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公開番号2024085958
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-27
出願番号2022200758
出願日2022-12-16
発明の名称液体処理装置及び処理方法
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
主分類C02F 3/06 20230101AFI20240620BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】MABRを用いて廃水等の被処理液の処理装置において、ガス透過膜の表面に形成される微生物層が過剰に付着し過ぎることを抑制し、微生物層の付着量が適正に維持されるようにする。
【解決手段】被処理液が供給される処理槽中に、酸素を含むガスの流通経路を有するガス透過膜エレメントと、液体の流通経路を有する液体処理膜エレメントとを含む中空糸膜モジュールを装備して液体理装置を構成する。液体処理膜エレメントを用いてガス透過膜の表面の微生物層の付着状態を観測し、付着量の過多に応じて処理槽内でガスの散気や曝気を行って微生物層の付着量を適正に維持する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
浄水用の中空糸膜モジュールを備えた液体処理装置であって、
前記中空糸膜モジュールは浄水処理される被処理液が貯留された処理槽内に浸漬され、
前記中空糸膜モジュールは、酸素を含むガスの流通経路を有するガス透過膜エレメントと、液体の流通経路を有する液体処理膜エレメントとを備える液体処理装置。
続きを表示(約 750 文字)【請求項2】
前記ガス透過膜エレメントは非多孔質中空糸膜を含む請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項3】
前記液体処理膜エレメントは多孔質中空糸膜を含む請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項4】
前記ガス透過膜エレメントと液体処理膜エレメントが次の式(1)を満たす請求項1又は2に記載の液体処理装置。
式(1) a/b>100
但し、aはガス透過膜エレメントを構成する中空糸膜全体の表面積、bは液体処理膜エレメントを構成する中空糸膜全体の表面積である。
【請求項5】
前記ガス透過膜エレメントの表面に微生物層が形成される、請求項1又は2に記載の液体処理装置。
【請求項6】
前記中空糸膜モジュールが設置された処理槽内に被処理液を供給する被処理液供給手段と、
前記処理槽内の中空糸膜モジュールの下方に設置されていて散気用のガスを処理槽内に送出する散気手段と、
前記処理槽の上部から浄水された処理液を取り出す処理液取出手段と、
ガス透過膜エレメントに酸素を含むガスを供給する酸素含有ガス供給手段と、
液体処理膜エレメントを通して処理槽内の被処理液を吸引する吸引手段と、
前記吸引手段の吸引圧力を測定する圧力測定手段と、を備える請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項7】
圧力測定手段の測定値に基づいて散気手段で処理槽内の被処理液を曝気せしめる制御手段を備える請求項6に記載の液体処理装置。
【請求項8】
請求項1から3の何れかに記載の液体処理装置を用いて中空糸膜モジュールの表面に形成される微生物層の付着量を制御する液体処理方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、地下水、湖沼水、河川水等の原水や、油分等を含む工業廃水、生活廃水、飲料加工用の原液等の各種の液体(以下、「被処理液」ともいう。)を、用途に適した水質に浄水する液体処理装置と処理方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
工業廃水や生活廃水は、廃水中に含まれる有機物等を取り除く処理が施されてから、工業用水として再利用されるか、もしくは河川等に放流される。
廃水処理技術は、大きく分けて生物学的処理(細菌等の微生物により汚水中の汚濁物質を分解する方法)と、物理化学的処理(沈殿、ろ過、吸着等の物理化学反応を利用し、凝集や酸化等により汚濁物質を分離する方法)の2種類がある。
中でも、地域環境の保全等の観点から、廃水に含まれる有機物を微生物によって分解させる、微生物を利用した有機性廃水の処理方法が着目されている。
【0003】
微生物を利用した有機性廃水の処理方法として、被処理水を曝気して好気的な微生物に有機物等を分解させる活性汚泥処理法等が一般的に知られている。
従来の活性汚泥処理法として、好気性微生物を利用する硝化槽と、嫌気性微生物である脱窒細菌を利用する脱窒槽とを設け、硝化槽において曝気により酸素を供給することが行われていた。しかし、この処理方法は、硝化槽と脱窒槽を別々に設置するため設備が大型になるという問題を抱えていた。また、曝気による酸素供給では、気泡サイズを小さくし、気泡の表面積を大きくして接触効率を高めたり、被処理水中の滞留時間を長くしたりしても、酸素利用効率には限界があり、ランニングコストが高いという課題も抱えていた。
【0004】
そこで、廃水中の微生物等に由来する微生物層(以下、「バイオフィルム」、「BF」ともいう。)をガス透過膜の表面に形成させ、ガス透過膜の内面側から酸素を微生物層に直接供給するバイオリアクター、いわゆるメンブレンエアレーション型バイオフィルムリアクター(以下、「MABR」という。)を用いた廃水処理が提案されている(特許文献1、2、3参照)。
【0005】
MABRを用いた廃水処理では、微生物層の膜厚方向に酸素勾配が形成され、微生物層の内層側において好気処理(BOD酸化、アンモニアの硝酸化)が進行するとともに、微生物層の外層側において硝酸の嫌気処理(BOD酸化、脱窒処理)が進行する。このように、好気処理と嫌気処理を同一の処理槽で行えるため、従来の処理法に比べて設備をコンパクト化することができる。また、ガス透過膜の内面側から酸素を供給するため、曝気に比べて酸素利用効率が高く、スラッジの発生も低減できるので、ランニングコストを低減することができる。さらに、微生物層の形成により、中空糸膜の膜表面積を大きく確保できるので、廃水の流入負荷変動に対して安定的に処理を行うことが可能になる。MABRは各種の廃水処理装置等において広く導入検討が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2021-062331号公報
特開2021-133342号公報
特開2021-133349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
MABRを用いた廃水処理において、ガス透過膜の表面に形成される微生物層が当該ガス透過膜の表面に過剰に付着し過ぎると、つまり微生物層が過設状態であると、被処理水である廃水に対する前記微生物層の内層側での好気処理及び外層側での嫌気処理が全くなされずに、廃水がいわゆるショートカットして処理槽からそのまま排出され、処理水の品質を悪化させる事態を生じさせる。
【0008】
微生物層が過設状態となることを防ぐため、処理槽内の前記ガス透過膜の下方に配置された散気装置で定期的に曝気を行って、ガス透過膜表面に形成された微生物層を剥離するようにしているが、この曝気はタイマーを用いて所定の時間が経過した時に行われるものであり、微生物層の付着量とは無関係である。つまり、曝気は微生物層の付着量に対して定量的に行われてはいない。
ガス透過膜層の表面に形成される微生物層は、廃水に含まれる微生物や菌の種類や含有量、処理する廃水の量、水温等の処理条件により、ガス透過膜の表面に付着する速度や量が異なる。前記定期的な曝気によって微生物層が剥離され過ぎて、前記微生物層の内層側での好気処理及び外層側での嫌気処理が適正に行われなくなる事態も生じかねない。ガス透過膜の表面に微生物層が過剰に付着することを抑制するため曝気は必要であるが、微生物層の付着量に応じた定量的なタイミングで曝気を行って、微生物層の付着量が適正に維持されることが肝要である。
【0009】
本発明は従来の技術が有するこのような問題点に鑑み、MABRを用いた被処理液の処理において、ガス透過膜の表面に形成される微生物層が過剰に付着し過ぎることを抑制し、微生物層の付着量が適正に維持されるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は以下の態様を含む。
〔1〕 浄水用の中空糸膜モジュールを備えた液体処理装置であって、
前記中空糸膜モジュールは浄水処理される被処理液が貯留された処理槽内に浸漬され、
前記中空糸膜モジュールは、酸素を含むガスの流通経路を有するガス透過膜エレメントと、液体の流通経路を有する液体処理膜エレメントとを備える液体処理装置。
〔2〕 前記ガス透過膜エレメントは非多孔質中空糸膜を含む前記〔1〕に記載の液体処理装置。
〔3〕 前記液体処理膜エレメントは多孔質中空糸膜を含む前記〔1〕又は〔2〕に記載の液体処理装置。
〔4〕 前記ガス透過膜エレメントと液体処理膜エレメントが次の式(1)を満たす、前記〔1〕から〔3〕の何れかに記載の液体処理装置。
式(1) a/b>100
但し、aはガス透過膜エレメントを構成する中空糸膜全体の表面積、bは液体処理膜エレメントを構成する中空糸膜全体の表面積である。
〔5〕 前記ガス透過膜エレメントの表面に微生物層が形成される、前記〔1〕から〔4〕の何れかに記載の液体処理装置。
〔6〕 前記中空糸膜モジュールが設置された処理槽内に被処理液を供給する被処理液供給手段と、
前記処理槽内の中空糸膜モジュールの下方に設置されていて散気用のガスを処理槽内に送出する散気手段と、
前記処理槽の上部から浄水された処理液を取り出す処理液取出手段と、
ガス透過膜エレメントに酸素を含むガスを供給する酸素含有ガス供給手段と、
液体処理膜エレメントを通して処理槽内の被処理液を吸引する吸引手段と、
前記吸引手段の吸引圧力を測定する圧力測定手段と、を備える前記〔1〕から〔5〕の何れかに記載の液体処理装置。
〔7〕 圧力測定手段の測定値に基づいて散気手段で処理槽内の被処理液を曝気せしめる制御手段を備える前記〔1〕から〔6〕の何れかに記載の液体処理装置。
〔8〕 前記〔1〕から〔7〕の何れかに記載の液体処理装置を用いて中空糸膜モジュールの表面に形成される微生物層の付着量を制御する液体処理方法。
なお、前述のとおり、被処理液には、地下水、湖沼水、河川水等の原水や、油分を含む工業廃水、生活廃水、飲料加工用の原液等の各種の液体が含まれる。被処理液はビール原液等でもよい。本発明はこれら各種の液体をその用途に適した水質に浄水する処理に適用される。
(【0011】以降は省略されています)

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