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公開番号2024081873
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-19
出願番号2022195396
出願日2022-12-07
発明の名称液体処理装置及び廃水処理方法
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
主分類C02F 1/44 20230101AFI20240612BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】好気処理反応槽内に中空糸膜モジュールを備えた液体処理装置において、被処理液による境膜の形成を抑制して硝化速度の低下を防ぐことができるように、好気処理反応槽内の水の流れを適切に制御できる液体処理装置を提供する。
【解決手段】好気処理反応槽内に中空糸膜モジュールを備えた液体処理装置であって、前記好気処理反応槽は、さらに、好気処理反応槽内における被処理液の流動を形成する流動形成装置と、流速計と、前記流速計の測定結果に基いた命令を作成し、当該命令を流動形成装置に送る手段を備えた制御部とを備え、前記流速計は、好気処理反応槽内における被処理液の、中空糸膜モジュールの中空糸膜の長さ方向(z軸方向)の流速を測定できる手段を備えており、前記流動形成装置は、前記制御部からの命令により、被処理液の前記流速を調整することができる手段を備えたものである、液体処理装置である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
好気処理反応槽内に中空糸膜モジュールを備えた液体処理装置であって、
前記好気処理反応槽は、さらに、好気処理反応槽内における被処理液の流動を形成する流動形成装置と、流速計と、前記流速計の測定結果に基いた命令を作成し、当該命令を流動形成装置に送る手段を備えた制御部とを備え、
前記流速計は、好気処理反応槽内における被処理液の、中空糸膜モジュールの中空糸膜の長さ方向(z軸方向)の流速を測定できる手段を備えており、
前記流動形成装置は、前記制御部からの命令により、被処理液の前記流速を調整することができる手段を備えたものである、液体処理装置。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記流動形成装置は、好気処理反応槽内に気体を送出する手段、好気処理反応槽内に流体を送出する手段、又は、好気処理反応槽内の被処理液を攪拌する手段を備えたものである、請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項3】
前記流速計は、中空糸膜モジュールの中央部の高さより上方であって、被処理液に浸漬するように配置される、請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項4】
前記中空糸膜モジュールは、中空糸膜の長さ方向が鉛直方向となり、かつ被処理液に浸漬するように配置される、請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項5】
好気処理反応槽の一方の側面に被処理液流入口を設け、他の側面に処理液流出口を設けてなる構成を備えた液体処理装置において、
前記z軸方向は、中空糸膜モジュールの中空糸膜の長さ方向と平行な方向である、請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項6】
前記制御部及び流動形成装置により、1分以上の計測時間内に測定した複数のz軸方向の流速が、下記要件のうちの少なくとも1つ以上の要件を満たすように制御する、請求項1に記載の液体処理装置。
要件1:90%以上の測定した流速が、-10cm/sec超30cm/sec以下
要件2:80%以上の測定した流速が、0cm/sec超20cm/sec以下
要件3:40%以上の測定した流速が、5cm/sec超15cm/sec以下
要件4:20%以上の測定した流速が、8cm/sec超13cm/sec以下
【請求項7】
1分以上の計測時間内に測定した複数のz軸方向の流速の平均値が、1.5cm/sec以上となるように制御する、請求項6に記載の液体処理装置。
【請求項8】
1分以上の計測時間内に測定した複数のz軸方向の流速の平均値が、30cm/sec以下となるように制御する、請求項6に記載の液体処理装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の液体処理装置を用いた廃水処理方法。
【請求項10】
請求項1~8の何れか1項に記載の液体処理装置を用いて、前記制御部及び流動形成装置により、1分以上の計測時間内に測定した複数のz軸方向の流速が、下記要件のうちの少なくとも1つ以上の要件を満たすように制御する、廃水処理方法。
要件1:90%以上の測定した流速が、-10cm/sec超30cm/sec以下
要件2:80%以上の測定した流速が、0cm/sec超20cm/sec以下
要件3:40%以上の測定した流速が、5cm/sec超15cm/sec以下
要件4:20%以上の測定した流速が、8cm/sec超13cm/sec以下

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、地下水、湖沼水、河川水等の原水や、油分等を含む工業廃水、生活廃水、飲料加工用の原液等の各種の液体(以下、「被処理液」ともいう。)を、中空糸膜モジュールを用いて、用途に適した水質に浄水する液体処理装置、及びこの装置を用いた廃水処理方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
工業廃水や生活廃水は、廃水中に含まれる有機物等を取り除く処理が施されてから、工業用水として再利用されるか、もしくは河川等に放流されるのが通常である。
廃水処理技術は、大きく分けて生物学的処理(細菌などの微生物により汚水中の汚濁物質を分解する方法)と、物理化学的処理(沈殿、ろ過、吸着等の物理化学反応を利用し、凝集や酸化などにより汚濁物質を分離する方法)の2種類がある。
中でも、地域環境の保全などの観点から、廃水に含まれる有機物を微生物によって分解させる、微生物を利用した有機性廃水の処理方法が注目されている。
【0003】
微生物を利用した有機性廃水の処理方法として、被処理液を曝気して好気的な微生物に有機物等を分解させる活性汚泥処理法等が一般的に知られている。
従来の活性汚泥処理法として、好気性微生物を利用する硝化槽と、嫌気性微生物である脱窒細菌を利用する脱窒槽とを設け、硝化槽において曝気により酸素を供給することが行われていた。しかし、曝気により酸素を供給する方法は、気泡サイズを小さくし、気泡の表面積を大きくして接触効率を高めたり、被処理液中の滞留時間を長くしたりしても、酸素利用効率には限界があり、ランニングコストが高いという課題を抱えていた。
【0004】
そこで、廃水中の微生物等に由来する微生物層(「バイオフィルム」とも称する。)を中空糸膜の表面に形成させ、中空糸膜の内面側から酸素を微生物層(バイオフィルム)に直接供給するバイオリアクター、いわゆるメンブレンエアレーション型バイオフィルムリアクター(MABR)を用いた廃水処理が提案されている(特許文献1、2、3、4参照)。
【0005】
MABRを用いた廃水処理では、微生物層の膜厚方向に酸素勾配が形成され、微生物層の内層側において好気処理(BOD酸化、アンモニアの硝酸化)が進行するとともに、微生物層の外層側において硝酸の嫌気処理(BOD酸化、脱窒処理)が進行する。このように、好気処理と嫌気処理を同一の処理槽で行うことができるため、従来の処理法に比べて設備をコンパクト化することができる。また、中空糸膜の内面側から酸素を供給するため、曝気に比べて酸素利用効率が高く、スラッジの発生も低減できるので、ランニングコストを低減することができる。さらに、微生物層の形成により、中空糸膜の膜表面積を大きく確保できるので、廃水の流入負荷変動に対して安定的に処理を行うことが可能になる。このような観点から、MABRは、各種の液体処理装置等において広く導入検討が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2019-209037号公報
特開2021-062331号公報
特開2021-133342号公報
特開2021-133349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
MABRを用いた廃水処理においては、中空糸膜の表面に形成される微生物層(バイオフィルム)の表面に、被処理液の流動により境膜が形成されることがある。このような境膜が形成されると、有機物や窒素化合物などの基質交換の抵抗となったり、被処理液中の成分がバイオフィルム中に浸透して拡散するのが防止されたり、バイオフィルム中の微生物へ基質が提供されるのが阻害されたりするなどして、硝化速度(Nitrification Rate)が低下し、生物処理の効率が低下する可能性がある。
そのため、微生物層(バイオフィルム)の表面に、被処理液による境膜が形成されるのを抑制するように、中空糸膜モジュールを配置する処理反応槽内の水の流れを適切に制御できるシステム及び制御方法が求められていた。
【0008】
本発明の目的は、好気処理反応槽内に中空糸膜モジュールを備えた液体処理装置において、被処理液による境膜の形成を抑制して硝化速度(Nitrification Rate)の低下を防ぐことができるように、好気処理反応槽内の液体の流れを適切に制御できる液体処理装置及び廃水処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が提案する液体処理装置及び廃水処理方法は、上記課題を解決するために、次の態様を有する。
【0010】
[1] 本発明の第1の態様は、好気処理反応槽内に中空糸膜モジュールを備えた液体処理装置であって、
前記好気処理反応槽は、さらに、好気処理反応槽内における被処理液の流動を形成する流動形成装置と、流速計と、前記流速計の測定結果に基づいた命令を作成し、当該命令を流動形成装置に送る手段を備えた制御部とを備え、
前記流速計は、好気処理反応槽内における被処理液の、中空糸膜モジュールの中空糸膜の長さ方向(z軸方向)の流速を測定できる手段を備えており、
前記流動形成装置は、前記制御部からの命令により、被処理液の前記流速を調整することができる手段を備えたものである、液体処理装置である。
(【0011】以降は省略されています)

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