流からの水平荷重を吸収しつつ円滑に伝達し(荷重伝達機能)、止水材RBによって締切空間への漏水を防ぐ(水密機能)わけである。
【0006】
また、支圧木材PWよりも下流側には、緩衝用ゴム材CM(非膨潤ゴムや水膨潤ゴムなど)に挟まれた空間に水密モルタルMR(例えば、t=300mm)が充填されていた。荷重伝達機能を確保するためには仮締切構造(側壁WS)とダム堤体の間で一様な当接面が形成されることが望ましく、また水密機能を確保するためにはこの当接面が密着していることが望ましい。したがって、図7(b)に示す空間に水密モルタルMRを充填していたわけである。例えば、特許文献1でも、戸当たりとして荷重伝達用モルタルを充填する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2012-001927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したとおり、従来の仮締切構造では水密モルタルが充填され、すなわち水密モルタルが硬化した構造(以下、単に「モルタル構造」という。)が構築されていたが、このモルタル構造を構築するにあたってはいくつかの問題点があった。まず、水密モルタルを充填する時点ではまだドライな空間とされていないため、水密モルタルの充填は水中作業となり、したがって作業効率が悪く施工期間が長くなる傾向にあり、さらに潜水作業が長期化するため施工費が高騰化するという問題を指摘することができる。また、水中であってしかも狭隘な空間に水密モルタルを充填する必要があることから、材料分離となる箇所が発生しやすく、材料分離が生じた個所はそのまま漏水経路となるといった問題もある。さらに、水密モルタルがダム湖内に流出することによって、ダム湖の汚染が懸念されるという環境問題もある。
【0009】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、種々の問題を抱える水密モルタルを充填することなく、荷重伝達機能と水密機能を併せ持つ締切構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、荷重伝達構造と水密構造をそれぞれ独立した構造とすることによって、水密モルタルの充填を回避する、というこれまでにない発想に基づいて行われたものである。
(【0011】以降は省略されています)

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